長寿の秘訣は「おいしいものを食べてゆっくりと暮らす」ことだということです。
(貴子)はじめまして。
弁護士の間宮貴子です。
(山岡)こちらモーガン・アンド・ロイド社の法務室長の古川さん。
(古川)はじめまして。
はじめまして。
山岡先生と新郎の大杉先生には今回のMアンドAの件で大変お世話になりました。
いやお役に立ててよかったです。
実はわたしもファイナンスに関しては専門分野でして数多くの案件を扱ってきました。
(古川)ウチは証券化のスキームを使った資金調達を考えているんですよ。
ねっ?確かに大田原総合法律事務所は証券化の分野で日本を代表する事務所です。
しかし詳しいお話を伺えれば私が御社の資金調達に最適なスキームを作成しますが?
(古川)その件に関しては大田原さんのほうにもうお任せしているんで…。
はいあと2週間で出来上がります。
わたしなら5日で十分です。
一度目を通していただけませんか?
(古川)いやしかし大田原さんとウチの会社は…。
スキームの内容でご判断いただければと思いますが。
(古川)では一度ご連絡をお待ちしてます。
よろしくお願いいたします。
押しが強いのもいいけどたった5日間でしかも一人でじゃいくら間宮貴子でも無理だろ。
やってみせるわ。
わずかでも可能性があるんならわたしはあきらめない。
フッ。
フフッ。
よし!
(司会者)ただいまより新婦によりますブーケトスが行われます。
独身女性の皆さま。
前のほうに…。
行ってこいよ。
やめてよ冗談。
(山岡)あの中だったら目立つぞ。
どういう意味?背…背が高いからさ確実にキャッチできるって。
ブーケトスってさ幸せのおすそ分けってことでしょ?嫌いなのよね偽善ぽくて。
でも昔はよくキャッチしてたよな。
アッハハ。
その結果です。
ちょっと失礼。
・
(足音)
(美佐子)ねえ貴子じゃない?美佐子!?うわ!久しぶり!大杉君と同じゼミだったから貴子来てるかなと思って。
ねえそういえば独立したんでしょ?すごいわね。
そんな大したことないわよ。
雑誌にも載ってたって誰かが言ってた。
相変わらず頑張ってるのね。
美佐子こそ仕事はどう?えっ…とっくに辞めたわよ。
いつ!?子供が生まれて。
今専業主婦よ。
子供!?そう。
今日はね旦那が見てくれてるから久しぶりの外出なの。
子供ね。
そうだ!ねえ貴子。
今度ウチの娘見に来てよ。
そうね今度。
いつ?えっ?あしたの夜ウチに来ない?手料理ごちそうするわ。
(香織)1万円!?チーズケーキワンホールでですか!?わたしの友達の店にもっと安くておいしいチーズケーキありますよ。
いいの。
大事なのは値段なの。
カルム・ドゥ・ポエートの1万円のチーズケーキ予約してちょうだい。
でも1万円はちょっと高すぎるんじゃないですか?
(紀三郎)しかし珍しいですな。
そんなに高いのは。
わたしもチーズケーキ大好物だから楽しみだ。
ハハハ。
(大介)やっぱ太っ腹だな先生。
ゴチになります。
誰があなたたちのためのチーズケーキだって言った?ちっ違うんですか?
