(みずき)ご依頼お請けします。
私たちは便利屋ですから。
か弱い女性の味方となり何でも請け負うのは過去に心に傷を負った女性3人衆
殺人でも請け負うとの噂の中元恋人を殺してほしいという依頼が
そして殺害される元恋人
しかしこの殺人事件には想像を超えるからくりが仕掛けられていた
事件の真相はそして真犯人は
(呼び出し音)
(呼び出し音)
(足音)
(刺す音)言っただろ。
逃がさないって。
(雪乃)嫌!助けて!
(雪乃の悲鳴)
(男性の笑い声)
(呼び出し音)
(男性)はっ!あーっ!
(呼び出し音)
(みずき)もしもし。
雪乃さん。
どうしたの?雪乃さん!雪乃さん!どうしたの!
(パトカーのサイレン)
(みずき)雪乃さん!雪乃さん!
(警察官)ああちょっとちょっと。
(警察官)関係者以外立ち入り禁止です。
(みずき)生活安全課浅川。
(警察官)失礼しました。
(みずき)雪乃さん!雪乃さん!雪乃…。
(大森)話せたのか?
(みずき)いいえ。
お揃いか?なぜもっと早く男の身柄を拘束しなかったんですか。
できるものならそうしたかった。
だができんのだよ。
われわれには。
私たちが警察官だからですか?
(磯崎)子育てで仕事を辞めた後働きたくても職が見つからない女性は340万人を超えているといわれてるんです。
子育てでブランクを明けた女性がいかに社会復帰するかその問題を解決するのがわれわれ政治家の役目なんです。
《「Any」規約1つ。
クライアントは女性であること》
(磯崎の妻)おかえりなさいませ。
何その反抗的な目。
人の意見にいちいち突っ掛かる野党のバカ女議員と同じ目だよ。
(磯崎)分かってるよね?私が一番嫌いなものが何か。
男に逆らうくそ女だよ!申し訳ありません。
《2つ。
現在その依頼女性に助けが必要なこと》謝れば許されると思ってんの?
(磯崎)あれ?疲れて帰った夫を迎える状態かな?これ。
嫌だなこういうの。
またストレスたまっちゃったなぁ。
ええ?
(磯崎)痛て。
3つ。
男のエゴや暴力の犠牲者であること。
(磯崎)誰だ?お前。
(桃花)ああー!いいお顔してますよ。
(磯崎)何なんだお前たち。
女性の味方の磯崎先生。
これをご覧になって。
(桃花)全部生中継しちゃいました。
おしまいね。
政治家としても人としても。
貴様。
それよこせ!
(磯崎)うっ!
(佳子)あら?もうおしまい?つまらない殿方ね。
あー怖い。
(磯崎の妻)あの謝礼はいかほどご用意すれば?
(桃花)こちらが請求書になります。
(磯崎の妻)これだけでいいんですか?時給は原則2,500円ですから。
最初に申し上げたとおり私たちは便利屋ですから。
働きたいのに職が見つからない女性は340万人を超えているといわれてます。
子育てで…。
(板橋)ったく。
女の味方か世直しか知らないがこんな勝手なまねされて法治国家が成り立つと思うか。
磯崎代議士を暴行し拉致した連中を見つけだすんだ。
(小暮)大森さん聞きました?検察に磯崎の不正献金の証拠書類が匿名で届けられたそうですよ。
検察もそんなもんが届いたら動かないわけにはいかないっすね。
(小暮)誰の仕業か知らないっすけどこんなんじゃ検察も警察も面目丸つぶれですよ。
つぶれて困るほどの面目もメンツもねえだろ。
なっ。
はい。
(小暮)大森さん。
買い物代行ですね。
はい。
お任せください。
当社女性専門の便利屋「Any」では困ってる女性のためでしたらどんなご依頼でも格安でお引き受けします。
(桃花)佳子さん。
(佳子)うん?
(桃花)佳子さんこれ。
これ何なんですか?
(佳子)あっこれね綾小路のおばあちゃんに頼まれた犬の散歩中のおやつ代。
犬のおやつ代!?
(佳子)まさか。
犬がみたらし団子や大福食べますか?食べたんでしょ?
(佳子)テヘッ。
(桃花)「テヘッ」じゃないっしょ。
もうホントこれ…。
またつまらんまねしてくれたな!何のことですか?
(大森)相手が政治家ってことで警察も一応捜査はする。
だが内心はくだらねえ事件だと思ってっから適当なところで帳尻合わせて終わりだ。
お前らにとっちゃ命懸けの世直しかもしれんがその程度の事件ってことだ!大森さん。
うちは警察と違って暇じゃないんですよ。
用がないんならとっとと帰ってください。
自分たちが大層なことしてると思って調子づくな。
まっ今回だけは見逃してやるから。
次はそうはいかんぞ。
(大森)うん。
以上!
(佳子)ハハッ。
いっつも今回だけはじゃないねぇ。
何だかんだ言って結局証拠一つつかめないんでしょ。
(麗子)大丈夫?
(麗子)一緒に行こうか?
(真由)ううん。
1人で行く。
ありがとう。
木下真由さんですね。
どういったご依頼でしょうか?
(真由)こちらはどんな依頼でも引き受けてくれると聞きました。
ええ。
「Any」はanythingの略。
何でも屋の便利屋です。
助けが必要な女性のためならどんなご依頼でも引き受けます。
殺人を依頼できる人を紹介してください。
えっ?いえ。
できることならある男を殺してください。
(真由)この男です。
清岡紀夫。
どうか殺してください。
(サイレン)ご苦労さん。
(マリ子の泣き声)
(板橋)申し訳ありませんが少しお話をお伺いしてもよろしいですか?
(小暮)被害者は清岡紀夫さん35歳。
この部屋のあるじです。
第一発見者は今日の昼すぎに娘と共に実家から帰宅した奥さんのマリ子さんです。
(板橋)そうですか。
(大森)凶器は?
(小暮)ひも状のものということは分かっているんですがそれらしいものはいまだ見つかっていません。
死亡推定時刻は?
(小暮)昨夜11時ごろから午前1時ごろだそうです。
うん。
(大森)「M」…。
これはどなたの?
(桃花)大変ですよ。
これ…これですよ。
(女性)マンションの一室で男性が…。
(桃花)どういうこと!?
(女性)三田中央署は現場の状況などから殺人事件と断定し捜査しています。
自宅に帰ると夫が息をしていないと奥さんから…。
(呼び出し音)
(板橋)木下真由さん。
あなた2年前まで亡くなった清岡紀夫さんと同じフラワー食品に勤務されていたそうですね。
はい。
それが何か?
