(中川美奈)
その昔小学生や中学生の間で流行ったものにタイムカプセルがあります
それぞれの思い出の品思い残した事未来の自分へのメッセージなどを納め校庭の片隅に埋めました
中川有作。
14歳当時の私の夫です
一体何をタイムカプセルの中に納めたんでしょう?
25年後の今それが明らかになります
(中川有作)ただいま!おかえり。
ん〜!お疲れさま。
(野上温子)「有ちゃんお久しぶりです」「クラス会のお知らせありがとうございます」「25年目の節目でもありますし今回はぜひ出席させていただきたいと思います」「有ちゃんやみんなに会えるのが楽しみです」。
僕も…。
待ちに待った野上温子さんねぇ〜。
うん。
ああああ。
来るんでしょ!?まああの日本に帰るついでじゃないの。
ついでじゃありませんよ!フランス人のご主人とは離婚して日本に永住帰国するって…。
有ちゃんが買ってきたこの週刊誌に書いてあるもんねぇ。
そうだっけ?きれいな人ね温子さん。
だってそりゃ僕の初恋の人だもん。
ふうーんジェラシーメラメラ!痛っ痛っ…。
(上田吉之介)はっ…。
はっ!はあ…夢か…。
(電話)はいはいはい。
はいこんな時間に…。
はい。
もしもし中川です。
先生!?有作変わりないか?いえ別に変わりないですよ。
それよりどうしたんですか?突然こんな時間に…。
いやあお前の死ぬ夢を見てな。
へえっ!僕が死ぬ夢?あははは!ねえ先生そういう夢はねぇかえって縁起がいいって言いますよ。
大丈夫ですよ僕はこのとおりピンピンしてますから。
そうか。
いやあそれならいいんだ。
わしもなぁこの頃歳のせいかちょっとした事が気になってな。
今度のクラス会で何か起こりゃしないかそんな事まで気になってる。
大丈夫ですよ先生!この中川有作が幹事を務めまする限り何も起きません。
もうご心配なく。
それよりね先生こそ元気な顔を見せてくださいよ。
えっ…はいはい伝えます。
はい。
では失礼します。
まったくもう上田先生がねぇ美奈によろしくって。
そう…。
先生もお元気で何よりよねぇ。
うんホントだよ。
かくしゃくとしてさ…。
ああ熱っ熱っ…!熱っ熱っ…ああ…!ちょっと大丈夫有ちゃん?ねえ先生が見た夢ってまさか…。
ああ…加島伸次さんって方のはがきよ。
そいつさ中学一のワルだった男でさぁ大人になってからもね恐喝とか取込み詐欺でムショ送りになってんだよ。
いつもは返事も寄こさないのに何だって今回は…。
昔の仲間が恋しくなったのよ。
過去は過去。
今を見なきゃねえ。
そういやぁ出所してからも派手に遊んでるとこ見たって京平と浩一が言ってたなぁ。
また何か問題起こさなきゃいいなぁ…。
大丈夫よ!心配性ね。
有ちゃん。
はいごはん!は〜い。
大盛り?うん。
琵琶湖。
総面積674平方キロメートルを誇る日本最大の湖です
その南西の岸辺に私共の琵琶湖グランドホテル京近江が建っています
(田中久雄)はあはあ…。
田中さん大丈夫ですか?ああ…大丈夫…。
無理しないでくださいね。
大丈夫大丈夫…。
(中川政子)団体様が着く時間だっていうのにまたいない。
どこ行ったの若おかみは!
(ウメ子)さあ…。
(マツ子)いや…。
(小百合)ボヤボヤしないで捜してらっしゃい!ホントにもう…。
はい。
行こう。
もういいわよ。
少しは楽になりましたか?今日はお休みになってくださいね。
(ウメ子)若おかみ!若おかみ!ちょっとどいて。
若おかみ!もうじきもうじき団体のお客様が!大おかみマジギレです!ああいけない!すぐ行く!じゃあ。
早く!早くいっといで。
あっそうだ!ねえ田中さん堅田第二中学校の校務員をされてた頃にね有作達のクラスのタイムカプセルを埋めるのを手伝ってくださったそうですね。
ああそんな事がありましたね。
はっはっ遠い昔の話です。
その遠い昔の話のカプセルをね今度のクラス会で掘り出す事にしたんですって。
ああ…ほお…。
それでねぇ正確な場所をご存知の田中さんに立ち会ってほしいって有ちゃんが…。
ああそうですかいやおやすいご用です。
承知したと若旦那にお伝えください。
よかった。
(ウメ子・マツ子)もう若おかみ!ああー!はいじゃあ失礼します。
はいはいどうも…。
いらっしゃいませ!
(一同)いらっしゃいませ。
お疲れさまでございました。
お待ち申し上げておりました。
いらっしゃいませ。
(一同)いらっしゃいませ。
(村中佑子)おば様!お久しぶりです。
ええっ?どなただったかしら?佑子です。
なぎさ荘の村中佑子。
佑子ちゃん?まあ見違えちゃったわ。
でもクラス会は明後日よ。
私大阪のミナミでクラブをやってるんです。
ちょっと営業も兼ねて。
こちら有ちゃんの奥方ね。
若おかみの美奈です。
ようこそいらっしゃいました。
噂どおりきれいな方…。
どうぞよろしく。
よろしくお願いします。
おば様じゃあまたね。
どうぞごゆっくり。
堅田の民宿の娘さんなの。
今廃業しちゃったらしいんだけどね。
中学時代有作に夢中だったの。
へえ!有ちゃんにもファンがいたんですね。
安心しました。
まったくかわいくないんだから。
まったく。
うるさいわね。
はい。
この人が中学一ワルといわれた加島伸次さんです
(松井京平)アッちゃんがクラス会に!?本当かよ?うん。
昨日返事が来たんだよ。
みんなに会えるのを楽しみにしてるってさ。
浩一達にも知らせてやんなきゃな。
そうだな。
ああああ…大事なの。
(大竹浩一)ええっ!?来るのかアッちゃんが!?おおほほほ…。
貢にも知らせてやらなきゃな。
(時田貢)そう。
アッちゃんがね…。
そうなったらやっぱりクラス会の締めは彼女のピアノ演奏だね。
おお!いいねぇ。
じゃあさクラス会の構成考え直さなくきゃ。
よおーし緊急幹事会だ!
