それはこのひと言から始まった。
トウキョウ。
東京オリンピック決定の瞬間日本中が興奮。
6年後の東京ではオリンピックのみならず母国での開催に高まる思い。
同時に募る不安。
それでも障がいと闘いながら夢をつかもうと奮闘する姿に密着。
日々進行する難病と闘いながらメダルを夢見る車いすの女性ランナー。
光を失った青年が見つけた新たな生きがい。
わずかな音だけを頼りにゴールを狙う。
幼いときから負けず嫌いな少女は今金メダルを狙える女子高生スイマーへと成長した。
立ちはだかる壁を打ち破れるのか。
2年後のリオそして東京パラリンピックを目指すアスリートたち。
その戦いの先に彼らが見るものとは。
江東区夢の島競技場に彼女はいた。
こちらの競技場にリオパラリンピックを目指すアスリートが練習をしていると伺ったんですよね。
そうですか。
もしかして向こうの走られてる方そうですかね?やってますね。
走ってる。
走ってる。
手振ってる。
佐藤さんですか?そうじゃないですか?佐藤さんだほら。
こんにちは佐藤さん。
こんにちは。
メチャメチャかっこいいですけど。
走ってる姿が。
ジョギングで。
ジョギングで。
どうぞどうぞ。
義足のジャンパーロンドンパラリンピック走り幅跳びでは自己記録を更新して9位。
彼女を一躍有名にしたのはだってプレゼンターのトップバッターでしたよね。
めっちゃかっこよかったですよ。
嬉しいですね。
4年に一度の幅跳びよりももしかしたら緊張して…。
決まった瞬間どうでした?いやもう跳び上がりましたね。
嬉しくて。
嬉しいですよね?そうですね。
思い描いていた夢があと6年間7年間は日本全体で目指していけるんだって思って。
いろいろトレーニングとかもされているんですよね。
そうですね毎日。
日常的に。
自主的に一人で遠征することも多いんですけど。
武者修行して。
武者修行ですか。
世界に場慣れしていざというときに力を出せるようにっていう。
常に挑戦し続けているという佐藤選手ですけれども佐藤選手の他にもですねさまざまなアスリートたちが夢のパラリンピックを目指す様子を密着しています。
まずは佐藤選手と同じ陸上競技を行っているアスリートです。
鍛え抜いた己の腕力と持久力でスピードを競い合う車いす陸上。
レース時は実に時速30キロにも達する。
当然皆筋骨隆々。
そんな中ひときわ細身で小さな女性アスリートがいる。
実は彼女…。
2012年更に世界の強豪たちが集まる世界を駆ける女性アスリート。
その小さな体は想像を絶するある病と闘っている。
それは進行性の難病を抱えたアスリートの葛藤の物語。
おはよう。
おはようございます。
木山由加選手。
ふだんの彼女の素顔は…。
木山さん音楽聴かれてます?音楽聴いてます。
なんで笑うんですか?いつも笑顔を絶やさない明るい性格の持ち主。
彼女を知る者は口々に言う。
だがひとたび競技場に入るとその表情は一変する。
車いす陸上と出会ったのは中学生の時。
他の女性選手のような筋力は彼女にはない。
足を動かすことはできるが歩行はできず日常の移動も車いすが不可欠だ。
筋肉をつけたい。
だがそれができない。
その原因となっているのが今なお進行し続ける難病。
いったいどんな病なのか木山選手の主治医はこう説明する。
機能の障がいですね。
木山選手の場合手足の末梢神経にも異常があり負担をかけすぎると運動機能が低下し続けるという。
日常生活でもできなくなってきたことがいろいろとある。
密着取材の最中…。
買ったばかりのペットボトルは自分で開けることができない。
幼稚園児とほぼ同じだ。
最近はボタンのとめ外しが遅くなり手の震える感覚も強くなってきているという。
木山選手の拠点は生まれ故郷去年から企業のサポートを受けながらその際彼女には欠かせない道具がある。
短距離には重要なスタートダッシュ。
握力が弱い分どうしても遅れてしまう。
今の彼女のいちばんの課題だ。
実は木山選手の得意種目は長距離。
ハーフマラソンで7連覇中の実力の持ち主。
得意のマラソンで勝負したいが彼女の障がいクラスはパラリンピックのマラソンへの出場資格がない。
大会に出場するには種目を変更せざるをえなかった。
頑張れば頑張るほど症状が進行する可能性がある難病。
そこまでしてなぜ彼女はパラリンピックにこだわるのか。
日ごろの成果を試す大事な試合だ。
車いす陸上はその日本の大会ではクラスの違う選手どうしが同時に走ることも。
競技人口がまだ少ないのがその理由だ。
同じクラスには強力なライバルがいる。
木山選手は過去6年間一度も彼女に勝ったことがない。
そんな木山選手を田中選手はどう見ているのか?
