(狡噛)遠慮なく借りるぜとっつぁん。
(カウンセラー)色相が危険域にあります犯罪係数はまだ変動値ですがさらに急激に悪化する可能性もある。
(カウンセラー)これ以上色相を濁らせたまま放置すれば最悪の場合…潜在犯認定もあり得ます。
(宜野座)ハハハハ…。
(宜野座)いえね…相棒が昔今と同じ状況になったことを思い出しまして。
その相棒さんはどうなりましたか?相棒ではなくなった。
今は部下なんですよ。
皮肉なものです。
ああなるまいと保身に徹してきたというのにその結果がこれでは…。
まったく…。
(カウンセラー)すぐに集中セラピーをセッティングします。
職場の方にはこちらから…。
(宜野座)待ってください。
今はまだ困る。
宜野座さん…。
(宜野座)先生やり過ごしてみせますよ。
(カウンセラー)こちらとしては結果に責任は持てませんよ?
(宜野座)今の同僚…ことし採用されたばかりの女の子なんですが彼女を見てると希望が湧いてくるんですよ。
心の持ちようでどうにかなるって…。
(狡噛)雑賀先生…。
(雑賀)とにかく入れ。
ん?おいおい…。
銃まで持ってるのか?分かりますか?古くさいリボルバーで合ってる?まるで超能力だ。
いつも言ってるだろう観察力と論理的思考だよ狡噛。
もう全員に連絡がいったと思うが狡噛が逃亡した疑問の余地は一切ない。
(朱)はい。
やつは槙島を追うだろうわれわれも追い掛ける。
逃亡執行官と遭遇した場合は速やかに処分しろ。
槙島は生け捕り狡噛さんは即時処分。
そうだ。
(征陸)狡噛のことを考えるのは今はやめないか?槙島を追い詰めれば自然に再会できるだろう。
(六合塚)槙島はどこにいますかね?
(宜野座)やつの顔は割れているが暴動の余波で監視システムの何割かはまだ調整中だ。
完全復旧まではあと5日。
その間フェイスレコグニションによる捜査は期待できない。
槙島はその間に行方をくらまし高飛びの算段をするのでは?いいえ必ず仕掛けてきます。
あの男は追い詰められて諦めるようなタイプじゃない。
最後の最後までこの世界を試さずにはいられない。
システムに守られたこの社会にむき出しの人間性を突き付けてくる。
そのつもりで狡噛さんにも挑発する電話をかけたんです。
槙島聖護は…。
(志恩)フゥ〜…。
色々あったと思うけど大丈夫?まあ…落ち込んでる場合じゃありませんし。
(志恩)こんなお姉さんでよかったら話し相手になるわよ?アハッ…。
そういえば人に愚痴ってないな。
狡噛さんが…。
潜在犯じゃなくて本物の人殺しになっちゃうなんて絶対に嫌です。
(志恩)何もかも…自分で背負い込むっていうのは駄目よ。
大丈夫ですよ心配なら色相判定してみます?朝自分でチェックしてびっくりしちゃいました。
こんなことになったのにペイルターコイズ。
私どれだけ薄情なんだろう…。
心とサイコパスは別のものよ。
じゃあサイコパスって何なんですか?心って…。
何なんですか?・
(雑賀の鼻歌)
(あくび)ん?寝てないのか?次に槙島が何をするのか。
その行動予測がなかなかうまくいかなくて…。
やはりあの男がもう一度何かしでかすと?あと5日で首都圏のセキュリティーネットワークが完全復旧する。
刑事課の分析官から仕入れた情報です。
槙島にとってそれが最後の花火を上げるタイムリミットになるでしょう。
コーヒーが入れてある。
本物の豆だからめちゃくちゃ濃いぞ。
ありがとうございます。
お前が持ち出してきた資料には目を通したよ。
なるほど苦戦するわけだ。
雑賀先生の印象は?シビュラシステム運営下に政治犯というものが存在するとすればあの男のことだろうな。
テロリストアナキストアジテーター。
民衆に興味のない自殺願望のある革命家。
どのみちろくなもんじゃない。
ところでアナキズムの定義とは?支配と権力の否定です。
