長野県南木曽町の妻籠宿。
かつて中山道69次のうち42番目の宿場町として栄えた場所だ。
江戸の風情を残す町並みが人気の観光地。
現在も年間50万人が訪れる。
この町に人とともに暮らし人々の生活を守る犬がいる。
ペットとして人気の柴犬。
ただしこの町では単なるペットとして飼われているわけではない。
南木曽町は東に南木曽岳や高曽根山西に摺鉢山伊勢山がそびえ町の9割以上が森林に覆われており野生動物も多い。
農地のすぐそばまで豊かな森が迫る環境がある問題を引き起こしていた。
全国各地に広がる野生動物による農作物の被害。
無残に食い荒らされた野菜。
ここ南木曽町では収穫前の野菜を狙って野生のサルが出没していた。
農家では畑の周囲に網をかけたり電気ショックを与えるネットを張ってみたがサルは賢い。
すぐに抜け道を見つけてしまう。
サルこういうところ登っていっちゃうの。
こうやってつかまって。
頭いいわサルは。
そこで9年前町ぐるみで育て始めたのがモンキードッグだ。
サルの被害に悩む全国各地で採用されているモンキードッグ。
サルを見つけると猛然と追いかけ森に追い払う。
サルが山から下りてこないよう威嚇するだけで傷つける事はないが十分効果があるという。
まあ犬を飼い始めてこうやって放し飼いをねし始めるとやはりそういう被害はぐっと減りました。
ここ南木曽町で犬たちはサルの被害から畑を守る大切なパートナーなのだ。
現在南木曽町にいるモンキードッグは40頭。
そのうち9割が柴犬だ。
柴犬はなぜモンキードッグに向いているのか?動物の行動に詳しい山下先生に聞いた。
日本原産犬は日本の野山に適応しているわけですからそういうところで敏捷に動いてサルを追い払うのには非常に向いてると思います。
縄文時代以前から人間と一緒にこの日本列島では暮らしてた。
2004年佐賀県にある縄文時代の東名遺跡からも現在の柴犬に近い犬の骨が発見された。
日本人と柴犬の関係は7000年以上の歴史がある。
柴犬や秋田犬などの日本犬は現在6種類。
その全てが貴重な存在と認められ天然記念物に指定されている。
日本犬の中で最も身近な存在といえる柴犬だがその顔立ちが2種類ある事はあまり知られていない。
見た目にいわゆるタヌキ顔とキツネ顔って言われますけども多くの柴犬はタヌキのようなエラの張った丸い顔をしてますね。
それに対して細いシャープな顔をした柴犬もいます。
縄文時代の遺跡から出てきた犬の顔はキツネ顔だったと言われてますけども。
南木曽町の柴犬は縄文由来のキツネ顔が多い。
畑を見守る表情も心なしか頼もしい。
柴犬の狩猟本能について興味深いデータがある。
世界の主要な犬85種類のDNAとオオカミのDNAを比較したところ最もオオカミに近いのが柴犬だった。
オオカミに近く本来高い狩猟本能を持つ柴犬だからモンキードッグに向いているのだろう。
柴犬とともに暮らす南木曽町の人々が頼りにする人物がいる。
訓練士の宮田和久さん。
埼玉で警察犬のトレーナーとなり地元に帰り独立。
以来35年訓練したモンキードッグは50頭を超えるというベテランだ。
宮田さんによると生後6か月から3歳くらいまでの犬なら訓練が可能だという。
ただしどんな犬でもモンキードッグになれるわけではない。
本来狩猟本能が強い柴犬にもモンキードッグ向きの犬とそうでない犬がいる。
その違いはどこにあるのだろう?宮田さんが犬の適性チェックをしているところを見せてもらった。
(犬の鳴き声)おもちゃを投げて反応を見ると…。
こんな感じ。
普通は追っかけていく。
動くものに対してはサルなんかでもそうですけど追わなきゃいけないんだけど無視でしょ?今度は音を鳴らしみると…。
(おもちゃを鳴らす音)普通こういうものを見ると反応するんですよ。
喜んでね…全然興味ない。
(おもちゃを鳴らす音)ユキ!動くものや聞き慣れない音にどう反応するか犬の好奇心を試している。
モンキードッグにはまあ向かないという感じ。
サルの気配を敏感に感じ取り追いかけるのがモンキードッグの役目。
好奇心の弱い犬は適性がない。
一方モンキードッグに向いている犬は反応がいい。
おもちゃを投げるとすぐに追い回す。
(おもちゃを鳴らす音)音を出すと飛びついてくる。
興味津々だ。
子供なんかもね人間のほらやっぱ興味のあるものっていうのはそれに向かって集中するから勉強も一生懸命する。
それと同じなんですよ犬も。
いろんなものに対して好奇心がある犬っていうのはもうモンキードッグには最高ですね。
モンキードッグに向いている犬を選んだらいよいよ宮田さんの訓練が始まる。
最初に行うのは呼び戻し訓練。
笛を吹けば犬が戻ってくるようにする訓練だ。
この日は生後8か月のメスキィをトレーニングする。
キィちゃん!最初はもうこれでやります。
音の大きいのでなるべく。
(笛)音の大きな笛で訓練を始める。
この訓練は初めてのキィ。
笛を吹いても宮田さんの元へは戻ってこない。
(笛)
(宮田さん)キィちゃん!