(板橋)ええ。
昨夜の23時40分ごろ清岡さんの死亡推定時刻とほぼ同時刻に清岡さんのマンションの非常階段入り口であなたの背格好によく似た怪しげな女性を住民の男性が見掛けてるんですよ。
あなた清岡さんと以前交際していたそうですね?
(板橋)犯行現場のマンションにも半同棲状態で暮らしていたっていうじゃありませんか。
私殺してない。
(板橋)それからこれあなたのでしょ?犯行現場に落ちてましたよ。
もう少し詳しくお話を伺いたいのでご同行いただけますか?私何もしてません。
(板橋)お話は署で伺いますので。
(バイブレーターの音)
(呼び出し音)真由さん?
(大森)ブー。
大森さん?ピンポン。
なぜ俺がこの電話に出たのかお前なら察しがつくだろ?
(大森)お前らも年貢の納め時のようだな。
首洗って待ってろよ。
(板橋)ずっと所持していた合鍵を使い清岡さんの部屋に侵入したことは認めるんですね?はい。
(板橋)何のためにですか?何のために妻子が留守で清岡さんしかいないときに忍び込んだのか聞いてるんですよ。
(板橋)清岡さんを殺すためだろ?そして寝ていた清岡さんを絞殺した。
殺してない。
(板橋)これ紀夫の「N」に真由の「M」お揃いですね。
2人でお互いのイニシャルのキーホルダーを大切に持っていた。
(板橋)しかし別れるときに突き返された。
あんたは2つのキーホルダーを大切に持ち続けこの情念のこもった「M」のキーホルダーを犯行現場に持っていき殺害時にうっかり落としてしまった。
違うか?
(真由)違います。
だったら何でこんなものが寝室に落ちてたんですか?それは…あの人も大切に持っていてくれたから…。
(板橋)ほお〜。
清岡さんもあんたとの思い出を大切にしてたっていうのか?バカ言え。
清岡さんの奥さんがこんなもの見たこともないって証言してんだよ!
(桃花)ねえどうするんですか。
警察はすぐに私たちに目を付けますよ。
真由さんだって私たちのことを話しちゃうだろうしもう…。
桃花。
心配しなくちゃなんないのは自分たちのこと?分かってますよ。
心配してますよ。
真由さんのこと。
計画は完璧だった。
でもどこかで計算違いが生じた。
どこかで…。
(真由)この男です。
清岡紀夫。
どうか殺してください。
お客さま。
何か勘違いなさってるようですね。
私ども便利屋といえどもそういった非合法なご依頼は引き受けることができません。
(真由)それは表向きですよね?困っている女のためなら何でもしてくれると聞きました。
どなたから?
(真由)噂で聞いただけですけど。
こちらにはどなたのご紹介で?矢口麗子という友人です。
矢口麗子…。
半年ほど前にこちらに伺ったと聞いてます。
今日もこちらまで案内してもらいました。
ああ。
覚えてます。
確かご近所トラブルの対処法について相談に来られ解決しました。
彼女が「Any」は殺人も引き受けるとあなたにそう言ったんですか?
(真由)そういうわけではありません。
人殺しの依頼なんてことは麗子さんには話してませんしただ「本当に親身になって力になってくれる人たちだから何でも相談してみたら?」って言われました。
人殺しに関してはネット上の匿名掲示板でそんな噂が流れてるの目にしました。
そんな誰が何の目的で書き込んだのか分からないようなものを信じるのもどうかと思いますけど。
じゃあ引き受けてもらえないんですね?お力になれず申し訳ありません。
分かりました。
お邪魔しました。
(佳子)死ぬ気でしょ!
(桃花)駄目!絶対駄目!お話伺いましょう。
じゃあ引き受けてもらえるんです…。
ただし真由さんあなたの話に一つでも嘘偽りがあったら私たちはあなたを許しません。
それを承知の上でなら聞きましょう。
嘘など言いません。
聞いてください。
どうぞ。
(真由)4年前私は勤務先の食品メーカーで清岡と出会い付き合い始めました。
(清岡)《真由ちゃん》
(真由)彼の立場上2人の関係は周囲には秘密にしていましたが私たちは将来を約束し合っていました。
だから彼がマンションを購入したときも私は費用の一部を負担して半同棲のような生活を始めたんです。
いずれ彼と結婚して幸せな家庭を築く。
そのつもりで彼に尽くしてきました。
でも3年前彼に大阪転勤の話が持ち上がったんです。
私は結婚して彼と一緒に大阪に行くつもりだったんですが。
(清岡)《ここで待っててほしいんだ》
(真由)《でも…》
(清岡)《いずれ大阪から戻ってくるからそしたら結婚しよう》
(真由)そして彼は大阪へ単身赴任しました。
ところが彼は大阪へ転勤した1年後に専務の娘と婚約したんです。
(真由)私はちょうど彼の子を中絶したばかりでした。
二度目だったんです。
彼に言われて二度もしたんです。
(真由)そのせいで自業自得と言われるかもしれませんが今は子供の産めない体です。
私は悔しくって彼を問い詰めました。
(清岡)《僕は君と正式に婚約を交わした覚えはないよ》《証拠があるんだったらさそれ見せてよ》《僕にだってさ健康で丈夫な体の妻を持つ権利はあるんだよ》《だって君健康じゃないじゃん》《あなたのせいよ!》《子供産めないのあなたの…》《君さいいかげんにしないと僕も本気で怒るよ》《君と僕みんなどっちの言うこと信じると思う?》
(真由)清岡はでたらめな話をでっち上げて私を中傷してきた。
(真由)結局私は一緒に買ったマンションも追い出されてしまった上彼が流したでたらめな噂のせいで会社に居づらくなり辞めました。
(真由)それから体調は優れないままですがアパートで1人で暮らしながら派遣の仕事などで何とかやってきました。
いつまでもあんな男のことを引きずっていてはいけないと思ったからです。
でも1カ月前元同僚から聞いてしまったんです。
(真由)清岡が本部長になり大阪から東京の本社に舞い戻ったばかりかかつて私と一緒に暮らしていたマンションに移り住んだって。
奥さんや娘と一緒に。
(真由)自分をこんな目に遭わせた男がそんな幸せそうな顔してるの見て許せますか?どうして私だけこんなつらい目に遭わなきゃいけないんですか。
(真由)女だからですか?
(真由)弱い女はいっつもこんなふうにひどい目に遭わなきゃならないんですか?女は男の犠牲にならなきゃいけないんですか?あの男…清岡紀夫を殺したい!
