「首の仕替え」笑福亭風喬、「虱(しらみ)茶屋」笑福亭生喬【ゲスト】中村美律子 2014.09.12

ご機嫌いかがですか?落語作家の小佐田定雄でございます。
いつもは美しいゲストをお招きしております「上方落語の会」。
今日のゲストはこちらさんでございます。
大変失礼致しました。
笑福亭三喬です。
こういう事態になりました事情を申し上げますと実はこちらの師匠の笑福亭松喬師匠がお別れしましてちょうど1年たちました。
早いもんでんな。
そうですね。
あっという間の1年でしたですね。
この1年で一門の皆さん何か変化ありましたかな?やっぱりえらいありまして頼りないやつがしっかりしてきたっていうのはうれしい事ですし案外しっかりしてたやつが頼りなくなったというのもあるのがやっぱり落語家の一門らしいところでしょうね。
後ほどその松喬師匠と親交の深かった歌手の中村美律子さんとのインタビューもお送りしますねんけども。
一緒にお芝居をさして頂いてまして中村美律子さんが林家トミさんのモデルのお芝居で松喬が狂言回しで。
それから親交がものすごい深くなりまして繁昌亭なんかもよくお越し頂いて「あっ中村美律子さんや」と僕らドキドキしながら落語した記憶があります。
ではその中村美律子さんのお話は後ほどという事に致しましてその前に6番弟子の風喬さんの落語を聞いて頂きます。
「首の仕替え」です。

(拍手)ありがとうございます。
笑福亭風喬の方でも一席おつきあいを願います。
本当に今生寿君も言うてたんですけど顔と名前だけでも覚えて頂きたい訳です。
顔と名前だけでも。
あの〜覚えてはりますかね?去年いろんな問題ありましたけど食品偽装問題っていうの。
覚えてはります?食品偽装問題。
例えばなんですけど手ごねハンバーグって書いてあんのに機械で混ぜて作ってたらこれはアウトでございます。
アウトなんです。
ところが手ごね風ハンバーグであれば機械で混ぜて作ってもOKらしいです。
ごまかしがきくんやそうでございますね。
私も笑福亭風でございますんで…。
(笑い)まあええ加減な事でね…。
(拍手)いやそんなもったいないもったいない拍手なんか。
ごまかしの芸でございますんで。
簡単におつきあい願えたらいいなと思うんですけど。
まあいろんな所で落語さして頂くようになりまして最近たまに行くんですけど温泉宿とかで落語させてもらうんですよ。
いい所は行きませんよ。
いい所はいい人が行きますから。
ちょっと寂れたようなとこに呼ばれる訳ですよね。
で「落語して下さい」てなもんでやるんですけど。
終わって先輩と2人であちこち飲みに行こうか言うて探すんですけど言うときますけどええとこやないからない訳ですよ飲み屋が。
探さんと。
ぐるぐる探してやっと見つけたんスナックいうのがあってついたり消えたりしてるような看板があってそこしかないからしゃあないから入ろう言うてガチャッて入ったんですよ。
ほんならねカウンター越しに60歳ぐらいのママさんが1人ぽつんといてはりますねん。
正直…正直な話します。
皆さんもそうやと思いますよ。
相手若い方がいいでしょう?男性に限らず女性に限らず相手絶対若い方がいいと思うんですよ。
一部のマニアを除いてね。
せやけどこれ言うたらあかんしもうそこしかないから先輩と2人でもう飲もう言うて飲んでたんですよ。
えらいもんですね。
何十年と水商売客商売の相手してるからお客さんの気持ちが分かるんですよ。
言うてくれたんですママさんが。
「大丈夫よおにいちゃん。
うち親子でやってるから」言われたんですよ。
という事は後から30代下手したら20代の女の子出てくるかと思いますやんか。
奥から80のおばんが「はいはいはい」。
燃やしたろかな思いましたけどもね。
でもありがたいもんで本当にいろんなとこでやりますけど。
あの〜そうですね毎年9月にですね上方落語協会のお祭りで彦八まつりというのがある訳です。
皆さんもご存じの方おられると思うんですけども各一門でお店を出して落語ファンの方一般のお客さんもそうなんですけど来て頂いて楽しんで頂こうと。
落語会もやっております。
鶴瓶一門のお店もあれば仁鶴一門の店もある。
今の六代文枝の店もあるという。
で時間が空いたらお師匠はん方来てくれるんで運がよかったらスターに会える訳ですよ。
私はしょっちゅういてますからいつでも会えるんですけども。
私は松喬一門でお店を出さして頂いてるんです。
松喬の6番弟子でございます。
直系の一番下でございますから店を出してるんですけどカレー屋さんをやってるんですよね。
これが毎年見事に完売なんです2日間で。
300食か400食完売でございます。
ありがたい事に。
スジカレーなんですけども。
ただねやっぱりしんどいですよ。
