更に局地的な今にも屋根に倒れそうな1本の木。
突風で根がめくれあがっていました。
倒れるのをくい止めているのはこれが切れれば一大事。
この緊急事態に立ち向かうのが当初対処の依頼を受けたのは地元の材木業者。
ワイヤーで固定し応急処置。
この先を何とかしてほしいというのが熊倉さんへの依頼。
そこで現場に呼んだのはクレーン車。
クレーンで一気に吊り上げる作戦。
ところが…。
ダメですかね?ツルが屋根に絡みつき木を引き上げれば屋根を壊すことに。
しかし時間はありません。
チェーンソーを持ち向かったのは家の裏手。
熊倉さんいったいどうしようというのでしょう?そこでクレーンからワイヤーを下ろし伐り出した木とツルを少しずつ取り除く作戦に変更。
伐りました。
あとは吊り上げるだけ。
その時!落ちてきたのは木の枝。
一歩間違えれば大ケガ。
更には家の倒壊をまねきます。
安全な場所に移した木は手作業で運びます。
これを何度も繰り返す地道な作業。
激しい雨が降りだしました。
屋根での作業は危険です。
倒れた木の上部とそれに絡まるツルを一気に伐ることに。
うまくいくでしょうか。
吊り上げは成功。
しかし雨でワイヤーも滑りやすいためすばやく安全な場所へ。
伐り出し作戦成功。
でも本題はこれから。
熊倉さん家の裏手の山へ。
まだ問題が残っています。
木はまだ10mほどありクレーンが支えている状態。
段差で木を伐るといいますがどうやって?熊倉さん上と下に段差で伐り込みを入れていきます。
これは木が切断された瞬間滑り落ちるのを防ぐためとか。
これで本当にうまくいくんでしょうか。
すると。
クレーンの操縦士に細かく指示を送ります。
あとはゆっくり吊り上げるだけ。
ところが…。
まだ伐れていないツルがありました。
強引に引き離すとその衝撃で木が大きく揺れ家にぶつかる大惨事に。
大丈夫か?オーライ。
無事任務完了。
熊倉さんはまさに林業のスーパーマン。
さまざまな依頼が舞い込みます。
この日は横浜。
主婦から助けを求める電話がありました。
周りは新興住宅地。
木がある急斜面の一部は依頼者の土地。
しかも周囲には住宅が密集。
これでは木を伐り倒せないと多くの業者に断られたといいます。
熊倉さんは腰につけたロープ1本で木に登ります。
高さ20m以上の高所もなんのその。
足場が不安定な場所でも…。
一歩間違えれば命を落とす危険な現場で闘う男。
職業は空師。
空師の名の由来はビルがなかったその昔林業の同業者にも注目される熊倉さん。
その理由は誰にも真似できない不可能を可能にする技術。
更に空師はただ伐るだけではなくモットーは活かすために伐る。
伝統の技を受け継ぐ空師に密着。
次々立ちはだかる難題とは?時代を切り開く賢者の鍵を回せば人生の謎が解き明かされるだろう。
進むべき輝く未来へ。
今宵は危険と隣り合わせにある空師の現場に密着。
何十年何百年と生きてきた木を最高の状態で伐り第二の人生へと送り出す命がけの職人技に迫ります。
それでは始めましょう。
賢人の生き方には明日のヒントがきっとあります。
熊倉さんの一日が始まります。
おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
うちの若い子です。
おはようございます。
こちら大前君。
おはようございます。
現在メンバーはこの3人。
常に一緒。
チームで行動しています。
この日向かったのはさいたま市内のこちらのお宅。
おはようございます。
どうもご苦労さまです。
依頼人は91歳のおばあちゃん。
恥ずかしい…。
200年以上守り続ける立派な屋敷林がこの日の仕事場です。
熊倉さん早速現場を確認。
これです。
はみ出しちゃってバ〜ッと。
作業するのは道路に面した部分。
家の裏は小学校。
通学路でもあり人通りが多い道です。
問題はこのいつ枝が折れ道に落ちるかわかりません。
事故があってからでは遅いとすがる思いで熊倉さんに剪定を依頼しました。
作業前どの現場でも熊倉さんが必ず行っている木への感謝と安全祈願。
空師の腕の見せどころは木に登っての作業ができること。
木に登るときには空師ならではの特別な道具を使います。
靴に取り付けたのがそれ。
尖った爪がはえるそして腰にはその胴綱を上へ上へと動かしながら昇柱器を木に引っ掛けスルスルと登っていきます。