(ピアノ演奏)『浜辺のうた』
(電話)・
(殿山警部)有作!はいっ…。
(殿山)どこへ行ってたんだよ。
捜してたんだぞ。
すいません。
あのちょっとちょっと私用で…。
勤務中だよ。
少しは慎め!申し訳ありませんでした。
有作ちょっと…。
(ため息)はっはい。
お前ちょっと頼まれてくれんか。
はい。
女房の奴がなやいのやいのとうるさくてしょうがないんだよ。
ピアニストの野上温子なぁお前さんの中学校の時の同級生だそうだな。
はい。
ピアノを習ってる娘のためにサインをもらってくれんか。
えっええっ!?サイン…。
でもそれ勤務時間中じゃありませんか!?有作!はい。
ああああ…。
失礼します。
(ウメ子)失礼いたします。
お夕食をお運びいたします。
(尾崎実)ああ飯だ飯だ。
(佑子)ごめんなさいねお部屋で食事したいなんてわがまま言っちゃって…。
いいえ。
お客様のそれぞれの事情に合わせてサービスをさせていただいておりますので。
(尾崎)若おかみはわしらの間柄をどう読んでいるかな?はあ。
こちらは佑子さんの大切なお客様だと…。
それで?えっ!?それで?はあそうですねぇ。
佑子さんが新しく出すお店の開店資金などの相談も兼ねてこちらにはお忍びで…。
若おかみ!はっ!ごめんなさいすいません。
いやいやいやなるほど…。
美人のうえに頭も切れる。
若おかみに店を持たせたいなぁ。
ああいやいや…。
冗談冗談!はっはっあはは…!ちょっと邪魔。
もう…。
ああはい…。
あららら…。
はいどうぞ。
ちょっとすいません。
ああ若おかみ若おかみ!はい。
お忙しいとこ何だけどこれお礼で庭で採れたもので…。
わあ有ちゃんの大好物ばっかり!ちょっとあんた!はい。
この忙しい時に若おかみをつかまえて立ち話もないでしょう!はいはい。
はいはい…。
あの田中さん。
はいはい。
あの有ちゃんの頼み事よろしくお願いしますね。
タイムカプセルの開封が今度のクラス会のメーンイベントらしいんです。
ああそうですか。
はいはい。
遠慮なく…。
(田中)はいはい。
彼の身にあんな災いが降りかかろうとはその時は思いもしませんでした
そうかぁ子供がいないのが何よりだな。
あれほどの美貌をフランス人だけに拝ませておくのはもったいないもん。
おいおい俺にきてるんだもう…。
クラス会に出てくるなんて離婚して里心がついたんだろうな。
人生に疲れた時は故郷や幼友達が一番って事さ。
5人で自転車に乗って遠出した事があったね。
うんうん。
今津の船着場にさ5人で行ったんだよな。
そうそう。
竹生島へ渡ろうとしてさ。
彼女すごいスピード出すんだよ。
(ピアノ演奏)『浜辺のうた』
(5人)「あした浜辺をさまよえば「昔のことぞ」
(4人)「しのばるる風の音よ」
(5人)「雲のさまよよする波も貝のいろも」あれからもう25年か…。
よし!再び俺達のもとに戻ってくるアッちゃんのためにもう一度乾杯しよう!おお。
(4人)乾杯!・
(加島伸次)おいっ!伸次!?
(加島)クラス会の相談なら俺も混ぜろよ。
うん…。
何だよ伸次。
クラス会なんか見向きもしなかったお前がどういう風の吹き回しだよ。
6年もさムショで臭い飯食ってたら自分がつくづく嫌になっちまったんだよ。
来年は前厄だしそろそろまっとうに生きようかなぁと思ってさ。
そうしたらさ無性に昔の仲間の顔見たくなったんだ。
しかしなぁ俺達お前に散々な目に遭ってる。
お前が自宅謹慎処分になった時も俺達がチクったせいだって待ち伏せされてボコボコにされた事も。
俺は前歯折られた。
僕は肋骨を…。
咳をすると今も痛むんだ。
悪かったよ。
すまなかった。
本当に騒ぎを起こす気はないんだろうな?ああ。
(ため息)仮釈放中の身だしよもうムショには戻りたくねぇよ。
そんな事より有作。
うん?お前がデカになったって聞いてぶっ飛んだぞ。
ああ…。
何で?お前ご立派な温泉ホテルの御曹司に納まっときゃよかったろうが…。
なあ何を好き好んでデカなんかになったんだよ?それによクラスで一番モテなかったお前がだよあんなべっぴんの嫁さんゲットしやがってよ。
お前そのうえあれか野上温子のケツまで追っかけようとしてんのかよ。
ちょっと虫よすぎんじゃないのか!?そんな…。
何だよ!?伸次!有ちゃん。
有作。
それにしてもお前のかみさんいい女だわ。
もろ俺のタイプ。
伝えといて。
うん。
ううん!何…。
ウメ子さんどうかしら?うんそこがちょっと長いんと違いますか。
ああここ。
あっ!うん?花もあんたも完璧だわ。
えっ?俺加島伸次。
お宅の亭主の同級生。
加島伸次さん?中学一のワルだった男でさ大人になってからもね恐喝とか取込み詐欺でムショ送りになってんだよ。
ああ…。
中川有作の妻の美奈です。
今有作は署のほうですが…。
有作はどうでもいいんだ。
あのさ今夜から若おかみじきじきに心の込もったサービスお願いできない?もちろんお料理や温泉などで心よりのおもてなしをさせていただきます。
どうぞごゆっくり。
ちょっと待てよ。
それがスイートに泊まってる客に対する態度なのか!ちょっと待てって!あらちょっとお客様!ああーっ!加島様。
私共ではスイートのお客様でもシングルのお客様でも最高のサービスを目指しております。
もし何かご不満な点がございましたら宿泊をキャンセルなさっても結構です。
いいねぇ。
はっ?そういう怒った顔。
俺さ鼻っ柱の強い女は大好きなんだ。
有作のかみさんにしておくのもったいないね。
ちょっと…。
伸ちゃん!相変わらずやんちゃ坊主ね。
仮釈放中の身でしょ!?少しはおとなしくしてなさい。
晩飯7時な。
きれいどころ呼んどいて。
さすが大おかみ!すみません。
助かりました。
ああいう手合いにはね強く出ないとダメ。
いくらお客様でも限度がありますからね。
はいお義母様。
大おかみでしょ?あっはい。
あなた…。
おかえりなさい。
ああ…。
おかえりなさいって大旦那様が!?ええっ!?今日ねお義父様の命日なのよ。
いやっ。
ねえあなた有作ももう39。
ここを継ぐつもりは全くないらしいの。
刑事の仕事を全うするんですって。
美奈さんも私と同じ運命をたどるのかしら…。
ねえあなたあの子の目を開かせる方法があったら教えてくださいな。
あなたは自由勝手に生きてホテルを全部私に任せてさっさと逝ってしまった。
有作が自分勝手なのもあなたにそっくりね。
美奈さんこれから先もいろいろあるでしょうけど有作の事頼むわね。
はいお義母様…。
はっ!田中さん!?きゃあーどうしたんですか?お義母様救急車!はあはあ…OK。
しっかりしてください!ちょっとあんた携帯持ってんじゃないの!?携帯…。
はいはい。
携帯貸してよ。
お願いします。
あの局番は局番はどうすんの?あの119です。
しっかりしてください!何があったんですか?若おかみカッカプセル…。
ええっ?カプセル開けちゃいけません。
カプセル?ねえカプセルを開けちゃいけないってどういう事?ああああ…。
田中さん!ええっ田中さん!ねえ田中さん!ねえしっかりして田中さん!!
