宝石のようなスイーツ…パリのカフェ文化の中でその色や形が磨かれてきました。
パリではどのパティスリーにも店独自のマカロンが並びパリジェンヌたちにとって欠かせないスイーツです。
鮮やかな色。
丸いフォルム。
パリジェンヌたちを惹きつけるマカロンの魅力はそれだけではありません。
小さなマカロンに秘められた奥深い世界。
パリジェンヌたちがこよなく愛するマカロンの深い深い世界に迫りましょう。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末えいが暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
「グレーテルのかまど」へようこそ。
うれしい時悲しい時もうひとふんばりしたい時一口頬張ると何だか元気が湧いてくるのがスイーツ。
その一つ一つに思いがけない誕生のドラマやその味を愛してやまなかった人々の物語が秘められています。
そんな不思議なスイーツの物語を我が家のかまどで最高においしく焼き上げましょう。
こよいひもとくお菓子は…。
フランスでマカロンが作られるようになったのは16世紀ごろから。
地方によって個性豊かな形のマカロンが生まれました。
蜂蜜を練り込んだねっちりした食感のもの。
表面はひび割れ中はしっとりしたクッキーのようなもの。
卵白と砂糖が多めでふんわりしたものなど。
そして皆さんよくご存じなのが「マカロン・パリジャン」。
その歴史は最も浅く僅か数十年。
おしゃれな丸いフォルムで瞬く間にフランス全土を席巻。
その勢いは世界中に広がり日本にも5〜6年前マカロンブームが巻き起こりました。
こちらはマカロン・パリジャン生みの親とも言われる老舗のマカロン。
パリと同じように最先端のマカロンが店先を飾っています。
世界的なパティシエの代表作バラとフランボワーズとライチのマカロン。
芸術品のようなたたずまいです。
パリでも人気のチョコレートアイスのような棒付きマカロン。
チョコレートのコーティングの中にはフランボワーズのマカロンが入っています。
今や日本流にアレンジしたものも登場。
ゆずこしょうやほうじ茶など季節の味を練り込んでいます。
パリに勝るとも劣らないマカロン大国となった日本。
しかし日本ではあまり見かけないマカロンがパリにはあります。
それは直径7〜8cmもある大きなマカロン。
パリでは大きなマカロンが街のあちこちで売られています。
それをパリジェンヌたちは歩きながら頬張ったりおしゃべりしながらゆっくり味わったり…。
マカロンは日常にさりげなく溶け込んでいるのです。
「パリジェンヌのマカロン」ってまた大きく出たわね!だってもう姉ちゃん命令は絶対だからね。
ほら。
「パリジェンヌみたいに」ってどういう事よ?なんかね大きなマカロンをガシッとつかんで食べたいんだって。
でフレーバーはもちろんパリ定番のショコラよね。
そうだね。
そのとおり。
でもね作るのはかなりデリケートな作業ですから。
えっ!?覚悟して下さい!そうなの?やばい覚悟しないと。
はい。
いきます。
マカロンの命は2つのポイントにかかっています。
2つのポイント?マカロン・パリジャンの2つのポイント。
それは「リス」と「ピエ」。
「リス」とはフランス語で「すべすべしている」という意味。
マカロンは表面が滑らかでツヤがある事が大切です。
生地の周囲からはみ出たフリルのような部分の事をいいます。
リスとピエがそろったものこそが本物のマカロン・パリジャンの証しなのです。
リスとピエリスとピエリスとピエ…。
まずはリスからいくわよ〜!よ〜し!絶対リスにしてやる!はい!気合いは買いました!ではキメの細かいクリーム状になったね。
うん。
そのくらいでオーケーよ。
オーケー?よ〜し。
よし。
よいしょ。
あっ軽っ。
そのあとにね生の卵白も入れてみて下さい。
分かった。
入れちゃうね。
うん。
よ〜し。
生の卵白なぜ入れるかというとねメレンゲだけだとちょっと堅くなっちゃうから生地を柔らかくする事ができるわけ。