そしてあっという間に15mの高さへ。
ちょっとです。
この高さでも平然。
まず固定したロープの端は弟子の2人が持ちました。
このロープいったい何に使うのでしょう。
その答えは枝を伐ったときに1人はロープで落下を防ぎもう1人は道路に落ちないよう引き込むというわけです。
うまくいくでしょうか。
(チェーンソーの音)伐り取った枝は見事引き込み成功。
熊倉さん木の上で6時間の作業。
その成果がこちら。
空が抜けて見えるほどスッキリしました。
作業前道路にはみ出ていた危険な枝は…。
ご覧のようにこれで枝の落下も心配ありません。
ああさっぱりしましたね。
おかげさまで。
熊倉さん新たな仕事で山奥へ。
現場は車道の下に広がる森林。
この日の熊倉さんはいつも以上に真剣な面持ち。
難しい作業が待っているようです。
どんな依頼なんでしょう。
モミの木だけ?はい。
空師ならば簡単な仕事に思いますがそうではないようです。
問題は伐る場所にあるとか。
熊倉さん歩きにくそうですね。
実はここおよそ40度の急斜面。
支えがないと下りられないほどの急な斜面。
確かにこれは大変です。
伐り倒した作業を見ていればその難しさがわかるとか。
まず伐り倒す木に登りワイヤーを取り付けます。
お弟子さんは伐らない他の木にワイヤーを。
そして熊倉さんが先ほど取り付けたワイヤーとつなぎました。
準備完了。
ここからどんな伐り方をするのか?あの切り株わかります?まあ一応目安としてはあそこに引っ掛けるような感じ。
木は日当たりのいい斜面の下のほうへと枝を伸ばしバランスが悪いといいます。
そのためただ伐ると枝の重さで木や人を巻き込む事故に。
しかし斜面に対し木を横に倒すことなどできるのでしょうか?まずは熊倉さん木に背中を当て倒れる方向を確認。
そして…。
真横からチェーンソーを入れました。
すると今度は斜めから。
くの字に伐れ込みを作ったんですね。
すると熊倉さんその伐れ込みに向きを合わせまた方向を確認。
このくの字は切り口と呼ばれるもの。
この向きで残りの50%は伐り方と木の傾きの計算。
経験を頼りにチェーンソーを入れます。
木は見事横に倒れました。
しかも…。
熊倉さんの狙いどおり。
これが空師の技。
ヘヘヘッ…。
ピンポイントに倒れるため木に大きな傷はつきません。
伐採を依頼されたモミの木は20本。
急な斜面と足もとの不安定な現場。
どんなに注意していても…。
おお…。
はい。
たまには失敗も。
木を支えていたワイヤーは落下の衝撃で切れていました。
転落は免れたものの皮がめくれ木が傷んでしまいました。
これでは商品価値が落ちてしまいます。
ハハハハッ…。
危険との隣り合わせ。
まさに命がけの仕事です。
熊倉さん仕事場に必ず持ってくる大切なものがあるとかそれは…。
えっ何個持ってるんですか?同じとこ入れとくと。
そんなに持っている理由は…。
あんまりわかんないかな。
15年前チェーンソーで右足太ももを22針も縫うケガを。
尊敬していた兄弟子を山間部での事故で亡くしているのです。
この日は倉庫で作業。
そうですね全部…。
熊倉さんが始めたのは切れてしまったワイヤーの修理。
命を守る道具は自分が管理する。
それを師匠から教わったといいます。
って聞いたときにって言われて。
そういう人だったんで。
師匠の菊池さんはその形見として大切にしているものがあります。
このチェーンソーのここだけ壊れたんですね。
親方のここの部分使えないかなと思ったらつくっていうことでここで親方の…ここで生きてるんですここだけ残って。
果たしてそれは…。
命がけの仕事。
なぜこの仕事を選んだのでしょう?熊倉さんは一人っ子として育ちました。
将来なんてまったく考えもしていなかったというやんちゃだった少年時代。
あるとき空師の菊池さんの仕事を手伝うことになったのです。
しかしちょうどねそのとき寿司屋か何かにいたのかな。
ちょっと見てみろと周りを。
その言葉は10代の熊倉さんの心に響きました。
そして体調の悪い菊池さんに代わり一生の仕事にしようと決めたのはなぜ?って言われたんですよ。
それでちょっとグ〜ッとこうきてちょっと感動しちゃって。
そして…。
現在2人の子供の父。
おう。
