午後のサスペンス「いなか刑事伊原泰三の退職捜査日誌3」 2014.09.12

(伊原泰三)かあさん汽車の切符がないんだよ。
(千鶴)昨夜背広の内ポケットに入れるって言ってましたよ。
そうか…え〜ケイタイは持ったし内ポケットにね…あ〜ありました。
菜々美ちゃんへのお土産は?これでしょ…?そう松本手鞠ね。
こんな物菜々美ちゃん喜びますかね…。
喜びますかねとは何ですか。
何言ってるんですか。
ほらタクシーに早く電話して…。
それおとうさん自分でって…。
いいませんよっ。
そんなこと。
何もかも私なんだから。
ほら…これですよ。
東京出張なんてめったにないんですから。
そのついでにかわいい孫の菜々美ちゃんに会うのにどうしてそんなにむくれるんですか?いいことはいつもおとうさんばっかり。
かあさんだってね行こうと思えばすぐに行けるんですから。
行かれませんよ。
主婦は毎日いろいろあって…。
そうですか。
じゃタクシーは自分でひろいますから。
いってらっしゃい…。
お〜い…。
(電車の警笛)
(殴打の音)
(殴打の音)おいおいっよさんか。
孫の…土産なんだよおいっ。
孫の…。
何…?何これ…?しゃ社長…社長っ。
(パトカーのサイレン)この男です。
(内田)もしもしあなた…ちょっと起きなさい。
(小池)ホームレスとも思えないがどうしてこんな所で?何かあったんですか?質問に答えなさい。
はいっ私長野の松本の人間で仕事で出張でこちらに2日間ほど滞在しましてそのついでに孫を見に訪ねようかなと思ったんですけど急に気が重くなりましてね。
一杯やっちゃおうと飲んじまって…。
職業は?公務員です。
身分証は?それがあんたひったくりにやられましてね。
何にもないんですよ。
ちょっと来なさい。
何なんですか?いいから…。
昨夜ここに忍びこまなかったか?私が?冗談じゃありません。
酔っ払って金めの物を盗もうと入り込み見つかって殴り殺した。
この血は被害者の血だろう?裏手のフェンスにも犯人が残した血痕が残ってる。
ひったくりと争った時の血ですよ。
鑑定すればすぐ分かります。
嘘をつくんじゃないよ。
最初に発見したのは誰です?お前が質問してどうする?朝一番に出勤してきたあの社員の方だ。
それにしても随分派手に散らかってますね。
刑事さん犯人はどうやってここに入ったんですか?社員通用口のガラスが割られて鍵が開けられてる。
そこからだ。
被害者の傷の具合は?後頭部を金属製の何かで殴られてる。
お前じゃないのか?後頭部か…。
おいおいっ。
刑事さん犯人は強盗の仕業にみせかけてますね。
(暢子)どういうことですか?あなたは?あっ…失礼しました。
いいですか強盗にしては物が散乱しすぎます。
それに被害者の後頭部の傷。
犯人はガラスを割って侵入したにもかかわらず被害者は椅子に座ったまま殴り殺されている。
ガラスが割れる音を聞いても様子を見に行ってない。
不自然な気がしませんか?なるほど。
犯人は忍び寄って殺し後で外から侵入したようにするためガラスを割ったんだ。
いいかげんなことを言うなっ。
(緒方)私の読みと同じだな。
警察関係の方ですね?え〜は〜…まあ。
これには事情がありまして。
(奈美恵)あなた…。
(祐二)兄さんっ。
奈美恵…。
(杉田署長)はいご苦労さん。
おとうさん…。
お〜泰さん…。
ハハ…いやいや面目ない。
いや…いや…。
松本北署の署長としてお願いする。
伊原君を即刻釈放してほしい。
主人が殺人容疑なんて何かの間違いです。
昨夜発生した殺人事件の被害者畑山功一の死亡推定時刻は零時頃。
その時刻に伊原さんが居酒屋にいたことはウラが取れてます。
しかし伊原さんの手首の傷から出血したと思われる血液が殺害事件の現場のフェンスに付着してました。
その間の事情がはっきりしないと無罪放免とは…。
うちの人の血?どうして…。
身柄は釈放しますが当署管内から出ないでください。
署長本当にすみませんでした。
お忙しいのに…。
アッハハハ…なになに。
しかし災難だったな泰さん…。
自分だけ菜々美ちゃんの顔を見てお土産で自分を売り込んだ罰よ。
まだ言ってるのか?結局行かなかったんだから。
ねえおとうさんどうせ足止めされてるんですもの菜々美ちゃんの顔見に行きましょうよ。
この近くですから…。
かまわないでしょう?どうした泰さん?気になるんですよ畑山運送の事件が。
おいおい…また仕事の虫起こしたのか?そうじゃないんですが被害者の奥さんあれは…。
小沼っ待てっ。
やめてっ。
小沼明。
殺人及び強盗容疑で逮捕するっ。
お父さんに何するのっ。
やめてよ〜っ。
小沼来いっ。
お父ちゃんっ確かにあの時の…。
ほ〜泰さんが安曇野の駐在時代逮捕した男の娘か…。
不思議な巡り合わせですね〜。
小沼は酒と博打で身を持ち崩して近所の農家で盗みを企てて見つかって相手を殺してしまいました。
でその後一家は?小沼は獄中で病死しました。
家族は村にいられなくなってどこかへ…。
私は…あの家族には…恨まれていることでしょう。
我々の仕事のつらいところだ。
その娘さんのご主人が殺されるなんてねえ。
現場まで見てしまって…気になるんです。