作る時はまだクーラーのきいた部屋で作るからいいんですけどお祭りって外じゃないですか。
でテント張ってますわテント。
その中でカレーが焦げ付かないように湯煎を炊いて私ら下の弟子がこう混ぜる訳です。
グワ〜ッ混ぜてねやるんですけどそらもうこんなん9月の頭なんて暑い暑いからでまた湯ワ〜ッ炊いてるし湯気で汗もグワ〜ッ出る訳ですよ。
ガ〜ッて出た汗も一緒にグワ〜ッ混ぜて夕方ぐらい塩辛いカレー出来ますけども毎年完売でございます。
ほんまね来て頂けたらありがたいなと思うんですけど。
まあでもあの彦八まつりいろいろ思い出がございますね。
ありがたいもんで結婚式も彦八まつりで挙げさせて頂いたんですけどもね。
私で結婚できる訳ですよ。
この顔で。
(観客)ハハッ!子どももいてますけど。
「ハハッ」て何ですか?「ハハッ」て。
ほんまありがたいもんでございますね。
本当にまあいろんな思い出が詰まったりしてるんですけども。
「甚兵衛はんいてはりまっか?甚兵衛はんいてはりまっか?」。
「おお〜誰やと思たら喜ぃさんやないか。
どないしたんや?忙しそうにバタバタと」。
「いやもうあんた忙して忙して往生してまんねん」。
「ああええこっちゃ。
いやいやこんな不景気な世の中にな仕事が忙しいてのはええこっちゃ」。
「いや別に仕事は忙しい事おまへんねん」。
「ほな何が忙しいねん?」。
「いやちょっとおなごがね」。
「何を?」。
「いやあの色事」。
「何かお前?お前そないおなごにもてんの?」。
「何を言うてまんのやあんた。
もてるぐらいやったらこんな忙しい目しまっかいな!もてんさかいおなごのケツを追うんが忙して忙して」。
「ようそんなアホな事言うてるな」。
「何ぞこうわたいにええ女のできる方法ちゅうのを何かおまへんか?」。
「こらまたえらいやつ飛び込んできたな。
いやいやまあまあそれやったらな昔の人がええ事言うたぁんねん。
『一みえ二おとこ三かね四げえ五せえ六おぼこ七ぜりふ八ぢから九きも十ひょうばん』ちゅうねや」。
「それドラクエの呪文?」。
「何でやねんお前。
違うがな。
今言うたうち一つでもおまはんの身に備わってたらすなわちおなごができるっちゅう具合や」。
「ああさよか。
ほな最初に言わはった一番最初の『一べえ』って何です?『一べえ』ちゅうの」。
「『一べえ』やない。
『一見栄』や」。
「『一見栄』ちいいますと?」。
「人間姿形。
まあ服装やな。
こざっぱりとした風をしてたらなかなかおしゃれな人やてなもんでおなごできるな」。
「あさよか。
ほなわたいの今日の格好これどうです?」。
「いやどうですってお前…。
きょう日な皆服を着る時代や。
洋服をな。
そらお前みたいに着物着てても構へんで。
構へんけどもやなお前。
何やねん?その着物。
上から下まで紫色やないかお前。
おまけにそれ化繊の着物やろ」。
「ええ。
ポリエステル100%」。
「そんな事でおなごでけへんな」。
「あ〜あきまへんか。
ほな二は何です?」。
「『二男』ちゅうて男前やな」。
「男前ね。
どうですか?このわたいの男前」。
「いやなわしゃお前の気持ちが好きやさかいつきあいをしてるけどその顔とあんまりつきあいしとうないんや」。
「えどういう事?いや例えばほらね誰かに似てるとか」。
「そやな〜。
そこまで言われたら考えたらん事ないわ。
誰かに似てるか。
ああああああ…。
あっせやせや。
こないだな相撲を見に行ったんや」。
「あ〜なるほど。
ほんなら力士に似てるとか。
遠藤か誰かとかそんなんに…」。
「いやそんなんやなしにあの〜まあ途中の花相撲余興相撲ちゅうやつ。
うん。
前の方で見ててんけどな長い事見てたさかいぼちぼち腹減ったな弁当と思うて弁当開けたらお握りが3つ入ってぁんねん。
どれから食べようかなと悩んでたらそこへ投げ飛ばされた力士がドン!お握りグチャ!またその力士もよっぽど悔しかったんやろな。
立ち上がってその握り飯をギュギュギュ〜ッと踏みつけていったらまあ中の具がはみ出て下の泥と交ざってグチャグチャになって気色悪うなって食べられんようになってん。
…そんな顔やね」。
「どんな顔でんねん!もうよろしいわあんた。
三は何です?」。
「『三金』ちゅうて金さえあったらおなごできるな」。
「あさよか。
四は何です?」。
「お前金ないんか?なかったらええけどやななんぼ持っとんねん?」。
「500円」。
「500円ではあけへんわ。
まあ四は『四芸』ちゅうて芸事やな」。
「はあ。
芸でおなごできますか?」。
「そらそうや。
シュッと踊りでも踊れたらなかなかかっこええってなもんでおなごできるな」。
「さようか。
あのね言うときますわ。
わたい芸はね3つほどおまんねん」。
「ほう3つあったら大したもんや。