熊倉さん倉庫に呼び出したのは高校1年生。
はい。
横顔はそっくり。
やっぱり親子ですね。
丈偉君小さい頃から作業現場に来て今でもときどき仕事を手伝ってくれるとか。
お父さんについて聞いてみると。
学校の先生?言いますよ。
この倉庫には熊倉さんが宝物にしている木が。
将来自分の家を建てたときにこれをどこかに置きたいなと思ってます。
さまざまな用途に使われ長く愛されるものに。
ものによっては数十万の高級商品に生まれ変わるとか。
熊倉さんが伐った木がある高級品になったと聞きそれを購入した方のお宅へ。
じゃ拝見させてください。
どうよ。
すごい。
何の柄だかわかる?わかります富士山ですよね。
玄関に置かれていたのは釘などいっさい使わず組子細工といわれる手法で職人が精魂込め新たな命を吹き込んだ作品です。
すごい場所で。
大地に根を張り何百年と生きた木。
その命をもらい人間は豊かな生活を送る。
熊倉さん日々木への感謝を忘れません。
はじめまして。
船越です。
どうも熊倉といいます。
今日はよろしくお願いいたします。
2人が待ち合わせたのはある木を見るためこちらにやってきました。
まずは公園を少し散策することに。
結局そうなるんですけど。
これがね。
この太いやつが。
もうちょっと触ってみるとかなんかないんですか?あのね見た目なんです。
木の太さや高さ枝の数などから樹齢を推測しているそうです。
これ桜ですね。
ハハハハハ!ほんとですか?そしてやってきたのは…。
これか。
でかい木ですね。
うわでかいですねこれは。
これはすごいな。
その巨大な木は芝公園の一角徳川家康を祀る芝東照宮の境内にありました。
三代将軍徳川家光が手入れしたと伝えられる巨大なこちらの御神木になっています。
そんなこともいえます。
こちらはなんとこちらの境内にあるイチョウの木は推定樹齢800年。
高さ35mの都内最大。
国の天然記念物にも指定されている名木です。
都会で木々が少ないと思われがちな東京ですが実は名木や巨木が多く存在。
理由は諸説ありますが木が育つ土壌が整っていたことや庭園文化が栄えたことなど。
ははぁやっぱり競争したほうがいいんですか?競争したほうが伸びが違います。
東京こそたくさんいい木があるんだというお話をうかがうと何も遠くまで木を見に行かなくても東京で探せるわけですね。
ぜひ木探しの旅に出ていただきたいですよね。
そうですね。
東京名木散策みたいなね。
新たな現場に向かう空師熊倉さん。
大きな仕事が舞い込んだのです。
少し緊張の面持ち。
おはようございます!どうも!いずれね。
創業300年以上の老舗の酒蔵。
その裏手にある屋敷林が今回の作業現場。
熊倉さん依頼を受けた伐採する木に印をつけていきます。
建物に傾いたヒノキ。
屋根との距離は5mと近く根元から伐り倒すことができません。
そこで空師に任せるしかないと熊倉さんに白羽の矢が立ったのです。
いちばん問題の木は…。
これは結構太いな。
成長してしまい鳥居に接近してしまったこの樫の木が今回最も大変な作業。
ヒノキと樫の2本は一気に伐り出すのは至難の業。
しかも酒蔵と神社2つの障害が。
熊倉さんこれは大変です。
しかも依頼者にはある思いが。
年数が経ってるんですね。
熊倉さん責任重大です。
いったいどうやってこの難題を解決するのでしょう?これまでの経験と技術を総動員し挑みます。
今回大型のクレーン車を用意しました。
それを酒蔵の裏側木に近い場所へ配置します。
熊倉さんが木に登り数回に分け伐採。
クレーンを使い運び出すという作戦です。
まずは酒蔵に傾いた高さ30mのヒノキ。
果たして成功するのか?熊倉さんいよいよ作業開始。
まずは上部へと登り始めました。
そしてクレーンから下りるワイヤーを取りつけます。
無線はクレーンへ。
そこから現場は見えないため熊倉さんの声だけが頼り。
高所での作業。
そして…。
まずは上部の伐り出しに成功。
3分割にしながら無事伐採は完了しました。
続いて挑むは屋根まで5m。
鳥居にわずか1センチのあの問題の樫の木。
問題はクレーンと木の距離。
幹が太く重量があります。
もし伐る場所を間違え重すぎるとクレーンはその重量に負け最悪転倒という大事故の恐れがあるのです。
熊倉さんクレーンを少しでも木の近くへ。