署長休暇の延長お願いします。
しかし…泰さんには別に責任はないだろう?お願いします。
私にはりついて目を離すな緒方主任の命令かな?はいっ。
(多一)バックしますピッピー。
バックしますピッピー。
おっ坊や運転上手だね〜。
名前何ていうんだ?お〜いっ。
(邦子)亡くなった社長の息子さんです。
多一君。
あ〜あんな小さなお子さんがいらしたんですか…。
前の奥さんの子供ですけどね。
この会社では何人ぐらい働いていらっしゃるんですか?あっ…おいっ。
城南署の今村です。
あ〜警察の方でしたか…。
うちは従業員33人。
役員は殺された社長の畑山功一と奥さんの奈美恵さん。
専務で社長の弟の畑山祐二さんと業務部長をしている祐二さんの奥さんの万里子さん。
それに配送部長の梶原さん。
この人は万里子さんの弟です。
あとは総務部長の私津村邦子…。
幹部はほとんど家族の方なんですね。
ええ…。
亡くなった社長に最近何か変わったことは?誰か訪ねて来たとか?それがおかしいんです。
えっ?ね〜…。
(清水)はいっ?あなたは?社長の運転手の清水です。
おかしいって…?社長…2日前からずっと行方不明だったんです。
社長居残って事務片づけてから帰るって…。
朝になっても家に戻らず奈美恵さんが心配して。
事件の夜まで…。
そしたらあの朝…。
その晩事務所の戸締まりは誰が?私です。
何時頃?え〜…9時すぎだったと思います。
すると…。
そのあと…あ…。
社長さんどこからか戻って来て事務の仕事を始めた。
そして零時すぎに殺された。
そうなりますよね…。
妙な具合だな。
本当ですよ。
社長どこへ出かけて何をしてたのか。
で事件の夜皆さんそれぞれご自宅ですか?いいえ。
あの夜はみんな社長のお宅にいたんです。
祐二:まったく兄貴どこに行ったんだ?
(邦子)帰宅しない社長を心配してあれこれ言ってるうちにお酒も入って結局明け方まで…。
警察に届けようかとの話もでて。
そうすると関係者一同にアリバイがあることになりますね〜。
う〜ん…。
犯人は入って来たこの裏手から逃げたと考えるのが自然だが…。
あっ今村君。
は?私の血痕がついていたのはこの鉄柵だね?ええそうですけど。
どこだ?あんたたち駄目じゃないっ。
あっ!?おいっ待てっ。
何すんだよっ。
伊原さんっ。
こいつがひったくり犯なんですよ。
この男いつもこのゴミ箱を漁ってるんですか?名前何て言うんだ?大木…。
お前一昨日の夜ここのゴミを漁らなかったか?あ〜わるいね。
伊原さんの荷物の残骸と警察手帳大木の段ボールハウスで発見されました。
大木はあなたを襲った後畑山運送に忍び込んだ。
その時奴の手からフェンスにあなたの血痕が付着したんです。
これで無罪放免です。
いや〜助かります。
それであの大木は?
(内田)あなたへの強盗傷害容疑で逮捕します。
それと畑山功一殺害容疑でも取り調べます。
あの男が容疑者ですか?
(小池)その可能性があるということです。
伊原さん…畑山奈美恵をご存じだとか?はい。
余計なことかもしれませんが一応念のためと思い今村刑事に…。
ちょっとよろしいですか?畑山奈美恵もと小沼奈美恵。
結婚後西村奈美恵になってます。
結婚?ええ。
一度結婚してるんですよ。
その夫とは死別してますが。
そうですか。
いろいろあったでしょうなこれまで…。
苦労させてしまったのかな。
みんなは大木を疑ってますが私の見解はあなたと同じです。
功一の殺害は物取りに偽装された内部の者の犯行です。
確かに私もそう推理しましたが…。
あの〜もしかして被害者の奥さんの奈美恵さんを疑ってる?ですからあなたの意見を伺いたい。
奈美恵はどんな娘でしたか?はっ…それは…。
あんたたち絶対見返してやるから必死でしたね…つらい境遇に負けまいと。
負けん気の強いがむしゃらな。
父親の事件が彼女をゆがめた…。
そういうことですね。
私は彼女がゆがんだなどとは思いたくありません。
20年後その娘が運送会社の社長夫人とはたいした玉の輿だ。
何をおっしゃりたいんですか?畑山運送は業績もよく社長の功一は堅実な性格で副業にアパートなどを持ちちょっとした金持ちです。
だから…?社長の功一が死んで遺産は妻の奈美恵が相続するでしょう。
奈美恵には大変都合のいいことにね。
しかし奈美恵にはアリバイもありますよ。
そんなものは崩してみせます。
奈美恵が犯人ならばですが。
参考になりました。
お孫さんの顔を見にいってあげてください。
主任…。
何ですか?先入観は道筋を誤らせます。
事件関係者のデータを研究しつくした結果父親の犯罪を背負って生きてきた奈美恵に的を絞ったんです。
先入観ではありません。
父親のことであんなふうに疑われるなんて…。
奈美恵…どういうふうに生きてきたんだ…?あの〜。
ん?お孫さんの顔見に行かれるんじゃ?うん…女房のヤツいそいそと出かけましたよ。
伊原さんは?何だか気後れしちゃいましてね。
先方はご両親と同居してるもんだから…。
お帰りは明日でしたよね。
駅までお送りしますから。
そんな暇があったら聞き込みしなさい。
お帰りを確かめろとの緒方主任の命令です。
なんだ厄介払いか…。