(柳田)はいやっぱりね。
(香織)大学時代の友達にお土産で持ってくんだって。
何だ。
あぁそうでしたか。
失礼しました。
わたしたちの給料だって毎月払えるかどうかの瀬戸際なのに1万のケーキなんて高すぎです!大丈夫!5日後にはこの事務所の状況変えてみせる。
これコピー。
(大介)えっえっ?もしかして大きな仕事つかんだんですか?そうよ。
モーガン・アンド・ロイド社の資金調達のスキームを作成して大田原のところとコンペをしてもらうことになったの。
念願の渉外弁護士の仕事じゃないですか!わたしのスキームを見てもらえば絶対に勝てる。
コピー早く。
ああはいはい。
でも大田原とモーガン・アンド・ロイド社のつながり考えるとちょっと難しいんじゃないですか?やっぱり。
やってみなきゃ分からないでしょ。
集中したいからわたしに来た依頼全部断ってね。
わたしも手伝わさせていただきますから。
ありがとう!お願いします!でもそんなに忙しいならお友達のとこなんか行ってる場合じゃないんじゃないですか?「娘の顔見に遊びに来て」って言われたの。
先延ばしにしたら子のない独身女がねたんでためらってるって思われるでしょうが。
すごい被害妄想。
幸せを見せびらかす人には独身でも優雅に稼いで暮らしてるってことを見せないと。
だからカルム・ドゥ・ポエートの1万円のチーズケーキが必要なの。
分かりました。
女の見えか。
怖〜っ。
よかったらその友達のお店の安いほうのチーズケーキ買ってきてくれませんかね?いや僕が皆さんにごちそうしますから。
ホントですか!
(紀三郎)はい。
(大介)先生絶対友達いないですよね?なっ。
(香織)リカ。
(リカ)香織。
どうしたの?
(香織)事務所の人にチーズケーキ頼まれちゃって。
チーズケーキ…。
(香織)うん。
あっごめん。
(香織)うん?もう売り切れ?相変わらず人気だね。
そうじゃなくて最近出してないの。
どうして?うん…。
お父さん入院しちゃって。
入院!?実はねガンなの。
嘘でしょ。
全身に転移しててもってあとひとつきって。
(リカ)5歳のときにお母さんと今のお父さんが再婚したでしょ。
すぐにお母さんが事故で亡くなって血のつながらないお父さんと二人っきり。
お父さんもいつか別の人と再婚してわたし独りぼっちになるんじゃないかってすごく怖かったんだ。
でもお父さんはいつもそばにいてくれた。
さみしい思いなんて一度もしなかった。
なのに結局独りぼっちになっちゃうのかな。
リカ。
実はねお父さんには言ってないのガンだって。
おじさん知らないの?本当のことなんて言えないよ。
だからお父さんにガンだってバレないようにしてね。
うん。
絶対よ。
分かった。
(耕一)また来る。
(千枝子)じゃあね。
・
(リカ)お父さん。
(栄介)おおリカ。
おじさん。
こんにちは。
(栄介)あっはあ香織ちゃん。
悪いね来てくれたんだ。
それより入院費もかかるんだし早く退院してチーズケーキ作ってね。
何だまだうまく作れないのか。
お父さんが書いたレシピどおりに作ればいいんだよ。
分かってるけどなかなかうまくいかないの。
それより今来てたの誰?
(栄介)ああちょっとした知り合いだよ。
(リカ)うん。
あっそうだ。
今月号の『CAFESWEETS』買ってきてくれないか?新しいケーキを考えるのに参考にしたいんだ。
うんいいよ。
じゃあ行ってくるね。
香織。
よろしくね。
香織ちゃん。
座んなよ。
あっすいません。
実は頼みがあるんだ。
頼み?リカにはないしょなんだが弁護士さんを紹介してもらえないかな?どうして?遺言書を書きたいんだ。
何言ってんのおじさん。
大げさだよ。
ヤダなあもう。
(栄介)わたしの母は10年前ガンで亡くなってね。
付きっきりで看病してたからどれぐらいの進行具合か分かるんだ。
わたしはもう長くはない。
おじさん。
(栄介)実はさっき出ていったのはわたしの兄と妹でね。
遺言書を書きたいのはリカを守るためなんだ。
えっ?
(貴子)はい分かりました。
TMKを使ったスキームですね。
何とか6末までにはクロージングできるスキームを考えたいと思います。
分かりました。
よろしくお願いいたします。
はい失礼いたします。
(紀三郎)信託契約のドラフトを作成しておきましたので目を通しといてください。
ありがとうございます。
あれ?それからフォード証券からファクス来てるんだけどな。
吉田さん遅い。
何やってんだ?
(紀三郎)あっ帰ってきましたよ。
あっ遅いわよ!すいません。
うん?チーズケーキってもんは?