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)ちょっとごめんなさい。
ちょっとごめんなさい。
ねえねえねえ事件?うちの従業員の田中さんが殺されたんです。
田中さんが!?ご存知なんですか?おっいやそりゃ知ってるわよ。
中学の時の校務員さんだもん。
去年亡くなった奥さんがお寂しがって田中さんを連れてっちゃったのかもしれない。
ちょっとやめてよマツ子ちゃんもうそんな拝まんといて…。
愛妻を失って落ち込んでいた時だから気晴らしにホテルの仕事でも手伝ったらって私が田中さんに勧めたんです。
真面目で穏やかで人に恨みを買うような人じゃありませんよ。
田中さん息を引き取る間際こんな事を…。
若おかみカッカプセル…。
ええっ?カプセル開けちゃいけません。
カプセルを開けるな…。
それは一体?有作さん達が中学生の頃校庭に埋めたタイムカプセルの事だと思います。
タイムカプセル?今度のクラス会がちょうど25年目の節目の年になるんですよ。
で掘り出して開封しようって事になったんです。
であの当時カプセルを埋めるのを手伝ってくれた田中さんにも立ち会ってもらおうって事になって…。
有作さんに頼まれて私が田中さんにお願いしたら…。
おやすいご用です。
承知しましたと若旦那にお伝えください。
僕らの記憶が曖昧なもので田中さんならきっとカプセルを埋めた正確な場所を覚えているんじゃないかと思いまして…。
ガイシャがタイムカプセルの事を口にしながら死んでいったとなると犯人はタイムカプセルに関わりのある人間という事になるな…。
とすると警部有作の中学時代の友人の中に田中さんを殺した犯人がいるって事ですか!?恐らく…。
へえ…。
ああっママ!昨夜遅くね田中さん近所の食堂で飲んでたらしいんだよ。
そこへね…。
田中さん電話!うん。
はい田中ですが。
わた…私に?西教寺の山門?いやあああの…。
どうしたの?うん?いや…。
妙だと思いながらも律儀な田中さんは電話の相手が指定した場所に出かけて行った。
うん。
話がこじれたのか相手が最初から田中さんを殺す気だったのかそれはわかんないけどね。
一体誰が電話をかけて来たのかしら?あのね食堂のサッちゃんの話だとね女の人の声だったって。
女なの!?うん。
だけどさねえ田中さん何を言おうとしたんだろう?もしホントにさ僕らが25年前に埋めたタイムカプセルの事だったらだとしたらさどうして開けちゃいけないって言うんだろう?ねえ有ちゃん。
うん。
クラス会どうするの?だって僕は刑事だよ。
こんな大事件をほったらかしてクラス会になんか出ちゃいらんないよ。
ねえねえねえ…ねえ美奈。
美奈!何よ何?ちょっと頼みがあんだよ。
僕の代わりにさクラス会の幹事やってくんない?ダッダメよそんなの。
それは…。
だっていや大丈夫。
わかんなくたって大丈夫だって。
何しろねもう京平も浩一もいざとなったら全然頼りになんないんだから。
そこはねもう美奈がやってくれたらもうホントに安心なんだけどな。
もうしょうがないなぁ…。
ふふふ…。
有ちゃんは顔も見せない気?うん。
温子さんには会いたくないのかしらねぇ?そりゃ会いた…。
いやあそりゃ仕方ないじゃない。
会わないよ。
だってさ刑事という職業をね天職として選んだ人間のそりゃ宿命ってもんだよ。
宿命ねぇ…。
(パトカーのサイレン)動機も犯人像も見えない難事件だが諦めるな!徹底的に歩き回って手がかりをつかんで来い!いいな!
(一同)はい。
よおーし行ってこい。
はい。
行くぞ。
有作!はいはい。
お前中学のクラス会に行ったんじゃないのか?いやだって警部殺しですよ。
クラス会なんか出てる場合じゃないじゃないですか。
あっそれとも僕は戦力外だっておっしゃるんですか?ああ相変わらず鈍い奴だな。
ガイシャのダイイング・メッセージを忘れたのか?ダイダイイング…。
タイムカプセルを埋めた連中が一堂にして集まるんだろう?お前に一番おいしい仕事を回そうって言ってんだよ。
それから野上温子のサイン忘れんな!了解!あっ有ちゃん!?捜査のほうはいいの?いやいやこれがね捜査なんだよ。
順調にいってる?今のところはね。
アッちゃんは来てる?いらしてないの。
残念ね!ああいやあ…。
ふ〜ん本当は?何…。
私もこれからどのくらい生きていけるかはわからないけれどせいぜい長生きをして人間として成長していく君達の姿を今後も見守っていきたい。
そう願っています。
今日はお招きありがとう。
(拍手)上田先生ありがとうございました。
ありがとう。
いつまでもお元気で。
ありがとう!ここでギターの生演奏でオープニングを盛り上げようと思ったんですが…。
えっ?お待たせいたしました。
琵琶湖のスーパースター中川有作ワンマンショー!
(ギター演奏)やっぱりあの子はサービス業に合ってるわ!ねえねえねえ伸次さん刑務所の食事って?そんないいもんじゃねぇよ。
ねえねえ労働賃金はもらえるの?賃金…1000円から3000円ぐらい。
じゃあ一番不自由な事は?ちょっと離せって。
女。
女!おばちゃま!おはちゃま素敵!このおばちゃまはね獲物を狙う鷹のような目つきでお嫁さんを捜してらしたの。
若おかみにふさわしい人をね。
でこの私はさそのお眼鏡にかなわなかったって訳なの。
そんな事ありませんよ。
あなたのご実家だって立派な旅館業だし。
ううん。
規模が違いますわよ規模が。
こちらに比べたらうちなんか吹けば飛ぶような民宿ですもの。
どうしたんだろうアッちゃんは?ああ有名人だからな。
予定通りにいかない事もあるんだろう。
彼女のピアノを聴きたかったな。
ああ…。
野上に会えなかったのは残念だがいいクラス会だった。
ご苦労さん。
ええ。
ええ皆さん思い出話の続きは2次会でという事でそろそろお開きにさせていただきたいと思います。
なお明日はですね1時に学校跡地のほうに集まっていただいてタイムカプセルを開封したいと…。
(温子)ごめんなさい。
大変遅くなりました。
アッちゃん!
(拍手)先生ご無沙汰しております。
よく来てくれたな。
ありがとう。
アッちゃん!有ちゃん!ううん…。
京ちゃん。
浩ちゃん。
時田君。
もう懐かしい!いやもう来てくれないのかと思っちゃったよ。
すごい心配しちゃった。
あはは…。
姫!温子姫!伸次だよ。
伸ちゃん?クラスで一番のいい男を忘れてもらっちゃ困るでしょ。
向こうで飲もうよ。
ちょっと…やめろよ伸次。
何だよこら!何だって言うんだよ!離せよ!