へぇ〜そうなんだね。
でこれは粉けがなくなるまでだよね?うんそう。
お菓子作りの定番作業よね。
粉っぽい部分がなくなる事をプロは「粉けがなくなる」って言うのよね。
そっか〜。
かまどはなんか色気なくなってきてるよね。
かまど!かまど!あら?ちょっと寝ちゃったかな?よし!色気ではなくて粉けがなくなりました!かまど!はいはい。
そしたらね今度は…。
(色っぽい声で)色気をつけるわよ。
色気?色気。
ココアパウダーを入れて生地に色をつけるのよ。
あっそっちか。
そっちね。
そう。
はい。
かまどが寝てるからもう。
これでまた混ぜればいいんだね。
うん。
マカロンの生地完成!ハッハッハッハッ!甘いな。
青いな。
え?何?駄目なの?これ。
駄目。
リスにするために大事な事を言って下さい。
どうぞ。
…ってどういう意味?そのメレンゲの泡を潰して下さい。
これ?せっかくこうきれいに泡立てたのに?そうそう。
きれいに見えるけどねよく見てよ。
まだ泡が均一じゃないでしょ?うん。
つまりキメが整ってないわけ。
あっそういう事か。
そのまま焼くと表面が凸凹になっちゃったり膨らみ過ぎたりしてひび割れたりもするわけ。
えっ!リスから程遠くなっちゃうのよ。
それやばいねちょっと。
そう。
お手入れが大事なの。
頑張って潰さなきゃ!そう。
大変。
メレンゲの泡を押しながら手前に引いていくのよ。
こうだね。
この作業はね「マカロナージュ」といってマカロンには絶対欠かせないのよ。
「マカロナージュ」でしょ。
マカロンの名前が付いてるんだね。
もっとね押さえつけてほしい。
元気に。
元気?元気に。
こういう事ですか?そういう事!強く強く。
こういう事ね。
そう。
マカロナージュ!これねすごい手が疲れる。
うん。
「覚悟して」って言ったでしょだから。
よ〜し。
疲れてきた。
よいしょ。
頑張って!ちょっと休憩。
かまどちょっと散歩してこようかな。
はあ〜…ちょっと!うそうそ。
アハハハハッ。
ああいい感じになってきた。
よいしょ。
頑張れ俺。
うん。
おっいいわね。
生地が重なるように落ちる堅さになったらオッケー!オッケー?よくやった。
これでリスが出来るはずよ。
うん。
やった!よし。
オッケー?マカロン・パリジャンの魅力は作り手をもとりこにしてしまいます。
高度な技術が必要なマカロン作り。
しかし難しければ難しいほど職人たちを夢中にさせる不思議な魔力を持っています。
これはそんなマカロン・パリジャンに魅せられた1人の日本人のお話。
マカロンを焼く事ができるのは専門の職人だけというパリのパティスリーでその腕を認められた人です。
日本人のマカロン職人はほとんどいない時代でした。
マカロンとの出会いを木村さんはこう言います。
ほとんどがまあうまくいかない。
なぜうまくいくのかなぜうまくいかないのかというのが分からないんですよね。
そんな難しいお菓子に初めて出会った木村さんは「絶対にマカロンが焼けるようになる」と決めたのです。
パリの老舗に見習いとして入り専門職人の傍らで必死に学びました。
これは当時木村さんが書いたメモ。
「2〜3度に分けてメレンゲを加える。
おのおのメレンゲを混ぜ合わせてから加える」。
「大きめの口金で絞る事。
なぜならば生地を押さえつけるとマカロンが焼成時に割れるため」と書かれています。
どんな小さな事も見逃さない。
木村さんは来る日も来る日も先輩職人の技を観察し少しずつ答えを出していきました。
何か月かたった時にちょっとずつ…材料一つ一つの性質や周りの環境。
それらがどう影響し合うかを自分の頭と体で理解する事。
それが木村さんのたどりついた答えでした。
ついに木村さんはパリでマカロン専門職人に抜擢されたのです。
木村さんが思う「パリジェンヌのマカロン」とは?時間をかけて味わいマカロンの中にある世界に思いをはせる。
それが「パリジェンヌのマカロン」。
20年以上マカロンを焼き続けてきた木村さんですが「今でもマカロン作りは緊張する」と言います。