伊原さんどうなさるんですか?お〜い大木は警察から帰されてきたかね?帰されてきたか…。
あなたが口添えをしてくださったそうで。
追いはぎは出来心みたいなもんだからね。
問題は畑山功一殺しだが事件のあった夜中の12時頃の大木のアリバイが成立するそうだね。
ああ…その時間仲間とさ2丁目の公園で酒盛りしてた。
確かに証人がいるね。
はい…。
ねえおばさん喪服すごく似合ってる。
触らないでよ〜。
やめてよ〜。
それよりお小遣いちょうだい。
やめてよ〜っ。
おいおい君たち…。
よせよお前。
どうしたんだ?学生か?仕事はないのか…。
いいから返せよおっさん。
やめなさいっ。
あなたたちの行為はね恐喝に相当します。
なんだ?このね〜ちゃん…。
ごちゃごちゃ言ってんじゃね〜よ。
おいてめえ〜。
あ〜っイテテテテ…。
警察よ。
大丈夫ですか?確か畑山運送の専務の奥様ですよね…。
今夜がお通夜だとか…。
うちの人がなんとかやりくりして頑張ってきたのにこの先どうなることやら?残された奈美恵さんがしっかりしていればなんとか会社を回していくこともできるんでは?奈美恵さんね〜…。
あの人に会社や従業員を思う気持なんかあるのかどうか…。
なんだか男出入りも激しいみたいだし。
妙な噂でも…?あの人は元々勤めていたスナックで功一さんと知り合い結婚したの。
功一:結婚してくれないか?私は最初から資産目当てだったと思っています。
功一さんが亡くなって保険金やら何やらは仕方ないけど奈美恵さんに会社や資産を相続されるのは許せないわよっ。
失礼っ。
あ〜奈美恵さんね…払いはちゃんとしてるし感じはいいし。
ただスナックで働く前は何してたか分からないらしくてちょっとえたいの知れないとこあるよねあの人…。
伊原さん私主任にしかられます。
あ〜どうもいらっしゃい。
日本酒2本とウイスキーいつものください。
昨日現場で…。
警察の?はい。
いろいろと慌ただしくてお酒を切らしていたのをすっかり忘れてて…。
こんな日にそんなことをあなたに…。
ほかに誰か…。
動いていたほうが気が紛れるんです。
私会社の経営でもあまりお役に立てていなかったし。
ホステスの経験があるからお酒の席ではいちばん気が利くんです。
本当にお気の毒でした。
私の悪口をお聞きになったんでしょう?えっ?ご近所の方とか身内からもあまり良く思われてないみたいで。
さあ…。
いえここで大丈夫です。
ありがとうございました。
後妻に入って…夫を亡くして子供を抱えて…。
ついてないですよね彼女…。
この前事件があった運送屋の社長の奥さんここに勤めてて知り合ったそうですね?どんな人だったんですか彼女は?
(マスター)どうって…あまり自分のこと話しませんでしたね。
だけど1か月もしないうちに社長をつかまえて玉の輿なんだからやり手なんじゃないですか。
社長さん常連でした?ええ一緒になってからもよく来てくれましたよ。
ま別々の時も多かったけど。
別々ですか?彼女取引先や町金融の社長と結構飲み歩いてましてね…。
こういっちゃなんだけど…よくあんなにベタベタと…。
なかなかの女ですよ。
社長はいい面の皮だよなあ。
すみません一杯いただきます。
それにしてもご主人の仕事上の相手と…随分大胆ですねぇ。
仕事上の相手だけじゃありません。
畑山運送の社員で…そう清水だ。
彼と町外れで隠れて会ってるのをうちの女の子に見られてますから。
清水…?社長の運転手の清水ですよ。
そんなに手当たり次第に…。
ま男にだらしないってのは疑いようがないね。
菜々美ちゃんすっかり大きくなって来年小学校ですって早いわねぇ。
おとうさん私たちでランドセル買ってあげましょうよ。
あぁでもな…。
何ですか?いや晴子さんが再婚した相手のご両親がどう思うかさ。
でも私たちは間違いなく菜々美ちゃんの肉親なんですよ。
う〜ん。
何だかうわの空ですね。
菜々美ちゃんのことより事件のほうが気になるんですか?奈美恵さん疑われてるの?その疑い方が気にくわないんだ。
父親の事件のせいで彼女自身がゆがんでいるようにみられている。
緒方刑事さんが?ずっと引っかかっていたんだが…。
俺も若くて血気にはやって奈美恵の父親を力づくで逮捕した。
そのせいで事件のことが村中に知れわたった…。
俺が一家に気を遣った逮捕のしかたをしていれば…奈美恵の家族もあそこまでみじめに村を追い立てられずにすんだのかも知れんなぁ…。
そこまで気を遣わなくても…。
あの事件がきっかけで彼女がおかしくなったとしたら今度の事件だって俺にも責任がある。
そんな…もし奈美恵さんが事件に関係しているとしてもそれはあの人自身の問題で…。
警察官は犯罪を憎むのが仕事だ。
しかしそれ以上にかかわった人間の気持を考えるそれが駐在の仕事だと俺は上司に教わった。
組織の歯車である前に一人の人間であれと…。
でないと何かを見失いかえって犯罪を呼び込んでしまう。
俺はそんな間違いを犯していたんじゃないかと…。
そんな気持がぬぐえないんだ。
あの時俺にもう少し優しさがあったら…。
おとうさん。
20年前に一人の娘を犯罪者に追い立ててしまったんだろうか?うっ!