(ピアノ演奏)『浜辺のうた』
(4人)「雲のさまよ」ようしよしもう1軒行こうもう1軒!今日はアッちゃんのためにもう1回乾杯!ははー!とことん飲むぞ今夜は!いいねいいねいいね。
おいおい有作!えっ?奥さん大丈夫なのか?ああー!かみさんなんか怖がってる場合じゃねぇんだよ。
そんな事じゃね亭主は務まりません。
おい行こう行こう…。
おい行こう…。
怖がってる振りをしてやってるだけ…。
ったく調子に乗って飲んでるなぁ。
これも捜査な…。
・
(ドアをたたく音)帰って来た。
ちょっと締め上げなきゃ。
はいはい。
はーい。
有ちゃん!お早いおかえりで…。
あらっ?はっ!惚れた女には執念深いタチなんだ。
離してください!大声出しますよ!!いいよ。
こんなとこ誰かに見られてもいいの?何だったら亭主に見せつけようか!?もう…。
いいじゃないか。
どうせ有作はさ野上温子の事しか頭にないんだから。
いい加減にしてください!痛っ!ちょっと待て…。
(ドアをたたく音)
(加島)美奈ちゃん部屋で待ってるからさ。
機嫌直して来てよ。
あっ。
あっああー!痛い…。
かつて有ちゃんが通った堅田第二中学校があった場所です
数年前に別の中学に統合されて今では廃校となってしまいました
そして今日いよいよタイムカプセルが掘り出されるのです。
ところが…
よいしょ。
よいしょ。
貢の記憶もあてにならないなぁ。
悪い悪い。
校務員だった田中さんが生きてりゃなぁ。
まあアッちゃんも仕事で来らんないしさ伸次だって来てないじゃないか。
(ため息)けど田中さんカプセルを開けるなって言い残して死んだんだろ。
有作どういう事なんだよ。
わかんないよ。
第一さ僕らが埋めたタイムカプセルの事言ってんだかどうだかもはっきりしないんだもん。
ねえねえねえ。
私の記憶だとさ何かあの桜の木の左側だったような気がする。
へえ!?よいしょ。
ああこりゃダメだよ。
出直しだ。
何だ!?ああ!人が死んでるよ。
早く行ってこい。
まいったなぁ…。
タイムカプセルはどこへ行っちまったんだ。
う〜ん…。
こうなったら金属探知機でも使うしかないな。
ああ…。
おいそんな物どこで借りてくるんだよ。
お疲れさまでございました。
はいどうぞ。
先ほど学校の跡地を整備した施工会社に問い合わせてみたんですけどそちらの会社では金属探知機を2台所有してまして貸し出しにも応じてくださるそうです。
さすが若おかみ。
有作とは違うよなぁ。
いえいえ…。
何言って…。
(携帯電話)はいはいはい…。
はいもしもし中川です。
ヨットハーバーで…。
は…はいわかりました。
すぐ…すぐ…行きます。
はい…。
伸次が…水死体で発見された。
伸次が!?頭部に殴打された痕がありますね。
死亡推定時刻は未明の1時から2時の間というところでしょうか。
1時から2時…。
警部!ああ有作!お前のな同級生かどうかちょっと確認してみてくれ。
間違いありません。
同級生の加島伸次です。
元校務員の田中久雄の時と殺しの手口は同じだ。
恐らく同一犯だろう。
同一犯?お前の中学生の時の同級生の中に犯人がいる可能性がまた大きくなったな。
警部こんな物がポケットに。
ああ?女のかんざしだな。
はいっかんざし。
おっかんざしかんざし。
ええっと…うんこれ。
かわいいね。
どうした?あっいえいえ…。
伸次…いつかはこうなると思った。
いつかきっとこうなると思った…。
(嗚咽)何!?ガイシャが琵琶湖グランドホテルの若おかみと?このかんざしに見覚えはないかね?えっウメ子ちゃん。
そっそれは…。
それは若おかみのです。
ああ痛い…!琵琶湖グランドホテルに泊まっていた加島伸次という男がヨットハーバーで殺されたのを聞いてるね。
その男と若おかみとの間に何があったのか君達が知っている事を残らず話してもらうよ。
残らず。
(2人)はい…。
あっ殿山警部!若おかみヨットハーバーで殺された加島伸次の事で二〜三お伺いしたい事があるんですが署のほうまでご同行願えませんかね?えっ?ご同行…!?美奈さんが警察に!?はい。
火元は恐らくウメとマツです。
そういう噂をまき散らかしていましたから。
ウメ!マツ!あなた達が見た事聞いた事殿山警部にしゃべった事ぜーんぶ話してごらんなさい!若おかみ有作がいない事をいい事に昨夜加島伸次が部屋のほうに訪ねて来ませんでしたかね?誰がそんな事を?どうなんです?確かに。
ドアを叩く音がして出てみたんですけど誰もいないので…。
惚れた女には執念深いタチなんだ。
私もう腹が立って…。
加島さんの向こう脛をけとばして自分の部屋へ逃げました。
それで?それでこのままじゃ眠れそうにないのでワインを飲みながら待ってました。
しかしいくら待っても有作は帰って来なかった。
腹を立てたあなたは加島伸次の部屋に電話をして彼を外に誘い出した。
警部!?しかしヨットハーバーまでやって来て相変わらずしつこく言い寄ってくる加島と争いとなり…。
(ため息)警部その推理には無理があります。
ほほ〜無理がね?私が有ちゃんへの腹いせにそんな事をするんなら加島さんをわざわざ人目につくような外に誘い出したりしません。
直接彼の部屋を訪ねます。
それはどうかな。
あなたは琵琶湖グランドホテルの若おかみだ。
ホテルの中で不倫を働くほど節操のない人間とは思えませんがね。
だったら!そもそも不倫なんかしません。
まして湖に落ちた人をほっといて家に逃げ帰ったりしません。
警部もうこんなくだらない尋問はやめにして家に帰してください。
こう見えてもね私忙しいんですよ。
殺された加島伸次のポケットの中にこいつが入ってたんですよ。
説明していただけませんかね?それは…もみ合ってる時に落としたか彼が意図的に奪ったかどちらかだと思います。
意図的?ええ。
あたかも私と関係があったかのように人にアピールするためです。
実際に関係があったんじゃありませんか?警部!いやいやいや…。
話題変えましょうか。
クラス会のほうでは野上温子が閉会ギリギリにやって来て感動的なシーンになったそうなんですがあなたそれ見てどう感じました?今度は温子さんの事で私と有ちゃんが不仲になってるとおっしゃりたいんですか?違いますかね?
