日本!食紀行 2014.09.14

よいしょ。
いいか?梅雨の中休みとなった6月の日曜日。
(一同)せーの!もう一回上げて。
せー…!よし!
(一同)せーの!神社の境内でお祭りの準備が始まりました。
お祭りはね一種独特でもう他のものには絶対…あれだね負ける事はないな。
やっぱり毎年これなければ…。
そのために俺秋田に就職したって感じですもんね。
そうなんで。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!毎年7月秋田市で行われる土崎港曳山まつり。
(一同)せーの!せーの!普段は静かな港町もこの祭りが近づくとどこかそわそわし始めるんです。
例えば学校。
祭りの2日間は全てお休みとなるのがこの町の常識。
(先生)参加者として楽しみ観客として楽しむ。
さらに祭り当日町の美容室はどこも夜明けとともに女性客でいっぱい。
いつもはおしとやかな秋田美人もこの日だけは派手に決めるんです。
(女性)「いつもので」って。
馬です。
馬?馬?若い女性が馬に変身している頃町のスーパーには祭りに欠かせないある食材が登場。
昆布のようにも見えますがその名前は…かすべ。
(店員)干しかすべのお料理でごちそうでございます。
そうですよね。
トロッとしてこう…。
(店員)かすべでございますね。
干しかすべ。
こちらいろんな種類の干しかすべがございます。
今日の『日本!食紀行』は東北秋田の港町が舞台。
はいかすべですよ。
はいどうぞ。
伝統の祭りの食の主役。
甘辛〜いふるさとの味を学びます。
日本海に面した古くから港町として栄えたここ土崎には町のみんなが大切にしているお祭りがあるんです。
それが目抜き通りを中心に毎年7月20日から2日間行われる土崎港曳山まつり。
江戸時代から続くにぎやかなお祭りです。
各町内がそれぞれ大きなヤマを引いて町の神社へ参拝するこの行事。
国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
今年は20の町内が祭りに参加。
ヤマには肌の露出が多い港町ならではの武者人形を飾ります。
(男性)左足もうちょっと後ろさずらせるっすか?気持ち。
ああ…。
海で働く男たちの姿を重ねたこの人形は祭りのシンボルです。

(音楽)さてこの祭りを食で支える料理名人をご紹介しましょう。
今年80歳になる…。
この町に嫁いできて60年になります。
祭りの2日前。
タチさんなじみの乾物店へ向かいました。
(店員)真かすべの身の厚いところなので…。
(タチさん)厚いとこだね。
(店員)はい。
手にしたのはかすべという食材。
(店員)ええ。
(タチさん)ねえ。
一体どんな魚なんでしょう?
(タチさん)これ5個でいくら?ちょっと…。
北海道から届いたばかりのかすべが山積みとなっていました。
かすべの正体は水族館でもおなじみのエイ。
冬にとれたエイを乾燥させて秋田に運んでいます。
土崎地区は江戸時代日本海を行き来した北前船の寄港地として栄えました。
米を積み込む代わりに北前船が置いていったのが北海道の海産物でした。
かすべのような乾物は腐りにくいため冷蔵庫がなかった時代でも日持ちがします。
そこで土崎の人たちは夏場暑さで思うように食材がそろわない時蔵にしまっていたかすべを取り出し煮付けにして食べる習慣があったんです。
かすべの値段は100グラムなんと1020円。
最高級の牛肉並みです。
もう3つ足して?ええ。
900なるかならないかそこら辺。
はいわかりました。
子供や孫も大きくなり日中は夫婦2人で過ごす事が多いタチさん。
夫の幸悦さんは50世帯が暮らすここ新町の町内会長を務めています。
町を離れた人たちも祭りの日にはヤマを引きに戻ってくる。
幸悦さんはそのにぎやかさが好きなんですが…。
ある程度の…。
いやぁやっぱりフフフ…。
(幸悦さん)ハハハ…!今タチさんの息子は埼玉県で働いています。
看護師を養成する専門学校。
長男の徳幸さんは精神看護学を教えています。
抗生物質が効かなかったのね。
看護教員の資格は9年前に取りましたが秋田県内の学校に採用の空きがありませんでした。
電車に揺られて家に着くのはいつも10時を過ぎてしまいます。
54歳で独身。
1人になるとやはりふるさとの事が気になります。
フフフ…。
もうね…。
そっちにねなんか意識がいっちゃってドキドキ。
フフフ…。
(徳幸さん)なんかね節目というか区切りというかね…うん。
なんていうかな…。
祭りが終わると1年が終わった。
また1年の始まりだって…。