(パトカーのサイレン)
(緒方)ホームレス仲間の喧嘩でしょう。
随分荒らされてますね。
まさか畑山運送の事件とのかかわりなんて…。
お〜いどうしたんだ。
伊原さん?大金が入るって?そう言って喜んでたよ大木ちゃんどこまでホントだったか?今となっちゃ分かんないけどね。
何しろ酒でやられて言ってることの半分は妄想だったからさ。
大木は事件の夜犯人を目撃して脅迫した。
それで犯人は大木の口をふさいだ。
でも殺人があった時刻に大木は仲間と酒を飲んでいたんだろう?この先やっていけるかって大口のお客さんや銀行が不安がって。
会社の経営を誰がみるのかはっきりさせた方がいいと思うんだ。
正直言って奈美恵さんには荷が重いと思うよ。
奈美恵さん法律上の問題とか金銭的なことを言えば遺産相続者のあんたに権利があるけど…今はそんなことを言ってられる状態じゃない。
どうだろう?ここは黙って引いてくれないか。
引くって?祐二を社長にしあなたは配当金を受け取るって形にしてほしいの。
そういう意味ですか…。
まさか会社をたたもうとか整理したお金を自分が受け取ろうとかそんなことを考えてないわよね?ダメよ!そんなの。
みんなの生活かかってるんだからねぇ!?あんたたちが暮らしに困るようなことは絶対にしない。
約束するよ。
あなたじゃ何の役にも立たないのよ。
分かりました。
えっ?会社は祐二さんにお任せします。
ホント!あなたが社長よ!みんなよろしくね。
みんな給料も上げるからこれまで以上に働いてくれよ。
お願いします。
おやじさん冷やでね。
はい。
子供さんはいいのかね?寝かせたわ。
最初の3時間はぐっすり眠るから。
しかしお父さんが亡くなったばっかりで気持不安定なんだから…。
こんな時はお母さんは側にいてあげたほうが…。
私だって飲みたい時もあるのよ。
よしじゃあ飲もう。
いいわね。
おごるわ。
おやじさん俺コンニャク好きなんだ。
それと大根。
会社も大変だね…これから。
勝手にやってくれるでしょあの人たち。
この町でやり直せると思ってたのに…。
功一さんと知り合って夢が現実になるかもって錯覚したのかな…。
また何もかもなくすのねぇ…。
この町へくる前はどこに?いいとこ。
ニッコウキスゲが咲いて王ヶ頭が雲から顔を出して世界で一番きれいな場所…。
二度と戻りたくないけど。
ニッコウキスゲ王ヶ頭か…。
刑事さん私のこと疑ってるのね。
疑うって?とぼけないでよ亭主殺しよ。
みんなでさんざんかぎ回ってるくせに。
あんたご主人とうまくいってたのかね?随分遊びまわってるって噂だぞ。
みんな何て言ってた私のこと…男ぐせが悪いとか金の亡者とか?取引会社の部長や町金融の社長と会ってるの見られてる。
どいつもこいつも。
運転手の清水とも会ってたろ?清水?彼とも遊びか?田舎の出だから分からないことがあるから相談にって…。
いいじゃないの飲もう。
おじさんおかわり。
〜ニッコウキスゲ王ヶ頭美ヶ原か…。
美ヶ原に住んでたのか?よし大丈夫か?おいどうだ大丈夫か?刑事さん!寂しいの心細いのよ。
今夜一緒にいて!しっかりしろ。
何を苦しんでいるんだね?何だかあんたはたった一人ぼっちに見える。
心の底を隠して何かにじっと耐えて…。
オイ吐き出してみろ。
どんな生き方をしてきたんだこれまで…うん?私には分かるような気が…。
やめてよ!他人に分かるもんですか。
私のことなんてほっといてよ!7年前奈美恵の最初の結婚相手西村康彦は事故死してます。
事故死?康彦と奈美恵は長野の美ヶ原の温泉旅館で働いていた。
康彦は山菜採りの名人で…よく山へ入っていたそうですが…。
山には詳しかったはずの康彦がなぜか崖から足を滑らせた。
半年後死亡保険金6,500万円を受け取った奈美恵は勤めを辞めて美ヶ原から消えてます。
保険金ですか?当時奈美恵にはつきあっていた男がいたそうで地元ではいろいろな噂が出たようです。
保険金殺人とでも?えぇ。
地元の警察は?もちろん動きました。
保険調査員もね。
しかし奈美恵にはアリバイがあったんです。
アリバイ?康彦が山に入った時彼女は仲間と旅行に出ている最中のことだったんです。
康彦は山の中で2日間行方不明だったんですが誰も気づかなかった。
康彦が死んだという日には間違いなく奈美恵は沖縄にいた。
似てると思いませんか?今回も妙に奈美恵のアリバイははっきりしてる。
警察は何もつかめなかったんですね。
あなたが過去にかかわったので思い入れがあるのは分かります。
しかし情に流されては捜査は前に進みませんよ。
独自で動かれているようだがあなたの動きは越権行為だ。
容疑が晴れた以上ここまでにして長野に帰っていただきたい。
緒方さん私としましては…。
あなた似てるんです。
はっ?私の父親に。
長く交番で勤務し町の人たちのために働くというのがモットーで…。
でも窃盗犯を相手に素手で立ち向かい相手が刃物を持っていて殉職しました。
そうでしたか…。
それで私たち家族はその後どんなに寂しい思いをしてきたか。