1つは何や?」。
「1つはねわたい催眠術が使えまんねん」。
「お前催眠術使えるの?えらいなお前。
それどこで使うねん」。
「わたいがね舞台に上がって落語してまっしゃろ?ほんならお客さんがス〜ッと寝てしまうという」。
(笑い)「そらあかんやろお前。
そら催眠術やなく睡眠術や。
そらあかんわ。
ほかは?」。
「ほかねうどん食べます」。
「いやうどんぐらいやったらわしかて食うがな」。
「あんたが食べんのとわたいが食べんのちょっと違う」。
「どうちゃうねん?」。
「わたいの鼻から食って口から出す」。
「汚いなお前。
それも芸と違うやろ」。
「出す時『げえ』っちゅう」。
「しょうもないお前。
最後は何や?」。
「最後はね…言うときますわ。
これはなかなかすごいでっせ。
わたいね言うときます。
あのねおならでね『ドレミのうた』が歌えまんねん」。
「お前そんな事でけんの?すごいなお前それ。
どこぞでやったんか?」。
「やりました」。
「どこで?」。
「徳さんの結婚式で」。
「ウケたんか?」。
「大ウケでんがなあんた!ワ〜ッと宴会になった時にね『おいぼちぼち芸の一つもどないや』ちゅうさかい『やらしてもらいまっさ!』ペペペペッ裸になって…」。
「何で脱がんならんねや?」。
「そらやっぱり音が変わるさかいね」。
「ああそういうこだわりがあんの。
ほんでそれから?」。
「ほんでね『皆手拍子頼んまっせ。
『ドレミのうた』いきまっせ』言うた時にわたい思い出しましたんや。
拍子の悪い。
3日前から腹下してましてん。
せやけどねもう宴会で皆で手拍子までやってもろてここでやめたら男が廃ると思てグッと気張ったらドとレが出ん先にミ
(身)が…」。
「おい!汚いなお前それ。
ほれてるおなごも逃げ出すで」。
「あきまへんか。
ほな五は何です?」。
「いやもうあけへんてお前。
あの…どうや?それやったらなお前いっそのこと首から上皆替えてもうたらどうや?」。
「えっそんな事できます?」。
「お前知らんか?この横町に赤壁周庵ちゅうて首の仕替え屋ちゅうのがあんねん」。
「首の仕替え屋ちいいますと?」。
「羅宇仕替え屋ってなもんがあるやろ。
あれと一緒でこっから上皆新しいもんに替えてくれはるわ」。
「そんなんありますの?え〜さよか!ほなわたいちょっと行ってきま!」。
「あこれこれ!いやあのなちょっと治療のしかたっちゅうの変わってるけどお前それ辛抱できるか?」。
「まあこの顔替えんねやったらどんな事でも辛抱しま」。
「あそうか。
ほなわしから聞いたちゅうて行っといで」。
「へえ行ってきまっさ!なるほどそんなとこがあるとは知らなんだ。
え〜首の仕替え屋ね首の仕替え屋。
どれやろ?首の仕替え…。
これか。
えっ!何や変わった看板出てんで。
何やこれ?『ないしょで首の仕替えの相談致します。
相談無料』。
どっかで見たような看板やけどまあええわ。
中入って頼んでおまったろ。
こんちは!」。
「はいはい」。
「あの〜赤壁先生のお宅は?」。
「はいはい手前が赤壁ですがあんた何じゃ?」。
「わたい先生に顔替えてもらおと思て」。
「患者さんですか。
はいはい先生奥でご在宅でございます。
一度お伝えしますでしばらくお待ちを。
あの〜先生」。
「何じゃ周達」。
「今先生に顔替えてもらいたいという方がお越しになってますが」。
「おお患者か。
ほなすぐにお通し申せ」。
「承知致しました。
もしどうぞこちらへお通りを」。
「こんちは先生。
ひとつよろしゅうお頼申します」。
「わちゃ〜。
えげつない顔してんなこの人。
はあはああ〜あんたが患者か。
はいはいはいはい。
であなたどのような顔がお好みかな?」。
「ええあのねおなごにもてたいんですわ」。
「なるほど。
そういう事か。
はいはいよく分かりました。
ではなこちらの部屋へ来て頂きましょう。
はいはい。
入って頂きますなこちらにぎょうさん首が並んでますがどの首がよろしい?」。
「あら!ほんにぎょうさん首並んでるここ。
棚に。
え〜え〜…えらいもんでんなこれ。
あっ先生これ一番上の棚なかなか男前が並んでますけどこれ何か分けてまんの?」。
「ええとこ目をつけなさった。
一番上は役者の首が並んでますな。
歌舞伎役者じゃ。
どうじゃ?歌舞伎役者。
ようおなごにもてるぞ」。
「歌舞伎役者おなごにもてますか。
へえ〜。
はあはあはあはあ。
あっ片岡愛之助いてますわ。
片岡愛之助。
これ愛之助の首にしたら何か言われまんねんな。
『倍返し』とか何とか」。
「よその放送局じゃお前。
ようそんなん言うて…。
まあ言われるけどもやな。
どうじゃ?愛之助」。
「あ〜愛之助ってこれなんぼしまんの?」。
「愛之助でそうじゃな…1,000万ぐらいするな」。
「1,000万か〜。