(お囃子)祭りの当日。
新町も見事なヤマを組み上げました。
大正時代に作った化粧板を今もそのまま土台に使う新町のヤマ。
縄だけで組み上げ釘は一切使っていません。
銀の波しぶきの向こうで刀を振り上げるのは戦国時代の剣豪塚原卜伝。
化け猫退治の一幕を勇壮に表現しました。
気になっていた天気もどうやら持ってくれそうです。
(知花さん)おはよう〜。
(タチさん)おはよう。
知花ちゃん。
最初に戻ってきたのは孫娘の知花さん。
お向かい入れるといい…。
車今送ってもらったから。
送ってもらった?あらま。
ちょっと荷物持ってくる今。
息子の瑠希斗くんも一緒です。
(タチさん)あら〜ルキおにぎり食べてきた?食べてきた。
(タチさん)はい足。
(瑠希斗くん)ちょっとこれ長いんじゃない?
(タチさん)ちょっとくらいはね…。
祭りの浴衣はタチさんの手作りです。
(幸悦さん)かっこいいなぁ。
(瑠希斗くん)かっこいいって?
(幸悦さん)かっこいいなぁ。
ギリギリまで仕事に追われていた徳幸さん。
(徳幸さん)ただいま。
(タチさん)おっ!おかえり。
よいしょ。
はあ…。
(タチさん)早くてよかったね。
うん。

(お囃子)
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!神様が宿ったヤマを引く事で町の災いや悪霊を追い払うこの祭り。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!「ジョヤサ」の掛け声はますます栄えるという意味の「いやさか」に由来するともいわれています。
(男性たち)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!それぞれの町内がその年の世相や流行りを川柳にしてヤマに掲げるのもこの祭りの伝統。
今年の新町は…。
「名は結弦金は譲らぬ羽生スター」人形が羽生選手に似ていないところはご愛敬。
(男性たち)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!無事にヤマの出発を見届けたタチさん。
今度は台所での大仕事あのかすべ作りが待っています。
2日前から水につけていた干しかすべ。
身もふっくら戻りました。
あまりおいしくない魚のカスだからかすべだ。
…なんて言う人もいますがそんな事はありません。
手間を惜しまず愛情込めてじっくり料理すれば最高のごちそうになるんです。
味付けは酒としょうゆそれにザラメを…。
あらタチさん結構たっぷり入れるんですね。
そう疲れた時はちょっと甘い方がうれしいんです。
あとはとろ火で煮詰めていけばタチさん自慢のかすべの出来上がり。