(号砲)課題のスタートダッシュ。
重点的に練習してきたがやはり田中選手にはかなわない。
それをカバーするのが長距離で鍛えた持久力。
後半必死で食らいつくも…。
田中選手との差は…1秒09。
追いかけても追いかけても届かない相手の背中。
あるのは完敗という現実。
筋力をアップしたい。
けれど筋トレを行うことで病気の進行が早くなる可能性がある。
今日もまた葛藤ばかりが残される。
この日木山選手の練習を見学しにある人物がやってきた。
木山選手のそりゃそうだよ。
う〜んでも今はまだそんな…。
うん。
確実に。
兄仁志さんも同じもともと木山選手は車いす陸上をやっていた兄の姿に憧れこの世界に飛び込んだ。
筋力をつけようとすればするほど症状が進行する可能性がある難病。
かつて同じ競技者だった兄だからこそ現役の妹に言えることがある。
症状が進行しようともつらい思いをしようともその先へ進もうとする心こそが妹ならきっとそれができると兄は信じている。
木山選手が向かったのは競技場ではなくなんとジム。
病を進行させまいとこれまで避けてきた手足の筋力トレーニングを自ら始めるようになっていた。
実は前回大会の敗北後木山選手は自らオファーし彼女の細い腕がアメリカで手にしたのは可能性という名の大きな勇気。
オモリをつけていない5キロ程度の握力。
手にベルトを巻かなければすぐに離れてしまう。
トレーナーの補助も必要だ。
けれどそれでもいい。
誰かの手を借りながらでも少しずつ新たな一歩を踏み出すことが彼女にとっての生きる意味だから。
いよいよこの日がやってきた。
日本最高峰の大会であるジャパンパラ陸上競技大会。
おはようございます。
いよいよですね。
やっぱり意気込みもかなり。
わかりました。
頑張ってください。
ありがとうございます。
身を削る思いで始めた筋力トレーニング。
その努力がどんな結果としてあらわれるのか。
もちろん大会にはライバル田中選手の姿も。
一度も目を合わせようとはしない木山選手。
彼女をこえなければ世界は見えない。
果たして勝負の行方は。
(号砲)スタートダッシュ筋力トレーニングの成果が試される。
しかし…。
圧倒的な強さを見せる田中選手。
その差はどんどん開いていく。
だが持久力こそ木山選手の武器。
じりじりと差を縮めていくのがいつもの彼女のレース展開だ。
しかしその差がなかなか縮まらない。
絶対王者の力を見せつけられたレースだった。
タイムは1分25秒。
自己ベストから5秒も下回ってしまった。
お疲れさまでした。
たくさんの悔し涙がきっと彼女に力と笑顔をもたらすはずだ。
木山選手の挑戦進行性の病気のなかで戦ってるわけですけれども佐藤さんどうご覧になりましたか?そうですね木山選手も2012年のロンドン大会も一緒に出場してますしあのふだんはすごくニコニコしてあのかわいらしい感じの選手で私たちではわからないもう一つの勝負を同時にしているんだなっていうふうに思いました。
でもそのなかでも一つわかるなと思ったのが…。
すごくパラリンピアンの気持にみんなに通じるところがあるのかなっていうふうに感じましたね。
もうほんとはあのロンドンパラリンピックで引退しようと思ってらしたそうですね。
ただあの舞台に立ってやっぱりもう一度絶対に行きたいと思ったらしいんですけれども。
また立ちたいと思う気持っていうのは何なんですか?いやもうみんながそう思うと思うんですけどやはり満員の観衆とそこにしかない空気感があるんです。
でそこで思うような力が出せなかったり勝てなかったりってなるとやはりもう一度頑張りたいっていうふうに思う気持がありますね。
(ホイッスル)フィールド上で繰り広げられるこれはただのサッカーではない。
彼らの目にはまったく何も見えない視界ゼロの状態でシュートを狙う。
これが視覚障がい者のための競技選手はアイマスクをつけた4人のフィールドプレーヤーと眼に障がいのないゴールキーパー計5名。
盲目ではないフィールドプレーヤーもいるためアイマスクをつけることで公平性を保つ。
通常のサッカーとの違いは主に3つ。
(ホイッスル)
(鈴の音)ボールに入っているのは特殊な鈴。
このシャカシャカという音で選手たちはボールの位置や転がり具合を把握する。
相手ゴールの裏側にはコーラーと呼ばれる眼に障がいのない味方がいる。