ただ混乱と無秩序という意味ではない。
そうだ非人間的な支配システムの否定。
より人間的なシステムの構築。
槙島はアナキストに近いが彼ほど破壊を好むとなると本来の語義からだいぶ離れる。
非人間的な支配システム…。
すなわちシビュラですよね。
マックス・ウェーバーの言葉を借りれば理想的な官僚とは「憤怒も不公平もなくさらに憎しみも激情もなく愛も熱狂もなくひたすら義務に従う人間のことだ」という。
シビュラシステムはそういう意味では理想の官僚制的行政に近いかもしれない。
ただしそれは公表されているシビュラの仕様が全て真実という前提の上での話だ。
槙島は電話で俺に「シビュラの正体を知った」と言っていました。
「お前が命を懸けて守るようなものではない」とも…。
マックス・ウェーバーからもう少し引用しよう。
官僚制的行政は知識によって大衆を支配する。
専門知識と実務知識。
そしてそれを秘密にすることで優越性を高める。
槙島はその優越性を剥ぎ取ろうとしている。
それはうまくいきかけた。
例の暴動でこの社会はかなりの危険ラインまで脅かされた。
そして厚生省から槙島に対して何らかの提案があった。
だがその提案を拒絶した。
うん…一度録画か録音付きでその槙島という男と話してみたいもんだ。
研究の一環ですか?そういう段階じゃないな。
純粋に捜査協力のためにだよ。
もしこの席に槙島もいたらどんなふうに参加してくると思う?あいつは…。
マックス・ウェーバーを持ち出された次の瞬間にはフーコーやジェレミー・ベンサムの言葉を引用して返すでしょう。
(槙島)《システムというよりは巨大な監獄では?》
(槙島)《パノプティコン…》《一望監視施設の最悪の発展形》《最少の人数で最大の囚人をコントロールする》もしかしたら『ガリヴァー旅行記』あたりも引用するかもしれない。
あの男はシニカルでゆがんだユーモアの持ち主です。
なるほど進み過ぎた科学と政治への風刺として…。
そういう男です。
踏み込んだ質問をさせてもらう。
君は槙島と自分が似ていると思うか?理解できる点はあります。
槙島の過去は何も分かっていません。
ただ一つ確実なのはやつの人生には重大な転換点があった。
自分が特異体質だと気付いた瞬間です。
自分のサイコパスを自在にコントロールできる体質。
それを「特権」だと思う人間もいるでしょう。
でも槙島は違った。
やつが覚えたのはおそらく疎外感です。
この社会でシビュラシステムの目に映らないということはある意味人間としてカウントされないのと同じでは…。
仲間に入れてもらえなかった子供。
なるほど…案外そんな気分が槙島の原点なのかもしれないね。
とはいえ全ては推測です。
本当のところは本人に聞いてみるまで分からない。
君は聞くつもりはない?はい。
片付けが終わったら書斎に来なさい。
面白いものを見せよう。
以上のように狡噛慎也の性格と思考を理解し行動パターンを予測するに当たって最も適任なのはわれわれ刑事課一係です。
(禾生)ふ〜ん…。
あっそう…。
(征陸)でどうだった?
(宜野座)われわれの任務に変更はない。
狡噛と槙島聖護の追跡は引き続きわれわれ一係が担当する。
無茶だ…。
(征陸)お嬢ちゃんもそれにお前ももうこれ以上あの2人に関わり合うべきじゃない。
一係でなきゃ駄目なんだ!俺たちなら狡噛を撃つ前に投降を呼び掛けることだって…。
(征陸)なあ伸元。
いつからそんなに甘くなった?たとえコウが投降したとしてもあいつは施設に送り込まれて殺処分だろう。
狡噛慎也を追う以上俺たちはあいつと命のやりとりをするしかない。
だったらいっそ三係に任せて…。
人ごとで済ませって言うのか!どうせあんたも察した上で放っておいたんだろう!狡噛が出ていくのを止めもせず指をくわえて見送ったんだろうが!あいつに槙島を殺させるために!