(真由の泣き声)殺人の依頼をお請けすることはできませんがお手伝いすることならできます。
ただしあくまでも最後に手を下すのはあなた自身ですが。
私たちが殺人だって請け負うっていう噂が流れてることは知ってます。
でもそれはデマよ。
私たちはあくまで依頼人の手助けをするだけです。
(桃花)アリバイ工作や殺人方法の計画や情報収集などを担ってるってことです。
できることは何でもやります。
どうかお力を貸してください。
分かりました。
ご依頼お請けします。
(真由)ありがとうございます。
(真由)でもあの…まとまったお金がそんなにありません。
報酬はどのぐらいだと考えたら…。
私たちは便利屋です。
雑用掃除と同じ原則どおりの時給2,500円で請け負います。
あくまでお手伝いですから。
ありがとうございます。
(桃花)殺しか…。
(佳子)大仕事ね。
よーしそうと決まればまずは…。
まずは腹ごしらえ。
清岡紀夫と妻マリ子の身辺調査。
私それ頂き。
それからこれ。
真由さんが捨てられずに持っていたマンションの合鍵。
賞味期限切れてなきゃいいけど。
あら切れてんじゃん。
ちょっと。
ようじようじ。
(店員)はい。
失礼しました。
はっ!
(店員)あっ。
すいません。
あっ。
すいません。
ああ…。
(桃花)イケメンですか?毎度見慣れた光景だけど。
(桃花)笑える。
(桃花・佳子の笑い声)ちょっとな…何?あの顔。
(内藤)新人アルバイトだよ。
あんなと…整った顔雇わないんじゃなかったの?だからこう食事もの…喉を通らないじゃないのちょっと。
店員の顔なんか見なくていいから黙って食えよ。
あっ。
忘れたの?うん?あんな整った顔の男に奥さん寝取られた屈辱!あっ…。
それあり?それ言うんだ。
何でもありなんだ。
ハァ…。
しばらくここには来れねえ。
《計画を遂行するためにまず清岡に関して調べた》
(ボーイ)失礼いたします。
新人のモモさんです。
モモです。
座ってよ。
(桃花)はい。
(清岡)カワイイマニキュアだね。
あっ。
ちょっとドレスに合わせてみた…。
(佳子)あっ。
どうもこんにちは。
清岡さんお留守みたいですね。
あの保険の話で伺ったんですけどあの…保険興味おありになりますか?
(シャッター音)
(シャッター音)
(シャッター音)《そして殺人計画が出来上がった》ご希望どおり殺害方法は絞殺とします。
あなたに殺されると認識しながら苦しんで死んでいく絞殺でよろしいんですね?はい。
妻子のいない日を狙って寝込みを襲っていただきます。
(桃花)今度の連休妻マリ子は娘を連れて実家に帰ります。
帰宅するのは連休明けの昼すぎです。
よって殺害決行日は連休2日目の夜とします。
詳しいスケジュールは前日に確認しますがそれまで普段どおりの行動をしていてください。
誰かに不審がられることのないように。
いいですね?あの…気になることがあるんですが。
というと?この数日家で1人でいると…。
《もしもし。
もしもし?》
(通話の切れる音)
(真由)そんないたずら電話が何度かあったんです。
心当たりは?特にありません。
それからおととい友人がこちらを紹介してくれた矢口麗子さんが遊びに来たんですが。
そのとき…。
(真由)《はい》《ありがと》《ねえ少し顔色良くなったんじゃない?》
(真由)《ああ。
そうかな?》
(麗子)《うん》
(麗子)《「Any」どうだった?》《ああ。
うん》《悩み事っていうか愚痴を聞いてもらっただけなんだけど》《ずいぶん気は楽になった》《そっか。
それはよかった》《あ〜あ。
私も愚痴を聞いてもらいに行こうかな》《愚痴なんてないでしょ》《あるわよ。
主人のこと》《ご主人単身赴任中でしょ?》《うん。
たまに帰ってきても仕事の話ばっかりで嫌んなっちゃう》
(真由)《どうしたの?》
(麗子)《あの男この部屋のぞき込んでた》《警察に知らせた方がいいんじゃない?》
(真由)《警察!?》
(麗子)《だって変質者だったら怖いじゃない》《最近いたずら電話もあるし》《心配ね。
やっぱり警察に相談した方がいいんじゃない?》《ああ…。
もう少し様子見てからね》
(桃花)何なんでしょうねその男。
ストーカー!?
(桃花)心当たりは?
(真由)ありません。
気にはなるけど計画中止にするわけにはいかないわよ。
はい。
《そして計画は実行された》22時45分。
私が真由さんと入れ替わる。
私は真由さんに成り済まし隣の部屋の受験生に聞こえるようにわざと大きな音を立ててケーキを作る。
真由さんがこの部屋にいたというアリバイ工作のため。
真由さんはあらかじめスタンバイしておいた自転車に乗り7km先の清岡宅へ向かう。
マンションには防犯カメラが3カ所設置されている。
正面玄関とエレベーターの中。
そして駐車場。
死角になっている非常階段を使えばカメラに映されずに清岡の部屋に行ける。
23時45分。
清岡の部屋に到着。
(呼び出し音)はい。
いないんです。
清岡が。
いない!?そんなはずありません。
(真由)でもいないんです。
外出しているかどうかは鍵を確認すれば分かります。
室内に鍵はありますか?鍵!?どうして…。
真由さんどうしたの?真由さん。
私どうかしていました。
えっ?私は彼の全てを分かっていたわけじゃないのかもしれません。
というと?彼も少しは私のこと悔やんでくれてるような気がするんです。
私もまだ彼のこと思ってるんだって気付きました。
だから計画は中止させてください。
それはあなたが決めることですから。
中止します。
承知しました。
うん!?あっ!ああ〜。
あっ。
ハァ…。
計画は中止した。
でもそれも全て計画どおりだった。
(佳子)そうよ。
うまくいくはずだったのに。
(桃花)じゃあどうして清岡が殺されたんですか?お前らついにやってくれたな。
殺しの片棒担ぐとはな!
(大森)木下真由全部げろったぞ。
(大森)木下真由は全部げろったぞ。
(大森)と言いたいところだが木下真由は清岡紀夫の部屋に侵入したことしか認めていない。
動機は口にしてないし協力者の存在すらにおわせていない。
殺害に関しては全面否認だ。
(大森)おい。
これお前らの忘れ物だろ?
