(葉月)宣誓良心に従って真実を述べ何事も隠さず偽りを述べないことを誓います。
証人篠宮葉月。
(森田)証人の職業は?医師です。
関東監察医務院で解剖医をしています。
東京都内では1日約五十件の変死体が発見される。
その死体はなぜ亡くなりその死に事件性はあるのか?それを探り死者に安らかな眠りをもたらすことが監察医の仕事だ。
死体の口は閉ざされ舌は動かない。
けれど検死や解剖を通して死体はその死の原因を雄弁に語る。
なお現在監察医制度がある都市は東京横浜名古屋大阪神戸の5都市である
(望月)あなたは被害者村越吾郎の検死と解剖を担当しましたか?はい。
私が検死し事件性があるとみて司法解剖しました。
この鑑定書はあなたが書いたものですね?はい。
本死体には以下の所見が見られる。
後頭部に挫裂創。
死因は後頭葉に形成された脳挫傷であり後頭部を殴打されたことによる直接損傷である
後頭部を面積の小さな鈍器つまり金属バットや鉄パイプのようなもので殴られたことによる殺人。
そういうことですね?はい。
事件は去年の10月に起こった。
世田谷区で金融業村越吾郎の遺体が発見され金銭トラブルがあった沢田俊彦が逮捕されたというものだ
沢田は警察の取り調べに対し犯行を自供したが法廷では否認に転じた
被告人は警察での捜査段階で被害者を鉄パイプで殴打したと供述しています。
この鑑定結果は被告人の犯行を裏づけるものですね?はい。
終わります。
弁護人反対尋問は?ありません。
このあと弁護側の証人を呼んで反論したいと考えます。
証人ご苦労さまでした。
(香苗)夫は殺してない。
夫は人なんか殺してない!
(森田)傍聴人は私語を慎んでください。
(森田)証人の職業は?医師です。
多摩医科大学で法医学の教授をしております。
医長!もう遅刻ですよ。
なんか地下鉄たくさんあって…。
もう始まってます!井岡先生あなたは証拠とされる鑑定書を読まれましたね?はい。
凶器による殺人事件だと断定することは妥当でしょうか?いえ。
私はこれは転落事故だと判断いたします。
(真理子)事故だと判断する根拠は何ですか?脳の前面に見られる対側損傷です。
対側損傷とは何ですか?打った場所とは反対側に出る脳の損傷です。
転倒して地面や壁などの広い面で頭部に衝撃を受けたときに起こります。
ということは被害者の致命傷は石段から転がり落ちたことによるものだった?まあそう考えるのが妥当でしょう。
鉄パイプで殴打されたようなことは考えられないんですね?
(井岡)はい。
つまり本件は事故だったと?はい。
(真理子)被告は被害者と口論になりもみ合ううちに被害者は石段を転げ落ちた。
これは事故です。
被告に落ち度があったとしても殺意をもって故意に突き落としたわけではありません。
まして警察で自供したとされる鉄パイプで殴打したという事実はありません。
取り調べ段階での自白は密室の中で強要され誘導されたものです。
何より凶器とされた鉄パイプは警察の徹底した捜査によっても発見されませんでした。
そんな凶器など存在しないからです。
終わります。
(森田)証人ご苦労さまでした。
本日の審理はこれまでとします。
(添田)お疲れさまです。
菊地さん。
ご無沙汰してます。
ちょっとお話を…。
あなたとお話しすることはありません。
今は関東監察医務院の医長をしてらっしゃるんですね?はい。
本裁判で私たちは監察医務院の鑑定結果を覆します。
対立関係にある方と法廷以外で話すことは差し控えます。
俺には挨拶なしか?久しぶりなのにつれないな。
医長とあの弁護士さん知り合いでしょうか?さあ?なんかいつもと様子が違いますね医長。
(耕介)どうぞ。
サンキュー!
(畑)井岡のヤツ勝手なこと言いやがってな。
どうぞ。
ありがとう。
葉月先生の鑑定が無実の人間を罪に陥れるんですって。
裁判でどちらが正しいかわかるわよ。
その井岡って教授最近マスコミに出まくってますね。
医者だかタレントだかわかりませんね。
昔からねそういうヤツだったんだよアイツは。
知り合いなんですか?うんずっと昔にね。
あれ!?どうかしました?いやこれ不思議なことがあるもんだな。
いつの間にかコーヒーが出てる。
それ今…。
今僕がいれました。
ああそうありがとうね。
一平君。
医長!
(畑)ん?耕介…イタッ耕介です!えっ何?岡耕介。
いや新人か。
ああえっなにいつ入った?もうここに3か月います。
えっそうなの?ああ悪い悪い全然気づかなかった。
あのさ前任者もそうだったんだけどキミも影薄いねぇ。
うちの人事ってのはどうしてこうやって影の薄い人間を選んで採用すんのかねぇ?ほう不思議な選考基準だねこれ。
何これ?味も薄いな!ごめんね悪気はないのよ。
わかってます。
もう慣れました。
薄いなこれ何だこれ。
監察医務院というのは警察や検察と密接な関係にある公的機関です。
どうしても公平中立な立場に立つことは難しくなるんですね。
まぁ権力に利用されているとまでは言いませんが警察がこう書いてほしいという鑑定書を書いてしまうことがあるんですね。
なるほど。
(千葉)どうぞ。
お客様から。
失礼しました。
沢田さんは明らかに冤罪です。
死因は石段を転がり落ちたことによる事故なんだ。
菊地弁護士とともに沢田さんの冤罪を晴らすことは医師としての私の使命だと考えています。
はい。
本当に申し訳ありません。
お約束したのに…。
(真理子)いいえ。
仕事を紹介してくれるって友達がいるので来月は必ず。
着手金のことはいいですよ。
今はご主人の無実を晴らすことだけ考えましょう。
まぁうちもあんまり余裕はないんですけれど。
ありがとうございます。
けれど申し訳なくて…。
最初の国選の先生よりずっと熱心にやっていただいてるのに…。
お金のことは無罪判決を受けてから改めて話しましょう。
はい。
ホントに助かります。
(添田)先生次の公判の資料まとめておきました。
(安斉)おぉ!?