(宜野座)れっきとした背任行為いや犯罪行為だぞ。
口先でどう言い繕おうとドミネーターだけはごまかせない。
今この場で犯罪係数を測ってやろうか?くそっ…。
(宜野座)くそっ!どいつもこいつも俺を置き去りにして勝手に向こう側に行きやがって…。
あんたも狡噛もそんなに正義の味方になりたいのか!
(征陸)正義じゃない。
執念だ。
他にもっと賢い生き方があると分かっていてもそこに背を向けたら自分の積み上げてきた全てが嘘になる。
そういう瞬間があるんだよ。
それが貴様ら執行官の意地だと?執行官だからじゃない。
こいつは男の意地ってやつだ。
(宜野座)だったら俺には俺の意地がある。
狡噛のバカは必ずこの手で止める。
誰が何と言おうとだ!
(禾生)あれはもう駄目だな。
ただ今の状況下で即座に手駒にできる人材が…。
ん?何だと?それは皆の総括による結論なのか?うん…だが…。
いや今この容量では理解しきれない。
いったんそちらに戻ってコンセンサスを取りたい。
これは何なんですか?古いタイプの匿名掲示板だよ。
海外のサーバーを幾つも経由して運営されている。
海外のサーバー?あるところにはあるんだよ。
だからシビュラシステムにも目を付けられていない。
ここを使ってるのは元大学教授やジャーナリスト評論家文学者。
シビュラシステムによって用済みになったとされた人々。
今でもこう鬱憤がたまると書き込むわけさ。
シビュラなんてろくなもんじゃない。
ここがこんなに問題だってね。
不毛かもしれないがこんな場所がないよりはいいだろう。
さっき食事の前に1つスレッドを立てておいた。
これは…。
みんな面白い遊びだと思って乗ってきてくれてね。
どうにもバカげた冗談ばかりに見えますが…。
ならお前が一番面白いと思ったジョークを探せ。
お前と槙島は似た者同士だ。
そのインスピレーションを信じてみるといい。
ん?どうした?気になる文章が…。
食料不足でシビュラシステムが崩壊…。
ハイパーオーツ…。
(男性)「今この国の食卓に並ぶのは99%がハイパーオーツを原料とする加工食品です」「究極の収穫効率を誇る遺伝子組み換え麦ただ一品目に依存しています」
(男性)「多様性を失った大量の『単一種』か」「なるほど一つ致命的な欠陥が見つかれば一気に全滅する可能性もある」ふむ…。
これが槙島の次の狙いかも…。
食料の自給か…。
はい。
この手があったかと…。
農作物生産体制遺伝子組み換え。
その辺りの資料はありませんか?任せろ。
人口の激減とシビュラシステムの完成により人口の都市部への一極集中は歯止めが利かなくなった。
だが人は動けても土地は動かせない。
農地における第1次産業はもはや完全自動化を余儀なくされた。
ドローンによる作業の機械化。
遺伝子改良されたハイパーオーツと善玉ウイルスによる疫病対策。
こうして完全無人化農耕システムが完成したことによりこの国から農業という職種は消えうせた。
今では北陸全域が人口ゼロの巨大穀倉生産基地。
もし仮に農作物の健康管理にトラブルが生じたら単一品種のハイパーオーツは疫病によって壊滅的な被害を被る。
自給体制が崩壊すれば日本は再び食料を輸入しなければなりません。
他国に対するコミュニケーションを拒絶していたそれを急激にあらためなければならない。
食料不足によって日本国民全体の犯罪係数が上昇。
食料輸入を解禁すれば国境警備はどうしても緩めざるを得ない。
難民の流入も始まるでしょう。
そうなれば犯罪係数の測定そのものが無意味になるかも…。
それを実現するためには…。
専門家の力が必要です。
今槙島は…。
槙島聖護を殺そうとするお前の計画に俺は意図的に加担した。
その自覚がある以上次に抜き打ち検診を食らったらそれが年貢の納め時だな。
