昔むかしある寺に地蔵さまがいた。
小僧が境内の掃除をしていたときのこと。
あれおかしいな?地蔵さまの足がこんなに汚れてる。
小僧は急いで地蔵さまの足をきれいにした。
あくる日また小僧が掃除をしていると…。
あれ?また足に汚れが…。
ん?これはもしや地蔵さまの足跡か?和尚様!どうも地蔵さまの様子がおかしいのです。
どこぞで夜遊びでもしているんじゃないでしょうか。
お前疲れとるな。
少し休むといい。
和尚さんは相手にもしてくれなかった。
しかしどうしても気になった小僧は隠れて地蔵さまの様子をうかがうことにした。
う〜我慢我慢。
地蔵さまに聞こえてしまう。
あっ!和尚様!なんじゃこんな時間に…。
とにかく早く早く!なんとお前の言うとおりだったとは。
しかしどこへ行くのでしょう?隣村の寺まで来てしまったぞ。
和尚様あれを。
あれはこの寺の女地蔵さまか?うちの地蔵さまと恋仲だったとは。
なんと地蔵さまは隣村の寺にいる女の地蔵さまと恋仲であった。
毎晩せっせと通い逢瀬を重ねていたのだった。
これは困ったもんじゃのう。
酷なようだが地蔵さまに恋は御法度じゃ。
夜な夜な地蔵さまが出歩かないように柵をした。
ところが!和尚様大変です!地蔵さまが!なんと柵を破って行くとは。
地蔵さまの力はすごいですね。
そこで再び柵を直したのだが。
恋する地蔵さまの前にはそんなことをしても無駄だった。
いてっ!ん?なんでぇおめえやけに硬いなぁ。
まるでお地蔵さまだ…うぇ〜!その晩も更に柵を厳重にしても女地蔵さまのもとへ通ったのだった。
あれまぁ…。
地蔵さままた柵を壊して出かけたんですか。
なんとまぁ…。
和尚様。
もう許してあげてはいかがでしょうか。
そうさのう。
三度目の正直というしまた柵を直すのもバカらしいな。
2人の恋のゆくえを見守りましょう。
よかったですね地蔵さま。
しかしそれ以来地蔵さまは出かけるのをピッタリとやめてしまった。
せっかくお許しが出たというのにどうして会いに行かないんですか?おや?頭にコブが。
どこかにぶつけたんですね。
何かあったのですか?地蔵さまを心配した小僧は恋仲である女の地蔵さまのもとを訪ねた。
あれ!うちの地蔵さまは寺にいるのに。
そしたら一緒にいるのは?なんと女の地蔵さまには他にも相手がいたのだった。
あららうちの地蔵さまはフラれてしまったのか。
もしかしてあのコブ女の地蔵さまを取りあってケンカをしたのかもしれないな。
実はこの女の地蔵さま恋多き乙女であった。
なるほどそうであったか。
それは気の毒じゃったのう。
地蔵さま元気を出してください。
地蔵さまが女の地蔵さまにフラれたという話はあっという間に広まった。
村人たちはふびんに思い寺を訪れては地蔵さまを見舞った。
しかしそれから困ったことに地蔵さまがいつも逢瀬のときに渡っていた橋を恋仲の者どうしで渡ると縁が切れてしまうということが続いたためその橋は縁切り橋と呼ばれるようになった。
村人たちはきっと地蔵さまがやきもちをやいているんだと呆れてため息をついた。
困った地蔵さまじゃのう。
あっヤキモチ地蔵さまだ。
ヤキモチ地蔵さまかなるほどそのとおりだ。
ホホホ。
うちの娘にコブができてしまったんで早く治してくださいね。
地蔵さまは人の恋路は邪魔するがコブやおできで悩む人々を元気にした。
いつからか願いが叶ったときにはその名にちなんで焼き餅を供えるようになった。
そして村人たちに末永く慕われ続けたということです。
(三九郎)あ〜今日はええ天気じゃのう。
ふうええ心持ちじゃ。
昔むかしあるところに三九郎という名のおじいさんがおりました。
三九郎じいさんは毎日山に薪を取りに行きました。
ん?