私は犯罪者に情など持ちません。
情は捜査員の目を曇らせ真実を見失わせるだけです。
捜査には邪魔です。

(須藤)確かに西村夫婦はここに住み込みで働いておりました。
どんなご夫婦でしたか?どんなと言われても…。
あぁ確か写真が…。
これがそのころの従業員です。
これが西村康彦。
これが奈美恵さんです。
美人だね。
えぇこんな田舎に不似合いで…。
身の上話を聞いたことがあったな。
若いころに父親を亡くして病気がちな母親と妹たちを抱え働きづめでした。
母親が亡くなり妹たちも一人前になり…ようやく自分の好きな男と所帯を持ったと…。
なるほどそれがこの…。
この康彦という男クセが強くて人とぶつかっては職場を追われ流れ流れてこんな田舎に…。
そうでしたか…。
康彦に引きずられ奈美恵さんもここで働く気になったんですが…。
なんです?暴力があったようなんです。
暴力?康彦には屈折したところがありことあるごとに奈美恵さんにひどい暴力を振るってました。
夫婦仲も悪くなりそれで奈美恵さんは…。
男ですか?地元のスナックでよく荒れてましたよ。
何人かの男とも噂がありこれは康彦が良くないんです。
康彦さんは事故死したそうですな?えぇ山菜採りに行って崖から落ちたんです。
康彦さんが事故にあわれた場所は?山菜採りで地元の者が事故にあうってのはよくありますが…。
本当に事故だったのかというんだな?7年前ここで何があったのか…。
父親が強盗殺人を犯して世間からのけ者にされ幸せになって見返してやろうと思ったのに今度は自分が亭主から暴力を受ける…。
その亭主に殺意が向けられ父親と同じように殺人を犯してしまう女か…。
〜刑事さん!うっかりしてましたが耳に入れておいた方がいいかと…。
実は数か月前に奈美恵のことを聞きに来た男が…。
男?名前は?ちょっと知り合いの者で探しているんだとしか…。
人相風体は?伊原さ〜ん。
やぁ呼びたててすまないね。
いえ私の仕事なんてみんなが聞き込んだ報告書のまとめとかですから…。
刑事課配属1か月の私に現場でできることはまだ何もないって…。
おまけの刑事なんですよね私…。
誰だってはじめは見習いだよ。
私も駐在所勤務から40歳でやっと刑事になって見習いだったんだから。
40歳で見習いですか?う〜ん。
今度は何で東京へ?また出張ですか?実はね畑山運送の事件が忘れられなくてね。
伊原さん…。
畑山祐二が美ヶ原にですか?あぁ人相を聞いたところ間違いなさそうなんだが確認したいんだよ。
であんたに畑山祐二の写真を何とかしてもらえないかと…。
署に送って美ヶ原の旅館で確認させたいんだよ。
それはお安い御用ですけど…祐二が奈美恵のことを聞きに…?うんちょっと妙だろう?奈美恵の履歴が嘘だらけだと気づき調べにきたんでしょうか?忙しいさなかに探偵まがいのことをしに長野まで行くかな?何か訳があったんじゃないのかな。
訳…ですか?う〜ん。
専務の祐二が今度社長に就任したとか?奈美恵を押しのけて実権を握ったそうです。
会社の実権か。
祐二に功一殺しの動機がないとは言えないな。
祐二は堅実な兄の功一とは対照的な男のようです。
博打に手を出して随分借金を作っていたようです。
博打の借金か?〜義姉さん。
やめてやめてください!やっと分かったよ。
兄貴をやったのが誰か。
警察へ行って全部ぶちまける。
待ってあなたの勘違いよ!勘違いなもんか!俺にまで手を出すのか?そんなこと!義姉さん取り引きしよう…。
あんたたちの狙いは金だろ?分け前はやる。
俺に手を出さないと約束すれば黙っててやる。
そのかわりあんたは俺と…。
義姉さん俺はあんたが好きなんだよ。
〜〜うわっ!〜そうです。
古いほうですけど…。
専務まで殺されるなんて。
どうなっちゃうんだ…この会社。
主任これ見てください。
津村さんこの欠損金て項目は?ああこれは奈美恵さんがつけてたもので…。
奥さんがね…この内容に心当たりは?あぁそれは多分…。
何ですか?社長と専務時折喧嘩してたんです。
会社の金使い込んだだろう?どこにそんな証拠あるんだよ?見損なったぞ祐二!専務が勝手にお金を持ち出して社長がそれを見とがめて…。
畑山祐二が使い込みをしていた?それを損金として多分奈美恵さんが計上したんじゃ…?私にはよく分かりませんけどね。
祐二が使い込みをしそれをなぜか奈美恵が帳簿上でカバーしてた…しかしそれに功一が気づいた。
そういうことでしょうか?奈美恵が畑山祐二の使い込みをね…?みんなあんたが悪いのよ。
あんたが祐二を誘惑したのは知ってるわよ!あんたが来てから何もかも悪くなったのよ!疫病神!奥さん!なんで祐二が殺されなきゃいけないのよ!何か言いなさいよ!私は何も…。
あんたが殺したんじゃないの?功一さんもウチの人も。
人殺し!姉ちゃん!姉ちゃんに何するんだよ!奈美恵さん…。
今村。
はい。
奈美恵さん?奈美恵さん昨夜はどこに?アリバイですか?はい。
家にいました。
証人は?多一です。