(ため息)う〜ん…。
ああ警部!ねぇ美奈を参考人として引っ張るなんてどういう事ですか?あいつが殺人事件なんかに関わるような人間じゃないってそんな事ぐらいわかってるじゃないですか警部だって。
有作!少しでも疑わしいところがあったら徹底的に調べ上げるのが我々刑事の仕事だよ。
それに断じて私情や縁故に左右されてはならない。
これ鉄則だろう。
でも…。
お前もね例外なく参考人の1人だよ。
僕も…!?お前クラス会が終わった後仲間と散々飲み歩いたそうだけど帰ったのは何時だ?ええと確か午前2時を回ったあたりかな…。
加島伸次が殺されたのは午前1時から2時の間だよ。
現場のヨットハーバーはお前が最後に飲みに行ったところから歩いて7〜8分のところだ。
警部…。
それにだ。
美奈さんにしつこく言い寄っていた加島伸次に対してお前が殺意を抱いたとしても何ら不思議はない。
お前どっから見ても参考人の1人だよ。
そんな…。
ああ…サインどうした?サイン?野上温子のサインだよ!そんなのサッパリ忘れてましたよ。
ああ…お前はそういう男だよ。
返事ばっかりハイハイハイと調子がよくて腹の中ではアカンベーだと思ってんだろ?それもこれもいざとなったら大ホテルの御曹子として戻りゃいいって保険があるからね。
大体お前はねその保険の上にあぐらをかいて刑事ごっこを楽しんでいるだけだ!バカ!警部…。
殿山さん。
よくぞ言ってくださいました。
大おかみ…。
ママ…。
ママじゃない!有作。
はい…。
今のが本音よ。
そんなふうに思われていてあなたそれでも刑事で一生を過ごす気?うん…。
それにしても殿山さん。
うちの息子や嫁を疑うなんてあなたの目は節穴ですか!節穴…?中川家の大切な嫁を!しかも殺人犯で引っ張ろうなんて…。
有作。
えっ?これがあなたが天職と考えている警察の実態よ!目を覚ましなさいよ。
有作!ママ…。
殿山さんあなたが本気で有作や美奈を犯人扱いなさるんなら私にも覚悟がございます。
優秀な弁護士を雇ってあなたを職権濫用と誤認捜査で徹底的に…!大おかみそこまでとんがらなくても…。
私はですね殺された加島伸次に最後に会った人間としてですね若おかみに少しだけお話を伺っただけでして。
あのもうお話終わりましたから。
お送りしてってよ。
有作お送りしなさい。
殿山さん!はい!私はどうなるんですか?はっ?お送りして…。
有作。
これを機会に刑事を辞めてホテルを継いでくれないかしら。
ママ。
僕ね誰が何と言おうと刑事を辞めるつもりはないね。
世の中の悪や不正を正す刑事っていう仕事に僕は誇りと生き甲斐を感じてるんだよ。
だからねどこまでも自分が信じた道を進むつもりだよ。
お義母様私有ちゃんのそういう一途でひたむきなところに惹かれて一緒になったんです。
私も有ちゃんが自分で選んだ道は守り通してほしいと思ってます。
お義母様がホテルの仕事を一手に引き受けてお義父様に好きな研究を続けさせてあげたように。
だったら美奈さんあなたにお願いがあるの。
はい。
あなたの推理を封印してもらいたいの。
はっ?私の推理を封印?どういう事でしょうか?刑事が天職だって言うんならその信念と執念を見せてもらいたいの。
誰の力も借りずに今度の事件を自分で解決できたら私もう何にも言いません。
はあ…はい。
わかったよママ。
やってみるよ。
自分一人の力で今回の事件解決してみせるよ。
ねえねえねえ…!伸次はさあんな時間にヨットハーバーで一体誰と会ってたんだろう?本当に田中さんの殺しの事件と関連ないんだろう…。
ねえねえ美奈どう思う?私はお義母様に推理を封印されてますので悪しからず。
そんな事言わないでさ〜!ねえねえお願いちょっとだけ…。
今度は僕一人の力で事件を解決してみせるよ。
ママ!ママ!いい歳して。
ママママ。
だけど言った…。
だけどさほんのちょっとちょっとだけ…。
はあっ!加島伸次さんはスイートルームに泊まっていたにもかかわらず旅行鞄とか手荷物は一切持ってませんでした。
えっ!?そりゃおかしいよね。
じゃあ手荷物を誰かに探られないようにどっかに預けてたって事か。
これ私の勝手な独り言だからね。
はっ!独り言がどっかから聞こえてきた。
ほお〜。
おおそういう事か。
おほほほ〜!そうか…。
ここを借りた人間の名前は加島伸次で間違いないですね?
加島伸次が借りていたトランク・ルームから思いもよらない手がかりが出てきました
おっ。
なっ何だこれ?えっ?へえ〜。
(殿山)金属探知機!?ええ。
あの製造元に問い合わせて調べてみたんですよ。
地中に埋まっている金属を調べる機械だそうですよ。
しかしガイシャの加島はどうしてこれを?警部ピンときませんか?あの元中学の校務員だった田中さんはカプセルを開けるなって言ってそう言い残して亡くなったんですよ。
そうか。
加島伸次は中学の廃校でこの金属探知機を使って…。
2つの事件の共通点は僕らが25年前に埋めたタイムカプセルですよ。
あの中に事件を解く鍵が入ってるんですよ。
ふふっ!有作急に冴えてきたな。
ふふふっ。
よ〜しこうなったら大々的に我々でカプセルを探し出そう!
(一同)はい!見つからないな。
こうなったらタイムカプセル中身を確かめる方法は1つしかないな。
25年前タイムカプセルを埋めた時の当事者全員から事情聴取するぞ。
いいな。
はい。
あの…コーヒーでもどうぞ。
あっありがとうございます。
有ちゃんの奥様ね?あっはい。
美奈です。
野上です。
あの…いつパリから?クラス会の2日前です。
久しぶりに遊覧船に乗って琵琶湖を周遊して子供の頃の思い出に浸りました。
近所の子とよく登って遊んだあゆの浜辺の思い出の木も昔のまんまで。
私その思い出の木の事を作文にしてタイムカプセルの中に入れたんです。
そうなんですか。
へえ〜。
お転婆だったんですね。
ええとっても。
男の子を相手にお相撲をとった事も。
へえ!意外です。
私と同じです。
ふふふっ!あっ…ははは!あのいつまでこちらに?京都のリサイタルが終わったら東京に。
その前に有ちゃんも一緒にお食事でも。
ええ!いいんですか?ありがとうございます。
美奈さん1つ伺ってもいいかしら?はい。
有ちゃん…。
有作さんのどんなところがあなたのお眼鏡にかなったの?ええ〜…。
あの人何事にも一途でひたむきなんですよね。
もう周りが見えなくなっちゃうくらい。
そういう真っ直ぐなところでしょうか。
うふっ。
うん!?やだごめんなさい。
これ…。
(ため息)一番の理解者がそばにいて有ちゃん幸せね。
どうでしょうか…。
あっ。
温子さんはあんな素敵な方とどうして離婚なさっ…。