でもちゃんと飼いならせば言う事聞いてくれるというような商品じゃないですかね。
ただその飼いならす事がなかなかそこにいくまでが非常にいろんなハードルがあると思います。
だから面白いんでしょうね。
はい。
じゃじゃ馬を飼いならして初めて得られるリスとピエ。
そこに一筋縄ではいかないマカロンの無限の可能性が広がっています。
やばいな!ちょっと。
緊張してきた。
マカロンなめてたかもしんない。
じゃじゃ馬でしょ〜?乗りこなせるかな〜?乗りこなせません。
ええ!じゃあもうできないって事?フフッ。
だってそんな簡単に乗りこなせるわけないでしょ。
そっか〜。
一つ一つ丁寧にやるしかないのよ。
そうだよね。
うん。
今度はじゃあピエに挑戦よ。
ピエを適度に出すには焼く温度と時間が大切なのよ。
そっか〜。
はいそこでポイントいってみましょう。
どうぞ。
オッケー!これオーブンに入れていいんだよね?そう。
180℃で一気に焼くのよ。
一気に焼くのね。
よ〜いしょ。
よっ。
スタート。
ヘンゼルここからが本当に勝負よ。
ここから?うん。
中をじ〜っと見てて。
これ見てないといけないんだ。
そうだ。
目を離すな!ピエが出てきたらすぐに温度を下げなきゃならないの。
ね。
そのピエの出てきた瞬間を逃さない事。
これ見極めがすごく大事だ。
うん。
近眼?ん?あっ!目を離しちゃ駄目よ!だから…。
あっそうだ。
もうやだ。
私が悪かったごめん。
もう絶対目を離しちゃ駄目。
まばたきも駄目よ。
まばたき…。
まばたき極力抑えて。
まばたきの間に出てくるかもしれないから。
大体何分ぐらいなんだろうね?もういいから逃さないで。
あそうだそうだ。
ほらほらちゃんと見てる?泡が出てきたでしょほら。
ああ!そこで!そこで!そこでオーブンの扉を開けて!えっ!これ開けていいの?そろそろ。
膨らみかけてきた。
はい開けてみてパタパタしてみて。
こう?はい。
閉めて…。
これ?そう。
そうそう。
はい。
そうそう。
これは何?開けて閉めて…。
はい閉じて。
はいスイッチ入れて。
これ何?それはね水蒸気を外に出してるの。
水分がオーブンの中にたまると生地に空洞が出来るのよ。
水分を外に出すっていう作業をこまめにやらないと駄目なの。
ちょっとピエっぽいのが出てきてる。
そう。
「ピエっぽい」んじゃないの。
ピエなのそれが。
これピエだピエ。
ああこれどうすればいいの?フッフッフッフッ…。
ほらもう出てるもん。
もう一回ねオーブンの扉をほら開けたり閉めたりするのよ。
開ける閉める開ける閉める開ける閉める。
またスタート?スタート!これもうピエ出てるよ。
はいそれがピエです!温度を150℃に下げる!そうだ。
オッケー!これで…。
ここからはもうどうする事もできないからあとは見守るだけ。
そっか〜。
うわ〜。
これもうどうする事もできないんだ。
あっ!でもすっごいピエ出てるな。
フフフッ。
「ピエピエピエピエ!」もう!よし!出来た!よ〜し。
よ〜。
あ〜!これどう?ピエきれいなんじゃないの?ピエきれいでしょ?これ。
うまくいってる。
乗りこなせたって事でしょ?じゃじゃ馬は。
甘いね。
何?1個割ってみ。
割るの?うん。
中にね空洞が出来てたら大失敗よ。
え〜!フフフフッ。
空洞が出来てたら駄目なんでしょ?うん。
そう。
分かった。
わあ!こんなにうまくいったのはね…。
うん。
私の絶妙な指示のおかげよ。
まあね。
これ空洞ないでしょ?やった〜!空洞ない。
普通ねこんな事ないの。
こんな事ない?うん。
もう本当にそんなにうまくは焼けない。
じゃあ乗りこなせたな。
駄目駄目。
これは私の指示があったから。
ほんと?それ。
やった〜!でもうれしいこれ。
(拍手)すばらしい!リスも上出来。
やった!でもちょっと堅そうだけどね。
ハハハッ。
ちょっと一息ティーブレーク。
マカロンにはまってしまった人を訪ねましょう。
千葉県船橋市にお住まいの…。
今から10年ほど前フランスのお土産にもらったマカロンに感動して以来夫婦でマカロンをひたすら食べ続けているんです。