(香織)いや忘れた!はっ!?忘れた!?すいませんすぐ取ってきます!もういいわよ自分で行くから!すいません。
紀三郎さんもごめんなさい。
あっいやいいんです。
さっさと仕事に戻って。
忙しいんだから。
あの先生。
はい?遺言書を作りたいんですけど。
遺言書?親友のお父さんが末期ガンで娘に家と店を残すために遺言書を書きたいって頼まれたんです。
その友達の母親は?お母さんは彼女が5歳のときに事故で亡くなってます。
おじさんには兄妹がいてその兄妹がおじさんの財産を狙ってるんじゃないかって心配してるんです。
つまり父親と娘の二人家族ってことね?
(香織)はい。
それなら法定相続で全部財産は娘に行くのよ。
心配しなくても父親の兄妹に行くことはない。
従って遺言書なんてわざわざ書く必要はない。
あの法定相続って?先生。
ちょっと待って。
相続の方法が民法で定められてんだよ。
でもおじさんを安心させてあげたいんです。
お願いします。
うん?いやだから遺言書なんて必要ないって言ってるでしょ。
その親友に教えてあげて。
彼女はこのことを知りません。
おじさんにはガンだってこと隠してるんです。
でもおじさんは知っちゃっていて彼女のためにないしょで遺言書を書きたいって言ってるんです。
親友ならお父さんがガンだって知ってること話してあげたら?それはできません。
おじさんだまされた振りをしてあげるのが父親としての最後の愛情だって。
あのね資金調達のスキーム提出まで時間がないの。
それにこれがうまくいったときの報酬金と遺言書作成の報酬金どっちが高いか分かるわよね?これはあなたがいつも気にしてることでしょ?
(柳田)間宮先生。
フォード証券の清水さんからお電話入ってます。
いい?
(香織)でも…。
もしもしお電話代わりました。
間宮です。
あっファクス届きました。
ありがとうございました。
えーとですねちょっと不明瞭な所があるんですけれどもお聞きしてよろしいでしょうか?はい…はい。
えーっと6枚目ですね。
(紀三郎)よかったら公証人が立ち会わない場合の遺言書の書き方教えましょうか?ホントですか!?
(紀三郎)簡単なフォーマットを作ってあげますからそれ持ってったらどうです?ありがとうございます。
いやいやいやいや。
よし。
(貴子)どれもすごい手が込んでるわね。
ねえいつの間にこんなにうまくなったの?やっぱり好きな人のためならお料理学校とか通っちゃうのよね。
食べてくれる人がいると俄然やる気が出ちゃって。
食べてくれる人がいればね。
・
(美雨)ママ。
(美佐子)うん?はいはい。
どうしたの?どうしたの?フフッ。
でもわたし自分でも子供産むなんて想像つかなかったわ。
ホント。
美佐子はいいお母さんになっちゃって。
まあ年も年だし今となってはもっと若いうちに産んでおけばよかったかなと思うけどね。
そうよね。
わたしも早く産まなきゃ。
で貴子は?うん?結婚。
結婚!?あっわたしほら独立したばっかりで忙しくてそれどころじゃないのよ。
(美佐子)そうよね。
でもあんまり待たせると彼もかわいそうよ。
そうね。
前はわたしも貴子みたいに女忘れて働いてたじゃない?だけど子供ができたら家族のほうがすっかり居心地がよくなっちゃって。
自分でも意外だったな。
でも子育てが落ち着いたらまた仕事するんでしょ?ううん。
仕事に未練はないわ。
結構家事も大変なんだから。
そう。
(美佐子)でもまあ貴子みたいに恋人より仕事優先して渉外弁護士として輝いてるのに比べたらわたしなんか平凡な人生よ。
フッ。
でも美佐子みたいに能力のある人がもったいないわね。
・
(割れる音)・
(美雨)うーっ!ママ!
(美佐子)大変!ここ引っ張ったらダメって言ったでしょ!危ないからこっちおいで!
(美雨の泣き声)
(美佐子)ああもう。
大丈夫?
(美佐子)もういつもこんな感じよ。
今度は何!?もう美雨!