1,000万高いな。
えっとほかこれ何か並んでんのおまへんか?」。
「う〜んほかな中村獅童というのがあるぞ。
中村獅童どうじゃ?要らんか。
その隣どうじゃ?坂東玉三郎あるが。
坂東玉三郎」。
「あっ坂東玉三郎ね。
はいはい。
玉三郎知ってますわ。
玉三郎知ってますけどあれちょっとカマっぽいのとちゃいます?」。
「何を言うてんねん。
大丈夫じゃ。
玉3つあるさかい」。
「先生それ名前だけでっしゃろ。
玉三郎なんぼです?」。
「500万」。
「500万か…。
先生もうちょっと安いのおまへんか?」。
「もうちょっと安いやつな。
あ〜ほかな…。
ほんならな1つ下の段を見て頂きましょう。
うんうんうん。
アイドルはどうじゃ?アイドルは。
SMAPとV6ちゅうのがある」。
「ああSMAPにV6。
あっこれ知ってます。
V6のこれ。
何やったかな?NHKの朝の番組でやってんの。
『あさイチ』で出てくる人。
あれほれねづっち」。
「イノッチじゃ。
ねづっちじゃないイノッチ。
どうじゃ?イノッチ。
ようもてるぞ」。
「ああイノッチもてますか。
先生イノッチでなんぼです?」。
「300万」。
「300万…。
先生もうちょっと安いやつ」。
「もうちょっと安いやつな。
ほんならどうじゃ?スポーツ選手あるぞ。
スポーツ選手。
1つ下の段を見て頂きましょう。
スポーツ選手。
野球選手じゃ。
王に長嶋に野村ちゅうのがあるが」。
「先生急に古なりましたね。
王に長嶋に野村。
え〜野村か…。
野村でなんぼです?」。
「200万」。
「高いな200万。
ほかおまへんか?」。
「ほかはなサッカー選手どうじゃ?その隣に並んでるがサッカー選手。
川島本田ちゅうの並んでるけども」。
「ああ川島と本田か。
あれ?先生サッカー選手の棚に違うのん並んでますよ。
これあれでしょ?道頓堀にいてるくいだおれ太郎」。
「これ前の監督の岡田やないか」。
「岡田さんか。
岡田でなんぼです?」。
「50万」。
「高い…。
岡田に50万払いたないな。
先生もうちょっと安いのおまへんか?」。
「おまはんもうちょっともうちょっとでなんぼほど持っとんのじゃ?」。
「500円」。
「アホかお前。
500円の首は…。
ちょうどええ。
いやいや昨日な噺家からぎょうさん首送ってきよったんや。
それやったら500円でええわ」。
「さよか。
それどこの棚に並んでまんねん?」。
「そこのポリバケツ入ってるやろ」。
「ポリバケツ?よっこいしょっと。
わっほんにぎょうさん入ってる先生これ。
あれ?先生これそやけど噺家の首や言うてんのにいきなり骸骨出てきました。
骸骨。
先生この骸骨これ何でんねん?」。
「それは桂歌丸じゃ」。
「歌丸師匠か」。
「あらまた。
また出てきた。
先生噺家の首や言うてんのに野球のホームベース。
何でんねん?このホームベース」。
「笑福亭仁鶴」。
「あ仁鶴師匠」。
「え〜っとあと…。
何やこれ!怖い顔してんの出てきた。
こんな…こんな顔してる。
『う〜う〜』言うてんのこれ。
こんな顔して『う〜』言うてんの。
これ誰でんねん?」。
「桂ざこば」。
「ざこば師匠か。
大事にしとこうこれ。
せやけどろくなのないなこれ。
ほかええの…。
あっ先生出てきた!めちゃくちゃ男前!これ誰でんの?このめっちゃくちゃ男前二枚目。
ええ?この男前これ誰でんねん?」。
「笑福亭風喬」。
「はっ!わたいこれにします」。
「風喬お気に入りか。
わしもちょっとだけ応援してんねん。
ほんならなそこ座ってもろて。
はいはいはいはい。
あこれ周達。
いつものようにな米粒とアロンアルファ混ぜて持ってきとおくれ。
はいはい。
そこ座って頂いてな目ぇつぶって頂きましてな。
今医学の進歩ちゅうやつやな。
こう触ったら首が…。
よっこいしょっと。
ン〜ン〜ン〜ン〜ポン。
ほっとこうか。
はいはい持ってきてくれた。
よっこいしょっと。
これつけとかんとな」。
「こっちも。
どっこいしょ。
よっ!ねじ式になっておりまして。
はいはい。
これでつきましたでな一度目を開けてみなさい」。
「えっ!もうよろしいの?あっつながってる!先生すいません。
ちょっと鏡見ますわ鏡。
うわ〜めっちゃ男前ですわ!先生!おおきにありがとうございました!ほなこれで帰らしてもらいます」。
「あ〜いやいや。
あのなお金はそこ置いといてもうたら。
またなんぞありましたらうちへ来て頂きましたらやり直しますでな」。
「あ〜さよか。
ほんならまた来さしてもらいます。
さいならごめん。
先生先生!」。
「昨日風喬の首にしはった人。
どないしはりました?」。
「いやあのね〜わたいこの首ちょっとやっぱり替えてもらおうと思て」。
「そらまた何で?」。