コーラーはディフェンス側のプレーヤーはボールを持ったオフェンス側の選手に対しボイボイと声を出し守備をすることが義務づけられている。
正面からぶつかる危険を避けるためのルールだ。
彼らはその音だけですべての位置を把握しゴールを狙う。
そんなブラインドサッカー界でひときわ注目を浴びている選手がいる。
ゴールいけゴールいけゴールゴール…。
(ホイッスル)全盲のフォワード彼には世界にはためく日の丸が見えている。
日本代表に初めて選出されたのは去年のこと。
世界一のブラジルとの親善試合で日本人として初めてゴールネットを揺らした男だ。
秀逸なのはフィールドの状況を音だけで正確に把握する能力。
逆サイドの味方にも音を頼りにパスを通すことができる。
(ホイッスル)得意技は全盲とは思えない足に吸いつくドリブルからのシュート。
正面シュート…。
人呼んでブラインドサッカー界のメッシ。
日本代表には欠かせないエースストライカーだ。
そんな川村選手に会いにやってきたのが…。
芸能界屈指の運動神経身体能力を誇る。
なかでも得意なのはサッカーだ。
ここは川村選手が所属するFCアヴァンツァーレつくばの練習場。
その様子に思わず…。
えっえっえっ…。
えっ何この普通にドリブルしてんだけど。
おっおっおっめっちゃフェイントしてる。
おっ何だそれ。
こんにちは。
こんにちは。
すみませんお疲れのところ。
いえいえ。
見えてないですよね?そうですね。
信じらんないですね。
難しくないですか?いや難しいですねやっぱり。
難しいですよね。
ええええ。
その難しさを金子自ら体験してみる。
ブラインドサッカーの必需品アイマスクをつけまずはパスから。
ちょっと待ってね。
僕ここです。
はい。
近いからゆっくりでいい。
いきますよ。
はいここですお願いしますヘイ。
ちょっと右ちょっと右。
きたきたきた!きたきたほら!いや〜難しい何だこれ。
金子さんいきます。
はいお願いしますヘイ。
左。
過ぎたね今。
ボールの鈴の音をなかなか正確にとらえることができない。
続いてドリブルからのシュート。
はい惜しい。
10メートル。
はいそうです。
6メートル?どこに向かって?私の声に向かって。
シュート。
ほら。
ちょっと待ってどこある?行方不明なった。
あっやばい。
ちょっと待って…。
川村選手は現在鍼灸マッサージの資格を活かしこんにちは。
あっこんにちは…。
よろしくお願いします。
お願いします。
指から伝わる体の情報。
それはセラピストとしてはもちろんアスリートとしてもたくさんのことを学ぶ場になっている。
電車を乗り継いで40分。
川村選手は現在都内で一人暮らし。
たくさんのネオンが溢れる雑踏の中。
迷うことなく商店街のほうへと向きを変える。
いったいなぜ曲がる場所がわかったのか?歩いているときも神経は研ぎ澄まされている。
街で聞こえるさまざまな音が彼の道しるべだ。
その中から必要な音だけを聞き分けたどり着く自宅。
今年の1月まで東京に出張で来ていた父親と一緒に暮らしていたが現在は一人。
それでも特に不便を感じないのは彼なりのルールを決めているからだ。
どこに何があるかを把握するため物はだが昔からそうだったわけではない。
幼いときは普通に目が見えていた。
物心がついた頃からボールを蹴っていたサッカー少年は5歳の時…。
それから視力は徐々に低下。
ついには光しか認識できなくなりサッカー部の監督に退部を勧められた。
陸上部を選ばざるをえなかった中学・高校時代。
川村選手はほんのわずか明るさを感じるだけの暗闇の世界。
そんな彼に希望の光をともしてくれたのがブラインドサッカーだった。
今年6月ブラインドサッカーのクラブ日本一を決めるアクサブレイブカップが開催された。
この大会は9月の優勝はもちろん個人としても結果を残したい。
出場チームは12。
FCアヴァンツァーレつくばは順調に勝ち上がり決勝戦に挑もうとしていた。
(ホイッスル)試合開始。
そのわずか1分後ボールを奪った川村選手。
そして…。
足に吸いつくような得意のドリブルからのシュート。
まずは1点先取。
だが相手も負けてはいない。
1点を巡る激しい攻防戦。
(ブザー)川村選手のゴールが決勝点となった。
俺たちがいちばん強い!