お子さんだけですか?今度もまた私が容疑者なんですか?こういう推理はどうでしょう?祐二は使い込みがばれて社長の功一にクビにされると恐れた。
そこで男ぐせの悪そうな奈美恵の過去を探り兄である功一の知らない事実をつかみ全部ばらせば追い出されてそれきりだぞと脅し奈美恵に協力させて功一を殺した。
彼らはホームレスの大木に見られ脅されこれを消した…。
でも奈美恵は利用されただけで次は自分がやられると疑心暗鬼になり祐二を殺した。
私の推理どうですかね?私には納得がいかないな…。
そうですか?アリバイですよ。
功一殺しの夜二人には完全なアリバイがある。
彼らは功一を心配して畑山の家に集まっていた。
従業員たちも一緒にだ…。
これほど完璧なアリバイはありませんなあ。
そうかあ…。
行方不明になった2日間功一はどこにいたのか…。
ここは?倉庫になってます。
あの…ここは?保冷庫です。
冷凍物の配送で一時保管する必要があって。
ここの鍵は?私が保管してます。
その管理は万全ですか?えぇ。
どうしてですか?津村さん鍵を持ってきていただきたい。
あはい。
(緒方)この中の荷物のチェックは誰が…?毎日私と係の者が…。
最近不審な事は…?いえ別に…。
あぁそういえば…。
何です?いえ大した事じゃ…。
いいから言ってください。
何ですか?帳簿ミスだと思うんです。
コンピューターに入力間違いしたんじゃないかしら。
帳簿ミス…?畑山運送の管理記録を調べて確認しました。
津村邦子の言うとおり誰かがコンピューターの帳簿をいじってますね。
この日保冷庫に150kgの果物の箱が運び込まれてますが翌々日には消えてるんです。
しかしどの車の扱いだったか記録がないんです。
伊原さんあんたの出る幕はなかったですね。
謎は解けましたよ。
はあ…?死体はあの保冷庫に2日間隠されてたんです。
つまり奈美恵と祐二は功一が姿を消したと思われた夜仕事が終わった後功一を殺し保冷庫に運んだ。
そこで死体を冷凍にし2日間の時間を稼いだ。
夜の9時すぎに従業員が事務所を閉めて帰った後祐二と奈美恵は功一の死体を運び物取りの犯行に見せかけたんだ。
冷凍すれば死体の腐乱を遅らせる事ができる。
お陰で司法解剖の結果2日間の鑑定誤差が出た。
深夜の零時頃だとね。
だから奴らはその時間に合わせて功一の家に集まるというアリバイを作ったんだ。
(内田)これだけ状況証拠が揃えば十分…。
奈美恵を逮捕しましょう。
いやウラをとるのが先だ。
功一の皮膚の細胞が保管されてるから再鑑定してもらい冷凍されていた痕跡を確認させるんだ。
分かりました。
はい。
犯罪者への情は捜査員の目を曇らせ真実を見失なわせる。
やはりそういう事でしたね。
あの…。
あなたには古いと言われるかもしれませんが私のカンは畑山奈美恵はシロと言っています。
もはやそういう状況ではありませんよ。
バックします。
ピッピー!バックします。
ピッピー!オーイ…。
お母さ〜ん。
うん?多一お家に入ってて…。
奈美恵さん…あなたは何を隠してるんですか?あなたを中心に事件は動いてるんですよ。
あなたが何も知らないはずはないでしょ?私は何も…。
嘘を言いなさい。
畑山祐二は長野へあんたの履歴を調べに行ってる。
祐二につかまれて悪いどんな過去があったんですか?奈美恵さん…。
実は…私はあなたを知ってるんですよ。
20年前に…。
私…安曇野の駐在でした。
あなたのお父さんを逮捕したのは…私です。
思い出しました…。
あなたのことを…。
その後ご家族は…?母は亡くなりました。
妹たちはちりぢりに…。
そうですか…。
その後あなたは結婚し美ヶ原の温泉旅館に住み込みましたね?…調べはついてるんですね。
当時のご主人は事故でお亡くなりになった…。
その後あなたは東京に…?ええ…水商売を転々として。
そしてあのスナックで畑山功一と知り合った。
はい…。
弟の畑山祐二はあなたの何をバラすと言って脅したんですか?それは…。
保険金殺人疑惑…。
違いますか?…私は殺してません。
でも怖かったんです。
功一さんに疑われるのが…。
せっかくつかんだ幸せを失うのが…。
見返りに何を…?帳簿を操作してあの人の使い込みをごまかしてあげました。
でもそれだけなんです。
私…誰も殺したりしてません。
私を…恨んでいますか?恨みました…。
あなたも世間も…。
私に群がってくる男たちも…。
でも…だからって私人は殺しません。
私は…ほんの小さな幸せが欲しかっただけなのに…。
普通のほんの小さな幸せが欲しかっただけ…。
それなのに…。
信じてくれないでしょうね?あなたは…。
畑山の皮膚の細胞から冷凍特有の化学変化の痕が確認されました。
祐二が主犯であることはこれで立証できる。
だが奈美恵には物証が足りないな。
落としますよ取調室で。
引っ張りますか?奈美恵を。
よし任意同行をかけよう。
(二人)はい!君はここにいて連絡を待つんだ。
はい…。
私まで…殺すの?あっ…。
(呻き声)
