NHK高校講座 物理基礎「熱と温度の関係を調べる〜熱と温度〜」 2014.10.01

(ブツリン)粒が震えて動いているのが見えるかな?これは水で薄めた牛乳を顕微鏡で見た映像。
ブルブルと不規則な動きをしているのは…実はこの動きが今日のテーマ「熱と温度」に関係があるんだ。
熱々理系女子…クールな現役高校生…はい今日のテーマは熱々アンドクール「熱と温度」です。
でさオープニングで見たあの映像あれ何?あれねあの映像には今回のテーマに関係ある重大な秘密が隠れてるの。
でもまだ秘密。
という事で今日のメニューはこちら。
まず熱さや冷たさを表す尺度つまり温度について考え次に熱の正体を解き明かし最後に固体液体気体つまり物質の三態と温度の関係を調べていきます。
ではまず温度から。
ここにあるのは熱いコーヒーと水と冷たいジュース。
じゃあ熊谷君この温度計でそれぞれ測ってみて。
うん分かった。
よいしょ。
どんどん上がってくね。
お〜すごい。
お〜58℃ぐらいか。
コーヒーこんなに熱いのか。
じゃあ次水だね。
お〜下がってきた。
そうだね。
全然温度違うな。
じゃあ最後は冷たいジュース。
おっすごい。
すごい速さで下がってる。
わ〜冷たいね。
おっ8℃か…。
ジュースとっても冷たいね。
うん。
こうやって見ると熱さや冷たさがはっきり分かるね。
そうこのように……のが温度なの。
実は温度の表し方にはいくつか種類があって私たちがふだん使ってるのは…略してセ氏温度っていう表し方なの。
セ氏っていうのは聞いた事あるよ。
そうセルシウスという人が考え出した尺度が基になってるからセ氏っていうの。
私たちがふだん使っている温度は気圧が1気圧の時氷が解けて水になる温度を0℃。
水が沸騰して水蒸気になる温度を100℃としその間を100等分して決められた温度です。
これをセルシウス温度あるいはセ氏温度といいます。
今日熱と温度についてお話頂くのは小沢啓先生です。
先生よろしくお願いします。
(小沢)よろしくお願いします。
講師の小沢です。
今温度の尺度の一つとしてふだん私たちが使っているセルシウス温度が出てきましたがこのほかの温度として物理の世界では絶対温度というのをよく使います。
絶対温度?熊谷君…どこまで下がる?実は温度は…それ以下には下がらないんです。
絶対温度というのはそのセ氏−273℃を0としたそういう温度の尺度なんです。
単位はケルビンといい大文字のKで表します。
1目盛りの間隔はセ氏と同じです。
ですからセ氏0℃つまり氷が解ける温度は273K。
水が沸騰する温度セ氏100℃は373Kという事になります。
セ氏の温度に273を足せば絶対温度になるんですね。
はいそうです。
でも…熊谷君…それを知るために温度って何なのかもっと詳しく調べていこう。
それを理解するための模型がこれです。
これが今日の主役ですね。
そうなんです。
何か2人で盛り上がってますけど。
はいこの…振動していますね。
はい一つ一つの…この振動を熱運動といいます。
これが今日のポイントです。
今これは固体の状態を表していて…実は…えっ熱運動の激しさ?具体的にいうとこのように大きく振動している状態は温度が高くこのように小さく振動している状態は温度が低いという事になります。
温度が…振動が大きい方が温度が高く振動の小さい方が温度が低いのだ。
ではさっきの熊谷君の質問。
もう分かった?うん?いや…。
こういう事です。
今熱運動が激しい状態です。
温度をどんどん下げていくと熱運動が小さくなり最後には止まってしまいます。
これが一番低い温度なんです。
だから…この状態−273℃を0としたのが絶対温度です。
つまり…熱運動がないという事は…そうです。
このように…絶対温度。
何だか現実の世界とはかけ離れててちょっととっつきにくいですよね。
私も初めて習った時そう思ってたんです。
でも別の見方を知って絶対温度って面白いなって思ったんです。
それがこれ。
この袋の中の空気を温めると体積は大きくなって袋は膨らんでいきます。
反対に冷やしていくと体積は小さくなり袋はしぼんでいきます。
で…それを表したのがこのグラフ。
横軸は絶対温度。
縦軸は気体の体積。
どんどん温度を下げていくと気体の体積もどんどん小さくなって絶対温度0Kになると体積はどうなると思う?なんと気体の体積は0。
これはちょっと驚きですよね。
とはいっても実際の気体は0Kになる前に液体や固体に変わっちゃいます。
だからここ点線で描いてあるんですね。
絶対温度面白くないですか?という事が分かったところで次はこれ。
熱とは何か?これを考えていきます。
でももうさっきの先生の説明で分かったよ。
う〜ん熊谷君いいとこ突いてるんだけど…熱とは何か?これを知るためにこんなものを用意しました。
何これ?これは…熱が伝わりやすい金属で出来ています。
この上にカチカチに凍ったお肉を載せて熱が伝わって温度が変化する様子を見てみましょう。
プレートの上に凍った肉を置いてそれぞれの…今肉は青く映っています。
プレートより肉の方が温度が低い事が分かります。
肉の色が青から黄色赤と変化しそれと同時にプレートも白から赤に変わってきました。
ほぼ同じ色になりました。
今プレートの上に肉を載せると肉の温度は高くなりプレートは温度が低くなりました。
これは熱がプレートから肉へ移動してるからなんです。
さあ熱とは何でしょう?熱が伝わったのは分かりますが熱は見えませんよね。
では熱を見えるようにしてみましょう。
えっそんな事できるんですか?はいさっきの熱運動の模型を使いますが今度は2つです。
こっちの球は激しく振動しています。
温度が高い状態です。
それに対してこっちは振動していません。
温度が低い状態です。
ではこの2つをくっつけてみましょう。
温度が低かった方も振動し始めました。