やだごめんなさい。
音楽家としては素晴らしい人でした。
でも芸術家はエゴイストです。
私の心を満たしてはくれなかったわ。
あなたとはお友達になれそう。
あっふふ…。
大津西署の殿山です。
お忙しい中ご協力ありがとうございます。
名簿順にお呼びいたしますのでよろしくお願いします。
富岡浩一さん。
はい。
こちらまで。
あれ?有ちゃんは?エレキ・バンドを?ええ。
ベンチャーズのコピーなんですけどね。
その頃のバンドの練習を録音したテープです。
俺がタイムカプセルに入れたのは。
他には?何せ25年も前の事ですからねよく覚えてないんですよ。
おばあちゃまにもらった千代紙の箱に写真を入れました。
ほう。
写真をね。
友人と撮った写真とか大好きだった猫ちゃんの写真とか。
お宅の下で働いてる中川有作と撮ったツーショットも入ってるはずよ。
ほっ有作と。
私ねあの頃有ちゃん一本だったの。
何せこのグランドホテルの御曹司でしょ。
彼と結婚したら人生バラ色!な〜んてね。
子供心に考えてたんだわね。
ははっ。
(ギターの演奏)『浜辺のうた』・
(ドアの開く音)有ちゃ〜ん。
ここにいたの?ちょっと何してんのよ。
事情聴取は始まってんのよ。
うう…。
ええ?うう…。
えっ?なっ…。
ううっ…。
ちょっとどうしたのよ!有ちゃん!ふう。
(ため息)もうどうせわかっちゃうから美奈には正直に言っとくよ。
えっ?何よ。
あのね野上温子が僕らの中学校に転校して来たのは2年の1学期頃だったかな。
もうね天使だった。
(上田)今度このクラスに転入して来た野上温子君だ。
(温子)初めまして。
野上温子です。
よろしくお願いします。
(ピアノ演奏)『浜辺のうた』寝ても覚めても彼女の事で頭がいっぱいだった。
とうとうね一大決心してラブレター書いたんだよ。
でもね…。
さよなら。
さよなら。
それから後もね何度も彼女の事待ち伏せしたりしていたんだけどさ結局手紙もプレゼントも渡す事ができなかったんだよ。
実はね僕がタイムカプセルに入れたのは…。
有ちゃん!例えそれが人目に触れたとしてもちっとも恥ずかしい事じゃないと思うけど?あなたの青春の大切な思い出じゃない。
(ため息)うん。
渡せなかった手紙とプレゼントの品?何をプレゼントしようとしてたんだ?はあうん…他愛のないものです。
ははっそうか。
有作の失恋の形見ってやつだな。
ははっお前らしいな。
へへっ。
う〜ん…。
(ため息)アッちゃん。
今度君の番だよ。
ほほう!木にまつわる思い出をつづった作文をね。
いやぁさすがは芸術家ですな!あははは!あの他には何か?いえいえ別に。
ああいやいや!お忙しいところどうもありがとうございました。
ありません何も。
ははは。
京ちゃん。
アッちゃん。
おいみんな。
ずっと考えていたんだがやっぱりあの事を話そうと思う。
伸次や校務員の田中さんがあんな亡くなり方をしたのに黙っていてはいけないと思うんだが。
どうだろう?盗難事件が?はい。
修学旅行用に集めた8万円ほどの金が教室から紛失したんです。
それで?クラスのみんなは当時万引きの補導歴のあった村中佑子に疑いの目を向けましたが…。
おいおめぇが盗ったんだろ。
違う!
(上田)佑子は泣いてそれを否定し私はその佑子を信じました。
そこで私はタイムカプセルを埋める日3年C組全員に向かって1つの提案をしました。
(上田)先日の盗難事件の事なんだがお金を盗んだ人間にはよっぽど差し迫った事情があったに違いない。
今はそれを責める気持ちはない。
25年後みんなでそれを明らかにしてほしい。
私がお金を盗んだんです。
その告白文を書いてタイムカプセルの中に入れてほしい。
(一同)ええ…?とても勇気のいる事だが25年後あの時勇気を持って告白文を書いてよかったとそう思える人間に成長してほしい。
他のみんなもそういう思いを共有できる人間になっていてほしい。
そういう願いを込めて25年後真実を明らかにしてほしい。
加島伸次と田中さんの死がその事と関わり合いがあるとしたら25年前そんな事を提案した私の責任です。
私が2人を殺したようなもんです。
その告白文を書いた人間がカプセルを埋めた場所を知っている田中さんと金属探知機を使って事前に掘り出そうとした伸次の事を殺したって事も考えられるよ。
うん…。
じゃあラブレターをタイムカプセルに入れた有ちゃんも怪しいって事よね〜。
よ〜してよ!いくら恥ずかしくたって人を殺す事なんかしないよ!どうしてもわからないのは加島伸次の行動よね。
金属探知機を使ってまでどうして1人でタイムカプセルを掘り出そうとしたのかしら。
カプセルを開けなきゃならない理由が彼にはあったって事よね。
うん…。
カプセルを埋めた場所をご存知だった田中さんは息を引き取る間際…。
カッカッカプセル…。
えっ?カプセル開けちゃいけません。
田中さん一体何を指してカプセルを開けるななんて…。
それにね一番わかんないのはさタイムカプセルは一体どこへ行っちゃったかって事だよ。
誰かが移し替えたとしか考えられないよね。
それにね…。
あの2人も不思議よ。
うん…。
店の1軒や2軒。
ホント〜?約束よ。
ああっ!はははは!クラス会の2日前からもう4日間も滞在してるのよ。
大阪のミナミのクラブは4日も店を閉めて大丈夫なのかしらね。
よっぽど大事なパトロンなんじゃないの?佑子の事だからさマンションや店の1つでもねだってんじゃないのかな?そうな…。
あははは!もう〜。
あはは!ねえ。
うん?これってお義母様との協定違反じゃない?私の推理は封鎖って…。
大丈夫。
えっ?これはね雑談なんだよ。
雑談から僕がどんなヒントを得ようとねそんな事はおふくろ文句言わないよ。
何か都合いいような気もするけど…。
じゃあどんどん雑談しちゃおっかな〜。
してしてして。
有ちゃんちゃんとキャッチしてよ。
キャッチキャッチ…。
あのね何が何でも自分の力で事件を解決してお義母様や警部の鼻を明かせてやるのよ!うん!中川有作は大津西の名刑事だって認めさせてやるの。
わかった?有ちゃん。
わかった。
僕の底力を見せつけてやる!それにさっそうと犯人を逮捕する姿を温子さんに見せなきゃね〜。
うん!うん?ジェラシー!メラメラ…。
いててて…。
(くしゃみ)えっ?アウト!ともセーフ!ともつかないギリギリの線ですね。
若旦那様は「これは雑談だからおふくろも文句は言わないだろう」とそんな事も。
そっ。
ご苦労さま。
ありがとうございます。
しっぶ〜…。
(ため息)ねえ有ちゃん。
佑子さんとあのスポンサーの男の人やっぱりきちんと調べてみたほうがいいんじゃない?
