さわやか自然百景「北アルプス 黒部五郎岳」 2014.09.14

(テーマ音楽)北アルプスの懐深く。
奥にそびえるのは黒部五郎岳です。
遅い雪解けが始まり高山植物が山肌を鮮やかに彩ります。
新しい命が次々と誕生するこの季節生き物たちは子育てに追われます。
つかの間の夏。
雲の上の世界できらめく命のドラマを見つめます。
北アルプスの中で最も奥深い黒部川源流域。
山々の間を縫うように日本有数の急流黒部川が日本海へ下っていきます。
こちら富山と岐阜の県境のりょう線にそびえるのが黒部五郎岳です。
山頂のすぐ下には大きな谷カールが広がります。
カールは高さ200mほどの岩の壁に囲まれたおわんのような形。
氷河に削り取られて出来ました。
「ゴーロゴロ」した大きな岩が転がっています。
これが黒部「ゴロウ」岳の名前の由来。
硬い花こう岩が氷河によって削られ大きな岩が取り残されています。
太古の氷河が残した見事な自然の造形です。
7月まだ雪の残る岩場。
小さな鳥が盛んに鳴いています。
巣立ったばかりのイワヒバリです。
(鳴き声)こちらが親鳥。
親子で食べ物を探し回っているようです。
(イワヒバリの鳴き声)やって来たのは雪の上。
気温が低く虫の動きが鈍っているため簡単に捕まえる事ができます。
遅い雪解けがもたらす思わぬごちそうです。
黒部五郎岳の短い夏。
季節は駆け足で移ろいます。
カールの底に残る1m近い雪。
日ざしが強まると雪解けが進みます。
僅か3日間で10m以上後退します。
雪の下では高山植物が開花のチャンスを待っていました。
ここは標高2,600m。
9月下旬には初雪が降ります。
そのため植物は急いで花を咲かせなければなりません。
チングルマは数日でつぼみをほころばせます。
雪解けが遅い場所は夏でも豊かな水に恵まれているのです。
チングルマは雪が消えた所から花を咲かせていきます。
こちらはミネズオウ。
乾燥しやすい高山で水分の蒸発を防ぐのは分厚い葉です。
厳しい環境に耐え一瞬の夏に命をつなぎます。
日一日と消えていくカールの中の雪。
周囲の山々の雪も谷筋に僅かに残るだけです。
黒部五郎岳山頂から望む木曽の御嶽山。
そして北アルプス。
3,000m級の頂が連なる穂高連峰。
りょう線の先には槍ヶ岳。
山々には黒い岩肌が現れ本格的な夏の到来を告げています。
カールの中に広がるハイマツの林。
カヤクグリがいました。
繁殖のため山に上ってきています。
(鳴き声)茂みの中からにぎやかなヒナの声。
4つの大きな赤い口がのぞきます。
(鳴き声)親は食べ物を待ちわびるヒナとハイマツの林を行き来します。
ヒナは親が運んでくる虫を口に入れてもらおうと必死に伸び上がります。
(鳴き声)親が離れるとヒナは静まり返ります。
こうなると巣が天敵から見つかる事はありません。
この季節カールの中の高山植物にはたくさんの虫が集まります。
ここは鳥たちにとって食べ物に困らず子育てにはうってつけの場所なのです。
こちらホシガラス。
ハイマツの上を飛び回っています。
ホシガラスも子育ての真っ最中。
左側が5月ごろ生まれた子供。
親とほぼ同じ大きさです。
でもまだ食べ物を自分でうまく取れないようです。
まだ足りないのか子供は羽をばたつかせておねだり。
親は飛んでいってしまいました。
ホシガラスは巣立ったあともしばらくは親子一緒に過ごします。
この短い夏の間に自分で生きるすべを身につけなければならないのです。
忙しい夏の一日の終わり。
黒部五郎岳の生き物たちはしばしの休息です。
朝5時。
気温は7℃。
山頂から朝の光が降りてくるとカールの生き物たちはゆっくりと目覚めます。
朝方の冷え込みで高山植物の花や葉は露にぬれています。
過酷な自然がもたらした水分が植物の恵みになります。
朝一番に動きだしたのはライチョウの親子。
冬の間も高山から下りない唯一の鳥です。
卵からかえるとヒナはすぐに自分の足で歩き食べ物を探します。
高山植物の新芽や柔らかい葉を夢中になってついばんでいます。
見守る母親。
時々声を出してヒナたちに自分の居場所を知らせています。
その上空には…。
チョウゲンボウ。
全長35cmほどのハヤブサの仲間です。
ホバリングしながら地上の小さな動物や鳥を狙っています。
チョウゲンボウが足に何かをつかんで飛び上がりました。
ネズミかオコジョ。
小さな動物を捕らえたようです。
ライチョウのヒナの中で無事に冬を迎える事ができるのは半数にも満たないのです。
生き延びるためには早く大きくならなければなりません。
ヒナは懸命に食べます。
北アルプス黒部五郎岳。
天上のお花畑の短い夏です。
生まれてきた命を守るため親たちの奮闘が続いていました。
2014/09/14(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北アルプス 黒部五郎岳」[字]

北アルプスの奥深くにそびえる黒部五郎岳。山の斜面には、氷河に削られて出来た広大な谷“カール”が広がる。夏、雲上のお花畑で子育てに励む生きものたちの奮闘を描く。

詳細情報
番組内容
北アルプスの奥深くにそびえる黒部五郎岳、標高2840メートル。山の斜面には、氷河に削られてできた広大な谷“カール”が広がる。残雪が消えた跡にはコイワカガミやチングルマなどの高山植物の大群落が現れる。夏、生きものは子育ての真っ最中。岩場にはイワヒバリやライチョウの子ども。ハイマツの木陰ではカヤクグリが巣を作り、ヒナに虫を運ぶ。黒部五郎岳のお花畑で子育てに励む生きものたちの奮闘を描く。
出演者
【語り】中村慶子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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