(玄関のチャイム)あっ…。
奥さん!しっかり!畑山さん!しっかりしてください!どうかしたのかね?誰かがかき回していったんだよ。
もう…。
何盗もうとしたんだか?ホームレスのドヤ漁るなんてひどい世の中だよまったく!はい…おお今村君どうした?ええっ…?畑山奈美恵は無事ですか?ええなんとか首筋の青アザだけで…。
今村!なんで部外者に連絡なんか?伊原さんは部外者じゃありません!犯人は…?逃げられました。
奈美恵さんは…?まだ病院で眠っています。
《何があったんだ…?なぜ?誰が奈美恵さんを殺そうとするんだ…?》奈美恵は自分の相続分の資産を多一に譲ると弁護士に依頼した。
それが嫌疑から逃れるための工作なのか初めから資産を当てにしていなかったのか分からなくなりました。
ただ彼女は何かを知っている…それだけは確かだと思います。
そうですか…。
伊原さん。
ご一緒させてください。
またはりついてろと?いいえ私の意志です。
私歯車になるために刑事になったんじゃないですから。
どこへ行かれるんですか?ホームレスのドヤだ。
いまさらなぜ?さっき彼らの段ボールハウスが荒らされた。
えっ?実は気になってたんだが大木は畑山運送の裏で何かを見た。
それで犯人を脅した。
だから犯人に始末された。
あの時も段ボールハウスが荒らされた。
犯人がかき回したんだよ。
やっぱり大木は何か見たのね?見ただけじゃない。
証拠になる物を何か握ってたんでは…?証拠を…?犯人は大木を殺して段ボールハウスでそれを探したんだよ。
それがまた…荒らされた。
という事は犯人はまだ肝心なブツを回収してないんでは…?つまりそれはまだホームレスたちの手もとにあるという事だようん。
お〜い!また?何の用?ちょっと聞きたい事があって…。
大木さん何か持ってなかったか?死ぬ前に。
あぁ何すんだよ!ちょっと…。
あんた…これどこで?どこでって…。
大木のハウスから盗んだな?大木が殺された夜より前に盗んだんだな?いいじゃないか!こんなもん。
どうせ大木だって盗んだものよ。
こんなんで逮捕すんのか?刑事さん。
…勘弁してよ!あぁ逮捕しないよ。
功一を殺した時犯人はこれを落としそれを大木が拾った…?この持ち主が誰か分かれば…。
津村さ〜ん。
これ見てもらえませんか?ああこれ…。
見覚えありますか?ええ清水さんの…。
清水さんに間違いないですね?ええ。
いつもこれみよがしにこんな事してましたからねえ?ああ清水のだ。
清水に初めて会った時このキー・ホルダーのついてない裸のキーをもてあそんでた。
社長の運転手の清水ですつまりその時もうこのキー・ホルダーを無くしていて清水は予備の鍵を持っていた…。
きょうは清水さんの姿が…?
(梶原)風邪で休むとか…。
マンションで寝てるはずですが。
あのう住所は…?
(チャイム)お留守みたいですね。
いませんね。
飛んだか…?今村君清水の写真を用意してくれないか?どうするんですか?もう一度美ヶ原へ行きます。
須藤さ〜ん。
ああ。
この男見てもらえませんか?見覚えありませんか?はあ…。
見覚えありますか?これは確か…その先のスナックでバーテンをやってたえ〜名前は何ていったかな?…山本って男ですよ。
山本…?ええ。
最近のものですか?随分感じが違うけど。
この男当時奈美恵さんと…?ええ噂のあった相手の一人です。
よ〜く思い出してください。
康彦が山に入った日に奈美恵が他の者と沖縄旅行に行った仲間の中にこの清水…いや山本は入ってませんでしたか?ちょっと待って。
やっぱりいましたよ。
山本って男…。
あっちょっと失礼…。
助かりました…。
こちらに保冷庫のようなものはありませんか?保冷庫ですか?はい。
さあそんなものは…。
じゃあ人目につかないような大きな冷蔵庫などは…?そうですねえ…。
そんなものはないが…ああ。
昔から地元の者が使ってた室ならありますよ。
あの山の向こうに。
室…?ええ。
天然の洞窟を利用したいわば昔の冷蔵庫。
10年ぐらい前までは共同で使っていたようですよ。
案内してもらえますか?はい。
これです。
旅館から20分…。
西村康彦が落ちた渓流までは…?そう…15分というとこですかねえ。
足元危ないですよ。
ほんとに冷蔵庫ですねえ。
7年前の奈美恵の夫の事故死の真相が…これで分かりました。
ええ?須藤さん山本の身の上について知ってる人はこの土地には…?さあそう言われてもね。
下の町で聞けば誰か知ってる人がいるかも…。
そうですか。
・はい捜査本部。
清水が犯人だ。
地元の親せきの話では彼は八王子に自分名義のマンションを持ってるらしい。
もしかしたらそこにいるかもしれん。
…住所はね。
・はい捜査本部。
なに!?どうした?畑山奈美恵が病院から姿を消しました!どういうつもりだ…?奈美恵が病院からいなくなったそうです。
なんだって…?すぐ清水を押さえろ。
病院から彼女を連れ出した者がいるなら…清水だ!清水!よさんか!よさんか!早く来い!来るな!来るな!