(大森)うーん。
やっぱりそうか。
自分を捨てた男がどうしても許せない。
殺してやりたい。
お前らはその依頼に応えるふりをして思いとどまらせる方法に出た。
侵入させておいてこれを見せることで考えを変えさせようとした。
どうせそんなとこだろう。
だがお前たちの計画どおりには事は進まなかった。
やっちまったんだよ。
木下真由は。
これを見ても思いとどまらずに清岡を殺しちまったんだよ。
やっちまった以上思いとどまらせようとしたなんて言い逃れは通用しねえぞ!大森さん。
さっきから何訳の分かんないこと言ってるんですか。
私たちは木下真由さんから今後の生活全般について相談を受けてたからその後どうなったのかなぁって電話しただけですよ。
(大森)捜査に全面的に協力するなら多少のことは目つぶってやろうと思ってたがどうやらそのつもりはなさそうだな。
そんな訳の分かんないことはまっ時間の無駄ですよ。
まだ分かってないようだな。
中途半端に関わることの怖さが。
(大森)中途半端に関わったせいで1人の男が死に1人の女が殺人者になった。
今度は忘れるなよ!
(佳子)何だいあいつ!真由さんが犯人だって決め付けちゃって。
(桃花)でもあの状況じゃ真由さんとしか…。
計画中止の連絡を受けた後の彼女の動きは?真由さんの動きよ。
えっ?ああ…。
連絡を受けてから私はすぐ部屋を出た。
真由さんが何時に部屋に戻ってたのかは確認してない。
桃花。
清岡を何時まで引き留めた?ええ…呼び出したのが11時。
(桃花)《モモです。
こんな時間にごめんなさい》《清岡さん。
ちょっと相談があるんだけど》
(桃花)近くのバーでたわいない話をしているときに計画中止のメールを受けて別れたのが1時ちょっと前。
戻ったのは1時すぎか。
清岡はいつもどおり非常階段を使ったでしょうから防犯カメラには映ってないでしょうしね。
問題なのはその時間に真由さんが部屋にいたかどうかね。
ああもう計画中止で油断し過ぎたわ。
あのキーホルダーを回収しなかったのがもう大失敗。
(桃花)清岡がとっくに捨てたであろうあの思い出のキーホルダーとまったく同じ物を用意して寝室に置くことで真由さんを思いとどまらせようって発想はよかったんだけどそのまま寝室に置くことで清岡をビビらせようってのはちょっとまずかったのかもな。
(佳子)清岡ビビらなかったでしょうね。
清岡女口説くときには必ず使うアイテムだったらしいから。
真由さんにとっては大切な思い出なのに清岡は誰とのペアなのかさえ覚えてなかったのかもしれない。
(佳子)でも清岡は誰かに殺害された。
ああもし真由さんが犯人じゃないとしたら誰かが私たちの計画を利用して絞殺したのよ。
(桃花)っていうか真由さんが犯人だろうが別の誰かだろうがこうなったのは私たちの計画のせい?真由さんに殺害を思いとどまらせて新しい人生を前向きにやり直してもらおうと思ったのに。
もう完璧な計画だったのに。
完璧じゃなかったのよ。
中途半端だったの。
どこがよ。
あんな大森のいいかげんな話聞いて動揺しちゃ駄目よ。
不審な電話と不審な男。
(真由)《いたずら電話が何度かあったんです》その話をちゃんと聞かなかった。
じゃあどうしろっていうのよ。
あの状況じゃしょうがないでしょ。
あの時点で計画を中止しろっていうの?
(桃花)それにその不審な電話や男が殺害に関係してたかどうかも分からないじゃないですか。
聞かなきゃいけなかったの。
仕方なかったでしょ。
それって言い訳だよ。
しかたがないなんて自分を正当化して自分を守るための言い訳よ。
私はもう言い訳はしたくない。
したくないからこの仕事始めたの。
あなたたちもそうでしょ?とことんやるの。
自分たちがまいた種は自分たちで摘み取るのよ。
分かってるわよ。
とことん摘み取ってやる。
(佳子)ちょっとお尋ねしたいんですけども…。
まずは清岡の身辺調査のやり直し。
真由さんが犯人でなかったとしたら別の誰かが清岡を殺害したことになる。
清岡を恨んでる人間邪魔に思ってる人間を調べて。
麗子さん。
お久しぶり。
ごめんね。
忙しいのに呼び出して。
(麗子)あっいえ。
その節は本当にお世話になりました。
いえいえ。
どうぞ。
木下真由さんの件私も驚いてます。
重要参考人のかつて交際していた女性って真由さんのことですよね?うん。
真由さん麗子さんには清岡さんとのこと相談してたんでしょ?ええ。
とても思い詰めた様子だったので「Any」を紹介したんです。
親身になってくださるから何でも相談してみたらって言って。
ありがとうございます。
真由さん悩みや愚痴を聞いてもらって楽になったって言ってたんですけど。
真由さんのアパートで部屋をのぞき込んでる怪しい男を見たって聞いたんだけど。
(麗子)はい。
あ…でも顔まではっきりとは。
じゃあ不審な電話があったこと聞いてる?無言電話ですよね?真由さん心当たりはないって言ってましたけど。
麗子さんはその電話や男に何か心当たりない?うーん…。
思い当たりません。
真由さん人に恨みを買うような人じゃありませんから。
(桃花)ん?今日のいまいち。
(佳子)イケメン店員がお店のお金持っていなくなったんだって。
それだからあの手の顔の男は信用できないのよ。
(桃花)あっ。
清岡の奥さんのマリ子さん。
犯行時刻に実家に娘といたことは確認できたんですけど。
夫婦間のいざこざは絶えなかったようですね。
原因は専務のお嬢さんであるマリ子さんのわがまま。
マリ子さん周囲の人間に夫の愚痴かなりこぼしてたみたいなんです。
殺害動機がまったくないわけじゃないのね?清岡会社内での評判は良く取引先からの信頼も厚い。
専務の娘婿ってことが出世した一番の理由なんだけど。
本部長に昇格するに至った功績の一つは大阪支社でのリストラ敢行にあったらしい。
首切り役か。
(佳子)かなり大胆に切りまくったらしくて首を切られた会社員たちから恨みを持たれてもおかしくない状況。
(桃花)行きつけのクラブでも金払いもいいし人気があったみたいでこの2人が清岡を奪い合ってもめてたみたいです。
(佳子)清岡を殺したい人物それなりにいるってことね。
どうしたの?うん。
犯人は私たちが作り上げた殺害計画を全て読んでた。
ここに挙がった人物の中にそれが可能な人っている?そうね…真犯人に殺害計画は全て筒抜けだった。
それが一番気になる点ね。
(桃花)部屋をのぞいていた不審なストーカー男怪しくないですか?真由さんをずっと監視してたら計画のことも知れるだろうし。
真由さんストーカー男に利用されてたってことか。
もしそうだとしたら利用されてたのは真由さんだけじゃない。
私たちもよ。
やられたわね。
冗談じゃないですよ。
真由さんが警察に身柄を押さえられてる以上直接彼女に話を聞くことはできない。
不信な男の正体も含め彼女の周辺当たってみましょう。
(板橋)いつまで黙り込んでるつもりだ。
あんた誰かかばってんのか?おおっ図星か?引っ掛かってたんだよ。
妻子の留守を狙い防犯カメラを逃れてマンションへ侵入。
そして寝込みを襲う。
あんたみたいなか弱い女にしてはやけに手際がいい。
共犯者もしくは裏で手引きした仲間がいるんじゃないか?えっ!
