引退決めた肘の脱臼「『グチャッ』っていう今までに聞いたことが無いような音」
――今年3月に引退届を出されましたけど、こうして対峙するとまだまだ現役感がありますね〜。
【琴欧洲親方】 いえいえ。25キロくらい落としたので、もう現役感はないですよ。弱いです(笑)。
──親方と呼ばれることにも大分慣れましたか?
【琴欧洲】 そうですね。大分慣れた感じです。「え!? ……あ、僕のことね!」ってなる場面は少なくなりましたよ(笑)。
──引退届を出した際は、様々な思いがよぎったと思いますけど、最初に浮かんだ感情はどのような想いでした? やっぱり悔しさ?
【琴欧洲】 一番はやりきったという感覚でしたね。もちろん、横綱までいけなかったという悔しさもありますけど、やりきった!という思いが最初に浮かびました。
──現役時代はまさに怪我との戦いで、引退を決意したのも去年の九州場所での肘の脱臼でしたよね。
【琴欧洲】 土俵から落ちた際に自分の体重と相手の体重が全て肘に乗って。「グチャッ」っていう今までに聞いたことが無いような音でしたね(笑)。
──うわぁ〜。笑い事じゃないですよ(笑)
【琴欧洲】 しかも、その時、一度自分で(脱臼した骨を)入れたんですけど、控室に戻った際にもう一回抜けてしまって。痛みに関しては取組み後だから気合が入ってるので無かったんですけど、とにかく「マズい!」っていう気持ちでしたね。
──このタイミングで大怪我をしてしまったという後悔ですね。しかし、自分で入れるというのも凄い(笑)。
【琴欧洲】 自分で入れるのは別に苦ではないですよ(あっさり)。
──さすがです(笑)。ただ、以前からの膝の怪我もあり、文字通り満身創痍でしたから。やりきったという気持ちにもなりますよね。
【琴欧洲】 そうですね。現役としては「ここまでかな…」という気持ちです。後悔はないですね。
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琴欧洲公式ブログ
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