(いびき)ねえ聞いてる?ああお先。
うん…。
(ため息)温子さんもこの事件で琵琶湖に足止めか〜。
気の毒よね。
(深呼吸)よし!あっ!上田先生!おお〜!おはようございます!若おかみ。
先生もジョギングですか?おう。
毎日元気に走っとるよ。
へえ!ジョギングの後ないつもここで体操するんだよ。
あはは!へえ〜。
いや〜有作達も子供の頃いつもこの浜辺で遊んどったな。
へえ〜。
あっ先生。
有ちゃん達がよく遊んでた思い出の木ってご存知ですか?思い出の木?おう。
あそこにあった柳の木の事か?えっ?あった?台風でな幹の途中からボッキリ折れてしまったんだよ。
へえ。
台風ってこの間のですか?そう。
何しろ相当の古木だからな。
あの風じゃあ。
ほれこれだよ。
はあ…。
この間の台風…。
いつパリから?クラス会の2日前です。
久しぶりに遊覧船に乗って琵琶湖を周遊して子供の頃の思い出に浸りました。
近所の子とよく登って遊んだあゆの浜辺の思い出の木も昔のまんまで…。
先生温子さんが日本に帰ってきたのはクラス会の2日前ですよね?おうそうだよ。
温子さんが帰国した時にはもうこの木はなかった。
じゃあ温子さんが遊覧船から見たっていうのは…。
ごめんください。
あのちょっとお伺いしたいんですけど20年ほど前野上さんご一家が間借りをされてたのはこちらのお宅でしょうか?野上?ああピアノの上手な娘さんのおった野上さんですか。
ええ!その当時のお話をお聞かせ願えませんか?
(殿山)タイムカプセルが見つからない以上このリストの中から25年前教室で盗難事件を起こした生徒を割り出すしかないな。
この36人1人1人に当たってだな…。
(携帯電話)誰だ?誰だ!はい…はいっ僕です…。
すいません。
音が出ないようにしとけ!はいはい…あっ美奈!うん。
今署内だよ。
大事な話があるのよ。
うん。
会える?どこか外で。
それはアッちゃんの見間違いだよ。
きっとね遊覧船の上から見たんだよ。
で別の木をその木と勘違いしたんだね。
でも子供の頃よく遊んだ思い出の木よ。
船の上からだからって見間違えるかしら…。
でも彼女がクラス会の2日前に日本に帰ってきてたのは事実だよ。
だってテレビの芸能ニュースで見たんだもん。
間違いないよ!有ちゃんムキにならずに聞いて!もう…。
ねえ事実はこういう事なんじゃない?温子さんは何らかの事情で最近こっそり日本に帰ってきてた。
あの台風で木が倒れる以前にね。
その時琵琶湖の船上からあの思い出の木を見た。
だったらどうだっていうんだよ?旦那さんとの離婚問題とかでお忍びで日本に帰ってきてたのかもしれないよ?ほらマスコミに騒がれんの嫌だからさ隠密裏にトンボ返りしたんだよ。
それとは別の理由で秘密にする必要があったとしたら…?美奈ちゃんまさか…。
午前中温子さんのご家族が間借りしてた家の大家さんに会ってきたの。
堅田二中に転校する前温子さんのご一家は神戸に住んでてお父さんは貿易商でかなりの資産家だったそうよ。
でもオイル・ショックのあおりで事業に失敗して夜逃げ同然でやって来たらしいの。
こっちに来てからもずいぶん生活に困ってたらしいわ。
つまり君は25年前のあの窃盗事件の犯人は野上温子だってそう言いたいの?当時の告白文をタイムカプセルにしまい込んだ彼女はそれが公開されて今の名声に傷がつく事を怖れてこっそり日本に帰ってきてそれでタイムカプセルを移し替えたってそう言いたいの!?そういう可能性もあるって言いたいの。
絶対にないね!君はね野上温子って人間を知らないからそんな事言えるんだよ。
彼女はねどんなに生活が苦しくたってね人の物盗んだりするような人じゃないよ!考えらんないね!!
(ため息)有ちゃん…。
(ため息)どうしたの?美奈さん。
何ぼんやりしてるの?ああすいません。
推理ご法度がよっぽど堪えたんじゃ…?お義母様明日1日休暇をいただけないでしょうか?有作さんのためにしなければならない事があるんです。
有作のために?彼に真実を見てもらいたいんです。
刑事として夫として真実から逃げてほしくないんです。
わかった。
有作のためね。
はい。
野上先生でしたら今さっき帰られました。
お帰りになったんですか…。
愛宕の念仏に行かれました。
念仏寺?美奈さん…。
温子さん。
有ちゃんにとってあなたは大切な大切な心の宝物なんです。
でもそれを壊す事になるかもしれないという覚悟であなたに会いに来ました。
でもどうして?あなたとはたった一度しかお話をしていないのにどうして私に疑いを…?あなたが口にしたあゆの浜辺の思い出の木が教えてくれたんです。
思い出の木が?
(ピアノ演奏)『浜辺のうた』
(雷鳴)どうやってお金を盗ったのかよく覚えてないんです。
その頃私の家は債権の取り立てで追い詰められていました。
でも盗んでしまってからすごく怖くなって湖に投げ入れた事は今でも鮮明に覚えています。
子供の頃のたった一度の過ちですけど二十数年間苦しみました。
みんなに本当の事を言い出せないまま告白文を入れたタイムカプセルが開けられる日を指折り数えては怯える毎日でした。
とうとうその時がやってきました。
もうたまらなくなって…。
それでこっそり日本に帰ってきて1人でタイムカプセルを掘り出したんですね。
ええ…。
ああこれだ…。
あった!あった…。
あれほど肉体労働をしてあんなに汗をかいたのは生まれて初めてでした。
私の告白文を取り出した後タイムカプセルそのものがなくなってるほうがすべてに都合がいいと思って…別のところに隠しました。
別のところ?どこに?昔有ちゃん達と一緒に遊んだ竹生島です。
竹生島?温子さんつらいでしょうけどこの事…。
みんなに話します。
きちんと話して謝ります。
ありがとう美奈さん。
あなたに何もかもお話しして心が少し軽くなりました。
ホントにありがとう。
温子さん。
ああ〜ああ〜…。
もう有ちゃんは出したら出しっぱなし…。
大切な物なんだから自分できちんと片づけなさい。
ここに入れときますよ!あっ…。
見つけちゃったもんね〜ヘソクリ。
温子さんの写真まで隠して…。
どうせ隠すんなら見つからないところに隠しなさいっていうのよもう…。
(ため息)こんなところに隠してもう…。
隠す?そうか隠したのよ!そうよそうよ。
誰かがタイムカプセルの中に何か大切な物を隠した。
で加島伸次はそれを手に入れようとして…。
(金属探知機の音)もしかして田中さんはそれが何であるかを知ってあんな警告を…。
カプセル開けちゃいけません。
一体何がカプセルの中に…?25年前何があったのかしら…。
これだ…。
やはり25年前私の仮説を裏付ける事件がありました
ああ!この事件なら覚えてるよ。
そうかそういう事か!いやいやいや…これならさ伸次が金属探知機まで買い込んで入れ込むのわかるよ!すごい!さすがだよ美奈やっぱり天才だよ!もう〜すごいな!今回も脱帽だなぁ!有ちゃん感心ばかりしてないで。
私はね推理を封印されてるんですからね。
この後はあなたが刑事として立派に仕上げをしてよ?みんなが見てる絶好のチャンスなんだからね!よーし!
(拍子木)ホントにごめんなさい。
もういいって。
なあ有作?うん!だってアッちゃんのお陰でタイムカプセル無事だったんだもん。
それで事件が解決できるんだろ?うん!ここ。
よし。
さあアッちゃん。
よし。
(大竹)よいしょ。
何だこれ?