(小暮)大森さん。
ちょっと気になることがあるんですけど。
(大森)何だ?被害者清岡紀夫のこと調べてるんですけど。
われわれと同じことを調べてる女たちがいるみたいなんですよね。
何だ?そりゃ。
(小暮)いやつまり警察ではない何者かが捜査みたいなことをしてるんですよ。
それも結構いい女たちみたいっすよ。
何くだらねえこと言って遊んでんだ。
別に遊んでるわけじゃないですよ。
何か関係してるかもしれないじゃないですか。
ほら例えば共犯者とか。
一応上に報告しといた方がいいですよね?やめとけ。
バカにされるだけだ。
いやぁそうですかね。
大森さん。
何ですか?大切なお話って。
(大森)警察もバカじゃないぞ。
お前らがちょろちょろ動けば当然目につく。
共犯者と思われても無理はない。
だから?事件から手を引け!それは無理です。
(大森)こんなことになった責任を感じてるなら手を引くのが一番だ。
(大森)お前はもう警察の人間じゃない。
われわれ警察にとっては目障りな存在にすぎん。
警察がどこまでできるんですか?警察が私たちの生活を守ってくれるんですか?もう同じ過ちは繰り返したくない。
《私に?》
(雪乃)《はい。
お揃いです》《こうやってみずきさんと同じのを着けているといつもみずきさんに見守ってもらえてるような気がして安心できるんです》《雪乃さん》
(雪乃)《みずきさんには本当に感謝しています》《私の話ちゃんと聞いてくれたのみずきさんだけだから》《大丈夫よ》《刑事課には私の方からちゃんと話してるから》《いいんです》《どこにでもいる単なるストーカー》《みずきさん以外はその程度にしか思ってくれてません》《そんなふうに思わなくて大丈夫よ》《ねっ。
警察を信じて》《あっ》《ちょっとごめんね》《はい。
浅川》《えっ?痴漢?》《分かったわ。
すぐ行きます》《ごめんね》《私は大丈夫です》《みずきさんのことは信じてますから》《ホントに大丈夫ね?》《じゃあ何かあったら必ず電話してね》
(雪乃)《はい》《ありがとう》
(刺す音)
(男性)《はっ!あーっ!》
(呼び出し音)《もしもし》《雪乃さん。
どうしたの?雪乃さん!》《雪乃さん!どうしたの?雪乃さん!》私がもっとちゃんと彼女の話を聞いてあげてれば。
(大森)あれから10年だ。
何か変わったか?
(大森)世の中何も変わっちゃいない。
まあ俺も変わってないがな。
私がやってることは無意味だと?
(大森)俺は警察の人間だ。
お前もお前たちがやってることも認めるわけにはいかん。
中途半端に関わるなって言ったじゃないですか。
中途半端に関わるのは怖いことだって。
だから私…。
(大森)自分に言ったんだよ。
お前たちを中途半端に見逃してきた俺にな。
10年前のことお前は少しも悪くない。
彼女にとってはお前だけが救いだったはずだ。
ホントに救えない人間は救いにはなれない。
彼女を死なせてしまった私は救いにはなれなかった。
真由さんと話がしたい。
どうにかなりませんか?それは無理だな。
どうして?俺が警察の人間だからだ。
大きな傷を背負ったまま生きてきたのが自分だけだと思うな。
私はもう自分に言い訳したくないんです。
(桃花)あ〜おいしいおいしい。
・
(ドアの開く音)
(内藤)いらっしゃい。
あ〜おなかすいた〜。
ご苦労さま。
(桃花)お先です。
えっと何にしようかな?
(内藤)へいお待ち。
えっ?気が利くね。
(3人)お疲れさまです。
真由さんの周辺丁寧に調べて回ったんですけど。
真由さんをストーカーしそうな男や恨みを持つ男はまったく見当たりませんでした。
でも例の不審な男の姿を真由さんのアパートの近くの住民も何人か目撃してるのよ。
(桃花)誰なんでしょうねその男は。
このままだと真由さん起訴されてしまうわよ。
(内藤)あっ。
いい飲みっぷりだねぇ。
ん?でも一つだけおかしいことがあるんですよね。
何?真由さんが最初にうちに来たときの話。
真由さんこう言いましたよね。
「1カ月前に清岡があのマンションで暮らし始めたことを元同僚に聞いた」って。
《元同僚から聞いてしまったんです》《清岡が本部長になり大阪から東京の本社に舞い戻ったばかりかかつて私と一緒に暮らしていたあのマンションに移り住んだって》
(佳子)うん。
それで彼女はマンションに様子を見に行き清岡の幸せそうな様子を見て復讐するって決意したのよ。
でもそれらしい人見当たらないんですよ。
その元同僚って人。
えっ?どういうこと?真由さん昔の同僚と付き合いないしいくら捜してみてもそれに該当する人いないんですよ。
(佳子)じゃあ真由さんが嘘をついてたってこと?それは分かりませんけど。
いったい誰が真由さんの復讐心に火を付けたのか。
そこを調べてみる必要がありそうね。
(女性)えっ?これ新聞?雑誌?雑誌です。
あっそう。
じゃあ謝礼とかあるの?もちろん。
ああそうなの。
聞きたいことあるんなら何でも聞いて。
私このマンションできたときからずーっと住んでるんだから。
あの亡くなった清岡さんなんですけど2〜3年前まで別の女性と暮らしてましたよね?ええ。
地味でおとなしい女の人が一緒だったわよ。
私奥さんだとばっかり思ってたから。
ほらニュースで言ってた元交際相手の女性。
その人だと思うの。
あの…彼女ですか?