(一同)お〜!MVPという結果も残した川村選手は日本代表メンバーに選ばれた。
一度は諦めたサッカーで。
怜出るよ。
日本代表はまだ一度もパラリンピックに出場したことがない。
リオパラリンピックには必ず出場を果たし世界にその力を見せつける。
川村選手の足に日本の未来がかかっている。
川村選手の挑戦ご覧いただきましたけれども金子さん実際にそのボールをお持ちですけれどもあれだけ動けなくなるものですよね?確かに。
そうですよね。
そのなかでこのボールを使ってこれ今普通のボールと違ってこういう音がするんですけどこの音だけ。
よくやってますよほんとに信じられなかったです。
佐藤さんどうご覧になりました?ほんとこのブラインドサッカーに関してはもうすごいのひと言ですよね。
いかに自分がふだん使ってない機能がたくさんあるかっていうのをそういう可能性をすごく感じさせてくれる。
はい日本初出場なるでしょうかね。
リオが楽しみですね。
頑張ってほしいですね。
2人が目指すは世界の表彰台。
彼の名は山田拓朗。
ロンドンパラリンピック50m自由形決勝で4位。
並みいる世界の強豪のなかメダルまであと一歩及ばなかった。
山田選手は生まれつき左腕のひじから先がない。
しかしそんな障がいなどまったく感じさせない圧倒的なスピードを彼は見せてくれる。
日本人選手のなかでは敵なしだ。
表彰台の真ん中へ。
今最もメダルに近い男の挑戦が始まった。
山田選手はこの4月から社会人1年生となった。
勤め先はNTTドコモ丸の内支店。
いらっしゃいませご来店ありがとうございます。
プロのアスリートとして仕事と水泳を両立しながらパラリンピックでの金メダル獲得を目指している。
そんな彼を合宿海外遠征など会社が全面バックアップ。
山田選手の実力の証しだ。
丸の内支店での仕事を終えたあと2時間みっちり練習を行う。
これも勤務時間の中に入っている。
専属コーチの佐藤さんから見た山田選手とは…。
バタ足だけでいえば日本のオリンピック選手クラスとタイム的にもほぼ変わらないという。
その驚異のキック力を携え挑んだ日本一を決める山田選手以外は体に不自由のない聴覚障がい者。
一般的に前腕がない者には不利な勝負。
だがそんなこと山田選手には関係ない。
なんとダントツの1位でゴール。
だが彼が目指すのは更なる高み。
世界の表彰台。
山田選手と同じく競泳界で今注目を浴びている若手のホープがいる。
とにかくいつもよく笑う。
彼女は生まれながらにして右足が極端に短く左腕のひじから先がない。
健常者と同じように泳ぎたい。
それが水泳の世界に飛び込んだきっかけだった。
杏選手の去年10月マレーシアで開催された14歳から19歳を対象とするアジアユースパラ水泳競技大会。
日本代表の彼女は負けず嫌いが最大の武器。
世界に挑む女子高生スイマー。
杏選手はパラリンピックを目指す選手が集まるクラブチームに所属している。
気をつけお願いします。
はいお願いします。
チームを率いるのは北京パラリンピックの金メダリスト鈴木孝幸選手を育てたベテランコーチ。
現在2人は3年前に障がい者水泳の強化合宿で出会った。
そのとき杏選手の左足を見て峰村コーチは驚いたという。
コーチをも驚かせた左足。
それは障がいのある右足にかわりとことん鍛え抜いてきた結果だ。
その脚力は他の選手と比べても突出している。
そうこれこそ彼女の宝。
今まで背泳ぎを専門としてきたが彼女の脚力が生きるバタフライの練習にも今年から取り組むようになった。
足の…。
これがやっぱ。
絶対にこっちを取るほうが世界で戦うためには体全体を使った泳ぎが必要。
そう言われて以来障がいのある右足の筋力トレーニングにも力を入れている。
そんな杏選手は現在埼玉県立川越女子高等学校に通っている。
高校3年生の彼女。
受験シーズンに突入している。
杏選手も進学を希望している。
目指すは
(チャイム)ゆいちゃん食べよう。
箸が転がってもおかしい年ごろ。
同じ水泳部の仲間と囲むお弁当はとにかく賑やか。
高校入学時からずっと一緒。
誰より杏選手のことを知っている。
ニコニコでいいよ。
授業を終えたら部活動へ直行。
暑いけど頑張るぞ!