マカロンを求めてパリにまで行っちゃいました。
おかえり。
ただいま。
マカロン買ってきたよ。
あらあら。
仕事帰りの将史さんの手にはマカロンのお土産。
財布には友子さんが書いたマカロンのお店のリストがいつも入ってるんですって。
(将史)こうやって…。
住所と電話番号とお店の名前が。
夕食。
トマトとアボカドのサラダと漬物。
これだけ?仕事帰りの将史さんには足りないんじゃない?マカロンがあるとカロリーがすごくておなかもいっぱいになるんで。
夕食が終わったと思ったらすぐにマカロンタイム!まずは写真撮影。
食べたマカロンは全部写真にして残してきたんですって。
お二人がこれまでに食べてきたマカロンの合計はなんと…恐るべし〜!今日一回で食べるマカロンは25個!2人で食べる量じゃないっしょ!「堅さにばらつき」。
食べた感想は全てレシートの裏に書いて残してきたんですって。
うん。
4,000個食べても今までにない感じに出会えるってすごい!田村さんマカロンの魅力って何ですか?田村さん夫妻のマカロンを極める日々はまだまだ続きます。
小さなマカロンの中には濃密で奥深〜い宇宙があるんですね。
う〜ん!すごいね。
4,000個食べてもまた新しい味に出会えるってさマカロン奥深いね。
ね〜。
ほんと。
さあ次は中に挟むクリームよ!マカロンの更に奥にはクリームの世界が待っています。
バタークリームやジャム「ガナッシュ」と呼ばれるチョコレートのクリームなど。
生地とクリームの奏でるハーモニーこそがマカロンの神髄なのです。
じゃあいくね!うん。
渦よ。
よっ。
渦渦渦…渦〜!うん!これオッケーじゃない?それでこれを載せると…。
よし!出来た!
(チャイム)姉ちゃんおかえり!「パリジェンヌのマカロン」。
それはじゃじゃ馬をならすとエレガントな女性に変わる女心をくすぐるお菓子でした。
パリジェンヌたちはマカロンをお菓子として楽しむだけじゃありません。
老舗のシェフ・パティシエにおしゃれなマカロンの食べ方を教えてもらいました。
シャンパンとマカロン。
これも最高。
なんか大人の時間を過ごしてるという感じがするなあ。
今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?いやあマカロン手ごわかったな。
この一筋縄ではいかないところがもしかしたらパリジェンヌと似ているところなのかもしれません。
さて来週もまたこのキッチンでお会いしましょう。
ではちょっと残りを…。
う〜ん!シャンパンとマカロンまだまだ似合ってないわね。
似合ってない?フフフッ。
じゃじゃ馬マカロンをあなた流のこだわりの味にできるよういろんな経験をお積みなさいな。
あら。
かまど経験積んでんな?食べる?食べる。
だから食べるって。
アハハハハッ。
2014/10/02(木) 12:25〜12:50
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど「パリジェンヌの“マカロン”」[字][デ][再]
アンコールシリーズ、今回は視聴者の皆さんのたくさんのご要望にお応えしてマカロンの再登場!パリジェンヌが食べると様になるマカロンの魅力とは?家庭用レシピも必見!
詳細情報
番組内容
パリのカフェでゆっくり時間をかけて、優雅にマカロンをほおばるパリジェンヌ。その姿に魅せられ、マカロン作りを追求し続けるパティシエ木村成克さん。木村さんが「じゃじゃ馬のよう」と表現するマカロン作りの難しさ、その極意「リス」と「ピエ」とは?スタジオではヘンゼルがかまどと共に大奮闘!家庭でもできる本格レシピに挑戦!夜お酒と共に楽しんだり、斬新な和風のマカロンなどバリエーション豊かな魅力をたっぷり伝える。
出演者
【出演】瀬戸康史,パティシエ…木村成克,【語り】キムラ緑子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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