(女性)そうそうそうそう。
重要参考人なんでしょ?あの…彼女がこのマンションで親しかった人とかご存じないですか?親しくしてた人?あっ。
お隣の暗い男の人。
高橋さんっていう。
あなたとおんなじような仕事。
ルポライターっていうの?その人と立ち話してんの何度か見掛けたわ。
彼女が一人で暮らしてるころ。
(チャイム)高橋健一さんですよね。
お伺いしたいことがあるんですけど。
(高橋)隣の部屋のことなら警察に何度も話しましたよ。
あの晩は仕事で疲れて10時前に寝てしまってそのまま熟睡。
朝まで誰も見ていないし物音も聞いていない。
私がお伺いしたいのはそのことではなくてお隣に2年ほど前まで木下真由さんっていう女性が住まわれてましたよね。
(高橋)ああ…名前は知らなかったけど隣だからたまに顔合わせたことはあるけど。
親しくされていたとお聞きしましたが。
挨拶する程度だよ。
話それだけ?こっちも忙しいんで。
あっはい。
失礼しました。
(佳子)挨拶を交わす程度だって言ってたの?そう。
それ以上彼は何も聞かなかった。
おかしいと思わない?普通なら何でそんなことを聞くのかって気になるでしょ?そうね。
でも聞かなかった。
不自然よね。
(佳子)高橋健一35歳。
職業ルポライター。
といってもブラックジャーナリストの類い。
ゆすりたかりをなりわいにしているっていう噂もある。
前科こそないものの一筋縄ではいかない相手ね。
(桃花)これ見てください。
ん?
(桃花)高橋健一が2年ちょっと前に書いた記事なんですけど大手食品メーカーが強行なリストラを進める裏で東京から来た役員が大阪で豪遊を楽しんでるって内容なんですけどその大手食品メーカーっていうのがフラワー食品なんですよ。
フラワー食品?清岡の会社じゃない。
はい。
高橋健一と清岡の接点見つけちゃいましたよ。
佳子さん。
大阪飛んでくれる?
(佳子)はい。
(板橋)ほらもう時間がないぞ。
このまま起訴されていいのか?
(板橋)何でもいいからしゃべってみろよ。
あの…。
(板橋)何だ?私変な男に付きまとわれたりいたずら電話されたりしてました。
ほお。
ストーカーか。
それが何か?ですからその男が清岡さんを…。
あんたの仕業に見せ掛けて殺したっていうのか?そうです。
ハハハハ…。
言うに事欠いてストーカーか。
そんな話誰が信じると思う。
警察甘く見るな。
殺してしまったんだろ?清岡さんを。
誰をかばってんだ?
(佳子)この男高橋いうんやけど見たことありますか?え〜どっかで見た記憶はあります。
(佳子)ホンマに?
(ボーイ)はい。
(佳子)そのこと詳しく教えていただけますか?はい。
えっとね2年ぐらい前2年ぐらい前にお客さんと何かもめてはったの覚えてます。
2年前にお客さんともめてはった?
(ボーイ)はい。
(佳子)ホンマに?高橋健一はしつこく清岡の会社をターゲットにして取材って言って清岡を付け回していたみたい。
(高橋)《清岡さんちょっとお話聞かせてくださいよ》
(清岡)《いいかげんにしろよ》
(高橋)《いいじゃないですか》《元お隣のよしみで》《お前に話すことなんてねえよ》
(佳子)高橋はつかんだネタをちらつかせて清岡個人または会社をゆすっていたのかもしれない。
すごい情報を入手しました。
(佳子)どうしたの?真由さんのアパートの周辺をうろついてた不審な男。
どうやらこの男みたいです。
(佳子)高橋!?
(桃花)はい。
目撃者に確認取れました。
真由さんをストーカーしてたのは高橋だったの?ストーカーをしていれば真由さんの行動も知っている。
ここに出入りして殺害計画を立てたことも知っていたのかも。
殺害計画を知っていれば真由さんを利用して罪を着せて清岡を殺すことができる。
いやちょっと待ってください。
でも何で高橋が清岡を殺さなきゃならないんですか?高橋は清岡をゆすっていたのかもしれないの。
でもそれってつまり金づるですよね。
脅されてた清岡が高橋を殺すならまだ分かりますけど。
高橋が大切な金づるを殺す理由ってありますかね。
そうね…。
金づるっていうのは地雷でもあるのよ。
高橋が清岡を殺す理由はあるってこと。
あっ!?清岡宅に高橋健一が侵入した痕跡があるはず。
殺人依頼を引き受けたみずきたち
出来上がったのは殺人を思いとどまらせるための完璧な計画のはずだった
真由をストーカーしていた怪しい男高橋
不審ないたずら電話
自分たちのまいた種を摘み取るべく新たな仕掛けをかけるみずきたち
いったい誰が真犯人なのか
さっさと済ませろ。
(鑑識課員)はい。
(大森)違う。
隣。
(鑑識課員)いやいや。
清岡家のお隣ですか?
(鑑識課員)いいんすね?
(大森)しーっ。
(大森)いいんだいいんだいいんだ。
いいんだいいんだ。
早く行け。
早くしろ。
早くしろ。
(鑑識課員)はい。
おう。
大森さん。
こんなこと本部に知らせずに勝手にやって大丈夫なんですか?
(大森)だったら出てけ。
(小暮)そういうわけじゃ。
じゃあそこで見てろ。
静かにやってくださいよ。
あなたの指紋が清岡さんの部屋から幾つか見つかりました。
玄関廊下寝室。
何があったか聞かせてもらえますか?俺は殺してなんかいない。
でしょうね。
殺していたとしたらあんなに指紋を残したりはしないでしょう。
あの夜あなたが清岡さんの部屋に入った理由を知りたいんですよ。
ハァ…。
深夜12時すぎにちょっと買い物に行こうと部屋を出たとき見掛けたんだ。
清岡の部屋から慌てて出ていく女の姿を。
(大森)その女性に見覚えがあったんですね?
(高橋)ああ。
清岡に捨てられた女だとすぐに分かった。
それで彼女が清岡に何かしたんじゃないかと心配になってドアを開けて部屋に入ったんだ。
(高橋)部屋には誰もいなかった。
俺は自分の早とちりだと気付いて急いで部屋を出た。
一応隣人ですからね。
何かあったらまずいと思って確かめるのは普通でしょ。
まあ不法侵入とかになるんだったら仕方ないんですけど。
(大森)なぜ今まで隠していた!痛くもない腹探られたくないっすからね。
うん。
(大森)高橋が嘘を言ってるとは思えん。
やつはシロだ。
彼の供述が本当なら真由さんもシロということになりますよね。
つまり捜査は振り出しってことだ。
ですね。
高橋はすぐに。
木下真由も今夜には釈放だ。
大森さん。
(大森)お前なんかに借りはつくりたくねえからな。
高橋さん。
私あなたに謝らなきゃいけないことがあるの。
(高橋)刑事と嘘をついたことか。
(高橋)分かってたよ。
「Any」の社長さん。
それもあるけど…。
あなたを疑ったこと。
気にしてもらわなくても結構。
人に疑われるような生き方をしてきたし。
これからもそうしていくからな。
少しお話しできる?