(美雨の泣き声)わたしそろそろ帰るね美佐子。
ヤダ。
もう少しいてよ。
いやでもほら…。
(美佐子)わたし貴子が来るの楽しみにしてたのよ。
お料理学校とか美雨の英才教室でママのお友達は出来るんだけどたまには働いてる人と話がしたいなって…。
あっ?
(美佐子)ちょっと!ちょっと美雨!どうしよう!ああどうしよう!これ水で消えるかしら?大丈夫大丈夫。
ちょっちょっと待って。
あした早いからさ。
(美佐子)布巾で…。
どうしよう。
消えない。
ごめんね。
ホントごめん。
ううん。
大丈夫。
(栄介)ホントに迷惑かけるね。
ちゃんと聞いてきたから。
これ遺言書のフォーマットなんだけどこれを見ながら相続させる物日付署名はすべて自筆で書いてください。
はい。
ああ印鑑はその棚の中に入ってるから。
あっはい。
あれ香織来てたの?リカ!
(リカ)あっもうお父さん。
ちゃんと寝てなきゃダメって言ってるでしょう。
もう!もう!ああ。
何これ?「遺言書」?お父さん。
もう縁起でもないからやめてよね。
(栄介)念のため書いてみただけだよ。
(リカ)ホントに何でも大げさなんだから。
もう。
(リカ)どういうこと?
(香織)「どういうこと」って?何で突然お父さん遺言書書くなんて言いだしたの?
(香織)それは…。
お父さんにガンだって話したでしょ?話してないよ!絶対に言わないでって約束したじゃない!香織のこと信じてたから話したのに…。
最低!ただいま。
(香織)おかえりなさい。
ご苦労さまです。
はぁ。
どうでした?あのモーガン・アンド・ロイド社の件。
好感触だったわ。
今日中に返事くれるって。
(柳田)えっ!よかったじゃないですか!
(柳田)いやさすがですね!もしもし?ああ久しぶり。
連絡なかったけどどうしてた?うん…。
えっ?あっ分かった。
じゃあはい。
先生。
リカの…。
この間話した友達のお父さん容体が急変しておととい亡くなったって。
(柳田・大介)えっ。
ちょっと失礼します。
すいません。
(大介)ちょちょちょっと。
リカ。
何しに来たのよ。
帰ってよ。
帰って!
(耕一)もしかして君がリカさん?わたしは栄介の兄の園田耕一。
これは妹の千枝子。
あの伯父さんと叔母さんってことですか?あっ父から兄妹がいるって一度も聞いたことありませんけど。
(千枝子)わたしたちあんまりつきあいがなかったから。
(耕一)まあそんなことより遺産はすべてわたしと千枝子のもの。
そのことははっきりさせようと思ってね。
どういうことですか?
(香織)あの失礼ですけど彼女は娘なんですよ。
彼女の母親はもう亡くなっているので娘である彼女がすべて相続できるってわたしの勤めている事務所の弁護士が言ってました。
正にそのとおり。
彼女が栄介の娘だったらね。
わたしは娘です。
お父さんとお母さんはちゃんと結婚してます。
(耕一)戸籍上君は栄介の娘じゃない。
娘じゃない?あなたはお母さんの連れ子でしょ?栄介とは養子縁組みしてないんだから相続権はないのよ。
つまり全財産はわたしたちのもの。
そういうことだ。
そんな…。
(千枝子)しかたないわよね。
娘じゃないんだから。
・はい間宮法律事務所…。
はいわたしが間宮です。
いえどうも。
はい。
はっ?どういうことでしょう?あのスキームは十分リサーチして作ったものなんですけど。
ちょっと待ってください。
(通話の切れる音)もしもし?もし…?・
(ドアの開閉音)あの…。
(ため息)先生。
ちょっといいですか?
(大介)香織さん。
今ちょっと。
何?この前「遺言書がなくても娘なら相続できる。
だから遺言書を書く必要はない」っておっしゃいましたよね?また遺言書の話?おじさんはリカを養子縁組みしていないからリカは財産は一銭ももらえないっておじさんの兄妹が言ってたんですけどそんなはずないですよね?