(坂口)ブレーキかけてるような感じなかった?まったくないですね。
ダーンとこう。
(坂口)ブレーキ痕ないもんね。
クラクションも鳴らなかった?関東監察医務院の篠宮です。
(坂口)ご苦労さまです。
ご遺体は?
(坂口)こちらに。
あっ…。
この人…。
井岡教授。
事故の瞬間をこちらの警備員さんが目撃してました。
ハンドルもブレーキも操作しないで資材に突っ込んでいったんです。
おぉ!?それが8時ちょうどのことですね。
はい。
交代の時間前だったんで時計見ましたから。
外傷はひどくないわね。
ブレーキ痕もなかったんですね。
はいありません。
事故のときにはもう亡くなっていた可能性が強いわ。
唇と爪にチアノーゼ。
顔面はややうっ血。
後頭下穿刺をしましょう。
はい。
すみませんうつ伏せにお願いします。
はい。
はいせ〜の。
髄液の色調は無色透明。
この状態からすると虚血性の心不全かな。
はい。
病死ですか。
運転中に急死してそのまま資材置き場に突っ込んだ。
その可能性は高いですね。
じゃあ先生ひとつ病死で処理を。
明日の朝一で解剖します。
えっ?いやあの病死ならここで病死と検案調書を作成して…。
病死の可能性は高いと思いますが正確な死因は解剖してみないとわかりません。
では行政解剖の手続きをします。
合掌。
では始めます。
(一同)はい。
(仁美)身長171センチ体重60キロです。
左腕と右足にわずかに打撲痕。
返しましょう。
(一同)はい。
外見上の異常なし。
死斑が強く出てますね。
ええ。
戻して開きましょう。
(一同)はい。
あっ…。
すごい出血。
どこか内臓が傷ついてる。
腹腔内の出血700ミリリットル。
ここだ腎臓から出血してる。
腎臓?でもどうして?外見上の傷はないのに…。
もう一度背中を見てみましょう。
(一同)はい。
これだ。
死斑が強いから見逃すところだった。
出血もなかったですしね。
直径0.5ミリです。
形が崩れてる。
不整形の傷0.5ミリ。
はい。
(風間)殺人事件!?うん。
被害者は殺されてる。
いやちょっと待ってくれよ。
その死んだ井岡っていう教授は自分ひとりで車を運転してたんだろう?背中から有尖無刃器で腎臓を刺されてた。
有尖…何だって?有尖無刃器。
先が尖ってて刃のない細いもの。
0.5ミリだから針だと思う。
犯人はその針で腎臓を刺した。
細い針なら外に血は漏れないけど腎臓に傷がついたので内部に多量の出血をする。
刺された本人は気づかないもんかね。
一瞬チクッと感じるくらいね。
刺されてから内部出血で死亡するまで5分から10分。
被害者は刺されたあとでも気づかずに自分で運転してしまった。
そのまま意識を失い死亡したあとに工事現場の資材に突っ込んだ。
自分が殺されたことに気づかないなんて…。
本人だけじゃないわ。
解剖しなければ私だって虚血性の心不全で処理してしまうところだった。
犯人はそこまでわかっていた?それは警察が調べることでしょ。
偶然だったかもしれないし腎臓を刺せばそうなるという医学知識があったのかもしれない。
刺されてから死ぬまで5分から10分だな。
犯行は午後7時50分から55分か。
ええ。
あれお前…。
(中森)ご無沙汰してます。
(永瀬)お前荒川署じゃなかったのか?先週異動しました。
ハハッ縁があるな。
よし風間と組め。
えっ?イヤなのか?いえ…。
前の事件のときこき使ったからな。
いやあのときは本当に勉強になりました。
心にもないことを。
ハハハハッハハハハハッ!
(笑い声)俺もこんな殺し方があるなんて初耳だが監察医務院のお墨付きだからな。
とりあえずガイシャの身辺捜査を徹底してくれ。
それと事件当日の足取りもだ。
いいな?
(一同)はい!昨日調布市の路上で亡くなった多摩医科大学の井岡進教授の死因について警察は殺人事件と断定し本日捜査本部を設置しました。
昨日4月4日午後8時頃調布市仙川西町の道路を…。
先生。
警視庁の風間です。
仙川中央署の中森です。
特任助教の千葉です。
特任助教?大学の正規採用ではなくて期限付きで井岡先生の研究をお手伝いしています。
へぇそういう役職があるんですね。
昨日も井岡先生とご一緒でしたよね?はい。
すみません作業しながらでいいですか?時間が決まっているもので。
こちらこそお仕事中すみません。
うわっ。
どうした?すみません苦手なんですネズミ。
モルモットはげっ歯類のなかで最も温和な動物の一種です。
僕にすれば人間のほうがよっぽど怖いですよ。
はぁ…。
え〜とそれで昨日井岡教授がこちらを出られたのは何時くらいか覚えておられますか?6時ちょっと前でした。
死亡推定時刻の2時間前ですね。
何かふだんと変わった様子はありませんでしたか?変わった…ああ電話かな。
電話?井岡先生が帰られる前に電話があったんです。
・井岡:話があるならいつでも相手になってやる!お前今どこにいるんだ!?わかった今から行ってやるいつもの先生と違っていてみんな驚いたんです。
その電話の相手は?わかりません。
その電話のすぐあとに先生は帰られました。
気になりますねその電話の相手。
もしもし風間です。
昨日の午後7時に富士見町の駐車場に井岡の車がとまっていたのが確認されている。
殺される1時間前だ。
おそらく何か用事があって行ったはずだ。
大至急いって調べてくれ。
向かいます。
行くぞ。
ど…どこ行くんですか?