本当にご迷惑をお掛けしました。
気にするな社会に参加せずに引きこもっていた罰が当たっただけさ。
先生…。
お前に手を貸したことで俺は俺の役目を果たせたと思ってる。
だが…。
それでも結局汚れ仕事は狡噛…お前一人に押し付けてしまうことになるんだな。
それこそ気にしないでください。
なぜだか俺以外の誰かがあいつを殺すってのが想像もつかないんですよ。
狡噛さん…。
あ〜あ…。
・
(ドアの開閉音)
(ドミネーター)「常守朱監視官」「今から…」「あなたに全ての真実を告げましょう」調べ物ですか?えっと過去の裁判制度について色々。
ああ。
槙島を捕まえた後でどう裁くかとか。
少しでも具体的なアイデアがあれば。
それにしても過去のことを調べるのがこんなに難しいなんて。
誰も興味を持たない事柄ですから。
まともなデータベースを整備しようなんて思いませんよ。
あっ。
だから狡噛さんは紙の本ばっかり。
オンラインはシステムにとっても管理しやすい。
調べること自体がよくないってこと?推奨されていないのは事実でしょう。
そうかな。
征陸さんが子供のころは歴史は必修に近い学問だったそうですよ。
歴史が?過去の人間が何を思い何を目指して社会を組み立て運営してきたか。
その理念や過ちの繰り返しを流れとして捉えれば将来的にどのような世界が訪れるべきなのか。
その理想の形を思い浮かべることができるでしょう。
(六合塚)でも今この国には完成された社会制度の最終形態という触れ込みでシビュラシステムが君臨している。
さらにもっと正しい社会を思い描くなんて妄言でしかない。
(朱)確かにそういう考え方してたらサイコパスが曇りそう。
(六合塚)そう。
曇りますよ。
そういう仕組みですから。
それに歴史を深く調べると今のデータベースが穴だらけって見破られちゃうでしょうから。
えっ?手に入れやすい記録は全て現状の社会の成立が必然だったと保証するものばかりです。
他の制度や思想が成り立っていたかもしれない可能性を示唆するものは全てなかったことにされている。
《かつては私もシステムは絶対的なものだと考えていた》《この扉をくぐるまではそう信じていた》
(ドミネーター)「どうぞ奥へ足場に気を付けて」
(朱)いったいどこへ連れていくの?
(ドミネーター)「今からあなたが目にするのはこの世界の頭脳であり心臓部でもある場所です」世界の中心?
(槙島)これほど驚異的な技術によって日々の食卓が賄われているというのにそのことを認識している市民は少な過ぎますね。
(管巻)まったく昨今はどんな科学の恩恵もさも当然のことであるかのように享受する連中ばかりでね。
君のように関心を向けてくれる若者は本当に珍しいんだよ。
(槙島)嘆かわしいことです。
現代の日本の食料事情を成立させた立役者をこんなふうに引退させたまま放置して1人にしておくなんて。
僕が注目しているのはねウカノミタマ防御ウイルスの保安体制のずさんさですよ。
ん?いくら善玉ウイルスとはいえシーケンサーへの入力しだいで攻撃対象を任意に変更できるなら害虫ではなく麦そのものを殺すよう調整することも可能だ。
ウカノミタマは収穫をもたらす豊穣の神から死を運ぶ悪魔へと早変わりする。
き…君は…。
おまけにウイルスの調整と配給を行う管理センターには閉鎖された旧大学の研究所をそのまま転用しているという。
まだサイマティックスキャンによるセキュリティーが実用化される前の施設だ。
保安体制は暗証番号か生体認証が関の山。
これならかつての責任者であるあなたの手を借りて簡単に突破できますよね管巻教授。
(朱)あっ…。
(ドミネーター)「以上がシビュラシステムすなわちわれわれについての真相です」縢君は…ここで死んだの?あなたたちが殺したの?
