日曜美術館 アートシーン ▽“五木田智央”展 ほか 2014.09.14

「アートシーン」です。
まずは今年ニューヨークで開かれた個展が好評を博し脚光を浴びている画家五木田智央の展覧会からです。
白と黒のアクリル絵の具で描かれた女性。
見る者に忘れ難い印象を残すシュールな絵です。
ニューヨークやロサンゼルスなど海外でも作品を発表し注目される画家五木田智央の展覧会です。
不穏な空気が漂い息をのむ場面。
顔は幾何学模様や立体感のある奇妙な形で表されています。
胸は写実的に描かれていますが足はまっすぐのラインを使って図形のよう。
体の部分を自在に描き分けたどこかおかしみのある絵です。
女性が刃物を突きつける一瞬のように見えます。
筆跡を残し一気かせいに描いた線。
この絵はあえて無意識に筆を走らせていきました。
五木田は何を描くか即興で決めています。
新鮮な発見を重ねながら絵を作り上げるのです。
やっぱ自分でびっくりとかしたいんで驚きですかね「うわっ」ていう。
あの女の人の顔が出来た時は笑っちゃったんですけど。
どっかこうユーモラスっていうかそういうのがないと落ち着かないタイプですね。
小さなサイズの紙に鉛筆やペンなどで日々描き続けるドローイング。
ユーモアに満ちています。
題材はスーパーのチラシやスポーツ新聞の写真など。
漫画風に描いたり写実的に描いたりさまざまな手法で描く事の可能性を広げています。
絵の具がにじみ垂れる。
これまでに無い浮遊感が表れた画面。
五木田はより一層絵の具の動きに委ねるようになります。
濃い青色の絵の具。
プルシャンブルーを使い限りない色のグラデーションが生まれました。
こうして自分でも気が付かない心の底にあるイメージをつかみ出そうとしてきた五木田。
最新作では更に違う描き方を試みます。
不思議な形の人物。
これはカンバスの上下左右を何度も変えて描いているのです。
カンバスを回転させると思いもつかないイメージが出来ると言います。
これは初め白い山が連なる風景画のようでしたが回転させ人物画に。
どうしようこうしようまいったなって言ってああでもないこうでもないやってる時が一番創造的なんじゃないかなっていうね。
偶然や驚きの連続で絵と向き合う五木田智央。
う〜ん実験的な作品が強く印象に残りますね。
中でもドローイングの作品とても好きですね。
さまざまな手法を楽しめてたくさんの驚きがありそうな展覧会ですね。
制作の過程を知るとなお驚ける展覧会です。
それではその他の展覧会御覧下さい。
沈痛な面持ちで額に手を当てる男性。
クローズアップにすると実は顔を形づくっているのはカラフルなおもちゃ。
実際におもちゃを並べて撮影したこの作品。
巧妙な仕掛けが見る者を驚かます。
現代アートを中心に視覚のイリュージョンに挑戦した作品を集めた展覧会です。
針金がつなぎ合わされた不思議な形。
ドイツ生まれのラリー・ケイガンの作品は影に注目。
スポットライトの位置が変わると…トカゲの影が現れました。
光と影を自在に操った作品です。
これもまた奇妙な形をした黒い物体。
鏡に映してみると…グランドピアノが見えました。
福田繁雄の作品。
現実の空間では意味を成さないオブジェ。
しかし鏡に映し一つの視点から見るとピアノが浮かび上がります。
緻密に計算された視覚のトリックです。
カタカタ動く四角い木の板。
観客の動きに反応しています。
イスラエル生まれのダニエル・ローズィンの「木の鏡」。
その仕組みはまず作品の中央にある小型のカメラが人の動きを捉えます。
するとモーターの付いた木の板が傾いて陰影が出来人の姿を映し出すのです。
テクノロジーを駆使し見る者の意表をつきます。
南アフリカ生まれエヴァン・ペニーの高さおよそ3mの彫刻。
モデルの写真を画像編集プログラムで引き伸ばしそのデータを元にシリコンなどで作りました。
皮膚の質感や細部は克明に再現されリアル。
2次元の画像を立体化する事で違和感を強調しています。
アジア21か国から新進気鋭のアーティストを紹介する展覧会です。
モンゴルの画家ガンボルディン・ゲレルフーはダイナミックな構図を描き出しました。
2匹のオオカミが表すのは自然とテクノロジーのせめぎ合いです。
蛇腹のような形のオレンジの布。
その先端には女性が座っています。
カンボジアのアーティストアニッダ・ユー・アリのパフォーマンスです。
中国の映像作家ブー・ホァのアニメーション。
少女が見つめるのは急速に開発されていく都市。
かわいらしいキャラクターとは裏腹に現代社会の問題を問いかけます。
原寸大の動物を木彫りで作る彫刻家三沢厚彦の世界。
大きなクスノキから彫り出されたジャガー。
力強いノミの跡鮮やかな色彩が独特の存在感を生み出しています。
岩手をテーマに制作したフェニックスは神話に登場する不死鳥。
被災地への再生の祈りが込められています。
京都国立博物館では京都に伝わる名品が一堂に会しています。
国宝「釈金棺出現図」。
平安時代の仏画です。
釈の母摩耶夫人の嘆きを沈めようと涅槃に入った釈がひつぎから起き上がり説法する壮大な光景です。
室町時代の画家雪舟。
晩年の大作国宝「天橋立図」。
一見実景をそのまま写し取ったかのようですが雪舟は山を高く町並みを長く引き伸ばし橋立の威容を際立たせました。
三岸好太郎と池田満寿夫。
創作の共通点から2人を紹介します。
三岸は生涯「道化」を数多く描きそれらは自画像でもありました。
憂いを帯びた表情が三岸の心情を物語るようです。
一方カーニバルの道化を明るい色彩で描いた池田。
池田は「道化の精神を自分に課す」という言葉を残しています。
スウェーデンの陶芸家リサ・ラーソンの展覧会です。
動物をモチーフに素朴でほのぼのとしたオブジェで知られるリサ。
ユーモラスな姿です。
80歳を過ぎ自然豊かな北欧で制作を続けています。
「アートシーン」でした。
ではまた次回。
2014/09/14(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“五木田智央”展 ほか[字]

「五木田智央 TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS」(DIC川村記念美術館 8月31日〜12月24日)ほか、展覧会情報

詳細情報
番組内容
「五木田智央 TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS」(DIC川村記念美術館 8月31日〜12月24日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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