(小林)6時半に入庫して7時15分に出庫してますね。
(中森)大学を出てまっすぐここにとめてますね。
例の電話の相手と待ち合わせたんでしょうか?可能性はあるな。
それから出庫したあと35分から40分後に刺された。
(小林)刑事さん。
屋上の映像です7時8分。
井岡ですよ。
車をとりにくる直前です。
もう1人は顔がわかりませんね。
あっちょっと止めてください。
あれ?どっかで見たことあるな。
医長…。
そうだ監察医務院の!
(仁美)風間さん!例の件?井岡教授の。
うん…。
どうしたの?歯切れ悪いわね。
医長は?事務室です。
どうして医長に?解剖したのも担当も私だけど?なにあの態度。
あっ風間さん今日は何ですか?
(畑)ああこりゃどうもどうも。
畑総一郎さんですね?どうしたんですか?フルネームで呼んだりして。
井岡進殺人事件についてうかがいたいことがあります。
警察までご同行願えますか?えっ私が?岡君あとのことね篠宮先生の指示仰いで。
医長…。
風間さんこれっていったいどういう…。
まさか医長が?重要参考人だそうです。
そんなバカなこと…。
おやおやおや。
どうしたの?なんか大それたことしちゃうなぁと思って。
なにコイツ?富士見町駐車場屋上で井岡さんと口論していましたね?マスコミに勝手なことを言ってたので抗議の電話をかけました。
それで会うことになって。
事件当日多摩医大に電話をかけたのはあなただった。
はい。
あなたと井岡さんのご関係は?昔同じ病院で研修医をしてました。
28年前です。
今現在の交流は?ありません。
あの裁判所で会ったのがもう何十年かぶりですはい。
口論のあとあなたどうしました?どうって?井岡さんの車を追っかけていったんじゃないんですか?いやあのそんなことはしません。
口論のあと午後8時どこにいましたか?散歩をしてました。
頭を冷やしたくて街を歩いてました。
(三上)ああいらっしゃい。
マスターカレー以外のもの。
うん?どうした何かあったのか?何がって?いや痴話ゲンカだったらさどっか別んとこでやってもらおうと思ってな。
ハハハ!本当に医長を疑ってるわけじゃないんでしょう?マスターコーヒー。
はいはい。
もうちょっと優秀な刑事さんかと思ってたけど。
おい医長ってのは畑先生のことか?どっかの刑事さんが医長を重要参考人とかで引っ張っていったの。
おい本当かよ?コーヒー!畑先生が被疑者ってことか?悪いけど捜査中の事件については話せないんだ。
俺たちにもかよ?コーヒー!いれることない。
仕事だろ?警察だって仕事なんだよ。
動機があってアリバイがない人間を疑うのは当然のことなんだよ。
知り合いだからって特別扱いはできない。
それで畑先生をか?一般論を言っただけだ。
個別の事件についてはノーコメント。
だからマスター!コーヒー飲ませてよねっ?新聞を読んで驚いて。
はい。
大丈夫でしょうか?夫の裁判。
事故だと証言してくれる井岡先生が亡くなってしまったから夫も有罪になってしまうんじゃないんですか!?井岡先生の証言は裁判記録に残ってます。
それに今別の法医学者を探してます。
でも…。
私に任せてください。
先生何人かリストアップしておきました。
井岡教授に代わる弁護側の証人です。
栃木医科大学多田教授か静岡愛育大本田准教授でいかがでしょう?引き受けていただける確証はありませんがお願いすることはできます。
添田さん本当に医学関係に強いのね。
ずっと医療裁判専門でやってきましたから。
そこらの町医者よりはお役に立てます。
ありがとう。
でもいいわ。
私にも1人心当たりがあるの。
切り札になる人が。
切り札…。
お忙しいところすみません。
この方なんですけども。
すみません警察ですけれども。
はい?こちらの方ご存じでしょうか?さぁ?知りませんね。
(ノック)
(仁科)はい。
(中森)ちょっとお伺いしたいんですけどもこの人乗せた記憶ないですか?あぁ乗せました。
富士見町のパーキングの前だったかな?突然車の前に飛び出してとめるから驚いたんです。
うんこの人に間違いないですよ。
この人…どこまで乗せました?医長を乗せたタクシーが判明しました。
井岡教授はあの駐車場から車で移動している。
医長が井岡さんを殺害するためには車で追う必要がある。
車を持っていないあなたはタクシーを利用するしかない。
昨日の夜あの駐車場付近を流していたタクシーをしらみ潰しです。
その中の1台が医長を乗せていた。
刑事ってのも大変な仕事だな。
医長が初めから正直に証言してくれればそんな手間は省けました。
あなたはタクシーに乗って六本木へ向かった。
井岡が殺害された現場とは正反対の都心です。
医長のアリバイは証明されました。
運転手は7時50分に六本木であなたを降ろしたと証言しています。
それは間違いないですね?えぇ。
六本木のどこへ?う〜ん…ちょっとむしゃくしゃしたんでお酒でも飲もうかと思って…。
いやもうずいぶん飲んじゃったな。
アハハ!なるほど。
どうしてですか?医長はタクシーに乗ったことを言わなかった。
散歩をしていたと供述しましたよね。
アリバイが証明されたらここにいなくてもいいんですよね。
何を隠しているんです?確かにアリバイは成立した。
医長は井岡殺しの犯人じゃない。
でも何かを隠している。
この事件の裏にある何かを…。
じゃあ医長への疑いは晴れたのね?あぁ。
それをわざわざ;dに!)行きつけの店なくしたくないからな。
はぁ…。
(真理子)畑さん!どうしてここに?お願いがあります。
私にですか?法廷に立ってほしいんです弁護側の証人として。
えっ?弁護側の証人になってください。
いやそんなことはできません。
私は監察医務院の医長です。
だから頼んでるんです。
あなたが監察医務院の鑑定に反論すれば決定的な証言になります。
そんなことはできない!あれは事故ではなくて殺人です。
凶器による殴打ではないんです。
もみ合っているうちに被害者が自ら足を踏み外して石段から落ちたんです。
医学的に見てもそれはありえません。
鈍器で強く殴打されてます。
そんな凶器発見されてません。
ありもしない凶器で人が殴れますか?今回の裁判には証拠がありません。
医学的な所見が裁判の行方を左右します。
医学的な所見が問題なら私は篠宮先生の鑑定を信頼します。
申し訳ありませんが私は…。
父のことは忘れます。
あなたが私の父を殺したことは…。
次の公判は明日の2時です。
1時までに来てください。
脳というのは例えるなら鍋に入った豆腐みたいなものなの。
鍋に瞬間的に強い衝撃を与えると豆腐は衝撃を受けた側が潰れる。
けれど緩やかな衝撃を受けると豆腐は反対側にずれてぶつかる。
これが脳の直接損傷と対側損傷の違いになります。
(清水)先生の今度の裁判は脳の両方に傷がありますよね?直接損傷が強いけれどまったく対側損傷がないわけではなかったの。
もう一度直接損傷お願いします。
(歌川)はい。
直接損傷…激しいでしょう?
