(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康に役立つ確かな情報をお伝えします。
「きょうの健康」です。
今週はこちら。
うつ病がなかなか治らない方が見落としがちな点をお伝えしていますよね。
そうですね。
今日はまずこんな例からご覧下さい。
こちらです。
40代の会社員Bさんです。
総務から営業に異動した今年うつ病を発症しました。
初めての部署に慣れず残業が続いた事や売り上げが伸びなかった事が影響したようです。
そのため「私は社会人失格だ」「上司からも完全に嫌われている」と考え絶望的になっています。
抗うつ薬を服用していますがうつ病はなかなかよくなりません。
新しい部署の仕事それから職場の人間関係がちょっと負担になっているようですね。
そこで今日のテーマはこちらです。
さて今日も専門家をお迎えしております。
分かりやすくお話を頂きましょう。
ご紹介致します。
精神科特にうつ病双極性障害などの薬物治療がご専門です。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
さて今日は「考え方・ストレスに対処」という事ですがお薬を使うだけではよくならない。
ほかにも治療方法があるという事なんですね。
はい。
そのとおりです。
その事をこのうつ病のいろんな要因から考えてみたいと思います。
うつ病を発症してる時は気分や意欲こういった事が低下する事が多いんですがそれに関わる脳内の神経伝達物質この働きが悪くなっているという事が考えられます。
ただうつ病の要因はこの脳内の問題だけではないと思います。
本人の考え方ですとかストレスこういった事もしばしば影響する訳です。
この3つが絡み合ってうつ病が発症すると考えて頂ければと思います。
そしてBさんですがBさんも治療として抗うつ薬を使っていたんですがなかなか改善しないよくならないという事だった訳ですよね。
先ほど言いましたように考え方とかストレスという要因はきちっとそれにも対応しなければ抗うつ薬だけではうつ病は治らないと思います。
考え方つまり心理状態に働きかける治療法として3つここに挙げました。
カウンセリング認知行動療法そして対人関係療法というふうにあります。
カウンセリングというものは私たち専門的には支持的精神療法と呼んでおります。
日頃受診して医師と面談して生活の見直しですとか対応のしかたこういった事に関するアドバイスを受ける事がそれにあたる訳です。
うつ病の治療の基礎としてこの支持的精神療法カウンセリングは重要でありまして軽症のうつ病の場合それだけでも改善する事があったりします。
このストレスに対応する対処にはどうでしょうか?うつ病につながるようなストレスの多い環境を調整する事これだけでも十分な治療になります。
更にここにありますように休養をとる事。
これも十分な対応の一つですね。
それでは考え方への対処について更に詳しくお話を伺ってまいりますが治療法の一つの中にあります認知行動療法とはどういうものか。
ここを少し押さえておきましょう。
久田さん。
はい。
ではこちらで見ていきましょう。
皆さんはこのように考える事はないでしょうか?うつ病になる人はこのように自分や周囲や将来に対してあまりにも否定的に考え落ち込んでしまう事が多いんです。
そこでこうした否定的な考え方のパターンを見つめ直していくのが認知行動療法です。
この治療は通常専門家と面談しながら行っていきます。
さてこの認知行動療法具体的にどういうふうに進めていくのかBさんの例に即してご説明頂けますか?はい。
認知行動療法にはさまざまなやり方があるのですが今日はそのポイントについてご紹介したいと思います。
Bさんは先ほどの話にありましたように「私は社会人失格だ」とか「上司から完全に嫌われている」と考えて落ち込んでいる訳です。
そこでまずBさんには自分がこのように感じた時どのような状況だったのかまたなぜそのように考えたのかを詳しく振り返ってもらいます。
「何でこういうふうに思いましたか?」って事ですね。
そうすると例えばそういえば初めての売り上げの成績が低かった時に社会人失格だと先ほどのように自分を責めた事が分かってきます。
また上司から「売り上げはもっと伸びるはずだ」とある時言われたようなんですがそういうふうに言われた時に嫌われていると受け止めた事も分かってきたようです。
次のプロセスとしてこうした考えのほかにあえてこの考えの逆の考え方はないか専門家のアドバイスを受けながらそのように丁寧に点検してみる。
そういった作業に入る訳です。
「ほかの考えは持てませんか?」と促す訳ですね。
そうです。
あえて逆の考え方ですね。