(柳田)ちょちょっと養子縁組みってどういうこと?君の友達は実の子じゃないの?あっリカは前のお父さんの子供でお母さんはおじさんと再婚してすぐに交通事故で亡くなって。
何でそんな大事なこと言わなかったの?どういうことですか?
(柳田)いやだから再婚すれば母親は父親の戸籍には入れるけれども母親の連れ子である子供は養子縁組みをしないと父親の戸籍には入れないんだよ。
(大介)親が再婚しただけじゃ戸籍上再婚相手の子供にはならないんですか?ああ。
でもあの二人はいつもお互いのことを思いやるホントに仲のいい親子だったんですよ。
どんなに仲がよかろうと法律的には養子縁組みをしてない子供には相続権はないの。
(紀三郎)確かわたしが渡したフォーマットどおりに自筆で遺言書を書いたんじゃ?
(柳田)ああオーケー!それなら大丈夫だよ。
遺言書どおり譲り受けることができるよ。
それがリカが遺言書いてるのを見つけて破いちゃって。
ええっ。
(大介)あっちゃ〜。
お父さんは悪い病気じゃないって思わせようとして。
(柳田)そっか。
遺言書がないなら向こうの言うとおり彼女が財産を相続するのは無理ね。
そんな!わたしあきらめられません!リカは大切な友達なんです。
リカの思い出が詰まった家や店が奪われるのを黙って見過ごすなんてできません。
遺言書がない限りしかたないでしょ。
どうして無理だってきめつけるんですか!えっ?法律ではどうしようもないことをいろんな解釈を考えてどうにかするのが弁護士なんじゃないんですか!もういいです。
わたしがおじさんたちに直接話します。
(大介)ちょっと香織さん!
(作業員)はいオーライ!じゃ左お願いします。
あの何されてるんですか?
(作業員)ああ来週早々にここ解体するから。
解体ってどういうことですか!?どういうことってこっちは園田耕一さんからちゃんと頼まれてんだよ。
邪魔だからどいて。
(作業員)こっち行きます。
・
(ドアの開く音)美佐子。
どうしたの?こんな時間に。
入って。
タオル持ってくる。
忙しいのにごめんね。
ううん。
仕事の調子はどう?大きな案件抱えてるとか言ってたけど。
うんうまくいってる。
順調順調。
さすがね。
ねえどうしたの?美雨ちゃんは?わたし家飛び出して来ちゃった。
えっ?ここ何日か美雨の夜泣きがひどくて。
旦那はなかなか帰ってこないし帰ってきても「疲れたから寝る」とか言って全然面倒見てくれないの。
ずっと寝てなくて今日ついに爆発しちゃった。
そう。
気づいたらここに来てた。
わたし自信なくなっちゃった。
美佐子らしくないじゃない。
昔からそう。
自信が持てなくて迷ってばっかり。
この前仕事には未練はないって言ったけどホントはね仕事に復帰するのが怖いだけなのよ。
旦那は子育てが落ち着いたら働いてもいいよって言うんだけど怖いと思ってるなんて何か言えなくて。
夫婦なのにね。
そう。
だから貴子に「能力あるのにもったいないよ」って言われたとき嬉しかった。
大学時代からの友達が言うんだもん間違いないよね?うん。
何だか気持ちがちょっと楽になったわ。
会いに来てよかった。
美佐子。
ごめんね。
勝手に来て邪魔しちゃって。
もうウチに戻るわね。
うん。
これ持ってって。
大丈夫?うん。
貴子。
うん?ありがとう。
じゃあ。
うん。
気を付けて。
うん。
・
(物音)誰?紀三郎さん!
(紀三郎)ああっ!いるなら「いる」って言ってくださいよ。
ああすみません。
つい出そびれちゃって。
アッハ。
どうしたんですか?こんな時間まで。
いややっ…。
実はね香織ちゃんのお友達がこの…養子縁組みをしなくても財産をもらう方法はないのかなと思いましてね。
そうですか。
友達のために一生懸命。
いいもんですなあ友情ってのは。
ええ。
ハッ。
(香織)わたしあきらめられません!リカは大切な友達なんです
(貴子)女の友情なんて面倒くさいもんよ
(香織)法律ではどうしようもないことをいろんな解釈を考えてどうにかするのが弁護士なんじゃないんですか!とりあえず抜粋したもんをお持ちしました。
ありがとうございます。
結構ありますね。
ハハッ。
わたしは引き続き。
はい。
(大介)ああじゃあリカちゃんの伯父さんに全然相手にされなかったんだ。
うん。
解体業者の人たちもお店の測定してたし。
(大介)やっぱさダメなのかな?誰がダメだって決めた?びっくりした。
先生。
あきらめんのまだ早いんじゃない?