(橋田)本当だ。
(チャイム)今日はここまで。
(歌川)篠宮先生。
何か?いろいろとお世話になりました。
えっ?今月で特任助教の任期が切れます。
あぁ…。
先生には本当にお世話になって…。
次の勤務先は?まだ決まってません。
キミたちも元気で。
お世話になりました。
いろいろありがとうございました。
いい人だったけどな。
人柄で講師になれるわけじゃないから。
またお前そういう冷たい言い方して!歌川先生って生物学の博士号でしょ?うん。
今本当博士って余ってるから。
俺らも医師免許取ってないと潰しきかないよ。
昔の博士とは違うけど…。
博士号取ってファミレスでアルバイトなんてのもいるんだろ?頑張れよ。
つらい世の中だな…。
ってなんでアイツ上からなんだよ!この野郎!おい!!
(添田)先生。
本日はよろしくお願いします。
僕にはとても裁判での証言なんてできません。
井岡先生の鑑定を補足してくださればいいんです。
もう1人の証人という先生はまだみえないんですか。
ええ。
真理子:父のことは忘れます。
あなたが私の父を殺したことはいや!
(真理子)お父さん!礼。
以上の説明のとおりこの場合の対側損傷は死因に結びつくものではありません。
死因は後頭部の直接損傷であり凶器による殴打と考えるのが適当です。
(真理子)前回の公判で井岡先生は事故だと明言されました。
その鑑定書を読まれてますね。
はい。
石段から落ちたために脳に衝撃を受けた。
間違いありませんね。
あそれは…。
それは?井岡先生の見解であって私がどうこう言えることではありません。
あなたは井岡先生のもとで研究されてますよね。
はい。
鑑定書の作成にも携わったと井岡先生から伺いましたが。
いえ井岡先生お一人の判断です。
そうですか。
終わります。
検察官反対尋問は?あります。
ではあなた個人の考えをお聞かせください。
本件は事故だと思いますか?私はそのような判断をする立場にありません。
個人的な見解で結構です。
あなたは本件を事故だと思いますか?それとも篠宮先生の鑑定どおり殺人事件だと思いますか?証人は宣誓してるんです。
何事も包み隠さず真実を述べると。
あなたの見解を聞かせてください。
篠宮先生の鑑定に説得力があると考えます。
私も殺人事件だと思います。
ただいま。
お疲れさまですどうでした裁判。
明日判決だって。
早いですね。
最近の裁判はそうなのよ。
医長は?風邪が長引いてるみたいです。
2〜3日休むって電話がありました。
珍しいわね。
ホントに風邪かな。
風間さんたちに連れて行かれてからなんか変ですよね。
あそれ僕も思いました。
なんかすごく暗い顔してるし。
井岡教授が殺された事件を気にしてるんでしょうけど。
もうこの裁判は負けですね。
まだ判決が出たわけじゃありません。
素人の私だってどうなるかわかります。
たとえ地裁で有罪判決が出ても控訴することができます。
もう疲れました。
あなたが支えないとご主人の無実は証明できませんよ。
ホントに無実だって思ってるんですか?冤罪なんかじゃないですよ。
あの人が殺したんです。
何を言ってるの?あの夜帰って来てから私に言ったんです。
鉄パイプで村越を殴り殺したって。
(香苗)借金を待ってもらうために呼び出したそうです。
けれど村越は聞く耳をもたなかった。
あの人帰って来たとき震えていて。
だけど凶器の鉄パイプは見つからなかったって。
私が捨てにいきました。
あなたどうして今になって。
もう疲れたから。
そんな…。
ひどい男だってみんなが言う。
あの人の親兄弟まで。
でも私には優しかった。
無実になるなら帰ってきてほしかった。
だけどもう疲れたわ。
どうして初めからホントのこと言ってくれなかったんですか?先生が事故で押し通せるって言ったからじゃないですか。
それならその言葉にすがりたくなるでしょ。
あっ!先生…。
ごめんなさいもう大丈夫。
警察に連絡しないとね。
証拠隠滅と犯人隠匿の容疑で彼女を告発しなければ。
大丈夫ですか?何が?先生の経歴に傷がつきませんか。
今までずっと無罪を主張していたのに。
拘置所で面会したとき沢田さんはやってないって否認した。
依頼人の言葉を疑うなら弁護なんてできないでしょ。
先生の信念は尊敬します。
ですが今になって主張を変えればマスコミから叩かれます。
それくらい覚悟してるわ。
私はこれからも信じる。
検察や警察より弱い人の言葉を。
〜篠宮先生。
歌川さん?まいったな。
歌川もうあがりだろ。
あとやっておくよ。
来週愛媛の大学に面接に行きます。
遠いけど講師に空きがあるの珍しいですから。
そう受かるといいわね。
講師のポスト1つに全国から50人来るそうです。
50倍か!大変ね。
受かりたいですよ。
親には言えないです。
大学院出て博士号取ってアルバイトしてるなんて。
歌川さんみたいに優秀な研究者を採用しないなんてどうかしてるのよ。
あっ妻です。
少しは楽させてやりたいんですけれど…。
おかえり。
ただいま。
ありがとう。
行こう寒いから。
(森田)判決を言い渡します。
主文被告人を懲役15年に処する。
本件は殺人罪が成立する。
理由を申し上げます。
罪となるべき事実。
被告人は村越吾郎勤務の金融会社から金銭を借り入れていたところ…。
15年ってなんだよ。
長すぎんだろ。
人が一人亡くなってるのよ。
先生…。
奥さんがすべて告白しました。
凶器の鉄パイプを捨てたことも。
あのバカ余計なことを…。
