学ぼうBOSAI「火山災害 防災ホームドクター〜鹿児島大学准教授 井村隆介」 2014.10.02

おもて!うら!なにこれ?おもて!うら!
(オレンジ)おもて!うら!うら〜!
(噴火の音)2011年。
宮崎県と鹿児島県にまたがる新燃岳が300年ぶりと言われる大噴火をしました。
これはもう記憶に新しいですね。
昨日の事のように覚えてます。
濱口君火山の噴火は時に大きな災害につながるのよ。
そうか今日は火山災害の勉強ですね。
2011年の大噴火では大量の火山灰と軽石が地元の町をおそいました。
道路の通行止めせっかく作った野菜が収穫できなくなるなど人々の暮らしに大きな影響をあたえました。
この新燃岳を20年以上前から観察し研究を続けてきた火山博士がいます。
博士は実験などを通して火山のしくみや命を守る事の大切さを伝えています。
(井村)好き?コーラがマグマに似てる?そうなの?噴火って地球内部のマグマが泡立ち地表に噴出する現象なの。
マグマの代わりに炭酸たっぷりのコーラを使うと説明しやすくなるってわけ。
はあ〜なるほど。
そうなんだ。
(一同)5432…。
うお〜ふいた噴火した。
すげえ。
地域の子供からお年寄りまで直接ふれ合う事で防災知識を伝える努力を続けてきた井村さんはいつしか「防災ホームドクター」とよばれるようになりました。
火山のメカニズムを明らかにする事も重要な事なんですけど防災という事を考えた時には人の命を守る事が一番大事。
そこに生かされなければ研究の意味はないんじゃないかなというふうに思っています。
防災ホームドクター!何かたのもしいですね。
ところで濱口君。
はい。
火山列島・日本に一体いくつの活火山があるかごぞんじ?う〜ん?富士山桜島…え…5〜6じゃないですか?ブー!えっ!?110個が現在確認されていて世界中の活火山のおよそ1割がニッポンに集中していると言われているの。
え!この小さい日本にそんないっぱい…。
これもうしょっちゅう火山災害にそなえるべきじゃないですか!飲みこみが早くなったわね濱口君。
ありがとうございます。
では噴火したらどうすべきか井村さんの活動を通して学びましょうはい学びましょう!九州の霧島山。
ここには新燃岳をはじめ20をこえる火山があるんです。
あれ?先生どこへ行くんですか?ここ火山に見えないですけどね。
井村さんは噴火で積もった古い地層も研究してきた人なの。
火山からはなれた地層からも新燃岳の過去の大噴火の様子などいろんな事が分かるのよ。
これが江戸時代に起こった新燃岳の噴火でたまった堆積物です。
そのあと大きな粒が見えますけど……という事がこういう事を見ると分かります。
今回の噴火もそうですが特に注意すべきものの一つに「噴石」があります。
周囲に飛び散る高温の「噴石」は人命や家屋などに大きな災害をもたらす事があります。
およそ300年前の噴火では実際大きな被害が出た事が分かっています。
江戸時代の史料によると7〜8kmはなれた麓の集落に熱い噴石がふり火災を引き起こしたといいます。
実は新燃岳は2011年の大噴火の前の年から小さな噴火を起こしていました。
そのころ地元の高原町は井村さんにアドバイスを求めました。
役場では子供たちが霧島の自然にふれ合うツアーを計画していたんです。
目的地は大噴火の前だったので立ち入り可能な場所でした。
しかし新燃岳の火口からわずか2.5キロ。
井村さんは強く反対しました。
僕自身が研究者としてもし噴火が起こったら研究者であっても噴火は容赦をしてくれないわけですよね。
僕だって死ぬ可能性がある。
そんな場所にみんなを連れていくわけにはいかないでしょ。
あぶないよと。
とんでもないんだと。
そんなとこに行くべきじゃないというお話でした。
それをもうストレートにわたしたち受けましてコースの変更をやって別の所に行ったと。
大噴火の経験をふまえればやっぱしこれはコース変えてよかったなと。
なるほどね。
そうですよね。
思えばいつ噴火するか分からない時期ですからね。
うん。
それからおよそ3か月後。
その日がおとずれました。
井村さんはふだんどおり大学に出勤しましたが朝から小さな噴火が続いていると聞きすぐに新燃岳へ向かいました。