「いやあのねわたいこの顔気に入って替えてもうたんですけどね表出てみたらみんながわたいと同じ顔になってました」。
(拍手)風喬さんの「首の仕替え」でございました。
それではここで松喬師匠と親交の深かった中村美律子さんのお話を伺っております。
それではお聞き下さいませ。
松喬師匠との一番の思い出って何でしょうか?いや〜はっきり言って一口では語れない。
思い出がたくさんありすぎて困るんですけどとにかくやっぱり「出ばやし一代」というお芝居の中で同じ舞台に立ったという事がすごい思い出やと思うんですよ。
お弟子さんの方も一緒に出られててね「師匠あの一人酒盛りの飲み方をちょっと教えとくんなはれな」っていうシーンもあったりなんかして毎回やっぱり違いますやん師匠の乗りも。
それによってお客さんもすごく反応しはるから本当に師匠も楽しそうにふだん落語でやってんのとは違うまた雰囲気でやって頂けてたような気がするんですよ。
それは舞台の上で?そうなんです。
舞台を離れて何か思い出って…?舞台を離れるとこれがまたね「崇徳院」というお芝居を私たちがやってる時に…。
やってる時にですよその時は師匠は出てはれへんのです。
ところが1回公演の夜の部が空いてる日にその舞台で師匠が一人でその「崇徳院」やりはったんです。
落語で?落語で。
私たちはふだん自分たちが言うセリフを師匠が一人で全部やる訳ですよ。
「瀬を早み」ってやつを。
あれを出演者みんなが客席で見せて頂いてもうおかしいやら楽しいやら。
こんなに落語を面白いと感じた事はないですね。
自分が知ってるセリフですもんね。
そうなんです。
それをねお一人がさも本当に…。
何て言うかな?みんなで芝居をやってるよりももっともっとやっぱり面白いんですよ自分の息でやりはるから。
ここの差はやっぱりすごいですね。
そら落語という芸の面白いとこでんな。
本当ですね。
落語を離れてもあの方趣味の多い人でしたけど。
そうなんですね。
実はおそばを自分で打つんやでと。
でこの間中条きよしさんも来てくれたんやけどっていうような話をしはって…。
あの時いてはりました。
私は食べさせてもらえへんかったし絶対ごちそうして下さいねって言ってたらだんだんお目にかかる事がなくなってきててそれでたまたま放送局の廊下でお目にかかった時にすごい痩せてはって「師匠大丈夫ですか?」ってすごく心配してて「はよ元気になってもろて早い事そばを私に食べさせて下さい。
そのためにも頑張ってや!」てな事を言うて。
落語やなしにそばを…。
そやないですけど。
まあでもそれも楽しみの一つとしてやっぱり頑張って頂きたいなと思うたんです。
松喬師匠の落語の魅力って何でしょうかね?松喬師匠ね。
私「お文さん」というのが大好きで子どもの声を出される時の師匠ってものすごいいたずらっぽくて本当にすてきですね。
落語そのものもやっぱり出囃子もそうですけど何か気持ちをウキウキと高揚させてくれるんで落語って一人でやるすばらしい芸やと思います。
今日は松喬一門の風喬さんと生喬さんの落語をお聞き頂いてるんですけどももしよければその松喬一門にお言葉が頂けたらありがたいんですけども。
そうですね。
師匠はもう亡くなられてしまいましたけれどもねでも「おやっさん」っていう本出されてますやろ。
あれを読ませて頂いて師匠はこういう苦労をしながらこういう勉強をしながらこんなに怒られても頑張ってきはったんやなとかっていう何か本当努力の詰まった本がありますしそして一門の皆さんは師匠の舞台を横からずっと見続けてきはった訳ですから師匠いてはらへんかってもそういう事をちゃんと胸にこれからも頑張って頂けたらうれしいなと思います。
私も寄せて頂いては寄席…。
シャレやね。
寄せて頂いては寄席を落語を聞かせて頂きに参りたいと思います。
頑張って下さいね皆さん。
ありがとうございます。
それではここで松喬一門の生喬さんの落語をお聞き下さい。
ではどうぞ。

(拍手)え〜続きまして生喬の方でもしばらくの間おつきあいを願います。
今日はまあ昨年亡くなりました私の師匠笑福亭松喬のしのぶ会と言いますかまあそういった感じで一門とまた福笑師匠にもご出演頂いて番組をお送りさして頂いております。
ですのでそれぞれが松喬ゆかりのネタをずっとかけておるんです。
「道具屋」しかり「二人ぐせ」しかりこのあと「三十石」しかり。
それぞれが松喬が得意にしておったやってたネタ。
「首の仕替え」はちょっとちゃうんですけどね。
松喬の「首の仕替え」はあんなんじゃなかった。
まあ風喬はアホですからねだいぶ変えてますからねあれは。
でそういう由来のあれをするんですけどもところが私が今日やります「虱茶屋」というのはこれ別に松喬やってないんですよ。