(大介)えっ?おはようございます。
おはようございます。
(大介)紀三郎さん。
(香織)二人ともどうしたんですか?あなたの親友の家と店守れるかもしれないの。
えっ?死因贈与契約が証明できれば何とかなる。
死因贈与契約?うん。
贈与者が生前に受贈者と契約し贈与者の死亡によって効力を生じる贈与のこと。
つまりリカさんの父親がリカさんと生前に「自分が死んだら財産をあげます」「財産をもらいます」とお互い約束を交わし父親が亡くなったことによってリカさんが財産を譲り受けるってこと。
(香織)であっどうしたらいいんですか?
(紀三郎)つまりですな今先生がおっしゃったようなやりとりがあったことが証明できればいいんです。
おじさんはリカに家と店をあげたいって言ってました。
うんしかしそれを片方だけが言ってるんじゃ成立はしないし口約束じゃこれまた立証するのが難しいんですな。
ダメか。
たとえ可能性がゼロに近くてもわたしは絶対にあきらめないわ。
友達のためにやれることは何だってやりましょう。
先生。
(紀三郎)ハハハッ。
とにかくここで話をしてもしょうがないわ。
リカさんのところに行きますか?はい!
(ドアチャイム)何?話があるの。
こちらウチの事務所の弁護士間宮先生。
それから彼は…。
(大介)助手の…。
帰って。
関係ないでしょもう。
(香織)リカ!
(香織)入るよ。
リカ。
(香織)何?どうしたの?その荷物。
(リカ)あなたには関係ないでしょ。
香織がお父さんにガンだって知らせなければお父さんもっと長く生きられたかもしれないのに。
香織のせいで死んだのよ。
早く帰ってよ!リカ。
あなたのお父さんはね自分がガンであとわずかしか生きられないこと知ってたのよ。
先生。
だからお父さんはあなたのために遺言書をちゃんと残しておきたいと思って彼女に頼んだの。
彼女があなたに本当のことを言わなかったのはねお父さんが自分がガンだと知ってることを話せば親友のあなたが傷つくと思ったからよ。
ホントなの?もしかするとねあなたがこの家もお店も譲り受けることができるかもしれないの。
だからまだあきらめないで。
でもわたしは養子縁組みされてないし。
「自分が死んだら財産をあげます」「財産をもらいます」っていう内容のやりとりがあったことが証明できる物があればいいの。
証明できる物って…。
よく思い出して。
例えば交換日記とか手紙とか二人でそういう内容のことを話したビデオテープとか?そういえばリカ短大のときにアメリカに短期留学してたよね?うん。
(香織)そのときおじさんと手紙のやりとりしてなかった?おじさんすごく嬉しそうに話してたけど?そういうやりとりはしたかもしれない。
その手紙どこにある?
(リカ)うん…。
お父さんにもらった手紙は引き出しの中にしまってあるけどわたしがあげた手紙はどこにあんのか…。
捜しましょう。
(リカ)これよ。
あっ…。
これ?うん。
先生。
「リカ早速手紙ありがとう。
アメリカに行ってまだ一週間しか経ってないのに一人じゃ寂しいなんて心配になりました。
辛いかもしれないけどこの留学を機に自分一人でも歩ける強さを身に付けて欲しいと思います。
私が死んだらこの家も店も…」
(リカ)「お母さんと一緒に築いた財産もリカが守っていかないといけないのだから。
帰ったらアメリカのチーズケーキの味を教えてください。
楽しみにしてるよ。
がんばれ」あとはあなたが書いた手紙ね。
はい。
(大介)重いよ。
(香織)はい。
(大介)はい。
(香織)よいしょ。
よいしょ。
リカ。
これは?何だろう?
