きょうの健康「女性の更年期 どう乗りきる?」 2014.10.01

(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
昨日は男性の更年期についてお伝えしましたね。
さて今日は…女性の更年期というのは閉経を迎える50歳前後の10年間をいうんです。
ちょうどこの時期というのは体や心に大きな変化が起こります。
無理をしますと本当に症状が重くなってしまう事もあります。
今日は治療法対処法をお伝えしていきますが家族の理解も大切ですので是非ご家族でご覧下さい。
それでは今日お迎えしている専門家をご紹介致します。
分かりやすく教えて頂きましょう。
精神科医で更年期のうつなど心の症状に対する治療がご専門です。
今日はどうぞよろしくお願い致します。
実は加茂さんも今更年期でいらっしゃるという事ですね。
そうなんですよね。
前更年期非常に大変だったんですが皆さんと一緒に体験している側の人間としても今日お話させて頂きたいと思います。
実は私も今更年期なんですが症状は今あんまり感じていないんですが母がやはり更年期が重かったので何か症状を感じたら積極的に治療していきたいと思っています。
更年期といいますがどんな症状が出るのかという事ですね。
まずそこを見ましょうか。
こちらですねご覧下さい。
よく知られているものとしてのぼせ発汗冷え動悸などがありますね。
そのほかにも疲労感頭痛肩こりめまいそれからこちら側にはもの忘れ不眠考えがまとまらないなどのちょっと意外な症状もあるんですね。
症状は非常に多種多様で200種類以上あるともいわれています。
すごく多いんです。
こういった更年期に起こる心身の症状は実に多彩でいくつも重なって出てくるという事もありますし個人差も大きいといわれています。
一般にはのぼせ発汗冷えのここに入ってくるタイプのホットフラッシュといわれているものが非常に症状としては有名なんですがただこちらのホットフラッシュは日本人女性にはあまり多くないという説もありまして実際には忘れっぽいとか眠れないあるいは考えがまとまらないというような症状で一見更年期症状とは関係ないところから始まる方も少なくないと思います。
こういった頭痛とか肩こりとか体の症状というのはほかの原因なのかなと思ってしまいがちですよね。
実は私もそうで最初は頭が重いとか眠れない。
それまで睡眠障害なんか出た事ないのに眠れない目が覚めるという事から始まって肩が痛い。
ひどい五十肩を半年もやったんです。
どうしてこんなに不調なのかよく分からなくて更にものすごく忘れっぽくなって予定を二重三重に入れてしまうなんて事も起きました。
更年期障害かなとはなかなか思わなかったんですね?全然思わなかったですね。
教科書的には知っていてもいざ我が身に起こると本当に分からないものだなと思いました。
ご自身診療する側の立場にいらっしゃるのに気が付かない。
それほどいろいろ…何か変な症状が多い訳ですね。
それで婦人科の先生のアドバイスに従って少しずつ治療を始めたという経過です。
ではそもそもこの更年期症状というのはどうして起こってくるんですか?更年期症状は今のところ大きく2つの要因があるのではないかと思われていて一つは女性ホルモンの変動と低下。
もう一つは心理・社会的なストレス。
これが一つの要因となっていると考えられています。
それではこちらの女性ホルモンの変動・低下から詳しく教えて頂けますか?エストロゲンというのが女性ホルモンの中でも特に更年期症状と大きく関係しているといわれていますが思春期の頃だんだんこんなふうに上がってきて20代30代で非常に定常状態になったエストロゲンが更年期のこのころからこんなふうに乱高下しながらだんだん下がってくるんです。
いよいよ閉経しますとそのまま低いレベルで安定してくると。
こんなふうなエストロゲンの分泌になっています。
その時期に乱れてますね。
そうなんですよね。
この時期に月経不順なんか非常に起こりやすくなります。
こうしたエストロゲンの減少が先ほどの本当に全身のさまざまな症状に結び付く訳ですか?そうなんです。
エストロゲンは子宮や卵巣だけではなくて脳とか筋肉とか関節とかあるいは私たちの代謝にも大きな影響を及ぼしてますので本当に全身的にいろんな症状が出てきます。
そして閉経してこのあとですねほとんど出ない状況に…。