あなたが村越さんを殺したんですね。
だけど15年はないだろ。
あなたが殺したのね?ああ。
殺すつもりはなかった。
カッとなって殴ったら打ち所が悪くて死んだんだ。
殺意がなければ殺人じゃなくて傷害致死だろ。
それで控訴してくれよ。
亡くなった人のことを真剣に考えなさい。
あなたが心から反省するなら少しでも刑を軽くできるように…。
説教かよ。
俺の刑を軽くすんのがアンタの仕事だろ。
何ですか?面接はどうでした?働き口を探してるんでしょ?私をつけてるの?懲役15年でした。
15年…。
先生は控訴審でも弁護を続けるそうです。
沢田さんに心から反省してもらうために。
そんなこと言うために来たの?私にはもう…。
関係ありませんか?あなたも証拠隠滅と犯人隠匿で告発されます。
あなたの力になりたいと言われました。
菊地先生が?そういう人です。
はいもしもし。
ガイシャ評判悪いって?ええ。
医者というよりタレントですね。
テレビや雑誌に出て自分の名前を売ることを第一に考えていました。
例の裁判もか?はい。
監察医務院と対立することでマスコミが騒ぐってわかってたんですよ。
それで無理やり殺人事件を事故だと言い出しました。
いい迷惑だな。
女房とは別居中で離婚調停が進んでいます。
風間さんやっぱり井岡には女がいました。
女?大学関係者が女と2人で歩くガイシャを目撃していました。
別居中のかみさんとは年格好が違っています。
なるほど痴情のもつれって線も出てきたか。
人は見かけによらないっていうだろ。
こんなしれっとした顔してよ。
それに比べて俺なんかこんなガマガエルみたいなひどい顔してんのに心はスーッと。
なあ?いない…。
井岡は研究で遅くなったときこのホテルを利用していたそうです。
風間さん。
今のところもう一度お願いできますか。
はい。
この女…。
沢田香苗です。
井岡が証人になった裁判の被告の女房ですよ。
うん…。
外に回れ。
はい。
沢田さん!よしわかった。
沢田香苗は自宅に戻ってないしケータイも電源を切っている。
最後に確認されたのは赤坂のクラブだ。
面接を受けたあと姿を消した。
逃げたってことか…。
えっ?ってことは井岡殺しは沢田香苗ってことですか?そう結論を急ぐな。
考えても見ろ。
どうして香苗が井岡を殺す?動機は?あ…。
沢田香苗は塀の中の旦那と別れて井岡と一緒になるつもりだった。
けれども井岡は遊びだから別れ話を切り出したとか?殺し方が特殊すぎるだろ。
ホシはある程度医学知識を持った人間のはずなんだ。
そっか…。
なるほど。
(耕介)お疲れさまです。
(仁美)本当に疲れる。
こんなに忙しいのに医長は連絡もよこさないで。
まったくもうどこに行っちゃったのよ!はぁ…。
・
(耕介)はい関東監察医務院。
医長!はい代わります。
篠宮先生。
はい篠宮です。
篠宮先生。
終点修善寺。
いろいろご迷惑をおかけして申し訳ありません。
医長今どこに?しばらくは…。
いやもう戻れないかもしれません。
何を言ってるんです。
あとのことをよろしくお願いします。
もしもし医長?医長どうしたんです?あとは任せるってもう戻れないかもしれないから。
戻れないってどうして?どこにいるかもわからないんですか?修善寺駅のアナウンスが聞こえた。
どうしてそんなところに?昔医長が勤めてた病院。
たしか…県立伊豆中央病院です。
よく酔っ払ってその頃の話しますから。
僕も聞いたことあります。
最初は外科医志望だったって。
井岡先生と香苗さんが?男女の関係にありました。
お気づきになりませんでしたか?法廷の中の2人しか知らなかったものですから。
2人を仲介したのは菊地先生ですね。
はい井岡先生が事故だという鑑定書を書いてくれたあとに紹介しました。
日時はわかりますか?えっと…。
添田さん。
2月5日にこの事務所でお引き合わせしています。
2か月前か…。
医学関係の本がかなりありますね。
医療裁判が増えてますから。
手術中のミスとか医療過誤と呼ばれる事案です。
彼が専門家なんです。
医療裁判の?はい。
今度は篠宮先生が消えた?消えたというか休みをとっちゃって。
どうなっちゃうのよもう!忙しいのに!僕たちも休んじゃいましょうか。
一緒に。
暴力反対!〜
(星山)関東監察医務院の篠宮さん。
(星山)そうですか!畑君のもとで働いていらっしゃるんですか。
はい。
彼は元気ですか?はい。
本当は外科医として期待していたのですけれどね。
どうしてもという本人の希望だったからしかたなかった。
そうなんですか!畑君たちは優秀でしたよ。
畑君も…残念なことになった井岡君も。
井岡?あの多摩医大の井岡進教授ですか?ええ。
新聞で読んでね。
まさかあんな形で亡くなるとは思わなかった。
井岡教授もこちらの病院に?畑君と同期の研修医だった。
2人の指導医が私だった。
医長と井岡教授が…。
2人同時に失うのはつらかったな。
医長たちはどうしてこちらの病院を?不幸な出来事がありましてね…。
不幸な?ええ。
〜篠宮先生!どうしてここへ?みんな心配してますよ。
仁美ちゃんも耕介君も。
菊地弁護士のお父様ですね。
伊豆中央病院の星山先生は不幸な出来事があったと。
星山先生にお会いになったんですか?はい。
あれは医療ミスだった。
(畑)あの夜宿直していた医師は私と井岡だけだった。
免許は持っていても研修医だ。
運ばれてきた患者を見たとき自分たちの手に負える状態ではないとわかった。
けれど井岡は…。
畑:井岡!無理だやめろ!