(リカ)これ…。
全部取ってあったんだ。
(リカ)あっ…。
これかな?あった?
(リカ)はい。
「お父さん励ましの手紙ありがとう。
私すごく嬉しかった。
そうだよね…」
(リカ)「そうだよね。
お父さんがいなくなったらたくさんの思い出が詰まった家も店もチーズケーキの味もお父さんの築いた財産は全て私が守っていくんだから弱音なんて吐いてちゃダメだよね。
いつも心配してくれてありがとう。
これからも見守っていて下さい。
リカ」これならいけるかもしれない。
(大介)死因贈与契約大丈夫ですよね?先生。
うん?裁判で勝てますか?裁判?そんなお金も時間もかかることしないわよ。
えっ?そんなことできるんですか?それをするのが弁護士なんでしょ?はい。
(紀三郎)和解合意書を作成しましたんでチェックしてみてください。
ありがとうございます。
全財産ってわけじゃないですけど家と店は守れましたね。
これでリカさんの件は終了。
(紀三郎)ご苦労さまでした。
ありがとうございました。
先生!どうやって向こうを丸め込んだんですか?あの手紙で死因贈与契約が認められれば向こうの取り分はゼロ。
でもこっちは家と店を譲り受けたいわけだから譲歩してほかの財産を譲ることで和解をしたの。
さすがだな先生。
わたしを誰だと思ってんのよねぇ?ハッ。
ハハッ。
ありがとうございます。
(香織)先生。
本当にありがとうございました。
こちらこそ。
えっ?こんにちは。
(香織)あっ遅い。
先生。
ありがとうございました。
よかったわね。
(リカ)はい。
皆さんもありがとうございました。
あっあのこれウチの店の特製手作りチーズケーキです。
(柳田)おお!ああ!
(リカ)もしよかったら皆さんで食べてください。
(紀三郎)おお!これが噂の!嬉しい!うわ!楽しみだ!おいしそう!
(大介)僕切る物取ってきます。
すごいうまく焼けてるじゃん。
はいコーヒーです。
サンキュー。
もう仕事ですか?ちょっとね。
はぁ。
もしもし美佐子?貴子です。
うん仕事が一段落してね。
今週末?空いてるよ。
あのねすっごくおいしいチーズケーキ見つけたから持っていくね。
・『心の旅人』
(店主)ああちょっと怖いですよ。
(貴子)怖…怖いですか?
(店主)ええ。
もっとニコーッと柔らかーく。
2014/09/11(木) 14:57〜15:53
関西テレビ1
離婚弁護士 #06[再][字]【天海祐希 玉山鉄二 ミムラ 佐々木蔵之介 津川雅彦ほか】
「愛と憎しみの遺産相続」
詳細情報
番組内容
同じゼミに女の子がふたりしかいなかったから、一緒にいただけよ——。
学生時代の友人と再会を果たした貴子(天海祐希)だったが、その相手・美佐子(鈴木砂羽)とは、決して仲がいいとは言えない関係のようで…。
一方、親友のリカ(MEGUMI)に会った香織(ミムラ)は、彼女の父親・栄介(平田満)が末期ガンだということを知る。
番組内容2
栄介に、リカに内緒で遺言状を書いておきたい、と頼まれた香織は、それを貴子に相談するが…。
貴子と香織、それぞれの女の友情の行方は? ゲストにMEGUMI、平田満らを迎えておくる第6話!
出演者
天海祐希
玉山鉄二
ミムラ
佐々木蔵之介
久我陽子
陣内孝則(特別出演)
津川雅彦
【6話ゲスト】
MEGUMI
平田満
鈴木砂羽 ほか
原作・脚本
【脚本】
田渕久美子
林宏司
武田樹里
監督・演出
【演出】
光野道夫
田島大輔
【プロデュース】
長部聡介
瀧山麻土香
音楽
井上鑑
【主題歌】
「心の旅人」hitomi
【挿入歌】
「ホワット・アム・アイ・トゥ・ユー」N・ジョーンズ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:16934(0x4226)