ちょっと残念なんですがほとんど出ない状態になってくるとしばらくすると体が慣れてくると。
体が諦めるという状態になってきてそうすると次第に安定してくるんです。
症状も落ち着くという事ですね。
さてもう一つの大きな柱がありましたね。
心理・社会的要因により更年期症状が起きる。
どういう事でしょうか?心理・社会的要因というのも実はさまざまなレベルの問題がありまして専業主婦中心でこられた方はこの時期に社会からの孤立感を感じる事が割と多いですね。
このまま社会参加しないままいっていいんだろうかという思いもありますし仕事を続けてこられた方はちょうど仕事の中心的な存在になってきてかなりいろんな事が重くなってきます。
世代交代で親の具合が悪くなってきて介護をしなければいけない人も増えてきてこちらは女性がどうしても中心的な役割になりますよね。
一方で自分の家族の中にも大きな変化が出てきて子どもの巣立ちですね。
子どもは巣立っても巣立たなくてもなかなかいろいろ感情を乱されるところがある訳なんですが…。
あと最近非常に多く相談があるのは夫の定年というのがあります。
夫の定年によって実は妻も非常にライフスタイルが大きく変化する事がありまして実は更年期は夫婦の関係をもう一回見直す時期にもなります。
私としては非常に気になりますね。
夫の定年。
配偶者の定年は何の関係があるんでしょうか?私の外来によく来られる方で相談されるのが夫が定年をされるとどうしてもリビングにいる事が多くてそれまでリビングは妻が手芸をしたりとか自分の趣味をしたりとか自分のスペースだった訳ですよね。
そこに夫がいてしまう「いてしまう」というのも失礼なんですがそこにスペースを作るという事ともう一つはお昼を作らなければいけない。
これが非常に重くてそのためにうつになる方もいらっしゃるぐらいで私昼食うつって呼んでいるんですが…。
なるほど手間が増える訳でそれは分かりますが確かに黙って座ってれば自動的にごはんが出てくるよと思うのは間違いですよね。
むしろお料理の趣味を増やしてみてはいかがでしょう?作るの楽しいですよ。
これを機に男性もという事ですね。
そして更年期障害の診断ですがどこでどのようにするんですか?更年期障害の診断は女性外来とか婦人科の外来で更年期を中心にやっている所で診てもらうといいと思いますが中身としては症状中心の問診で特に心理・社会的な人間関係なんかもしっかり聞いて頂くといいと思います。
それからどうしても欠かす事ができないのが女性ホルモン量の検査で女性ホルモンと女性ホルモンを出すためのホルモンの量を調べます。
それからこの時期はどうしてもほかの病気の検査もきっちりする必要があります。
さまざまな症状が出ますのでその陰にもしかしたら甲状腺とか別の婦人科疾患とか心臓疾患などが隠れている可能性があるのでこちらもきっちり調べてもらえるような外来を受診されるのがいいと思います。
これもとても大切な事ですね。
それでは続いて治療法ですがどんなものがありますか?治療法には生活改善環境調整といった側面それから薬物療法心理療法などがあります。
生活改善環境調整とはどういう事ですか?生活改善環境調整といいますとまずはこの時期セルフケアを自分の事を考える事を非常に意識して頂きたいです。
どうしても更年期の症状から睡眠の質が悪くなったりあるいは筋肉が硬くなったりという事がありますので意識して睡眠をとったり硬くなった筋肉をほぐすようなこういったセルフケアが必要になってくると思います。
それから今までできた事ができなくなってくる時期でもあるんですよね。
それで今までどおりやろうと頑張ってしまうと一層疲れちゃうという事もありますので是非とも70%主義でできなくなってきている自分をある程度受け入れていく必要があります。
この部分で必要なのは家族に協力して頂く事でして主婦としての機能が例えば3割減ったらその分は家族に補充して頂くサポートして頂くという発想が全体で必要になると思います。
リビングにずっといるという事ではなく我々はどういう心掛けが大事でしょうね?今までやっていなかった事をいきなりしろって言ってもそれは無理な話なので昼食を作ればいいんですが作れない場合にはお買い物に行って頂いたりとかあるいはお子さんたちは自分でお弁当を作るとかこれを機会に家族一人一人が生活を自立していく機会にして頂くといいんじゃないかなと思っています。
続いて治療法ですが薬物療法もありますね。
薬物療法は有名なホルモン補充療法がありますよね。