ですからそういった今日の番組の趣向も私は分かってますんでネタをどうしましょうってなった時にですよ5〜6本ワ〜ッと出したんですよ。
松喬につけてもらったネタをこう5本出したんですけどもこっち側から「『虱茶屋』してもらえません?」。
「いやそれ松喬もやらないしこれ林家染丸師匠につけて頂いたやつなんでなんの松喬にゆかりもないんですけどあれなんですよ」って言うたら「それでもお願いします」言うて私だけ何かそんなんであの〜…まあええように言えばリクエストなんですけど何か全然違うんですよね。
これは別に放送とかは関係ないですよ。
これは今日来て頂いたお客さんに言いたいだけの話なんですけど。
それをちゃんと言うとかんと今の段階で。
パンフ見て頂いても「松喬の芸を継承しようとしている生喬」って書いてあんのに「あれ?松喬さん『虱茶屋』なんかしてたんかいな?」ってなりうる訳じゃないですか。
だからこれを言うとかん事には「こいつ何か今日の会の趣旨の空気読めてないな」って思われるのがかなわんのでそれをちょっと頭に言いたいなというだけの事ですのでひとつその事を心に聞いて頂いたらなと。
我々別にね履歴書を持ってお願いに行くとかあんまりそういう事ないんです。
弟子にする時どうするかっていうたらただただ楽屋から出てくるところを電柱の陰からぬっと出てきて「弟子にして下さい!」って言う。
もう怪しい事この上ないんですけど大概それが皆がする方法なんですね。
ところが物の本とか読んでますとなかなかそんなんでスッととってくれるようなもんやないねやと。
何べんも何べんも断られて半年1年断り続けて「俺は弟子はとらん。
あっち行け」って言われながらでもこう行く事によって「しゃあないな。
ほなまあ俺のカバンでも持つか」というところから少しずつ心を開いてくれるもんなんやというふうな事が物の本に書いてあったもんですからねこれはどんな事があってもそれを貫き通さなければいけないと思て私は堺東の落語会でしたけど表で待ってて「師匠弟子にして下さい!」ってある時言ったんです。
ほなうちの師匠がたったひと言「ええよ」って言うてくれた。
(笑い)…ってなったんですけどこれはね後々師匠に聞くと「いやせやないんや」と。
結局「断ってしまうとお前が将来もしかしたら名人になるかもしれない」と。
「断ってしまうという事はその最初の芽を摘んでしまう事になるんで俺はどんなやつでもとるんや。
まずは一旦は入れてやる。
そのかわりこれは向いてないなとかこいつは無理やなって俺が思た時点で悪いけどその時は辞めてや」って言われたんです。
「だから入れる事は入れるけどこっちのあれで辞めてもらう事になるから」って。
そういううちの師匠の…まあ笑福亭全般そういう考えらしいんですけどまあそういうのがあってなんとかとって頂いたんです。
そうやっていろいろと修業しておりましたんですけども今日なんかでもいろいろと遊ぶ所がありながら選んでこうやって来て頂いてる訳で。
男の遊びというてもいろいろあるんですがその中でもやっぱり一番ええなというのがお茶屋遊びとかいうやつですね。
芸子さんとか舞子さんと一緒に遊ぶというやつでして。
松鶴師匠…うちの師匠の師匠ですね。
松鶴師匠の奥さんが元芸子さんやったという事もあってうちの師匠も随分とお座敷遊びはこうすんねやでとかお茶屋遊びはこんなんやでっていうのを結構奥さんから教えて頂いた事もあるんやそうです。
そんな事もしゃべっておりました。
だからうちの師匠もよう知ってました。
私もお客さんとか先輩師匠方に連れてって頂いて祗園であるとか宮川町とか今里とかいろいろと連れてって頂いた事はあるんですけどもまあ代表的なお座敷の遊びっていうたら拳ですね。
拳。
いわゆるジャンケンなんかもその類いに入るんですけどもその中で有名なのが「とらとら」というやつです。
虎と和藤内とおばあさんになって真ん中に屏風をこう立ててましてね屏風立ててそれぞれが見えへんような所におる。
で歌を歌いますんですね。
・「千里走るよな藪の中を皆さん覗いてごろうじませ」・「金の鉢巻きタスキに和藤内がえんやらやとしとめた獣は」・「とらとーらとーらとら」…って言うとこっちの人が虎をするとかおばあさんになる訳です。
虎と和藤内でしたら和藤内の勝ち。
和藤内とおばあさんでしたらおばあさんの勝ち。
おばあさんと虎でしたら虎の勝ちというのでそれでいわゆる勝ち負けが出てくる訳ですね。
負けたら負けたで献杯負け飲みちゅうてこうちょっとお酒を飲むんですね。
これがまた楽しいです。
献杯負け飲み。
それだけの事なんです。
言うたら勝った負けただけの事なんです。
屏風挟んで芸子さんや舞子さんとこうやってやって勝ったの負けたのうわ〜言うてるだけの事なんですけどこれが楽しい!