(井岡)しかたないだろ。
無理だよ!星山先生呼ぶから!時間がないんだ!待ってて手遅れになったらどうする?お前本当にできるのか?似た症例の助手を務めたことがある。
無理だそんなんじゃ。
いいから手伝え!おいそっち吸引頼む。
うん。
井岡…。
大丈夫。
バイタル頼む星山先生を呼ぶ時間がないとヤツは言った。
けれど本当は手柄がほしかったんだと思います。
それで菊地弁護士のお父様が…。
執刀した井岡も助手を務めた私も急な出血に対処できなかった。
技量の問題です。
星山先生を呼んでれば助かる可能性はあったでしょう。
そのあと遺族は病院を訴えた。
28年前です。
当時の医療裁判はほとんど病院側の勝訴でした。
患者の権利という考え方が今とは比べものにならなかった。
医長はそれが原因で外科医を辞めたんですか?私は篠宮先生と違いますよ。
理想を持って法医学の世界に飛び込んできたわけじゃない。
逃げたんです。
あの記憶から逃げるために生きてる人間じゃなく死者と向き合う仕事を選んだ。
そんな私が監察医務院の医長なんかやっていてはいけないのかもしれない。
何言ってるんです!私は全部医長から教わったんです。
亡くなった人に対する気持も解剖の技術も全部です。
私だけじゃありません。
監察医務院の医師も職員もみんなそう思っています。
そう思っています。
沢田香苗は実家のある長野にも戻っていません。
アパートの張り込み班からの連絡は?ない。
一度も戻ってこなかった。
他に土地勘のある場所でもあるんでしょうか?それを探すしかないな。
過去に住んだことのある町やつきあいのあった人間の居所だ。
はい。
気合い入れていけよ!
(一同)はい!あっ!大丈夫ですか?はい風間。
え?沢田香苗が死んだ?すぐに急行してくれ栃木だ!いや子供の頃思い出すな。
子供の頃?うん。
ほらあの…学校ズル休みしてね。
で次の日登校するときになんかこう…。
後ろめたくてなんか照れちゃって。
ああ私もそんなことありました。
ハハハ。
あっそうだ!仁美ちゃんにお土産買わないと。
耕介君にもね。
えっこ…耕介?誰ですか?それは。
言いつけますよ。
ヘヘヘッ。
さてと…。
(町村)いかがです?間違いありません。
(町村)病死だそうです。
病死?はい。
え〜っと…。
虚血性の心不全だそうです。
虚血性心不全?解剖しなければ私だって虚血性の心不全で処理してしまうところだったあっ…。
(畑)名物鯵寿司。
いや〜なんか安心すると急にお腹空いちゃって。
うん!篠宮先生もこれいかがですか?私はあとでいいです。
はい篠宮です。
死んだ?あの人が?えっ?虚血性の心不全?ダメ!!その遺体燃やしちゃ。
絶対に解剖しないと。
ムチャ言うなよ!お前よそ様が検死までしたホトケだぞ?それをこっちによこせったって角が立つんだよ。
それを解剖って…栃木さんにケンカ売れってのか?じゃあ係長は沢田香苗が本当に病死だと思いますか?例の手口知ってるでしょう?井岡殺しと同じ手口です。
このままでいいんですね?うるせぇ!わかった!!係長何かありましたか?本部に行ってくる。
車回せ。
早くしろ!わかった。
東都医大に運んでもらって。
うん今日で大丈夫。
戻って解剖ですか?はい。
死体の声を聞くのが私の…。
私たちの仕事ですから。
合掌。
始めましょう。
(一同)はい。
(仁美)身長160センチ。
体重48キロです。
外傷なし。
返しましょう。
(一同)はい。
あった。
腰部に刺創。
かなり小さいわね。
出血もほとんどなかったようです。
中心にめくれたような痕跡があります。
戻して開きましょう。
(一同)はい。
内部出血。
井岡教授のときとまったく同じですね。
採取します。
(仁美)650ミリリットルです。
その血液検査に回して。
はい。
どうだった?同じ手口。
やっぱり腎臓を刺されてた。
死斑が薄くて刺創がはっきり見えたわ。
かなり細い有尖無刃器。
創の形状から見て注射針だと思う。
注射針?やはり医療関係者か。
同じホシだ。
針で急所を一突きってさ…。
まるであの…仕事人みたいだな?ハハッ。
はい葉月ちゃん。
冗談じゃないのよ。
医者なら誰もが思いつきますか?腎臓を針で刺したらどうなるかわかるよね?ええ。
少し医学の勉強をした人間ならどうです?例えば裁判のために医学書を読んでいたとか。
菊地弁護士のことを言ってるの?医長はそう思ったんじゃないか?最初に井岡教授が殺されたとき菊地弁護士を疑った。
だから不審な行動をとった。
違いますか?そのとおりです。
私は井岡という人間をよく知ってますから。
アイツは初めから裁判の真相に気づいていたんです。
篠宮先生の鑑定どおり他殺だと。
それなのにわざと事故だという鑑定書を出した。
すぐに鑑定書を取り下げろ。
あんなデタラメあるか。
議論なら法廷でしようじゃないか。
あんな鑑定書出したら彼女の将来に傷がつく!勝てば勲章だ。
彼女も俺もな。
事実ねじ曲げて何言ってるんだ!事実って何だ?被害者が鉄パイプで殴られたってことか?お前それをわかっててわざと…。
覚えとけよ畑。
裁判って場所は事実を確かめる場所でも真実を突き止める場所でもないんだ。
検察側と弁護側どっちがポイントを稼げるかを競うゲームなんだ。
それは彼女も知ってる。
おい何言ってるかわかってるのか?何言ってるかわかってるのか!離せ!菊地弁護士はどうしてそんな人間と組んだのかしら?お父さんの手術を失敗した張本人でしょう?だから接触したのかもしれない。
井岡の死んだあと私にも弁護側の証人に立ってほしいと言ってきた。
過去のことは忘れるからと。
そのときまでは信じていたんだ。