限界まで近づけましたがクレーンの吊り上げ能力が心配です。
その重さを超えられません。
そばには祠が。
絶対に壊せません。
静かにチェーンソーの手入れ。
不安を抑え勝負に向けて神経を集中させます。
よし。
熊倉さんこの木も最大限の長さで伐り出そうと決めていました。
鳥居を傷つけないよう慎重に登ります。
まずは枝だけを切りその重量を見極めることに。
はい巻きで。
夏場の木は水を吸い上げているので計算が難しいといいます。
続いて幹を3mずつ伐り出していきます。
しかし重さばかりに気を取られていると…。
あわや激突。
もし当たれば大事故に。
気を張り詰める作業が続きます。
最後は根元を伐る作業。
木でいちばん太い部分です。
難題をいくつもクリアしやっとここまできました。
使うのは師匠菊池さんから受け継いだあのチェーンソー。
最後は最も太い根元の部分にチェーンソーを入れます。
初めは横から。
そして今度は縦から伐っていきます。
実はこの部分がストッパーとなり揺れを抑えるのだそうです。
ちょっと張っといてくれる?もうちょい。
すぐ横に鳥居。
ぶつけずに済むのか?鳥居のすぐ横にある樫の木の伐り出し。
クレーンの重量は1トンが限界。
鳥居にぶつけずに済むのか?もうちょい。
もうちょい。
もうちょい。
そっち取っちゃいます。
もうちょい。
無事成功。
ここまで上がれば事故の心配もありません。
ハイ起こし。
樫の木の木材として第二の人生へ。
はぁ…。
熊倉さんの顔には木くずと汗。
闘った男の証しです。
やり遂げた充実感に満ちていました。
鳥居までわずか1センチに迫っていた樫の木。
なくなったことでスッキリ。
周辺も明るくなりました。
あぁそうですよね。
すごい明るくなって。
数日後熊倉さんたちへの慰労会。
用意されたのは小澤酒造の自慢の酒
(一同)乾杯。
実はこのお酒熊倉さんが深く関わっていました。
空師熊倉さんへの慰労会。
依頼者は酒蔵とあって日本酒を振る舞います。
うまい。
うまい酒だ。
あ〜そう言っていただけますか。
いただいたのは昔ながらの製法…。
危険な場所でも命をかけ木と対峙する空師という仕事。
心にある思い。
それは日本人がみんな持っていた木への愛着。
そして大切にする心。
お〜。
みんなにも知ってもらいたい。
でそれを広めていくことが僕の役割でありそういう責任を持ってやっていこうと思ってます。
何百年も生きてきた木を伐りその木に新たな命を吹き込む熊倉さん。
更に人が大事に使うことによってその後何十年も何百年も活かすことができる。
その思いを忘れずに木でつくられたものを大切にしてほしい。
それが熊倉さんの願いでもあるんだそうです。
それではまた次回『ソロモン流』で輝きを放つのは果たして?2014/09/14(日) 21:54〜22:48
テレビ大阪1
ソロモン流【賢人:熊倉純一(空師)】[字]
空師。それは、狭い敷地や周りに迷惑をかける巨木を倒さずに伐採する技術を持つ職人のこと。“木”に魅了された空師・熊倉純一の夏の仕事現場に密着。
詳細情報
番組内容
空師に弟子入り後、28歳で独立。さいたま市に『熊倉林業』を創業した熊倉純一。その木が寿命を迎える前に感謝の念を込めて伐採し、自然の恵みと先人の思いを活かすのだという。夏の現場では、近年、大雪や台風、竜巻などの自然現象で悩む依頼が増えているという。危険な現場で見せる、木を安全に伐(き)り出す様々なスゴ技は圧巻。そんな空師の趣味はバレーボールやヘビメタ!「ヘビメタの会」なるカラオケでの意外な素顔とは。
出演者
【案内人】
船越英一郎
【ナレーション】
魚住りえ
【賢人】
熊倉純一(空師)
次回の賢人
歌手・五木ひろし
ソロモン流とは
様々なジャンルで強烈なこだわりを持ち輝きを放つ、今、最も注目される旬の人物の仕事や生活に密着。その個性的なライフスタイルや人生哲学を紹介する人間ドキュメンタリー。
音楽
エンディング曲
「GRACELAND〜ソロモン流のテーマ」
溝口肇
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/solomon/
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:26976(0x6960)