(高橋)3年前かな?俺が風邪で寝込んでたときに…。
(真由)《もしかして体調崩されてるんじゃないかと思って》《これよかったらどうぞ》
(高橋)独り身のこんな俺を気遣ってくれる優しい人だった。
人から嫌われて敵意を向けられてばかりの俺にとって彼女の純粋さや優しさは新鮮でね。
大阪で清岡を脅していたわね。
ああ。
あれは偶然と言いたいけどそうじゃない。
フラワー食品を調べていたのは偶然だけど。
それで清岡が現れてからは個人的な感情が入った。
あの男彼女を捨て新しい女をつくってたからな。
何も知らずに清岡の帰りを東京で待つ彼女がふびんでな。
そういった個人的な感情があって清岡を脅したのね。
俺はそういう最低な男だから。
清岡よりましかもね。
ここ数日間真由さんにストーカーまがいのことをしていたのはなぜ?
(高橋)彼女が1カ月前にマンションに現れた。
《何があるかなぁ?奮発したぞ》
(高橋)そんときの様子がおかしかったら心配になって監視していたんだ。
間違った行動を起こさないようにな。
その中で私たちと真由さんが接触していることを知ったのね。
(高橋)ああ。
何をたくらんでいたかまでは分かってないがね。
1カ月前清岡が大阪から帰ったことを真由さんに知らせたのはあなた?そんなことするわけないだろ。
わざわざ彼女を苦しめるようなまねするかよ。
そうね。
じゃあ無言電話はどういうわけ?無言電話?そんなの知らん。
あなたじゃないのね?真由さんはシロってことが証明されたんですね。
高橋健一もシロ。
ストーカー行為は真由さんのことを思ってのことだった。
無言電話と元同僚。
(桃花)誰なんだろう?「Any」とかいう便利屋にいるんですけど何なんですかね?ここ。
そんなもんほって戻ってこい。
(小暮)いや。
尾行は本部からの命令ですよ。
いいから戻ってこい!俺が責任を取る。
(通話を切る音)
(真由)あなたたちは最初から私に協力するつもりはなかった。
私の依頼を引き受けるつもりはなかったんでしょ?そのとおりよ。
人殺しに協力するはずないでしょ。
あなたも私たちを裏切ってる。
私たちに隠し事してるでしょ?嘘は絶対に許さないと最初に言ったはずよ。
1カ月前清岡が大阪から帰ったことをあなたに伝えたのは誰?元同僚って誰かしら?もう一つ聞きたいことがあるわ。
無言電話に心当たりは?前にも言ったとおり心当たりはありません。
あんないたずら電話。
その無言電話って何回ぐらいあったの?4〜5回ですけど。
あのいたずら電話が関係あるんですか?いえ。
特には。
最後にもう一度だけ聞きます。
元同僚って誰?それは…。
そう。
その人が1カ月前に清岡が大阪から帰ったことをあなたに告げたのね?はい。
(真由)でもそれがどうしたんですか?どうもしませんよ。
あなたが私たちに嘘をついたことを確認しただけです。
真由さん。
あなたは契約違反を犯しました。
よって私たちは今後一切あなたとは関わりを持ちません。
そんな。
まだ清岡を殺した犯人も分からないんですよ。
あなたへの容疑が晴れたんだからいいじゃないですか。
どうぞお帰りください。
真由さん。
これを見て。
こういうの見つけたの。
(真由)どういうことなの?教えて。
あなた清岡とどういう関係なの?分かったわ。
私も直接会って聞きたい。
どこへ行けばいいの?
(机をたたく音)
(小暮)ハァ〜。
大森さん。
本当にいいんですかね。
木下真由ほっといて。
大森さん?大森さん?
(小暮)寝てるよ。
あれ?もしかして私を突き落とそうとしました?あっ。
(桃花)ここから落ちたら死んじゃいますよ。
人違いじゃ済みませんからね。
呼び出したのはこっちの人でしょ?
(佳子)あなたと清岡の関係に気付いた真由さんを殺すしかなかったのね。
ごめんなさい。
これ清岡が持ってたものじゃないの。
(佳子)あなたもだましちゃってごめんね。
・ここまでよ。
麗子さん。
警察に疑われ行き場を失った真由さんが清岡との思い出の場所で自殺してくれたら全てが片付くとでも思ったの?仕掛けさせてもらいました。
全てはあなたの正体を暴くため。
麗子さん。
覚えてますか?私との会話。
不審な電話のこと。
《不審な電話があったこと聞いてる?》《無言電話ですよね?》《真由さん心当たりはないって言ってましたけど》ご存じでしたか?真由さんのボキャブラリーの中に「無言電話」って言葉ないんです。
「いたずら電話」としか言わないんです。
《あのいたずら電話が関係あるんですか?》ねえ真由さん。
真由さんはそのいたずら電話が無言のいたずら電話だったっていうこと麗子さんに話しましたか?
(真由)いいえ。
それなのになぜ無言電話だと言えたのか。
それは麗子さんあなたが無言電話をかけていたからです。
(佳子)1カ月前清岡が大阪から戻ってきたってことを教えた上で無言電話をかけ続けた。
真由さんを精神的に追い込むためだったんでしょ?
(桃花)真由さん。
あなたの名前ずーっと隠そうとしてたんですよ。
色々とよくしてもらって世話になったあなたに面倒をかけたくなかったんでしょうね。
「麗子さんは優しくていい人」って。
真由さんずっとそう言ってました。
2人が出会ったのは今から6年前。
フラワー食品に勤め始めた真由さんが子会社の小さな食品会社で事務員として働いていた麗子さんと出会った。
麗子さんは結婚と同時に仕事を辞めたためその後2人の接点はなくなった。
でも3年前産婦人科医院で再会した。
ええ。
真由さんが最初の子供をおろした帰りに気分が悪くなってたのを私が介抱してあげたの。
(真由)《ハァハァ…》《どうしました?》《あれ?あっ大丈夫?》あなたはそのとき不妊治療に通ってたんですね?
(麗子)ええ。
そうよ。
でも結果は出なかった。
誰のせいだと思う?清岡のせいよ。
何もかも清岡のせい。
6年前私が何で子会社で事務員してたと思う?清岡のせいでフラワー食品にいられなくなったから。
あなたがフラワー食品に勤めていたとき清岡と付き合ってたんですね?付き合ってた?ハハ…。
付き合ってたんじゃなくてただ遊ばれてただけ。
あいつの子供が私のおなかの中にいるのに。
《いらねえよ子供なんてよ》
(麗子)あいつ私を突き飛ばしたの。
「子供なんていらない」って。
それで流産して。
子供ができにくい体になった私をあいつは脅して会社から追い出したの。
3年前真由さんと再会したとき相手があの清岡だって分かったのね?あいつまた同じキーホルダー使ってた。
《大丈夫ですか?大丈夫?》でもあなたはすぐに復讐をしなかった。
ええ。
私も結婚して幸せをつかもうとしてた。
でもそれも半年前までのこと。
あなたの家庭のことも調べさせてもらいました。
そうよ。
私は半年前夫に逃げられた女。
単身赴任なんて嘘。
「子供が産めない女に用はない」って。
捨てられた女よ。
全部清岡のせい。
あいつが私の人生を壊した。
人の人生めちゃくちゃにしといて自分だけ幸せになろうっていう男許せる?だからあなたは真由さんを使って清岡に復讐しようとしたのね?どうして?私たち友達でしょ?