(パトカーのサイレン)主任…。
やめろ清水!いや山本…。
7年前に知り合って関係した奈美恵に付きまとって保険金を目当てに康彦を殺したな?康彦:あ〜っ!お前は森の中で康彦を殴り殺して森の中の天然の冷蔵庫…室に死体を隠したんだ。
そしてその間に奈美恵たちと旅行に出てアリバイを作った。
その旅行から帰ってきて康彦の行方不明騒ぎを知ったふりをし捜索に加わる。
そして何食わぬ顔をして死体を担ぎ出した。
そうする事で発見された死体の鑑定の結果がずれてちょうど自分たちの旅行中に死亡したと誤認されるように計算したんだ。
清水…いや山本!すべては奈美恵を手に入れて康彦の保険金を奪うための計画殺人だったんだな!死体は冷凍保存しておけば死亡時刻の鑑定にずれを生じさせる事ができる。
それで味をしめたお前は今度は都合よく運送店にあった保冷庫を利用したんだ。
金と女…。
その両方に食らいつくお前は蛭だな。
夫の保険金が出たとたん私はこの人に連れられ東京へ…。
初めは優しい人だと思った。
でも働きもせず毎日博打お酒と遊びあるいてこの人はたちまちお金を使い果たし今度は私を水商売へ…。
そのうえ面白くない事があると殴る蹴るの乱暴を…。
そのうち…酔ったこの人の口から康彦を殺したという事実を知って…。
だから私…恐ろしくなって逃げ出したんです。
やがてあんたはスナックで知り合った畑山功一と結婚…。
今度こそ幸せになろうとしたんだね?つかの間の…幸せでした。
多一:バックします…間もなく山本が清水と名前を変えて現れたんです。
奈美恵きょうから働いてくれることになった清水さんだ勝手に「私の知り合いだから仕事を…」って功一に頼み込んで。
どうして断らなかったんですか?自分が警察でしゃべれば共犯のお前も捕まるって脅されました。
共犯…?奈美恵の無知につけ込んだんだよ。
畑山運送に入り込んだお前は功一と祐二を殺せば奈美恵が相続人になって財産を横取りできると考えた。
多一君はまだ子供だからどうにでもなると踏んだんだろう。
それで昔やったのと同じ手口の犯行を思い立ったんだ。
後は康彦の時と同じ事を…。
(緒方)それを見つからないよう事務所のパソコンをいじってあって当然の荷物だと見せかけたのか?2日後死亡推定時刻に社長宅にいてアリバイを作り夜明け前死体を事務所に運び込み物取りの偽装をして帰った。
そして翌朝社員に死体を見つけさせたんだ。
が死体を運び込んで逃げ帰ろうとした時お前は大きなミスをした。
ゴミを漁りに来たホームレスの大木に見られたうえにキー・ホルダーを落として拾われたんだ!それをネタに脅されたお前は大木を殺した。
しかし肝心のキー・ホルダーはその前にホームレスの仲間に盗まれていたんだ。
じゃあ畑山祐二もお前が…?あいつは奈美恵の過去を調べて俺の正体に気づきそうだった。
もう一刻も待てなかったんだ。
だから…。
この女は俺のものだ!俺だけのな!やめろ!蛇ににらまれた蛙のように…奈美恵さん。
あんたはどうする事もできなかったんだね?私のせいなんです。
私には悪い星の巡り合わせが…。
私さえいなければ功一さんも祐二さんも死なずにすんだ…。
だからあんたはこいつの企みを妨害するために資産を全部放棄したんだね?あんたに資産が入らなければこいつの犯行には意味がなくなる。
だからあんたは…。
それで奈美恵さんを殺そうとしたのね。
この女は俺を裏切りやがったんだ!遺産相続した金は俺のものだったのに相続を放棄するなんて許せねえ。
この女は俺の手でぶち殺してやる!私はかまいません!もう生きていたくない…。
この人を逮捕して!それで終わるんです。
父が強盗してから始まったみじめな私の人生が!ばか者〜!悪い星の巡り合わせなんてないんだ。
あんたの人生はみじめじゃない。
あんたは精いっぱい頑張ってきた。
いいか?誰でも完璧に生きられる人間なんていないんだよ。
恨みや憎しみではすっぱな真似をした時期もあったろう。
そこでこんな悪魔に魅入られて…。
だがねその一方であんたは功一さんを助けて力いっぱい頑張ったじゃないか!あんたは…多一君の立派なお母さんなんだよ。
不幸だった事にばかり目を向けてヤケになるんじゃない。
あんたはこれから幸せにならなきゃいけない。
あんたなら…やれる。
自分を捨てるんじゃない!いいですね?来るな!奈美恵さんを離せ!死ぬんなら…お前一人で行け清水…。
なに〜っ!
(銃声)あっ…。

(奈美恵の泣く声)
(緒方)救急車だ。
(内田)はい。
(泣く声)奈美恵さん…これであんたの悪夢は終わりだ。
親父さんの事件は不幸だったがあんたの人生はあんたのものだ。
いいね?はい。
私…多一の事を考えていたんです。
私には多一を育てる責任があります。
私彼のほんとうの母親になります。
伊原さん…。
組織の歯車である前に刑事は人間だ。
その目がしっかりしていなければ組織全体が腐ってしまう。
責任重大だぞ新米刑事…。
はい!ありがとうございます。

(緒方)伊原さん。
お世話になりました。
2014/09/12(金) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「いなか刑事伊原泰三の退職捜査日誌3」[字]

20年前に逮捕した犯人の娘の周囲で次々に起こる殺人事件・・・。泰三が犯人捜しに奔走する。

詳細情報
番組内容
死んだ息子の孫娘の顔見たさに松本から上京した“いなか刑事”伊原泰三は、ひょんなことから殺人事件の容疑者に間違われ、事件に巻き込まれる。その事件は、東京にある畑山運送店の社長・畑山功一が何者かに殺された殺人事件だった。畑山は事件の2日前から行方不明になっており、周囲の人間が心配している中での出来事だった。
番組内容続き
畑山はどこかへ姿を消した後、事務所へ戻り、深夜、事務所で残業中に何者かに襲われ殺されたらしい。ガラスを割って侵入したあとがあり、引出しが荒らされていたことから、警察は物取りの線で捜査を進める。
出演者
伊原泰三・・・小林稔侍
伊原千鶴・・・松原智恵子
杉田署長・・・寺田農
畑山奈美恵・・渡辺典子
今村暢子・・・国分佐智子
畑山祐二・・・日比野玲
畑山万里子・・山下容莉枝
清水淳哉・・・神保悟志
緒方悟・・・・鶴見辰吾   ほか
原作脚本
【原案】新野剛志
【脚本】橋本以蔵
監督・演出
【監督】伊藤寿浩

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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