沢田の無実を。
そのために必死で事故だと鑑定書を書く法医学者を捜していた。
ええ。
井岡は彼女の必死さにつけこんでいた。
最初は井岡も罪の意識から反論を引き受けたのかもしれないと思った。
彼女のお父さんへの罪の意識で。
医長とは違います。
井岡はあくまで自分の名を売るために今度の裁判を利用しようとした。
ええ。
そんなヤツとは手を切らさなければいけないと思った。
〜
(畑)けれど彼女はいませんでした。
井岡が殺されたのはそのすぐあとだった。
医長はその弁護士をホシだと思ったのかい?疑いはしました。
もしかしたら…と。
だから取り調べで自分のアリバイを答えなかった。
菊地弁護士の事務所に行きそこに彼女がいなかったことを俺たちに知られないために。
風間さんいつも言ってますよね。
動機があってアリバイのない人間を疑うのが警察の仕事だと。
医長は自分で真相を突き止めようとした。
菊地弁護士に会って。
もしも…犯人なら?自首を勧めるつもりだった。
でも何も言えなかった。
どうしてもあのときのことを思い出してしまって。
真理子:お父さん!あなた…。
(泣き声)いや…。
お父さんどうして死なせたの!ねぇどうして?お父さんどうして死なせたの?ねぇ…どうして?菊地弁護士は検察に沢田香苗の告発状を出しました。
証拠隠滅と犯人隠匿。
捜査のほうはどうなってんだよ?だってその弁護士だって容疑者になるだろう。
騙されて恥かかされてんだから。
恨んでるからって相手を殺すような人には思えないけど。
えぇそんな人間じゃありません。
菊地真理子の行方がつかめません。
え?係長が任意出頭を求めようとしたんですが自宅にも事務所にも戻ってこないんです。
お父ちゃん!おぉ真理子!お父ちゃん!ただいま!待っててくれたのか?うんお父さん!お父さん!今日になっても連絡はありませんか。
ケータイにもかけているんですが留守電の折り返しがありません。
何かいなくなる心当たりありませんか?あの電話でしょうか。
電話?沢田香苗さんからの電話です。
沢田香苗…その電話はいつですか?おとといの夜でした。
殺される前日です。
事務所を閉める直前でした。
先生!もしもし菊地です。
どうしました?わかりました。
今どこに?もしもし?もしもし?先生何か?今更何だっていうんですか。
まさか…菊地弁護士は何かに気づいた。
事件のことでしょうか?さぁ私には…。
はぁ〜やはりこの場所がいちばんですね。
いやぁ〜ここに座るとリフレッシュというかやる気が湧いてくるなうん。
どうぞ。
あのねこれね修善寺のお土産これ仁美ちゃんに。
あっそれからこれねこれもはいこれキミたちはい。
はいどうぞ。
ありがとうございます。
いやぁ〜ホントに。
あの…僕には?僕?僕どちら様?僕は。
医長!なんか調子出てきたな。
篠宮先生検査室から報告が来ました。
沢田香苗の血液から…。
何か出た?ペントバルビタールナトリウム。
なんでこんなものが…。
ペントバルビタール?はい風間。
犯人がわかった。
井岡教授と沢田香苗さんを殺した犯人が。
(サイレン)
(ドアが開く音)菊地先生。
どうしてここに?ちょっとお話が。
すみません実験中なんでちょっと待ってもらえますか。
終わりました。
お話は何ですか?香苗さんから電話があったんです。
誰かにつけられてる気がするって。
あなたなの?2人を…井岡先生と香苗さんを。
だとしたらどうするつもりですか?〜何やってんだ!待てこら!この野郎こら!やっぱりあなたなのね。
どうして…。
香苗さんの血液の中から微量のペントバルビタールが検出されたの。
ナトリウムと化合したペントバルビタール。
それは人間の体からは検出されてはいけない薬物だった。
動物の安楽死に使用される薬物で人間には絶対に投与されないから。
人間用の注射針は一度で使い捨てるけど動物実験用のものは何度も使い回す。
あなたはモルモットの安楽死に使用する注射針で香苗さんを刺した。
だから人間の体からは検出されないはずの成分が出てしまった。
井岡進と沢田香苗を殺害したのはアンタだな。
あの人は…先生は自分の名をマスコミに売ることしか考えていなかった。
無理です先生。
いくらなんでもあの遺体を事故にすることはできません。
くっきりと直接損傷が出ています。
無理ならその無理を通すんだ。
先生…。
キミの腕を見せてくれ。
そうすれば俺のコネのきいた大学に押し込んでやる僕は奴隷でした。
ポスドクという名のアイツの奴隷です。
ポスドク?ポストドクター。
博士号を取ったあと期限を決めて研究職に就いている人のことをそう呼ぶんです。
先生の論文は僕が書いていました。
「いつかは一緒に名前を出してやる」。
何度も言われたけどそんな約束は覚えていなかった。
それでもアイツに尽くしていました。
そうしなければ研究の道で食べていけないから。
けれどアイツは…。
この裁判は負けるな。
どう思う?直接損傷が大きすぎます。
事故という鑑定書は否定されると思います。
残念だな。
せっかくキミが書いてくれたのに。
私も特任助教のキミがぜひ自分の鑑定を出してほしいと言うので情にかられてしまった。
そのことは反省するつもりだ。
私に責任を取れと。
次の職場のことは考えておこうこの大学から出て行けということでした。
さんざん利用してその挙句が…。
許せなかった。
大学を出た先生をバイクで追いました。
おいおい!何言ってるかわかってんのか!?離せよ!鑑定書取り下げろ!離せって言ってんだよ!取り下げろ!ん?どうして沢田香苗まで?あの女は先生と関係していた。
ダメですよ。
隣にいますよ?