(麗子)友達?あなたは清岡に言われるまま子供を2回もおろしたでしょ。
清岡と同罪よ。
あなたが計画どおりに清岡を殺してくれるかどうかを確認するために後をつけた。
あなたがちゃんと清岡を殺してさえくれればそれでよかった。
でもあなたは逃げた。
(麗子)だから私が戻ってきた清岡を殺したの。
(麗子)あんな男殺されて当然よ!
(清岡)《うっ!うう…》
(麗子)私は間違ってない。
いいえ。
間違ってる。
どんな思いがあろうとどんな理由があろうと人の命を奪うことは許されないことよ。
あなたは真由さんをだまして利用した。
その上罪を着せて命まで奪おうとした。
(麗子)偉そうに説教しないでよ!あなたたちにそんなこと言えるの?殺人の片棒担ぐ女集団。
お金のためなら何でもやるんでしょ?・
(大森)殺人計画なんか最初からなかったんだよ。
彼女を殺人の呪縛から解き放つための嘘の計画だったんだ。
そうだろ?何で私ばっかりこんな目に遭うのかな。
どうして私ばっかり悪いこと起きるんだろう。
私何か罰が当たることしたのかな?小さいときからちゃんと生きてきたつもりだったのに。
私の人生何だったんだろう。
みんな似たり寄ったりよ。
私だってそうなの。
誰だって多かれ少なかれ傷を背負って生きてるんじゃないかな。
自分に言い訳して自分をごまかして生きてる。
みんな弱いんですよ。
私だって…。
でもねそこからは何も生まれない。
麗子さんごめんね。
半年前うちに来たときあなたの苦しみに気付いてあげられなくて。
私たちも多かれ少なかれみんな心に深い傷を持ってる。
でもね仲間に話したから聞いてもらえたから楽になれた。
一人で抱え込んで苦しかったわね。
誰かに聞いてもらいたかったのよね。
救ってもらいたかったのよね。
ごめんなさい。
気付いてあげられなくて。
(泣き声)大丈夫。
ここからよ。
罪償ったらさまた人生やり直せばいいじゃないの。
今度こそ麗子さんの人生をね。
そのときは必ず私たちが力になる。
そろそろいいんじゃないか。
えっ?さあ行こうか。
(真由)麗子さん。
どうしてあのとき麗子さんの苦しみにもっと早く気が付いてやれなかったんだろう。
SOSの信号出てたんですよね。
きっとね。
(大森)お客さんだぞ。
(桃花)どこ?どこ?どこ?えっ?どうぞ。
(愛)どうすれば男の子に勝てるのか教えてください。
あっ…。
(大森)この子な男の子に意地悪をされて泣いていたんだ。
女性を助けるのがお前らの仕事だろ。
何とかしてやれ。
(佳子)よーし。
あなたお名前は?
(愛)愛です。
(佳子)愛ちゃん。
男に負けない筋力つけよう。
エアロバイク…。
(桃花)いやいや愛ちゃん。
知力。
ねっこれからは知力。
お勉強頑張ろう。
(佳子)筋力!
(桃花)違うでしょ!
(桃花)ちょっと…待って!
(大森)聞いてやれよ話。
とことんな。
はい。
ちょちょ…いいからいいからちょっと待って。
ねえねえその男の子のこと好きなのかな?嫌いなのかな?
(愛)嫌いじゃないけど。
そっか。
よーし。
じゃあお仕事しますか。
(佳子)うん。
私たちは困ってる女性の味方です。
それが私たちの仕事。
よしっ。
あ〜…!こんにちは。
あっイケメン。
(桃花)あっまただ!ああ…。
(大森)お前…ハハッ。
イケメン恐怖症まだ治ってねえのか?ハハッ。
少年。
見詰めてやれ。
ああ…ああもう!そんなつぶらな瞳で私を誘惑しないで〜。
被害妄想強過ぎ。
男を見る目を磨かないとね。
私まだイケメン恐怖症完治してない。
(佳子)何言ってんの。
(桃花)佳子さん。
(佳子)ほらおいでおいで。
好きなんでしょ?
(桃花)えっ!?あ〜…。
ああどうしよう。
2014/09/12(金) 21:00〜22:52
関西テレビ1
金曜プレステージ・夏樹静子サスペンス女請負人〜仕掛けられた女の罠〜[字][多]
女便利屋に舞い込んだ殺人依頼!狂わされた犯罪計画…不審死の男と暗躍するストーカーの正体は?真犯人との騙し合い!哀しき女の罪を暴け!財前直見 渡辺えり他
詳細情報
番組内容
浅川みずき(財前直見)は10年前に起きたストーカー殺人事件によって、警察ができることの限界を感じて刑事を辞め、助けを必要としている女性を対象とした便利屋を立ち上げた。オフィスでは仁科佳子(渡辺えり)と夜須桃花(中越典子)が共に働いている。
働く女性の支援をうたっている政治家・磯崎(新井康弘)の妻へのDVをネットに流すと、あっという間に広まり、刑事課の大森大輔(内藤剛志)が
番組内容2
「つまらないマネをするな」とみずきのところに乗り込んできた。
そんな時、木下真由(ちすん)という女性が訪れて来て、清岡紀夫(浜田学)を殺してほしい、と依頼してくる。みずきは真由の依頼を受けることにする。真由に対しては、あくまで真由が犯す罪の準備と、ばれないよう工作する手助けのみ、と伝えるが、実際は真由に殺人を思いとどまらせる計画だった。しかし、計画と反して清岡は自宅で絞殺され、
番組内容3
容疑者として真由は警察に連行されてしまう。真由は清岡の自宅に侵入したことは認めたが、殺人は否認。いったい清岡を殺したのは誰なのか?誰かがみずきたちの計画を利用したのか?みずきは事件の真相解明に動き出す。
出演者
財前直見
渡辺えり
中越典子
高橋由美子
ちすん
阿部力
二階堂高嗣
酒井敏也
内藤剛志
ほか
スタッフ
【原作】
夏樹静子
【編成企画】
加藤達也
【プロデューサー】
布施等
【脚本】
深沢正樹
【監督】
今井和久
【制作】
フジテレビ
【制作・著作】
MMJ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:14587(0x38FB)