(ツエルブ)俺たちもう手を引いた方がいいんじゃないかなって…。
(柴崎)このままだとさらに大勢の人間が犠牲になる。
(リサ)わ…私はどうなってもいいの。
(ハイヴ)あんたの命なんてどうだっていいわ。
だいたい彼らに未来なんてあると思ってるの?
(ツエルブ)リサ!?
(ナイン)今度は前のようにはいかない。
俺たちには時間が…。
(ツエルブ)分かってるさ。
(ツエルブ)時間がないから行くんだ。
(チャイム)
(羽村)締め上げて全部吐かせてやりますよ。
・
(戸の開く音)警視庁の柴崎と申します。
少しお時間を頂けますか?んっ。
(羽村)ああ…。
えーっと…。
(青木)上がりなさい。
(青木)この年になると訪ねてくる人もめっきり少なくなる。
特に妻が亡くなってからはそうです。
でもいつかあなたたちみたいな人が来るかもしれん。
そう思っとりました。
私が知りたいのはアテネ計画についてです。
(柴崎)あなた方は全国の5歳以下の孤児たちに知能テストを実施し選ばれた子供たちを集めてその痕跡を消した。
間違いありませんね?山本茂のことはご存じですか?元厚生省の政務次官ですね。
3年前に亡くなられたとか。
(青木)彼はあそこで何が起こったのかを告発しようとしておったのです。
(羽村・柴崎)あっ!
(青木)心安く夜道を歩いていたいのであればお帰りになった方が賢明です。
羽村お前は外してくれ。
(羽村)何言ってんすか!?ここまで来ておめおめ帰れませんよ。
(レコーダーのスイッチを押す音)
(青木)サヴァン症候群をご存じですか?
(柴崎)確か特定の分野に限って異常に優れた脳の働きを示す症状だったと。
(青木)知られているのは暗算暗記や音楽映像を再現する能力など特定の分野だけに人並み外れた能力を持つ代わりに他者とコミュニケートできなかったり様々な代償を支払う者もいる。
そのサヴァン症候群に似た状態を人工的に作り出し人並み外れた優秀な人間を作り出す。
それがアテネ計画の目指すものでした。
集められた子供たちは全部で26人。
彼らは皆被験体でした。
(羽村)被験体って!?そんなことが可能なんですか?
(青木)90年代中葉脳機能の研究に携わっていた日本首都製薬が偶然開発した新薬が元になっております。
新進平和塾はその研究に目を付けアテネ計画を発足させました。
そう。
(青木)あの場所のことをわれわれは租界と呼んでおりました。
そこには膨大な研究費と優秀な人材が惜しみなくつぎ込まれた。
(青木)しかしその新薬の効果があったのは成長期にある5歳以下の子供たちに対してだけでした。
(青木)それは通常の人間の肉体と精神に許容できるものではなかった。
被験体の多くは肉体的にもまた精神的にも破綻を来しそのほとんどは死んでしまった。
もうたくさんだ!あんたよくも平気でそんなことを!羽村。
結局アテネ計画は失敗に終わり計画に気付いた米国政府の介入もあって7年前に中止されました。
おお…。
冷めてしまいましたな。
(柴崎)なぜだ?なぜ今になって話す気になった。
あなた方が来なければこの話は墓まで持っていくつもりでした。
しかしおそらくはあの子供たちがそれを許さんかったのでしょう。
この話をした瞬間から私も無事では済まない。
しかし私も年を取り体も悪くしております。
生きられてもあと数年…。
子供たちはその後どこへ?実験の結果生き残ったのはたった1人だけです。
彼女は米国の機関に引き取られました。
そうですか。
(青木)ただ…。
(柴崎)何です?
(青木)実は施設から脱走した子が2人おります。
その名前は分かりますか?子供たちに名前はありません。
彼らは皆数字で呼ばれるのです。
一人は被験体9号。
もう一人は12号。
彼らは火事を起こしシステムのセキュリティーをダウンさせ脱走を企てたのです。
それはいつのことです?
(青木)8年前のことです。
生きておればおそらく17歳になりましょう。
柴崎さん…。
(青木)あの2人がどこかでまだ生きていることを願うばかりです。
どうせ長くは生きられないでしょうが。
よくそんなことが言えるな!子供たちを実験材料にしておいて!あんたは…あんたは人間じゃない!