これが熱が伝わるという事なんです。
という事はやっぱり熱は熱運動の事なんですねう〜んそれが…ちょっとややこしい話になるのでよく聞いて下さい。
温度の高いものと低いものをくっつけると今見たように熱運動が伝わります。
運動が伝わるという事はエネルギーも移動します。
このように…はい熱とは熱運動そのものではなく…熊谷君分かった?うん。
はいそれから熱は移動したエネルギーですからその量の単位はエネルギーと同じジュールになります。
まとめておこう。
(ブツリン)この振動が…
(ブツリン)温度の高いものと温度の低いものをくっつけると熱運動が高い方から低い方に伝わる。
(ブツリン)熱とはこの時に移動した熱運動のエネルギーの事だ。
熱と温度の関係分かったかな?熊谷君物質の三態って分かってる?うん物質には…3つの状態があるって事だよね。
分かってんじゃん。
じゃあそれを水に当てはめると?そうだね。
温度が上がるにつれて氷水水蒸気に変化するよね。
うん。
では水の三態の様子を調べてみましょう。
それぞれの温度に注意して下さいね。
水の固体…今温度はセ氏−4.4℃です。
氷が解けて水になる事を…気圧が1気圧の時氷が融解している時の温度はセ氏0℃。
氷が全部融解し液体になりました。
水が沸騰して気体になっていきます。
気圧が1気圧の時沸騰している水の温度はセ氏100℃。
今の水の三態変化をまとめましょう。
まず0℃より低い氷の状態です。
そこに熱を加えると温度が上昇します。
そして0℃で融解します。
更に熱を加えると氷がなくなって温度がまた上がっていきます。
そして100℃で沸騰します。
また今の映像にはありませんでしたが水蒸気を更に加熱すると100℃以上になります。
水蒸気って100℃以上になるんですね。
はいそうなんです。
ここで注目したいのは融解の時と沸騰の時…これは外部からの熱が融解や沸騰のために全て使われるからなんですよね。
そうです。
ではこの三態の状態を水の分子運動水の熱運動で見てみましょう。
これは氷…固体の時の様子です。
さっき模型で見たように決まった位置で振動しています。
水…液体では分子はこのように自由に動き回るようになります。
決まった位置を離れて動くようになるんですね。
ですから液体は流れるんですね。
水蒸気…気体だと更に自由に激しく飛び回るようになります。
だから液体から気体になる時に体積が大きくなるんです。
でも本当に分子ってこんなふうに熱運動するんですか?ではそんな熊谷君のために証拠の映像を用意しました。
(熊谷)おっ顕微鏡で見るんだね。
さあ何が見えるでしょうか。
あっオープニングで見た映像だ。
熊谷君…えっじゃあ何これ?これは…この粒の動きが水の分子の熱運動の証拠なんだよ。
うん?どういう事。
脂肪の粒が不規則な運動をしているのは激しく動く水の分子がぶつかっているからです。
つまりこの図のように水の分子がぶつかって脂肪の粒を動かしているんです。
これをブラウン運動といいます。
このブラウン運動から水の分子が熱運動している事が分かるんです。
なるほど水の分子は見えないけど…これも科学の一つの方法なんだ。
試してみよう。
これはペットボトルで作った温度計。
お茶と空気が入っていて蓋にストローが挿してあります。
ストローの先がお茶の中まで入っているのがポイントです。
それでは熊谷君こうやって手で温めてみて。
うん。
お〜どんどん上がる。
空気の体積が大きくなってストローの中のお茶が上がっていきます。
目盛りを付ければ温度計になるんだね。
そうだね。
という事で今日は熱と温度について学習しました。
熊谷君熱と温度の違い分かった?うん温度っていうのは分子や原子の熱運動の激しさをいうんだよね。
そうだね。
熱は温度の高い所から低い所へ移動した熱運動のエネルギーの事だったね。
日常生活では熱と温度の言葉の区別が曖昧です。
でも物理では区別して扱います。
例えば風邪をひいた時に今日は……なんて言ってしまいますが物理の言葉を正確に使うならば今日は……って言うべきなんですね。
更に今日は……なんて言えれば物理をしっかり勉強した証拠ですね。
なるほど私の今日の分子運動は普通だった。
という事で皆さんさようなら。
さようなら。
物質を形づくっている分子や原子は熱運動をしている。
温度の高いものと低いものをくっつけると熱運動が高い方から低い方へ伝わる。
物質の三態を熱運動で見ると固体では分子や原子が決まった位置で振動し液体では決まった位置を離れて動きだし気体では自由に激しく飛び回っている。
…という事なのだ。
2014/10/01(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「熱と温度の関係を調べる〜熱と温度〜」[字]

熱が出入りして温度が変化する現象について学び熱と温度の関係を調べる。ポイント1.熱さや冷たさを表す尺度、2.熱の正体は何だろう、3.温度によって変わる物質の三態

詳細情報
番組内容
熱さや冷たさを数値で表すとき、通常セルシウス温度を用いるが、科学では絶対温度ケルビンを使う。物体の温度は、熱の出入りによって変化する。そして、高温部から低温部に移動したエネルギーのことを熱と呼ぶ。物質には、個体・液体・気体の3つの状態があり、それぞれ、分子や原子の熱運動の様子には違いがある。【講師】小沢啓(筑波大学附属高校教諭)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】筑波大学附属高等学校教諭…小沢啓,【司会】黒田有彩,熊谷知博

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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