(一同)オーッオーッ!受験生はすでに部活を引退している。
しかしパラリンピック出場を目指す以上毎日の練習を減らすわけにはいかない。
ただいま。
おかえりなさい。
帰宅するのはいつも8時ごろ。
疲れた?アスリートにとって体は資本。
食事の管理は母早苗さんの役目だ。
ところで杏ちゃんどんな部屋なのかな?お部屋汚いんでお部屋汚いんで。
お部屋はちょっと。
にっこり笑顔で断られました。
部屋行ってもらえば。
ダメ…。
杏選手は一人っ子。
屈託ない彼女の笑顔は優しい父と母にたくさんの愛情をもらってきた証しでもある。
1996年9月3日待望の第一子。
生まれてすぐ別の病院に搬送され母早苗さんは…。
義足を初めてつけたとき杏ちゃんは笑っていた。
杏ちゃん痛い痛いない?痛い?痛みよりみんなと同じように歩けることが嬉しかった。
おっ杏ちゃん大きくなったね。
負けず嫌いでいつも前向き。
そんな娘の意思を両親はいつも尊重してきた。
周りの子と同じことを同じようにしたい。
転んでも転んでも毎日練習した。
そうして彼女はいつも不可能を可能にしてきたのだ。
障がいを持つ娘を育てるうえで両親は一つ決めていることがある。
出来ないときはいつでも帰っておいで。
そんな両親の愛情の中で育った娘は最初から無理と言わずにトライすることを学んだ。
それは17歳になった今も変わらない。
できないことを嘆くのではない。
できることでベストを尽くす。
持ち前の負けず嫌いを武器に今彼女は世界に羽ばたこうとしている。
国内最高峰の大会…。
大阪で開催された。
おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
お願いします。
いつもの笑顔。
だが心は決して穏やかではない。
今回の大会は両親が観客席から見守る中初戦は隣のレーンにいるのは杏選手と別のクラスの選手。
杏選手はS8クラスとして1人だけで泳ぐ。
よ〜い。
(スタート音)戦う相手は自分自身。
その更新が目標だ。
結果は…。
1分46秒。
自己ベストから5秒も下回っていた。
やば。
どうだった?え?こんなとこで一喜一憂してちゃダメだって言っただろ?まだ練習を開始したばかりのバタフライ。
結果は出せなかった。
これが今の実力。
挑むのは得意の背泳ぎ。
だからこそ負けられない絶対に。
予選突破を果たし勝負はこの決勝戦。
よ〜い。
(スタート音)このレースで杏選手と同じS8クラスは計3名。
隣のレーンにいるのは杏選手のライバル。
50mの折り返しまだ体一つぶんリード。
ここからは持久力勝負。
差はわずか。
軍配が上がったのは杏選手。
そのタイムは…。
1分39秒23。
自己ベストを1秒更新した。
お〜。
峰村コーチもこの結果には満足したようだ。
崖っぷちに立たされようやくできた自分の泳ぎ。
障がいのある右足の強化の大切さを実感した大会だった。
今大会の結果杏選手はそうこれからが杏選手の戦いの始まり。
パラリンピックの表彰台に大輪の花を咲かせるために。
西田杏選手はこれからっていう存在ですけれどもほんとに笑顔が魅力的ですね。
ずっと笑顔でしたね。
ね〜。
すてきです。
周りをこれだけ笑顔で幸せにできる人ってなかなかいないですから。
お父様お母様が優しくそして厳しくたぶん教育されてるんだろうなというのがすごくわかります。
すごくいい子ですもんね杏ちゃん。
そうですね。
でそれぞれ企業のサポートがあってそして西田選手はご家族のサポートがあるわけですけれどもそういった周りのサポートっていうのも非常に大事ですよね。
いやもうすごく大事でで最近特に2020年が決まったことでより若い選手のサポートが増えてきたなとは感じます。
でもなかではほんとに大半の選手はまだまだ時間的にもお金の面でも苦労している選手が大半で選手…パラリンピアンって年間平均で144万円の自己負担をしているんですよ。
自分たちのお給料ですとかあとボーナスとか使ってる選手もいますしそこはもうちょっとずつ改善していくといいなと思います。
このあと数奇な運命で出会った妻と戦う車いすテニス界の新星。
車いすを使ったさまざまなスポーツ。
その中でも今日本が世界に誇る車いす競技がある。
現在車いすテニスの…。