そうすると例えば「営業に来たばかりなんだからこれが普通かもしれない」と思うかもしれません。
来たばかりだから初めての売り上げ低いのは当たり前ですから普通だと。
最初は気付かなかったけど「あえて逆の」というふうに聞くとそういうふうに浮かんでくる訳ですね。
ほかには例えば上司は私に期待して励ましてくれたのかもしれないと。
そういった考え方もできる事に気が付く訳です。
このように自分の考え方を見つめ直すトレーニングこれを積む事でうつ病を軽くしたり予防したりする事ができる訳でこれが認知行動療法といったアプローチなんですね。
あえて違う考え方をしてみるというトレーニング。
これ本質ですね。
この認知行動療法ですが効果はどうなんでしょうか?認知行動療法は薬と同じように効果が十分に実証されている治療法であります。
薬の治療と併せて行う事が多いのですが軽症ですとか時に中等症のうつ病の方でも単独で行う事もあったりします。
これはアドバイスを受けて本当に真逆の考え方をとってみるという事は大事なんですね。
そうですね。
さてこの認知行動療法を受けたいと考えた時にどこの医療機関でも対応はして頂けるんでしょうか?認知行動療法を行う医療機関ですとか医師は残念ながらまだ数が少ないのが現状であります。
ただそういったのをやっている施設というのはリストとかありますので主治医の方に是非相談して頂いて紹介してもらうといいと思います。
そういったトレーニングを受けた専門家による治療を受けるという事も望ましいんですが完全なものではないですけどこの認知行動療法的な考え方のヒントを身につけるために最近ですと本ですとかインターネットみたいなものでそういったものが書かれてあったりしますのでそれをご覧になる事もある程度役に立つのではないかと思います。
考え方を変えてみるトレーニングのやり方を学ぶという事ですから書物であったりインターネットからの情報であったりある程度自分でできる事はかなりあるという事…。
それだけで完全にとは言わなくてもちょっとは楽になるんじゃないかと思う訳ですね。
そして考え方への対処ですけれども最後に対人関係療法というのがありますね。
これはどのようなものですか?そのとおり読んで字のごとくで家族ですとか恋人それから会社の人周囲の方とかそういったその対人関係に注目してその中でうつ病につながるような考え方のパターンがあればそれを変えていくというようなものです。
この治療もまだそんなに知られてはないんですが先ほどご紹介した認知行動療法と同じようにうつ病への効果が証明されていますしまた実は脳機能にも同じような良好な変化を示す事が証明されてるんですね。
この2つについて脳機能にもよい影響を与える事が証明されてる訳ですね。
はい。
さて次にストレスへの対応としてこの環境調整というのがございますね。
Bさんの場合はどんな対応が考えられますでしょうか?この方のケースを整理してみますとまずBさんの場合は残業が多かった訳ですから仕事量が多かった場合はそれを軽減するという事が一つだと思います。
あと少しうつ病が重いように思われる場合はやっぱり休業休む事も勧められます。
休んでしまうと。
そうですね。
この休む事でうつ病が治る事も結構多かったりします。
かつBさんの場合は前の部署ならよかった訳ですが今の部署この営業の部署が合ってるかどうかというのもある訳ですから改めてその仕事の内容ですとか上司との関係を見つめて場合によっては配置転換を検討するという事も一案かもしれません。
こういった仕事を少し軽くするとか配置転換を検討するといった事は本人が自分でするというよりはやはり職場そして周囲の方の協力が必要という事になりますよね。
ですから一応主治医の診断や指示を受けて会社の担当者第三者的な立場です。
例えば人事ですとかそういった方が対応するという事が多いと思います。
多くの会社の場合産業医がいらっしゃる訳ですから産業医という立場は本人と会社の間に立ってこういった配置転換ですとかいろんな助言をしますのでそういった方に相談していくという事も一つかと思います。
ところで思い切って休業して…休んでですねいろんな治療いろんな事を進めていってよくなってきていざ復職だという事が目前に近づいてきた時ご自身で何か努力できる事対応できる事はございますか?うつ病の場合は最初の頃はしっかりと休むとか無理をしない方がいいんですが復職を意識した場合に是非やって頂きたい事がここに3つ挙げましたが一つは規則正しい生活。
寝る時間そして起きる時間を一定にする事ですね。
どうしても仕事がないと夜更かしになってしまったりしますので意識した場合はこれをまず守って頂きたいと思います。