(笛)そこで今度は犬のそばで笛を吹きすぐに餌を与えて褒める。
笛が鳴るとご褒美をもらえる事を覚えさせるのだ。
何度も繰り返すうちに笛が鳴ると餌をもらえる事を犬は覚える。
(笛)笛の音とご褒美が結びついて条件反射が成立するのだ。
やっぱ基本はみっちり。
短いところで確実性があったら少しずつ広いところ…。
グラウンドで呼び戻しが出来るようになったら次はサルがすむ山の中へ。
より実践的な訓練に移る。
今度は本番と同じ犬笛を使う。
狩猟本能が強い柴犬は山奥までサルを追いかけていくため遠くまで音が届く犬笛が欠かせない。
でもこれ…。
(犬笛)って鳴るでしょ。
これでもう2キロぐらい飛ぶんですよ。
リードを外し自由に走らせる。
飼い主の姿が見えない場所まで行っても犬笛が聞こえたらすぐに戻るように訓練する。
テストを受けるのは訓練を始めて2か月のリリ。
まず近くで笛を吹く。
(犬笛)
(犬笛)徐々に距離を伸ばしていく。
リリの姿が見えなくなった。
かなり遠くまで行ったようだ。
これで戻れば合格だ。
リリが戻ってきた。
リリ。
リリ座れ。
見えない場所から確実に戻ってくるようになればモンキードッグの基本が身についた事になる。
呼び戻しが出来るようになったら次は最も重要な訓練サルの捜索だ。
サルを探してとりあえず見せないと話にならないんで。
山から出てくるサルをいち早く発見し被害が出る前に追い払うのがモンキードッグの役割。
(鳴き声)
(鳴き声)ここまで順調に訓練を重ねた犬でも実際にサルに出会うとなかなか反応しない事がある。
犬の個性も人間同様様々なのだ。
サルのにおい木の上で立てる物音などサルの気配を察知するための実地訓練。
サルがよく出没する場所を歩かせ捜索させる。
この日訓練をしていたのはまだサルに遭遇した事のないメス犬のキィ。
そこへ連絡が入った。
サルが畑に現れたようだ。
キィをサルに会わせるため急いで現場に向かう!
(男性)今日は写真と言葉で想いを届けるフォトレターを作ります。
気持ちをまっすぐ伝えることの大切さを感じてほしい
そんな願いを込めて私たちはフォトレター出張授業を行っています
(女の子)いつもおいしいご飯を作ってくれるのでフォトレターで感謝の気持ちを伝えたいです。
(一同)ありがとう!
「PIXUS」で「想い」を届けよう!