女性ホルモンの中でもエストロゲンやプロゲステロンといったものを補充していく治療。
それから漢方とここに書きましたが現代的な薬剤以外のものを使っていく方法もありましてここに出させて頂いたのは女性に対する3大処方といわれているものなんですが当帰芍薬散加味逍遙散桂枝茯苓丸などいくつかありますが私は加味逍遙散を非常に長く愛用しておりました。
2年ぐらい飲んだと思います。
こういった薬も使うんですね。
抗うつ薬も結構使われていて症状に合わせてこういったものは使っていくんですが抗うつ薬はうつに使うというよりも最近はホットフラッシュに効果のある抗うつ薬の研究なんかも進んでいますので何らかの事情でホルモン補充療法ができない方には一つの手段かなと思っています。
そしてホルモン補充療法ですが副作用として乳がんの発症率が高くなるのではないかという事もいわれますが…。
皆さん非常に心配なところと思いますが最近の研究ですと5年以内の使用であればその心配はほとんどないといわれています。
ただそのほかに血液が固まりやすくなったりする事もありますのでこれを使っていく時には是非とも主治医の先生とよく相談した上で使って頂きたいと思います。
そして治療法3つ目に心理療法というのもあるんですね。
心理療法と大きく見積もる事の一つにお友達との会話。
井戸端会議っていうのが昔あって最近使われなくなりましたがすごく推奨しているんです。
というのはつらいところを言葉にしてみんなと共有するってものすごく精神療法的な効き目があります。
話すだけでね。
だから例えば自分と同世代のお友達とそういうふうに話す事によって本当に共有してそれからいろんなアドバイスを受ける事によっていろんないい変化が生まれてくると思います。
ただそれでも自分の生活パターンがどうしても変えられないとかできない自分を責めてしまうという事があった場合には心理療法というのを使って頂く必要があると思います。
特に自分の考え方がどうしても変えられない時なんかは認知行動療法なんていうのが最近よくこの領域にも取り入れられています。
こちらですね。
特に夫婦関係に大きな問題があるなとお感じになる方はこの時期人生の後半にあたっても見直していくのに重要な時期だろうと思っています。
加茂さん自身はどんなふうに治療されたんですか?私自身はまず最初に先ほどお話ししたように漢方をかなり積極的に使ってそれから1年くらいホルモン補充療法にもお世話になりました。
かなりよくなってきたものですからその後ホルモン補充療法を少し減らして食生活を少し改善して大豆なんかいいっていわれてますのでこれを積極的にとるようにしたりあとはアロマセラピーとか…ハーブティーをちょっと研究したりとかあとはストレッチをしたりという形で楽しんで乗り切るという方針に転換しています。
更年期はどんな事に心掛けて過ごすといいでしょうか?更年期は長くなった女性の人生の後半戦の始まりな訳ですよね。
女性ホルモンの減少は誰にでも訪れる自然な現象ですのでこれを受け入れながらどうせならこの時期のセルフケアを楽しんでいって頂ければなと思っています。
前向きにという事ですね。
ありがとうございました。
2014/10/01(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「女性の更年期 どう乗りきる?」[解][字]

50歳前後の女性を悩ませる更年期症状。体や心に生じる症状の緩和には生活習慣の見直しが効果的だ。つらい時は早めの受診が肝心。更年期を乗り越える知恵を紹介する。

詳細情報
番組内容
閉経前後の約10年間に体や心に不調が生じる、女性の更年期。のぼせや発汗などの症状が知られているが、もの忘れ、不眠、考えがまとまらないなど、更年期と結びつきにくい症状を訴える人もいる。更年期は誰もが通過するものだが、中には生活に支障を来すほどの重い症状に悩まされる人もいる。症状が重い場合は、早めに受診し適切な治療を受けることが、日常生活を守るためにも大切。更年期をうまく乗り越える知恵を紹介する。
出演者
【講師】東京女子医科大学附属女性生涯健康センター…加茂登志子,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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