障がい者スポーツの中でも日本のお家芸といわれている。
その車いすテニス界の期待の星として将来を有望視されているのが…。
ここ最近急激に力をつけ現在世界でも指折りのトップアスリートに成長した。
なんといっても彼の武器は日本人離れした強力なフォアストローク。
そのスピードは世界でも1〜2を争うという。
眞田選手の右足はひざから下がない。
10年前そんな彼を陰で支え続けてきた人がいる。
運命的な出会いで結ばれた最愛のパートナーだ。
ここが眞田選手の練習場だ。
おはようございます。
おはようございます。
皆日本を代表する実力者たち。
この中で眞田選手は週5日ハードな練習メニューをこなしている。
車いすテニスと健常者が行うテニス。
ルールの違いは大きく一つ。
それは…。
車いすを駆使し2バウンド以内でボールを返さなければならない。
勝敗を大きく左右するのが車いすの操作。
通称練習の中にはラケットやボールを使わないチェアワークの練習も組み込まれる。
1234…。
車いすを使った俊敏な切り返し。
滑らかな方向転換。
ラケットのテクニックだけでは勝てない。
それが車いすテニスなのだ。
更にこんな練習メニューも。
20秒間全力を出しきり休む。
これを繰り返すことでゲーム中の回復力を高める。
はいオッケー。
きつ…。
体が悲鳴を上げる。
だがその先にこそ勝利があると彼は知っている。
しかし…。
バイクで走行中乗用車と正面衝突。
できることが限られもんもんとする入院生活。
そんな時車いすテニスの存在を知りすぐに飛びついた。
バドミントンから卓球からソフトテニステニス…。
失望を希望へと変えてくれた車いすテニスとの新たな出会い。
失った右足が与えてくれた大切なものは実はもう一つある。
そう…生涯の伴侶との出会いだった。
病院どうだった?ん〜何でもなかった。
よかったね。
ほんとだよ。
よかったよ何でもなくて。
健康がいちばんだね。
なんか飲み物ちょうだい。
はい。
実は妻真実さんもバイク事故で入院。
右足を切断した。
それは運命の出会いだった。
よき友人から始まった2人はいつしか恋人へ。
そして2年前彼女は夫を一生支えていくと誓った。
劇的な出会い…そして結婚。
同じ障がいを持つ者どうし二人三脚で歩んできた。
目覚ましい眞田選手の成長は妻真実さんの献身的な支えがあってこそ。
妻とともにもう一つ眞田選手には大きな支えがある。
サラリーマンアスリートとして彼を支援している埼玉トヨペットだ。
入社当初車いすテニスは休みの日の趣味程度。
しかし実力がつくにつれ世界で戦いたいと思うようになった。
眞田選手は思いきって社長に支援を願い出た。
会社の後押しを受け海外遠征をスタート。
わずか1年で世界のベスト10入りロンドンパラリンピックに出場を果たした。
そんな彼の今日の練習相手は世界ランキング1位絶対王者現在パラリンピック2連覇のトッププレーヤーだ。
その世界王者に戦いを挑む。
この日眞田選手はある人物に練習の依頼をしていた。
パラリンピック2連覇の王者から見た後輩眞田選手とは…。
っていう感覚ですかね。
初めは一緒に練習してもまったく歯がたたなかった。
同等のレベルで打ち合えるようになった今も学ぶことがたくさんある。
武器となるフォアハンドで狙うは打倒絶対王者。
パラリンピック金メダル。
ある者は病と向き合いながら…。
ある者は暗闇に耳を澄ませながら…。
彼らの戦いはいつだって過酷だ。
それでも障がいを乗り越え挑み続けるアスリートたち。
情熱の挑戦者たちのその姿はどんな金メダルより尊く美しい。
2014/09/14(日) 16:00〜17:15
テレビ大阪1
情熱の挑戦者[字]
夢は金メダル!障害と闘いながら世界の頂点を目指すアスリートに密着。障害者スポーツにかける熱い思いに迫る。
詳細情報
番組内容
2020年の東京パラリンピックを目指すアスリートに密着取材。障害を抱えながらも夢をつかむために日々努力する彼・彼女らの熱い思いを紹介するとともに、障害者スポーツの素晴らしさとそのレベルの高さを伝える。
出演者
【ナビゲーター】
佐藤真海(パラリンピック3大会出場)
大橋未歩(テレビ東京アナウンサー)
【ゲスト】金子昇(俳優)
【ナレーター】平野義和
登場アスリート1
【