(鳥の鳴き声)こりゃすまんこっちゃな。
ごめんよ。
森の動物たちはみんな優しい三九郎じいさんのことが大好きでした。
あたたかい春の日は動物たちと一緒に昼寝をしてすごしました。
ところがこの山にはいたずら者の狐が棲んでいて。
ハクション!ん?ん?三九郎じいさんにいたずらをしては困らせていました。
冬になると三九郎じいさんは毎日山を下り春から集めてきた薪を町へ売りに行きました。
そして夕方になると買った食べ物を馬の背に積み家路につきました。
シーッシッシ!ある日のことあのいたずら狐が現れ三九郎じいさんの馬に飛び乗りました。
「スズメはチュンチュン忠三郎」「お馬はシャンシャン三九郎」ヘッヘ!三九郎じいさんは困ったものだと思いましたが狐のことは相手にせず帰り道を急ぎました。
カァカァカァ。
「カラスはカァカァ勘三郎」「お馬はシャンシャン三九郎」「一日運んで米一升豆一升」あ〜ばよ!やれやれ食べ物をまんまと取られてしまったわい。
まったく大損だねぇ。
だども狐の女房子供も腹を減らしているだろうしな。
何を言うだ。
性悪狐はこらしめねばなんねえだど。
まあな。
それからまた何日か経ったある日のこと。
「スズメはチュンチュン忠三郎」「カラスはカァカァ勘三郎」「お馬はシャンシャン三九郎」「一日運んで米一升豆一升」三九郎!三九郎!「一日運んで米一升」「一日運んで豆一升」狐はおじいさんから米や豆を奪い取って食べるよりもおじいさんの家へ入り込んでもっとうまいもんを食べたいと欲を出しました。
炊きたてのふっくらご飯や大好きな油揚げやいなり寿司肝吸い付きのうな重天ぷらと刺身の盛り合わせ。
思い浮かべるだけで狐はもう我慢できなくなりました。
ん?どうした?ハァ…。
こりゃ大変じゃ!三九郎じいさんは狐の仮病とも知らず家で看病してやろうと思いぐったりしている狐を馬の背に家路を急ぎました。
シーッシシ!家に帰ってみると狐の姿は消えていました。
どうしたんかのう?あの弱った様子じゃどこにも行けんだろうになぁ。
なあに性悪狐のことじゃまた何か企んどるに決まっとるだ。
そうかもな。
久しぶりの米のご飯ふっくらとうまそうに炊けとるがな。
まずは仏さんにあげなきゃのう。
しばらくご飯のお供えをせんですまなかったの。
よっこらしょ。
(お鈴の音)ナンマンダブナンマンダブ…。
おや?まあ!不思議なこともあるもんじゃな。
仏様が2人いらっしゃる。
いったいどうなってるんじゃ?ははこれは…。
おじいさんこっちに来てけれ。
薪を薪ざっぽうを持ってきてくれろ。
どうしたんじゃばあさん。
あれじゃよあれ。
ありゃま。
どっかよその仏さんが来たんじゃろな。
うちのはどっちじゃ?うちの仏様はお供え物をすると鼻をくりくりっと動かして召し上がるありがたい仏様なんじゃ。
うわ〜いたたた…。
やっぱりお前だったね。
もうここには来るんじゃないよ。
うぅ〜キー。
コンコーン。
今日もええ天気じゃ。
こうして鼻をぺちゃんこにされた狐は三九郎じいさんに会っても決していたずらをしなくなったということです。
昔むかしある町にふくろうが営む染め物屋がありました。
このふくろうまじめで腕がよく店はたいそう繁盛しておりました。
お客は次から次へとやってきて長い行列ができるほどでした。
鳥たちはそれぞれ思い思いの色に染めてもらいみんな満足しておりました。
さてその町の近くの森の中に1羽のカラスがおりました。
カー。
俺カッコイイだろう。
(スズメの鳴き声)ほらあの子たち俺の噂しているよ。
それがまたカッコイイんでチュン。
へ〜見たいでチュン。
お〜い俺はここだよカー。
白くて大きくて羽を広げると紅色に変身するんでチュン。
紅色に変身だって?キミたちいったい誰の話をしてるんだい?もちろんトキさんでチュン!カラスはその噂を聞いていても立ってもいられなくなりトキを捜しに行きました。