(ドミネーター)「縢秀星が生涯を通じて社会に果たす貢献とシビュラシステムの機密漏えいの危険を比較検討し後者の方がより重大であると判断しました」ふざけないでよ!何が重大だってのよ!槙島を裁けなかった役立たずのくせに!
(ドミネーター)「そのとおりシビュラシステムがサイコパスを解析できない免罪体質者の発生は確率的に不可避です」「いかに緻密で堅牢なシステムを構築しようと必ずそれを逸脱するイレギュラーは一定数で出現します」完璧なシステムが聞いてあきれるわ。
こんなものが人の生き死にを決めてるなんて…。
(ドミネーター)「ただシステムを改善し複雑化するだけでは永遠に完璧さは望めない」「ならば機能ではなく運用のしかたによって矛盾を解消するしかない」「管理しきれないイレギュラーの出現を許容し共存できる手段を講じることでシステムは事実上の完璧さを獲得します」どういうことよ?
(ドミネーター)「システムを逸脱した者にはシステムの運営を委ねればいい」「これが最も合理的結論です」「われわれはかつて個別の人格と肉体を備えていたころはいずれもシビュラシステムの管理を逸脱した免罪体質者でした」「中には槙島聖護よりはるかに残忍な行為を行った個体も多数含まれています」じゃあシビュラって…。
悪人の脳をかき集めた怪物がこの世界を仕切ってたっていうの?
(ドミネーター)「まず初めに善と悪といった相対的な価値観を排斥することで絶対的なシステムが確立されるのです」「必要なのは完璧にして無謬のシステムそのもの」「それを誰がどのように運営するかは問題ではありません」バカ言わないで!!
(ドミネーター)「真に完成されたシステムであれば運用者の意志は問われません」「われわれシビュラの意志そのものがシステムであり倫理を超越した普遍的価値基準なのです」ふざけないでよ!何様のつもりよ!
(ドミネーター)「ここにいるおのおのがかつては人格に多くの問題を抱えていたのは事実です」「だが全員の精神が統合され調和することによって普遍的価値基準を獲得するに至っています」「むしろ構成因子となる個体の指向性は偏った特異なものほどわれわれの認識に新たな着想と価値観をもたらし思考をより柔軟で多角的なものへと発展させます」「その点において槙島聖護の特異性は極めて貴重なケースでありひときわ有用な構成員として期待されます」「あらゆる矛盾と不公平の解消された合理的社会の実現」「それこそが全ての人類の理性が求める究極の幸福です」「完全無欠のシステムとして完成することによりシビュラはその理想を体現する存在となりました」なぜ…そんな話を私に?
(ドミネーター)「今あなたはわれわれを生理的に嫌悪し感情的に憎悪している」「それでもシビュラシステムの有意性と必要性は否定できていない」「シビュラなくしては現在の社会秩序が成立しないという事実をまず大前提としてわきまえている」「正当性よりも必要性に重きを置くあなたの価値基準をわれわれは高く評価しています」秘密を守るために縢君まで殺したくせに…。
(ドミネーター)「常守朱はシビュラシステムと共通の目的意識を備えている」「故にあなたがわれわれの秘密を暴露してシステムを危険にさらす可能性は限りなく低いものと判定しました」なめるんじゃないわよあんたなんか…あんたなんか…!
(ドミネーター)「再確認しましょう」「常守朱…あなたはシビュラシステムのない世界を望みますか?」くっ…!
(ドミネーター)「そううなずこうとしてちゅうちょしてしまう」「あなたが思い描く理想は現時点で達成されている社会秩序を否定できるほど明瞭で確固たるものではない」「あなたは現在の平和な社会を市民の幸福と秩序による安息を何より重要なものとして認識している」「故にその礎となっているシビュラシステムをいかに憎悪し否定しようとも拒絶することはできない」知ったような口を利かないで!