現場で山の様子をたしかめた井村さんは安全な場所に移動し観察を続ける事にしました。
そして午後4時近く井村さんの目の前で新燃岳はついに大噴火を始めました。
噴煙は上空7,500mの高さにまで上昇。
ゴーッというジェット機のそばにいるような音がする。
さらにこの辺りが「空振」で連続的に窓ガラスがガタガタガタゆすられるような音がする。
もう300年ぶりの噴火になったなとこれは大変な事が起こってしまった。
さらには風下側にあたるのが高原町の辺りだと思いました。
だから今一番危険な場所がどこなのかという事で高原町の方に連絡をさせていただいた。
先生の方から親指あるいは小指このくらいの大きさの噴石がふってくるよと。
高原町あぶないと。
連日の大噴火を観察した井村さんは防災に関わる情報を直接伝えたいと高原町に出向き災害対策本部のメンバー全員に語りかけました。
まずは大きくふってくる空からふってくる火山礫に対してどういうふうに対応すればいいのかというと建物の中に入ったりヘルメットをかぶったり。
さらに大きなものは熱い可能性があるので触らないで下さいと。
もう一つはお年寄りの世帯だとか特にこわがっている人たちももうすでにいる事が分かっていましたので自主避難をしたい人たちは積極的に受け入れてあげて下さいというお願いもしました。
町はその後1,000人をこえる住民に避難勧告を出し一番危険な時期を一人の犠牲者も出さずに乗りこえました。
避難所から自宅に帰る住民の前にあらわれた井村さんは新燃岳の状況や家での防災について説明。
町の人たちにとってその姿はまさに防災ホームドクターでした。
今も警戒が続く中高原町の全ての小中学生は井村さんが町に要望して用意されたヘルメットをかぶって登下校しています。
気をつけ!おはようございます!お〜すばらしい。
こんな先生たよりになっていいですね。
駄目よ濱口君。
ん?井村さんが願っているのは誰かにたよるんじゃなくて一人一人が自覚を持つという事なの。
はあ!最後に井村さんからメッセージをいただきましょう。
ハイ。
火山の噴火だと空からふってくる火山礫というのがまず非常に危険です。
そういう場合はまず頭を守る事が大事です。
ヘルメットがあればいいですけれどもヘルメットがなければどうすればいいでしょうか。
身の周りにあるかばんであったりそれがなければ本であったりなんでもいいですからまず頭を守る事。
そういう基本的な事をきちんと学ぶ事。
それが自分の身を守る事につながると思います。
これが大事です。
そっか〜なるほどね。
大人が周りにいない時とかね…災害にあう事もありますからね。
誰か指示してくれる人がいなくてもどうやったら身を守れるかっていうの常日頃自分で考えとかな駄目なんですね。
濱口君。
ハイ。
今回もためになった?ハイ!基本を学び自分で考えて行動するっていう事ですね。
よくできました。
2014/10/02(木) 09:30〜09:40
NHKEテレ1大阪
学ぼうBOSAI「火山災害 防災ホームドクター〜鹿児島大学准教授 井村隆介」[解][字]

2011年の九州の新燃岳大噴火で鹿児島大学准教授の井村隆介さんは、地元の人達に火山の危険性を伝え命を守った。防災ホームドクターとも呼ばれる井村博士の活動を紹介。

詳細情報
番組内容
「学ぼうBOSAI」の「命を守るチカラ」シリーズでは、防災のために力を尽くす人々の姿を通して災害への備えを学ぶ。今回のテーマは火山災害。2011年、九州の新燃岳が大噴火。鹿児島大学准教授の井村隆介さんは、火山災害の危険性を地元の住民たちに直接語りかけ、彼らの命を守った。いま井村博士は、子どもたちに火山噴火の仕組みを教えている。火山災害の防災ホームドクターとも呼ばれる井村博士に火山への備えをきく。
出演者
【出演】濱口優,鹿児島大学理学部准教授…井村隆介,【語り】田中敦子

ジャンル :
趣味/教育 – 幼児・小学生
趣味/教育 – 中学生・高校生
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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