(松井)うん?あったぞ!よし。
よーいしょっ!さて俺の…。
あっちょっと…ちょっと待って。
佑子君が入れたものをまず取り出してみてくれないか。
えっ…私?佑子さん言われたとおりに。
中を調べて。
何だよこれ?開けてみろよ。
宝石じゃないか!お前が入れたのか?ああ…。
驚いた。
これだけのダイヤモンドやルビー本物だったら2億円はするわ。
えっ?にっ2億!?有ちゃんどういう事なんだよ?25年前僕らがタイムカプセルを埋めたその前の日佑子の実家のなぎさ荘で強盗殺人犯が逮捕された。
(パトカーのサイレン)その1か月ほど前大阪の宝石店で事件があった。
(警報音)ああー!ああーっ!犯人はガードマンを射殺したうえに2億円相当の宝石を奪って逃げた。
その犯人が佑子んとこの民宿に潜伏していて捕まったのか?うん。
尾崎実というその強盗殺人犯は逮捕された時に奪った宝石を所持していなかったらしい。
へっ?じゃあこれが?佑子宿泊客だったその尾崎って男にタイムカプセルの事を話したろ?話した…と思う。
この箱の事も話したような気がする。
刑事に踏み込まれた尾崎はとっさに佑子の部屋ん中に逃げ込んで逮捕される寸前に奪った宝石をその箱の中に隠したんだ。
へえ〜そういう事だったのか。
さすがだな有作!その尾崎って男は?無期懲役の刑で服役して3か月ほど前に仮出所してる。
って事はそいつが校務員の田中さんや伸次を…。
間違いないね。
田中さんが殺されたのはタイムカプセルを埋めた正確な位置を聞き出そうとして抵抗されたんだろうな。
伸次は金属探知機でカプセルを探して宝石を独り占めにしようとして…。
伸次はどこで宝石の事を?決まってんだろ。
刑務所の中だよ。
先に出所する伸次に尾崎が宝石の話を持ちかけたんだよ。
そういう事だろ?有作。
何でそれ言っちゃうんだよもう…。
一番おいしいとこ言おうと思ってとっといたのにもう…。
美奈さんすごいわあなたの推理!えっ!?わかるわ。
有ちゃんがあんなに頭が切れる訳ないもの。
いや…温子さんそん…。
おい佑子。
もういっぺん2億円の宝石拝ませてくれ。
・
(尾崎)やめろ!おいおい…尾崎実だな!?佑子さん。
田中さんを電話で呼び出したのはあなたね。
おっお前もグルか?あの人が田中さん殺すなんて思わなかったの。
25年前にタイムカプセルに隠した宝石を山分けしようって持ちかけられてお金に目がくらんでしまったの…。
それだけなの!本当にそれだけなの!佑子!ガタガタ言ってないで宝石こっち持って来い。
佑子さん…。
妙な真似すんなよ。
お前は用済みだ。
用済み!?俺の話を真に受けるなんてバカな女だ。
俺は25年の間この宝石だけを頼りに生きてきたんだ。
他人に分けてやる気はさらさらないね。
お前は向こうに行ってろ!ああっ!佑子さんを使って田中さんを呼び出したのはタイムカプセルを埋めた場所を聞き出すためね?ああ。
救いようのない堅物さあの男は。
(尾崎)その正確な場所を教えてくれればあんたにも宝石山分けしてやるよ。
断る!私は悪事に加担する気はない!この話は聞かなかった事にする。
うわっ!ああ…。
うわ…!加島伸次までどうして!?伸次は俺の宝石を独り占めしようとしやがったんだ。
ちょっと待ってくれよ!俺は先に宝石見つけてあんたの手間はぶこうとしただけだって…!うっ…。
ひどい人ね。
みんなが25年後を楽しみにしてたタイムカプセルに盗んだ宝石を隠すなんて…。
そのために2人も殺して…。
人の夢や命を何だと思ってんの!このまま逃げ切れないわよ!ははは…!その女こっちへ来い。
俺が逃げ切るまで人質になれ!有ちゃん!うっ…ああ〜!
(パトカーのサイレン)
(刑事)尾崎!尾崎実殺人容疑で逮捕する。
いやいやご苦労。
有作なかなかやるじゃないか。
へへへっ。
有ちゃんパーフェクト!パーフェクトパーフェクトー!ちびっちゃった…。
えっ?嘘…。
やったやった!やったやった…。
ああっ!ママ美奈!署長賞もらっちゃったー!署長賞!おお…。
おめでとう!やったね有ちゃん!うんうんうん!約束を果たしたわね。
やればできるじゃないの!うん!殿山警部もお喜びでしょう。
ええ。
えっ?うっうん…すごい喜んでるよ〜。
おほほ…。
へへへ…チュッ!ははは…!さっそく額に入れて飾りましょうね。
美奈さん。
はい。
推理の封印解除よ。
はい。
ただしこれからも今度のようにね。
今度のように?あなた有作がね署長賞いただきましたのよ。
褒めてやってくださいな。
ねえねえ…美奈美奈ねえ教えてよ〜?25年前の宝石強奪事件どうして気がついたの?教えたくない。
教えてよ!ホントに教えてほしい?教えてほしい。
有ちゃん隠してたからねぇヘソクリと…。
あ〜つこさんの写真。
見たのかぁ…。
有作のお手柄で事件も解決しました。
亡くなった田中さんも伸次もこれで成仏するでしょう。
みんなの健康と幸せを願って乾杯!
(一同)乾杯!温子さん!有ちゃんからあなたにプレゼントがあるんです。
ねっ!私に?ええ。
さあはい。
おいおい!何だよ?恥ずかしい…。
アイタッ!もうっ…。
ああ…。
あっあの…あのね25年前にねアッちゃんにこのプレゼントと手紙渡そうとしたんだけど勇気がなくて渡せなかった。
で今ね美奈が渡せって言うんだけど僕ね渡すのやめようと思う。
これをね渡せなかったからこそ何か価値があるような気がするしそれにね僕美奈と出会えて幸せなんだ。
だからね渡さないよ。
有ちゃん…。
有ちゃん素敵よ。
美奈さんはもっと素敵。
いつまでも2人で幸せにね。
えへっ!うん。
(拍手)もう〜!「おやじどこへ行く」「腰に籠下げて」本日は琵琶湖グランドホテル京近江をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
私大おかみの中川政子でございます。
若おかみの中川美奈でございます。
日頃のお疲れを癒していただきたく私共従業員一同心を込めてサービスをさせていただきます。
どうぞごゆっくりおくつろぎくださいませ。
(拍手)小百合さんちょっときれいにして!こっちもお願いします!あちらも。
あっちも!若おかみ…!通りますよ通りますよ!ああ〜!急いでね!2014/09/12(金) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
温泉若おかみの殺人推理[再][字]
京都〜琵琶湖、殺人同窓会 卒業記念のタイムカプセルに秘められた動機の謎、謎謎!
詳細情報
◇出演者
東ちづる、中村梅雀、岡田茉莉子、中村久美 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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