(ドミネーター)「サイマティックスキャンによる反応を解析すればあなたの思考は全て明確に把握できます」「虚勢を捨て腹を割って話し合いましょう」「この会見の目的はあなたとの協力関係を構築することです」協力?
(ドミネーター)「刑事課一係は目下のところ危機的状況にあります」「狡噛慎也の暴走と宜野座伸元の消耗によりチームは機能不全の兆しを見せ始めている」「新たな統率者が捜査の主導権を握らないかぎり槙島聖護の追跡は成果を望めません」宜野座さんが…消耗?
(ドミネーター)「常守朱」「あなたもまた余計な葛藤にとらわれて本来発揮し得る潜在能力を発揮できていなかった」「状況に対する理解の不足があなたの判断力を鈍らせていたのです」「そこでわれわれは特例的な措置としてシビュラシステムの真実をあなたに開示しました」「真相を教えることがあなたという人物にモチベーションを与える上で最善な方法と判断したからです」「常守朱…あなたも槙島聖護に対する狡噛慎也の私的制裁を否定している」「あなたもわれわれも感情論による無益な犠牲を避けようとしている点で価値観は共通しています」私は槙島の罪が正しく裁かれるべきだと思っているだけ。
あなたたちだって法を犯した前科があるならそれに見合った償いをするべきなのよ。
(ドミネーター)「社会に対するわれわれの貢献は過去の被害に対する補償としてじゅうぶんに過ぎるものです」都合がいいのね。
(ゆき)《あと3分で私の未来も確定か…》《ハァ…憂鬱》
(佳織)《ゆきってばそこまで最終考査のスコアヤバかったわけ?》
(ゆき)《もう最悪よ》《どんな仕事に就く羽目になるやら…》
(佳織)《シビュラ診断のない時代だったら幸せになれるかどうか運任せだった》《昔に比べたらさよほどいいじゃん》
(ゆき)《佳織は複数適性もらえそうだからいいよね》《就職先より取り見取りじゃん》《私だって朱ほどじゃないわよこの子の最終考査見た?》《ポイント700よ》《信じらんない》《あっ…》《昔から試験のときだけはラッキーなんだよ私》
(佳織)《朱のスコアとサイコパスなら…》
(ゆき)《本当人生ばら色よね》《そ…そんなかな?》
(メッセージ着信音)《あっ来た!》《うわっC判定…》《分かっちゃいたけどショックだわ》《私なんか事務職ばっか》《ここからレベルアップしてくの厳しいな》《ねぇねぇ朱はどんなだった?》《見せて見せて!》《うわっすご!?中央省庁全部に適性出てんじゃん!》《ちょっとあんたこのスコア本当にすごいよ》《公安局の適性まで出てる》《で…でもさこんなに何から何まで薦められても…》《じゃあ結局どれがいいのか…》《私どうやって決めたらいいんだろう?》
(縢)《分っかんねえよ》
(縢)《俺なんかに分かるわけねえじゃん》《あんたは何にでもなれた》《どんな人生を選ぶことだってできた》《それで悩みさえしたんだろ?すげえよな!》《まるでシビュラができる前のジジババみてえだ》うんすごいよね…。
誰もが自分の人生を手探りで選んでた。
それが当たり前の世界があったなんてね。
《今じゃシビュラシステムがそいつの才能を読み取って一番幸せになれる生き方を教えてくれるってのに》《本当の人生?》《生まれてきた意味?》《そんなもんで悩むやつがいるなんて考えもしなかったよ!》そうだね重たくてつらい悩みだよ。
でもね今では思うんだ。
それを悩むことができるって本当はとても幸せなことじゃないかって。
・
(足音)《僕はね人は自らの意志に基づいて行動したときのみ価値を持つと思っている》《だから様々な人間に秘めたる意志を問いただしその行いを観察してきた》そうねあなたの気持ち今なら少しだけ分かるかも。
《そもそも何を持って犯罪と定義するんだ?》《君が手にしたその銃》《ドミネーターをつかさどるシビュラシステムが決めるのか?》違うよね…それがそもそもの間違いだった。