カラスがトキに尋ねてみると紅色の羽はふくろうに染めてもらったということでした。
そこでカラスは早速ふくろうの染め物屋へと向かいました。
羽の内側を赤く染めてほしいんだカー。
ホー。
かしこまりました。
いかがでございましょう。
気に入ったカー。
どうだい?母ちゃん。
俺カッコイイだろ?おやまあ。
あんたどうしたんだい?ケガをしてるんじゃないカー。
ケガ?違うよ。
これはふくろうの染め物屋で染めてもらったんだ。
トキみたいだろ?トキ?どっから見たってお前はカラスだよ。
なんだよ母ちゃん。
(ムクドリの鳴き声)おやムクドリの奥さんたちが何か話をしているよ。
カワセミのご主人はいなせだねぇ。
そうそうさっと川に飛び込んだかと思うとあっという間に獲物をくわえて飛び去るんだからね。
まったくいつもゴロゴロしているうちの旦那とは大違いだよ。
ほら見てごらん。
あそこにカワセミのご主人がいるよ。
あの鮮やかな瑠璃色。
まったく宝石のようじゃないか。
カーッコイイ!カラスは自分もカワセミのようになりたいと思いまたふくろうの染め物屋へと向かいました。
ホー。
カワセミさんと同じ色にという注文はわかりました。
しかしカラスさんにはカラスさんにお似合いの色があるのではないでしょうか。
いいからカワセミとそっくり同じにしておくれ。
ホー。
宝石みたいだカー!さて誰かに見せびらかそうとカラスが空を飛んでいると地上にキジの娘たちがいるのが見えました。
やあやあ娘さんたち。
どうだい?俺カーッコイイだろう。
そうね。
確かにすてきな色合い。
だけど何か物足りない。
ケーン。
キミたちお待たせ。
待ってたのよ。
さあ今度こそ決めてちょうだい。
(2人)私たちのどっちを選ぶの!?ケッ…ケーン!カーなんだいあいつ。
お〜いキミ。
もしかしてその色ふくろうに染めてもらったのかい?ああそうさ。
よ〜し。
それじゃあ俺だって!首のまわりは青く胸は鮮やかな緑色。
顔は力強く真っ赤に後ろの羽は…。
そう金と銀にしておくれよ!そうあちこちいろんな色にしてもきっとお気に召しませんよ。
いいからもっと目立つ色にしておくれよ。
おいら人気者になりたいんだ。
お言葉を返すようですがただ色を増やしたって人気者にはなれませんよ。
なんだって!俺は客だぞ。
言うとおりにしろってんだカー!ホ…ホー。
ふくろうは考えました。
考えて考えて考えて…。
そして1つの瓶にすべての染料を入れよ〜くかき混ぜました。
やがていよいよ準備が整うと…。
よ〜しいきますよ。
目をつぶって…ホー!カラスは翼から尻尾の先までまるで深い闇のような色になりました。
黒尽くめってのも粋だねぇ。
新しいでチュン。
キミによく似合ってるじゃないか。
こんなの俺は嫌だよ。
頼むから元に戻しておくれ!ごめんなさい。
元の白にだけは染められませんホー。
なんだって!カー!こうして全身真っ黒になってしまったカラスは怒ってふくろうを責め立てました。
それからというものカラスはふくろうを見かけるとさんざん文句を言うようになったので…。
ふくろうはカラスを避けて夜だけ表に出てくるようになったということです。
ホーホー。
2014/09/14(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「恋する地蔵さま」
「いたずら狐のぺちゃんこ鼻」
「ふくろう紺屋」
の3本です。お楽しみに!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】湯浅康生
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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