(お囃子)さてヤマは目抜き通りに入ってきました。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ここが一番の見せどころ。
おっこの帽子姿は徳幸さん。
(徳幸さん)オラーッ!オラーッいけー!ジョヤサー!ジョヤサー!オラーッ気合入れていけよ〜!祭りの前今年は若い衆に任せておとなしく。
…なーんて言ってた徳幸さん。
ジョーヤサジョヤサ!
(男性)ジョーヤサジョヤサ!ジョーヤサジョヤサ!
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!やっぱり血が騒いでしまいました。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!さて通りの脇の小さな駐車場でヤマが来るのを待ち続けている人たちを見つけました。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!たすきを見ると皆さん町もバラバラみたいですが…。
(スタッフ)すみません秋田放送なんですけれども皆さんこれなんの集まりなんですか?
(スタッフ)同級生?へえ〜。
地元の中学校昭和62年卒業の同級生。
(スタッフ)地元の中学校?ええ。
毎年かすべを酒の肴にここで同窓会を開いているんだとか。
(女性たちの笑い声)道行くヤマに懐かしい顔を見つけては同窓会に誘います。
あっ原田だ!あっ原田〜!原田〜!なんだいっぱいいたね。
イエーイ!ハハハ…!
(スタッフ)昔話で
(一同の笑い声)
(女性)先生に怒られるでしょ。
先生に謝る係みたいな…。
先生のところに謝りに行く人怒られる人…指示をする人。
怒られる人。
あ〜!卒業からまもなく30年。
仲間の多くは今はふるさとを離れて暮らしています。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!商店街の外れでちょっと訳ありな宴会が開かれていました。
乾杯!ジョヤサ〜!近所の皆さんが集まったこの宴会。
実はこの町内今年祭りにヤマを出す事が出来なかったんです。
(男性)サザエうめえべや?
(男の子)ねえ俺もう1個!俺…!悲しいっすけどけど今年出してるヤマをこう応援したい。
気持ちではいます。
(佐藤さん)ヤマ来た!ヤマが…。
(佐藤さん)ヤマ来た行くよ。
(男の子)ヤマ来た!ヤマを出すには人手もいるし寄付も集めなければいけません。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!土崎地区37町内のうち半数近くは今年ヤマを出す事が出来ませんでした。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!
(徳幸さん)はいみんなも。
はい乾杯〜!
(一同)乾杯〜!この日の夜。
いつもよりにぎやかな上村家の食卓です。
メーンはもちろんタチさんが作ったかすべの煮付け。
(徳幸さん)ほらすごいおいしそうなかすべ。
おばあちゃんいただきます。
(知花さん)いっちゃってください。
家庭によって作り方が微妙に違うかすべはまさに港町のおふくろの味。
味…味が。
だからね他で食べてもう〜ん…。
(スタッフ)今年のかすべの味はどうですか?これは結構ねうまい。
うまいっていうかかすべ自体もなんかいいかすべかな。
うん。
(徳幸さん)これは何グラム何グラムとか量ってるわけじゃないんだけれども必ず同じ味になるんですよね。
これがやっぱり長年のあれですよね。
いやまた…。
(美香子さん)来年もまたね。
「長生きしなきゃな」でしょ?
(お囃子)さて祭りの味を守っていこうとする人たちもいます。
新町の踊りの名手池田麻由さん。
物心ついた時から毎年ヤマの前で踊りを披露してきました。
祭りの間は稽古が忙しく料理は二の次三の次。
でも30を過ぎ土崎の女としてそろそろかすべを煮なければと考えていたんです。
そこでこの夏幼なじみと2人初めてかすべ作りに挑戦です。
優しく。
優しく。
丁寧に。
はい。
父親と一緒に暮らしている麻由さん。
いつもの料理ならお手のものですがかすべ作りは新聞の切り抜きが頼りです。
うん。
うん。
出終わって…。
で15分終わったら開けて…。
うんうん。
ねっいいにおい。
こんなに…。
(麻由さん)ジャーン。
(遠藤さん)おお〜。
(麻由さん)いいんじゃない?
(遠藤さん)なんかいいんじゃないかな。
普通なら鍋で1時間以上煮込むところを時間短縮を狙って圧力鍋を使ってみた2人。
(遠藤さん)うんおいしい。
はいお待たせしました。
出来ました。
家族の評価はどうでしょう?うめえ。
二十歳ぐらいの時はみんなやってる。
(麻由さん)よかった。
はいどうぞ。
うん。
場所によって軟らかいとことちょっと硬いところがまだあるからもう少し均一に軟らかくなれば理想だと思う。
(麻由さん)勉強します。
(亘さん)ちょっとでも最初食べたところがちょっと硬かった。
味付けはいい。
うん。
お父さんの評価はちょっと辛め。
あっでも確かにここすごい硬いな。
でも麻由さん大丈夫。
みんなここからうまくなっていくんです。
ちょっとは…さわりぐらいは。
まだまだだけど…。
まだまだ修業してねおいしく煮付けれるように。
うんうん。

(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!2日間の祭りも終わりが近づいてきました。
(一同)ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!ジョヤサ!
(お囃子)『ドンドコドッケ』無事に戻ってきたヤマを囲んで踊りは深夜まで続きます。
祭りの翌日。
通りに残ったヤマの跡を見て土崎の人たちはまた次の1年が始まった事を感じるんです。
あっという間の里帰りだった徳幸さん。
タチさんが作ったあのお土産もちゃんと詰め込みました。
港町ににぎわいが戻った2日間。
徳幸さんまた来年もかすべが待ってますよ!次回の『日本!食紀行』は福島。
絶品料理を生み出すキュウリに学びます。
2014/09/14(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]

秋田県の港町に江戸時代から伝わる伝統行事・土崎港曳山まつり。祭りの期間中、各家庭で提供される『かすべ料理』をご紹介。町の人が愛してやまないご馳走、かすべとは!?

詳細情報
◇番組内容
かすべはエイの乾物で、その昔、北前船によって北海道から運ばれました。2日間水で戻して、醤油・酒・ザラメで甘辛く煮付けて食べます。乾物のかすべは日持ちがすることから、夏のもてなし料理として珍重されてきました。今年80歳になる上村タチさんは、かすべ作りの名人。祭り当日の7月20日には毎年大鍋でかすべを煮付けます。
◇番組内容2
祭りには都会で働く息子や孫もみんな帰ってきます。家族をかすべでもてなすのがタチさんの楽しみ。港町が活気に溢れる祭りの様子を通して、人々のふるさとへの思いを描きます。
◇番組内容3
日本全国各地の「食」を通して、地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び、温かいコミュニティーなどを四季折々の美しい風景とともに描き出す教育ドキュメンタリー番組。
◇ナレーション
田村 修(秋田放送アナウンサー)
関向良子(秋田放送アナウンサー)
◇音楽
エンディングテーマ曲
Bom Dia ! / 柏木広樹
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/

この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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