(能年)あっ失礼します。
なんかかっこいい。
(シャッター音)ああ速い。
タッチ。
(シャッター音)
自分の思ったところにピントが合ってなんか面白いです
(シャッター音)すげー。
おおー!うさぎが…。
あっまつ毛。
EOSM2
まつ毛がある。
(石丸)《桐谷君は「猫好き」だ》
(桐谷)ネコ?ネコネコネコ!ニャニャニャニャニャニャ?ニャ!《しゃべれるのか!?》かわいいですよね?ああ…。
この表情かわいい!これも!あと何枚あるのかな?1,000枚くらいです。
《えっ…》どれが一番かわいいですか?《どれってどれも同じじゃないか!》《はっ!》全部…かわいいよ。
ふふふふ。
じゃあ全部プリントしますね。
スマホの写真をカンタンプリント
かわいいですよね?かわいいです…。
モンキードッグ訓練士の宮田さんに連絡が入った。
サルが畑に現れたらしい。
訓練中の柴犬キィを連れ現場に急行する。
現場に近づくとキィが激しく動き回る。
サルの気配を感じたのだろうか?訓練中なのでリードをつけたままサルの捜索に向かうと…。
橋の手前でキィの足が止まった。
どうやら橋が怖いようだ。
こういう時は無理をせず抱いて渡る。
犬が訓練を嫌がるようになると進歩も止まってしまう。
犬の反応を確かめながら宮田さんの訓練は続く。
橋で手間取っているうちにサルは姿を消してしまった。
サルとの遭遇はまた次の機会に持ち越しだ。
翌日山の中を中心にサルの捜索訓練が続く。
するとキィが地面に体をこすりつけ始めた。
これは獲物のにおいが多分…。
それを縄張り意識のために本能でこう自分のにおいをつける。
(スタッフ)獲物っていうのは…?クマだったりイノシシだったりサルだったり。
(宮田さん)これ多分サルだよ。
すぐそばにかじられたキノコが。
サルがいたのだ。
地面に体をこすりつけたのはサルのにおいにキィが反応した証拠だと宮田さんは言う。
犬は自分の縄張りを守るため他の動物のにおいを嗅ぎつけるとそこに自分のにおいをつける習性があるのだ。
このあとも何度も地面を転げ回るキィ。
サルを追う準備は出来たようだ。
実際にサルと出会い追いかける事が出来れば卒業だ。
1日の訓練を終えると犬たちに十分な休息を与える。
訓練にもメリハリが必要なのだ。
あとは実際にサルを追う実践を残すばかりだ。
数日後訓練中のキィが突然走り出した。
その先にはサルがいた。
(妻夫木)なぜわかったんですか?…影?
(シャッター音)
(シャッター音)
EOS70D
ここまで順調に訓練をこなしてきた柴犬のキィ。
残すは実際にサルを追う訓練だ。
その時…。
キィが突然走り出した。
どうやらサルが出たようだ。
サルも犬の気配を察し木から木へと移動する。
(宮田さん)わかる?下りてきた。
ほら。
(宮田さん)気がついた気がついた。
キィが木の上のサルに気づいた。
犬はわかってんだ…。
サルが登った木を目指して猛然と崖を駆け下りていくキィ。
訓練中のためリードをつけたままキィがサルを追っていく。
(犬笛)そして呼び戻しの笛にも反応。
宮田さんのもとに戻ってきた。
わかったな?わかったな?サルがいたねサルが。
すごいですねぇ。
もうやる気満々ですね。
自分の目視におい嗅覚…。
もうサルに間違いなく反応しましたから。
また一歩モンキードッグに近づいた。
かなり素質があると思いますこの子は。
オオカミに最も近い柴犬。
まるで獲物を追いかけるように真剣にサルを追うのはその証しなのか?遊び半分に追いかけられてるのかそれとも本気で追いかけられてるのかやはり動物っていうのは非常に強く感じますのでやっぱり必死になって逃げる。
それで二度とあっちには出て行くものかっていう学習をさせるわけですよね。
宮田さんの訓練を終えモンキードッグとしてデビューしたばかりの犬がもう1頭いる。
これあの亀山さん一応ね忠犬の証しになりますからね。
ピンクの首輪がモンキードッグの証し。
農作業の間畑を見回り…。
サルの気配を感じると猛ダッシュして畑を守る。
(犬笛)農家の人々にとってモンキードッグは家族も同然。
縄文時代から7000年以上続いてきた日本人と柴犬のパートナーシップは今もここ南木曽町に生きている。
2014/09/14(日) 18:30〜18:56
ABCテレビ1
奇跡の地球物語 モンキードッグ〜サルから畑を守れ!長野県南木曽町の柴犬軍団〜[字]
歴史と情緒あふれる長野県・南木曽。この町の畑をサルたちから守る柴犬軍団がいる。その名もモンキードッグ。オオカミに近いDNAを持つという柴犬の能力に迫ります!
詳細情報
◇番組内容
長野県南木曽町。歴史と情緒あふれるこの町に、畑をサルたちから守る柴犬軍団がいる。その名も“モンキードッグ”。野生のサルが畑を荒らしに姿を現せば、猛然と追い払う。普段愛くるしい柴犬が、実はモンキードッグに適しているという。その理由とは!?モンキードッグの訓練に密着!柴犬の知られざる能力に迫ります!
◇番組内容2
古代のミステリーから日常のふとした疑問まで、人間を取り巻くあらゆる物事を最先端科学で紐解いていく…。明日誰かに話したくなる、新しい発見がいっぱいの番組です。
◇出演者
【ナレーター】山寺宏一
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/miracle-earth/
◇おしらせ2
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
バラエティ – その他
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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