(ナレーション)
京都の夏の風物詩園祭
今年の山鉾巡行でひときわ大きな注目を集めた鉾がある
幕末の兵火で焼失して以来150年ぶりに巡行した大船鉾である
園祭に新たな1ページを加えた大船鉾
その復興の軌跡とは…
八坂神社の祭礼園祭
3基の神輿が御旅所に行き還ってくる神幸祭と還幸祭からなる
山鉾巡行はその二つの神事の露払いとして7月17日と24日に行われていた
前祭と後祭である
後祭の山鉾巡行の殿は大船鉾と定められていた
かつて呉服問屋が軒を連ねていた京都市下京区四条町
大船鉾はここ四条町の鉾である
ずっと四条町で暮らしてきた
81歳になった今年初めて大船鉾に乗って巡行した
(松居さん)まあこの町内はもう鉾がないんやと。
到底復興ということは全然…子供の頃は考えもつきませんでしたし実現は遠いもんやというふうに思ってましたけれど。
創業70年の呉服商「木村商店」
三代目の木村宣介さんは大船鉾の復興事業を牽引してきた人物である
鉾のない四条町で生まれ育った
園祭になると家の前を威風堂々と船鉾と岩戸山が通っていった
まともに見れへんような寂しい感じはしてましたね。
うちにも鉾あったのになんでうちだけはないんやろうなっていうような。
胸の奥にしまい込んでいたやり場のない寂しさが大船鉾復興の原点なのかもしれない
大船鉾は神功皇后を祭神としおよそ600年の歴史があるという
幕末の蛤御門の変で焼失したが四条町の人々は残された御神面と懸装品を守り居祭と神事を続けていた
鉾を失っても神を敬う心は途切れることなく受け継がれた
だが平成7年居祭を中止し神事だけを営むという決定が下される
やっぱり住宅事情の変化。
といいますのはこれまで京町家の呉服店なんかが多かったんがまあ会社組織になり住宅は郊外に移して会社だけやると。
それとこの町内の人々の高齢化ですね。
金幣にしたって懸装品にしたって大変重たいんでもうちょっと年寄りにはとても持てませんので。
時代と共に町は変化する
伝統行事を続ける難しさが浮き彫りになった
なんでやと。
僕たちの耳には決定の…完全に決定するまで届かなかったもんですから。
園祭に参加し続けたい
木村さんはそんな思いを共有する住人たちと途絶えていた園囃子を復活した
その後メンバーを募り囃子方を結成
平成18年には懸装品を飾る飾席を復活させた
ところが…
(木村さん)「飾席で満足するんやったら私はもうちょうど囃子方10年やったんでここで身引かしてもらいます」と…。
結局その仲間が言ったひと言で「これこんなことしてたらまた繰り返す」と…。
それでもうこれは復興っていう言葉を実際に口に出してもう100年かかってもええからそれに向かって進んでいかなあかんねやと。
木村さんは四条町の住民と有志からなる「大船鉾の復興を考える会」を結成
復興事業を本格的に始動させた
大船鉾の設計を任された建築士がいる
釘やボルトをなるべく使わない伝統軸組構法に造詣が深い
町家の再生や修理を手がけながら山鉾の構造研究を続けてきた
設計にあたり末川さんは大船鉾と同じ船型の鉾船鉾を実測させてもらった
その数値と四条町に伝わる懸装品の寸法を基に設計図を作り上げた
(末川さん)普通の建築ではもう見たこともないような木材と木材の接合点なんですけど…そういうものがあって。
実測してるときはほんとに何がなんやら分からんかったんですけどそれがどういう向きでどういう力を受けてるんかというようなことがだんだん理解が及ぶにつれてこれはもうほんとにすごい知恵の塊やなぁということは思いました。
昭和27年に復活した菊水鉾そして昭和56年に復活した蟷螂山の製作を請け負った
その実績が見込まれ大船鉾の製作を任された
末川さんが設計し「竹田工務店」が作った大船鉾
船体が完成したのは平成23年10月であった
「やった〜よかった」じゃなくて「あれ?これ足りひんぞ。
屋形が欲しいな」と思いましたね。
船体に屋形がのせられたのは今年の1月であった
京都の経済界やほかの山鉾町そして全国の人々の支援を受け復興は進んだ
5月6日晴れ渡った空の下白木もまばゆい大船鉾が姿を現した
これから試験曳きが行われる
おかげさんで皆さんのねご協力によってここまでいきましたんでね。
まだここまで当初はできるとは思うてませんでしたんで感無量ですな。
(2人)ヨ〜イヨ〜イエ〜ンヤラヤ〜!
大船鉾に命が吹き込まれた
綱を曳くのは復興を支える団体や有志たち
どこの鉾町も少子高齢化に伴い住人だけで曳き手をそろえるのは難しい
続いて回しの練習である
青竹に水を掛け車輪を滑らせる
(音頭取たち)ヨ〜イトセアア〜ヨ〜イトセ!・いけいけいけ!・回った回った!・おお〜!・おお〜!
(拍手)いやいやもう感動しますわ。
みんなうまい!はははっ。
初回とは思えないですねこれ。
こうして無事試験曳きが終了した
・
(園囃子)
7月17日。
今年から山鉾巡行は古式に戻り前祭と後祭の2日に分けて行われた
前祭のこの日は23基の山鉾が巡行した
山鉾巡行終了直後四条町で鉾建てが始まった
大船鉾を失って150年
その空白が3日掛かりで埋められていった
そして7月20日の朝大船鉾が出航の準備を整えていた
巡行まであと4日
園祭の後祭で150年ぶりに巡行した大船鉾の雄姿をご紹介します
2014/09/14(日) 06:15〜06:30
MBS毎日放送
美の京都遺産[字]
「祇園祭・大船鉾1」
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)
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