《サイマティックスキャンで読み取った生体力場を解析し人の心の在り方を解き明かす》《科学の英知はついに魂の秘密を暴くに至りこの社会は激変した》《だがその判定には人の意志が介在しない》《君たちはいったい何を基準に善と悪をより分けているんだろうね?》きっと大切だったのは善か悪かの結論じゃない。
それを自分で抱えて悩んで引き受けることだったんだと思う。
《僕は人の魂の輝きが見たい》《それが本当に尊いものだと確かめたい》《だが己の意志を問うこともせずただシビュラの神託のままに生きる人間たちに果たして価値はあるんだろうか?》ないわけないでしょう!あなたが価値を決めるっていうの?誰かの家族を友達を…あなたの知らなかった幸せを!!《面白くって楽ちんでつらいことなんて何もなかった》《全部誰かに任せっ放しで何が大切なことなのかなんて考えもしなかった》《ねえ朱》《それでも私は幸せだったと思う?》幸せになれたよ…。
それを探すことはいつだってできた。
生きてさえいれば誰だって…。
はい常守です。
(宜野座)いったいどこをほっつき歩いていた?この非常時に…。
あっえっと…。
局長の命令でちょっと厚生省まで届け物を…。
(宜野座)市川で殺人事件だ。
現場から狡噛の指紋が出た。
すぐに来い。
了解です直ちに急行します。
シビュラシステム聞こえてるんでしょ?あなたたちの言いなりになる上で一つ条件があるわ。
(ドミネーター)「伺いましょう」槙島聖護を生きたまま捕らえて連れてきたら代わりに狡噛慎也の命も保証して。
彼の処刑指令を取り下げて。
(ドミネーター)「それは理論的に等価性の成立しない提案です」あなたたちの理論なんてどうでもいいわ。
狡噛さんが助からないなら私は槙島も見殺しにする。
いざとなればこの手で殺してやる。
どう?言いなりにならない私のことも始末する?いいわよ縢君みたいに殺しなさいよ。
そうして他に利用できそうな手駒を探すのね。
(ドミネーター)「了解しました」「槙島聖護が無事確保された場合に限り狡噛慎也には特例措置を講じましょう」約束よ。
(征陸)よっ!
(宜野座)遅いぞ!すみません!状況は?
(征陸)近隣住民から例のヘルメットの目撃情報が届いたんでな。
いざ聞き込みに回ってみたらこの家だけセキュリティーがつぶされてた。
で踏み込んだらこのありさまさ。
(六合塚)被害者は管巻宣昭。
元は農林省管轄の研究所に勤務してましたがかなり以前に引退して今は何の変哲もない年金受給者です。
(宜野座)家捜しした痕跡の中に狡噛の指紋があった。
しかし何でまた…。
この首の傷…。
槙島聖護の仕業かも…。
この老人が槙島の次の計画に関与していてそれを突き止めた狡噛さんが駆け付けたものの一歩遅かった。
(宜野座)やはり狡噛が先を行っているってことか…。
(征陸)それにしてもこのじいさんがいったいどうして槙島に殺されたのか…。
(征陸)ここまで徹底して荒らされた後じゃな。
狡噛さんが今一番望まない展開は何でしょう?
(六合塚)槙島を取り逃がすことですよね。
じゃあ二番目に望まない展開は?槙島を仕留める前に俺たちに見つかること…か。
そうですねその順序で考えましょう。
もし先にこの現場にたどりついた狡噛さんが死体をどこか見つかりにくい場所に隠していたら…。
管巻宣昭は行方不明のまま。
私たちは見当違いの捜索を続けさらに差をつけられていた。
時間稼ぎにはそれが一番だったはず…。
(狡噛)《…はずなんだ》《でもそうしなかった》狡噛さんは自信過剰なタイプじゃない。
万が一自分が失敗したときに他の誰かが槙島を止められるよう手掛かりだけは残していったと思います。
問題はその手掛かりにいつ気付くか…。
試されてるんです私たち。
槙島を追うために狡噛さんと同じかそれ以上の執念を持っているかどうか…。
その覚悟がない人間はここで足止めされ出遅れる。
喉と両目の傷を集中スキャン。
何かない?