それからやはり家にいるだけでは仕事をする体力がなかなかつきませんのでウオーキングこういったもので体力をつける事も望ましいかと思います。
更にはある程度仕事に適応できるような頭を活発化させるために図書館ですとかカフェーとかそういった公共の場で例えば新聞を読んでその新聞の内容をまとめるとかそういった文書作りの練習をするという事も頭の回転を戻すという事で割といいのではないかと考えられています。
予行演習というイメージでね。
しっかりこういう事をやっておくと安心ですよね。
はい。
さてこういう話も聞きますが職場によくなって復帰されたと。
ところがまた悪くなってまた休まざるをえなかったと。
こういう事ございますね。
これはどうでしょうね。
ですからご本人は症状がなくなってよくなったと思うんでしょうけれどもそれでもやはりよくならない場合にリワークというものがあったりします。
ここにありますように症状がなくなって復職する。
実はここの高さがだいぶ違う場合がありますのでその間をこの復職支援リワークというもので埋めるという考え方があります。
これはリハビリテーションのものです。
復職の前のステップとしてこういう段階がある訳ですね。
さてこのリワークもう少し詳しく知りたいですね。
久田さんからご説明しましょう。
はい。
ではこちらご覧下さい。
うつ病の人のためのリワークは医療機関の一部や全国にある地域障害者職業センターなどで実施されています。
多くの場合グループで行われ数か月通って復職を目指していきます。
リワークのプログラムとしてよくあるのはこちらです。
オフィスワーク。
課題に応じた調べ物や文書の作成を行って仕事の感覚や能力を取り戻します。
また仕事に役立つ検定試験の学習を行う事もあります。
軽い運動で緊張をほぐし体力を回復させます。
そして認知行動療法などでストレスへの対処法も学んでいきます。
更にグループミーティング。
無理のない働き方や職場でのコミュニケーションについてほかの人と一緒に考えていきます。
仕事への復帰がうまくいかないという方は主治医と相談の上問い合わせてみてはいかがでしょうか。
こうしたプログラムを今勉強しましたけれどもこうしたリワークの効果は上がっているという実感は現場でお持ちですか?私も最近何名かの方にやって頂いたんですけれども無事に復職できました。
数か月間のプログラムを経て復職されたんですけども再発をされない方が多い印象です。
例えばどのような方に向いてるかといいますと例えば戻るにはなかなか不安だと。
ちょっともう一歩踏み出せないというような方あるいは先ほど濱中さんおっしゃいましたけれども繰り返してる場合ですね。
1回目の場合はいいと思うんですけど前回失敗してしまって今回は2回目という場合ですね。
また失敗するんじゃないかという思いがありますね。
実際何かが問題だからぶり返してしまった訳ですからそういった事を見つめるためにワンステップリワークでプログラムを受けるというのがいいんじゃないかと思うんです。
更に最近注目されてるのは本人のためもあるんですがいわゆる復帰する側の例えば会社ですとかそういった企業とかそういった所にとってもこういったプログラムを経てきているとそれは安心するという場合もありますので双方にとってもいいという事で最近かなり注目されていると思います。
受け入れる側にとってもリワークというステップを踏んでる方がいいという事ですね。
そうですね。
どうもお話ありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2014/10/01(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 うつ病が治らないあなたに「考え方・ストレスに対処」[解][字]
うつ病に本人の考え方やストレスが大きく影響するケースは薬だけでは治りにくい。否定的な考え方に陥っていないか、専門家と一緒に見つめ直す認知行動療法などが有効。
詳細情報
番組内容
うつ病には本人の考え方やストレスが大きく影響するケースがあり、薬だけでは治りにくい。自分の考え方が否定的なパターンに陥っていないか、専門家と一緒に見つめ直す認知行動療法が有効。職場のストレスが関係していれば、仕事量の軽減や配置転換、休業などの環境調整が治療となる。休業してうつ病が改善した時点で、規則正しい生活、軽い運動、仕事に似たデスクワークなどのリハビリを行うと、スムーズに復職しやすい。
出演者
【講師】杏林大学教授…渡邊衡一郎,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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