(井岡)モルモットだと思えばいい。
(香苗)先生。
ウフフッ
(千葉)アイツにとって僕は人間ですらなかった。
おい千葉。
はい。
先に帰る。
お疲れさまでした。
食事しよう
(千葉)あの女は僕と井岡の歪んだ関係を知っていました。
まさかあなたじゃないわよね。
井岡先生を殺したの生かしておいたら破滅してしまうと思いました。
(千葉)先生からお金を預かっていると言ってあの女を呼び出しました。
人の多い観光地だからまさか殺されるとは思わなかったはずです。
大丈夫ですか!?来週愛媛の大学で講師の面接があるんです。
それで人生が変わるかもしれないと思いました。
その面接に受かれば人生が変わる。
あの女は邪魔だったんです。
行こうか。
あっ1分だけいいですか?餌をやる時間が決まっているんです。
いい子いい子…いい子ね。
懐くんですよモルモットは。
人間に懐くんです。
利用されて殺されるなんて思いもしないで。
先生のお父様が亡くなられたときのことを聞きました。
畑さんから?裁判記録も読みました。
先生はその裁判記録を?読んでません。
今さら読んでも悲しくなるだけでしょう。
新たな真実があったとしても民事に再審はありませんから。
たしかに判決は覆りません。
けれど先生に知ってほしい事実があります。
事実?たった1人だけ病院側のミスを告発した関係者がいました。
あれは医療ミスだったと証言した研修医がいました。
畑総一郎という研修医です。
そのことで病院を辞めて外科医の道を諦めています。
畑さんが…。
けれどそれでよかったのかもしれません。
今は解剖医としてすばらしい仕事をしてますから。
失礼します。
おはようございます。
おはようございます。
裁判記録読みました。
篠宮先生に教えられて。
あの日からずっとあなたのことを恨んでいました。
申し訳ありませんでした。
私も…。
私も責められて当然の人間です。
あの場にいてお父さん助けられなかった。
なんだか別人みたいでかっこいいですね医長。
篠宮先生受かりました。
例の大学の講師の面接。
おめでとうよかったわね。
本当におめでとう。
帰ってきたらお祝いしよう。
じゃそのときに。
何かおめでたいんですか?そうみたいですね。
医長も菊地さんとわかりあえてよかったですね。
あっあの彼女ね例のポスドクの弁護も引き受けるそうです。
ポスドクって自分を殺そうとした相手の?だからでしょ。
彼女が弁護すれば裁判員も心を動かされる。
そのポスドクの人井岡教授にはずいぶんひどい扱いされたみたいですよ。
そこにいるのに見えないふりしたり。
え?お茶をいれても無視したりしてそういう思いが積み重なって最後は殺人事件になってしまったんです。
気持わかるなぁ。
え?あっいや。
え?ヤダヤダヤダ。
ね岡君。
岡耕介さん。
だってあれだよキミと僕ってのはさお互い理解しあったうえでジョークってのを飛ば…。
え?ヤダ。
えっそれじゃキミ何?3か月間ずっと苦しんで…。
コーヒー飲む?おっコーヒーにしよう!岡君さぁキミミルクとか砂糖いれるの甘いの好きだったね。
うん何でも知ってるんだ。
キミのことは。
さっきまでかっこよかったのに。
いつもの医長に戻ってよかったんじゃない?濃いコーヒーいれたよ。
はいはい…。
アッチ!うわぁ垂れてる垂れてる!違う違う…ほらあっちだよ!2014/09/13(土) 14:00〜15:55
テレビ大阪1
土曜サスペンスドラマ「監察医篠宮葉月〜死体は語る13」[字][解]
転落事故か殺人か?解剖が暴いた0.5ミリ極小傷の謎!28年前父の死の真相。
詳細情報
番組内容
殺人事件の裁判で被害者の司法解剖を担当した監察医の葉月は、凶器で殴られたのが死因と証言する。だが、法医学教授の井岡は転落事故だと断言する。その後、交通事故で井岡が死亡。当初は病死が事故原因と思われたが、葉月による解剖の結果、他殺と判明。その後、死亡推定時刻前の防犯ビデオに井岡と監察医長の畑が口論する様子が映っていたことから、畑が重要参考人として連行されてしまう。
出演者
篠宮葉月・・・高島礼子
風間亮介・・・細川茂樹
畑総一郎・・・金田明夫
菊地真理子・・原沙知絵
永瀬哲雄・・・六平直政
井岡進・・・・山崎一
坂巻仁美・・・北川弘美
沢田香苗・・・須藤温子
三上良一・・・西田健
岡耕介・・・・中村靖日 ほか
原作脚本
【原作】上野正彦
【脚本】安井国穂
監督・演出
【監督】児玉宜久
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
解説放送あり
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:26922(0x692A)