(笑い)楽しい…。
何であんな楽しいんでしょう。
もう本当に2時間3時間があっという間に過ぎてしまいます。
あんまり楽しいもんやから家帰って嫁はん相手にやったんですけど…そんな楽しなかった。
何やろ?何が違うんでしょうね?何かが違うんでしょう。
まあそういったお座敷遊びというのをやるんですね。
こういうのもある大店の旦那とかになってくると連日そうやって遊んでる訳なんですがだんだん行き慣れてくるとやっぱり飽きてくる。
飽きというのが出てきます。
「何かもう太鼓持ちの歌も芸者の踊りも飽いてしもたな。
なんぞ面白い事はないかいな?」。
毎日そんな事ばっかり考えながら暮らしております。
ある日の事家におりますとね飼い犬が何やかゆそうにね足でキュキュキュキュ〜っと自分の体をかいとるんですね。
それを見た旦那…いわゆるノミ虱とかいうやつですよね。
人間の体とか動物のぬくい所に住みまして白い小さな虫でね血を吸うんです。
吸うんですけどそれちょっとかむんですよね。
ですから虱にかまれると誠にかゆい。
ですから人間でも動物でもカ〜ッとかくんです。
それを見つけました旦那が…。
「ほうこら面白そうやな」。
どこで手に入れてきたんや分かりませんがガラスの小瓶に虱をぎょうさん入れましてコルクで栓をしてたもとへポイと放り込んでやって参りましたのが難波新地。
色町はいつに変わらぬ陽気なこと。
「女将いてるかいな?」。
「まあまあまあまあこれは誰やと思たら竹内の旦さんやございませんかいな。
長い事お見えやございまへんでしたな」。
「ここんとこ仕事が忙しいてなよう寄してもらえなんだや」。
「まあさようでございますかいな。
もう今日暑うおましたやろ。
お風呂がええ具合に沸いておりますんでちょっと汗でも流しはったらどうでございます?」。
「ああそうか。
せっかくやさかい入らしてもらおうか。
それといつもの連中な」。
「へえへえ承知致しました。
すぐにお呼び致しますんで」。
さあそれから旦那ゆっくりとお風呂につかりまして汗を流します。
浴衣に着替えてトントントンと2階へ上がる。
床柱を背にで〜んと座っておりますとそれへさして酒肴が運ばれてくる。
ちびりちびりとやっておりますとなじみの連中が繰り込んでまいりまして…。
「あの旦さんおおきに」。
「おお誰やと思たら松奴やないかいな。
よう来たよう来た。
さあさあこっち入ってこっち入って」。
「旦さんおおきに」。
「竹奴やないか。
よう来たな。
さあこっち入りや」。
「旦さんおおきに」。
「梅奴も来たんか。
さあさあこっちこっちこっち」。
「あの〜旦さんおおきに〜」。
「わあ〜。
来たな冷や奴。
お前まだ達者やったんやな。
うちのひいじいさんの代からいてるちゅうのに。
あ〜元気かいな。
そうかそうか。
達者で結構結構」。
「いよっ!旦さんまあなかなかご無沙汰致しておりまして」。
「アッハッハッハ一八お前も来たか」。
「まあ長い間お見えやございまへんでしたな。
またほかの店上がってよその太鼓持ちに祝儀ど〜んとあげてたんと違いますかいな」。
「何を言うねん。
いや最前女将にも話してたんやけどなここんとこ仕事がちょっと忙しいてなよう寄してもらえなんだや。
よかったら一杯いこか」。
「あらまあ!早々旦さんから頂けるやなんて頂戴致します。
えらいすんまへんね。
頂戴致します。
おっとっとっとっとっとっとっとっと…!あ〜ケッコ〜!」。
「鶏やなほんまに」。
「それではご返杯という事でつがして頂きます。
いや〜しかしまあほんまに久しぶりでんな。
しかしね最近は旦さんのような粋なお客というのが少のうなりました。
あっそういうたらこないだ聴かせて頂いた小唄。
あれよろしおましたな〜。
あれよかったらちょっと聴かして頂く訳には?」。
「何を言うねんな。
何じゃかんじゃ言うてお前わしに仕事させようと思て。
わしなもう最近小唄とかあんまそんなしてへんねん」。
「あさようですか。
何でしたらわてがパッと踊らして頂いて…」。
「ああもうええもうええ。
わしゃな最近な芸者の歌も太鼓持ちの踊りももう飽いてんねや。
最近ちょっと変わったもんに凝っててな」。
「へえ変わったもんて何です?」。
「骨相学をな」。
「骨相学?骨相学って何でんねん?」。
「まあ人の顔つきとかその骨格を見てその人の運勢とか性格というものを占うねやな」。
「ほえ〜!そんなん分かりまっか?」。
「分かる。
えらい怖いぐらいに当たるで」。
「さよか。
こらまたうれしいな。
旦さんちょっとそれわたい見て頂くという訳には…」。
「まあ旦さん。
一八っつぁんだけやなんてずるいわ。
わても見とくんなはれな」。
「私も見とくんなはれ」。
「わても見とくんなはれ」。
「あの〜わたいも見とくんなはれな〜」。
「何何何?皆見てもらいたい?ああそうか。
よっしゃよっしゃ。
ほな今日は特別やで。
そうやな骨相学というてもいろいろ見方があんねんけども今日はこの首筋を見て占うとこういう事にしようか。
ほなら皆ちょっと1列に並んで。
こっち向いたらあかん。
皆向こう向いてな。
首をなグ〜ッと突き出すようにして。
ほんでちょっと下向きなはれ。
はいはいはい。
言うとくで。
皆が終わるまで後ろ向いたらいかんねんで。
分かったな?そういう約束事やさかいにな。
はいはいはいはいはいはいはいはい…。
ほなまず誰からいこう。
あ松奴お前か。
いや〜またきれいなうなじをしとるなお前は。
うん?あっ出た。
出たな。
お前はな一生この世界で生きていくと出たぁるな。
この仕事なかなか合うてるみたいやな。
しかしなお前ちょっと勝ち気なところがあるやろ。
あれがいかんな。