(青木)そう。
私は人間じゃない。
数多くあった駒の一つです。
指し手の命令に逆らうことなど…。
アウシュビッツで被収容者の選別をした人間もきっと同じことを言ったでしょうね。
(柴崎)指し手は誰です?
(青木)間宮先生です。
えっ?間宮って。
柴崎さん!
(柴崎)まさか…。
(羽村)間宮俊造って柴崎さんが左遷されるきっかけになった政治家ですよね?永田町の怪物とか言われてた…。
どうするんです?
(クラレンス)ハイヴ捕獲フェーズに入りますか?
(ハイヴ)まさか。
あいつの役目はこれからよ。
リサ…。
リサ!
(リサ)ツエルブ。
あ…あのこれ…。
(リサ)ば…ばく…爆弾が。
私あの…どうしよう…。
落ち着いてリサ。
(ゴンドラの作動音)ああ…。
ハイヴ。
冗談にしちゃ度が過ぎるぜ。
(ハイヴ)どうやら気に入ってくれたみたいね。
(クラレンス)どういうことです?ターゲットを捕獲してオブジェクトの所在を吐かせるのではなかったのですか?夜の10時にパーティーを終わらせるバカがどこにいるの?ど…どうしよう。
ちょっと待って。
(リサ)ツエルブ?大丈夫安心して。
よし。
これで1個。
(クラレンス)いったい何が目的なのです?ハイヴ。
残りの時間であの数の爆弾を解除するのはプロでさえ不可能です。
彼が死ねばオブジェクトの確保も遠のく。
われわれの目的を忘れたわけでは…。
ごめんね。
(リサ)私が勝手に出ていって勝手に捕まって。
いっつもいっつも2人に迷惑ばっかり掛けて。
ごめんね。
もう何も謝らなくていい。
えっ?いいんだ。
リサのせいじゃない。
謝るのは俺だよ。
えっ?ナインの言うとおりだ。
俺が空港に連れていこうなんて言わなきゃこんなことにはならなかった。
あんときバイクに乗せるべきじゃなかった。
いやきっと…。
あんとき声を掛けなきゃよかったんだ。
いつかこうなるって分かってたんだ。
でも…。
俺は…。
ありがとう。
私はもう大丈夫。
逃げて。
リサ。
ツエルブ一人だったら逃げられる。
そんなことできるわけ…。
ナインが待ってるよ。
(リサ)ナインはきっと…。
ツエルブを必要としてる。
2人にはやることがあるんでしょう?ナインとツエルブはきっとそのために来たんでしょう?
(ハイヴ)どう?楽しんでる?ハイヴ!
(ハイヴ)取引しましょう?原子爆弾はどこ?あなたたちが奪ったのはプルトニウムなんかじゃない。
この国が秘密裏に開発してた原子爆弾のプロトタイプよ。
その在りかを教えてくれたら爆弾は解除してあげる。
どう?悪くない取引でしょう?そうねツエルブ。
言えばナインを裏切ることになる。
でもあんたはとっくにナインを裏切ってるのよ。
黙れ。
あんたはナインよりその女を取った。
ナインを裏切ってまで取ったその女をみすみす死なせちゃうの?
(ハイヴ)ナインはあんたのこと許さないわよ。
絶対に許さない。
あんたは薄汚い裏切り者よ!言いたくなければそれもいいわ。
その女と心中するのね。
まあ何てロマンチックな夜なのかしら。
おやすみ王子様。
学校だ!D12番のロッカーの中だ!
(ハイヴ)大変よくできました。
(ナイン)ツエルブ。
(部下)We’velostvisual.
(クラレンス)ターゲット逃走しました。
ターゲット視認!
(ハイヴ)確保して!逃がさないで!ハイヴ!2014/09/13(土) 04:21〜04:51
関西テレビ1
残響のテロル[字]【大規模爆弾テロで、この国を眠りから覚ましたのは二人の少年だった】
リサを捕えたハイヴはナインとツエルブを呼び出す。リサを助けるべきかどうか。2人の時間は限られている。一方、柴崎はアテネ計画の関係者、青木の家を訪れる…
詳細情報
番組内容
ある夏の日──
突然、東京を襲った大規模な爆弾テロ。
平穏なこの国を眠りから覚ました事件の犯人は、たったふたりの少年だった──。
“スピンクス”と名乗る犯人たちの、日本中を巻き込んだ壮大なゲームがいま、始まる。
出演者
ナイン: 石川界人
ツエルブ: 斉藤壮馬
三島リサ: 種