(ドローン)被害者の気道内部に金属反応を探知。
手袋を!おっ…おい検視に任せろ。
それが狡噛さんの時間稼ぎです。
追い付こうと思ったら今この場で…。
洗浄!音声データですね。
「元執行官の狡噛だ」「このメッセージはもうしばらくしたらやって来るであろう公安局の刑事に向けて残す」
(宜野座)あいつ…!「被害者は元農学博士管巻宣昭」「ハイパーオーツの疫病対策であるウカノミタマ・ウイルスの開発責任者」「日本の完全食料自給に関わる最大の功労者だとされていた」「槙島聖護は北陸の穀倉地帯を壊滅させるための何らかのアイデアを管巻教授から引き出しそして殺した」「死体は眼球をえぐられ指は全て第二関節で切断」「何らかのセキュリティーを突破するのに必要なのかもしれない」「防犯設備がサイマティックスキャンではなくまだ旧式の生体認証に頼っていたころの古い施設」「おそらくは管巻の研究チームが使っていた出雲大学のラボが怪しい」「現在はウカノミタマ・ウイルスの管理センターに転用されている」「そこが槙島の標的と予想される」
(宜野座)穀倉地帯の壊滅…。
単独でバイオテロだと!?急ぎましょう!今ならまだきっと間に合います。
さて始めようか…。
2014/09/12(金) 01:58〜02:58
関西テレビ1
PSYCHO−PASS サイコパス新編集版[字]
【#10】
公安局から逃亡し一人槙島を追う狡噛は、足取りをつかむべく雑賀のもとを訪れる。一方、朱はドミネーターに導かれ、シビュラシステムの真実を知る−。
詳細情報
番組内容
あらゆる感情、欲望、社会病質的心理傾向はすべて記録され、管理され、大衆は「良き人生」の指標として、その数値的な実現に躍起になっていた。人間の心の在り方、その個人の魂そのものを判定する基準として取り扱われるようになるこの計測値を人々は「PSYCHO−PASS(サイコパス)」の俗称で呼び慣わした。
犯罪に関する数値も“犯罪係数”として計測され、犯罪者はその数値によって裁かれる。
番組内容2
治安維持にあたる刑事たちは常に、犯人を捕まえる実働部隊となる“執行官”と、執行官を監視・指揮する“監視官”のチームで活動する。自らが高い犯罪係数を持ち、犯罪の根源に迫ることのできる捜査官こそが優秀な“執行官”となりうる。それゆえに、犯罪者になりかねない危険もはらむ“執行官”は、その捜査活動を冷静な判断力を備えたエリートである“監視官”に監視されている。
番組内容3
公安局刑事課一課のメンバーはそれぞれの思いを胸に、正義のありかを常に突きつけられながら任務を遂行していかなければならない。
彼らが立ち向かうものの先にあるのは—。
出演者
狡噛慎也: 関智一
常守朱: 花澤香菜
宜野座伸元: 野島健児
征陸智己: 有本欽隆
縢秀星: 石田彰
六合塚弥生: 伊藤静
唐之杜志恩: 沢城みゆき
槙島聖護: 櫻井孝宏
ほか
スタッフ
【総監督】
本広克行
【監督】
塩谷直義
【ストーリー原案】
虚淵玄(ニトロプラス)
【脚本】
虚淵玄(ニトロプラス)
深見真
高羽彩
【キャラクター原案】
天野明
【キャラクターデザイン】
浅野恭司
【色彩設計】
上野詠美子
【美術監督】
衛藤功二
【3D監督】
佐藤敦
【撮影監督】
荒井栄児
【編集】
村上義典
【音楽】
菅野祐悟
スタッフ2
【音響監督】
岩浪美和
【アニメーション制作】
Production I.G
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
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