いやいやいやそういう性格やないとなこの世界やっていけんというのはよう分かってぁんねんけどなやっぱりおなごというのは愛嬌がないといかんな。
そういうところをなちょっとお前が…改めるとなわしゃええと思うんやけどもな。
そういうところをちゃんとすりゃ…。
もともとお前は器量がええさかいそれでいけるやろ。
いやいや!こっち向いたらいかんこっち向いたらいかん。
皆終わるまでずっと下向いてなはれ。
さあ続いて誰や?一八お前か。
あ出た。
出たな。
お前もともとこの商売やない。
元はちゃ〜んと別の仕事をしてたな。
ところが道楽のあげくに太鼓持ちになった。
『太鼓持ちあげての末の太鼓持ち』というやつや。
しかしなお前もこの世界なかなか水に合うてるで。
人を喜ばす気というかな〜。
始終にこにこ陽気でわしゃお前の事好きやねんで。
しかしなお前ちょっと調子のええところがあるじゃろ。
そこをちょっと改めた方がええな。
いやけどなわしゃお前の事好きやねんで。
ほんまに好きやねん。
あんまり好きやさかいなちょっと余計めに見といたる。
え〜さて次は…」てさあえらいお人があったもんで。
端から順々に首筋に虱を配給して回りよった。
「いや〜旦さんえらいもんでんな骨相学というもんは。
いやいろいろと言うて頂きましたけどわたいほんまにそない見事に当てられた…。
はっ!」。
「え?いやいや何でも…。
ちょっとねぞくっとしたもんですさかいね。
しかしね『お前は元はちゃんと商いをしてたんや』ようそんな事言わはりましたな。
そんなん言われたらわたい思わず胸がド〜ンと致しましたんです。
フッフッフッフ…」。
「ああそうかいな。
喜んでもらえてうれしいな。
さあさ松奴ちょっと一杯ついでやり」。
「あらねえさん自らついで頂けるやなんてえらいすんまへんな。
頂戴致します。
どうもどうも。
フッフッフフッフッフ…。
ニュニュッ!何してまんねんなねえさん。
わたいが出したらねえさんついでもらわんと。
何をさっきからブルブル震えてはりまんねんな。
ちょっとついどくんなはれな。
じっとしてじっとして。
じっとしてじっと…。
じっとして!何ですの?わたいが出すはねえさんが引っ込めるはではいつまでたってもつがれしまへんがな。
いっせ〜のでいきまっせ。
いっせ〜の…いっせ〜…いい…いっせ〜のはい!ついで!ついで!ついで!あっあっあっあっあっ!うまい!かゆい!」。
「えっえっえっ?お前今何か言うたか?」。
「いやいや!何にも言うてやしまへん。
もう今日何でっしゃろな?もうじっとしてられんぐらいうれしいんですわ今日は。
ちょっと験直しにでも踊りでも踊らせて頂きまひょか。
ねえさんちょっと三味線張り込んでもうて。
そうでんな。
ほなひとつ『梅は咲いたか』ご陽気に頼んまっせ!」。

(三味線)・「梅は咲いたか桜はまだかいな」・「柳やなよなよ風しだい」・「山吹や浮気で色ばっかりしょんがいな」・「柳橋から小船で急がせる」・「舟はゆらゆら波しだい」・「舟から上がって土手八丁吉原へご案内」「ダァダァダァダァダァダァダァダァダァダァ!な…何でんねんこれ!?体中のあちこちから虱が湧いてきた!えらい旦さんすんまへん。
ここへ来る時にねお風呂も入ってきれいにしてきたんでっけどちょっと着替えに戻らして頂きますんでえらいすんまへんでしたな。
ちょっとねえさん方後のお座を…。
えっ何?うん。
ねえさん方も?帰りたい?皆かゆいってそれ何をしまんねんな!ねえさん方がそんな事になったらどないもなれしま…。
冷や奴ねえさん何ともおまへんの?じっとしてまっけど。
どうっちゅう事ない?そんな事言うた…。
ちょっとここ中座させて…。
はっ!旦さんあんたまたいたずらしなはった!?」。
「え?わしゃ何もしてへん」。
「してへんてしらばっくれたかてあきまへんがな。
旦さんの袖口からね虱がゾロゾロゾロゾロ這うてまっせ」。
「えっ!ちょちょちょちょ…!あら何でこんな事になったぁんねん?あっしもた!瓶の口が欠けたぁる!」。
「瓶の口が欠けた!ほ〜れ皆さん見てみなはれ。
犯人が口を割った」。
(拍手)それでは最後に中村美律子さんに落語の魅力をお聞きしました。
それをご覧頂きながら今回の「上方落語の会」は御開きと致しましょう。
まずね出囃子が好きですね。
ご自分がやってはったから。
それもありますけど何かすごくウキウキするんですよね。
今日はどんな話してくれはんねやろかっていうドキドキ。
あれがやっぱりもうすごくいいですね。
それと物語をたった一人で役をこなしていって聞く人の気持ちをグッとわしづかみにしはるとこら辺はやっぱり落語の面白さやとだいご味やと思いますね。
2014/09/12(金) 15:15〜15:58
NHK総合1・神戸
「首の仕替え」笑福亭風喬、「虱(しらみ)茶屋」笑福亭生喬【ゲスト】中村美律子[字]

「首の仕替え」笑福亭風喬、「虱(しらみ)茶屋」笑福亭生喬▽NHK上方落語の会(26年9月4日)から

詳細情報
番組内容
松喬一門の笑福亭風喬の「首の仕替え」と笑福亭生喬の「虱茶屋」をお送りする。▽首の仕替え:何をしてももてない男が、いっそのこと首を変えてみようと医者を紹介してもらうのだが…▽虱茶屋・たいていの遊びに慣れてしまった旦那が虱を持ってお茶屋に行き、占いをするのでと言ってみんなを集める…▽インタビューゲスト:中村美律子、ご案内:小佐田定雄
出演者
【出演】笑福亭風喬、笑福亭生喬【ゲスト】中村美律子【案内】小佐田定雄
キーワード1
落語

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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