・「きっと分かるさ」・「でも当てにしちゃいないぜヘヘイヘイ!」今年5月。
岩手県盛岡市で開かれたちょっと変わったライブ。
津波で被害を受けた三陸のアマチュアバンドが震災後初めて一堂に会した。
その中に本番直前まで打ち合わせを続けているバンドがあった。
大槌町から来たムーミンズ。
震災後メンバー全員がそろうのはこの日が初めてだ。
レパートリーは懐かしい定番のフォークやロックのカバー曲。
そのパフォーマンスは地元で右に出る者はいない。
お疲れさまです。
(取材者)かっこよかったですね。
これまでカバー曲だけで満足してきたムーミンズ。
今年初めてオリジナルの曲作りに挑んだ。
タイトルは…津波にのまれた故郷大槌。
今は幻となってしまったあの町をオリジナル曲に歌いみんなの記憶に残したいと思った。
・「幻の街でみんなが笑ってる」・「幻の街に風が吹いてる」・「幻の街は何処にあるの」
(塚原)岩手県大槌町です。
東日本大震災で最も被害が大きかった町の一つです。
震災から3年余り町では今あちらこちらで復旧復興のための工事が進んでいて全く新しい町に生まれ変わろうとしています。
今日はこの町で生まれ育った50代のバンドマンたちの物語です。
町の面影がすっかり消えてしまうその前にオリジナルソングを作りました。
歌に町の姿や記憶をとどめようとしています。
震災前の大槌町のメインストリート。
その入り口に町で一番うまいコーヒーを出す喫茶店夢宇民があった。
店長はバンドのリーダー…店は被災し今は仮設店舗で営業している。
店には震災前からの常連客が集う。
町並みは消えてしまったが赤は生まれ育った大槌町を誰より愛している。
今はなき大槌町のメインストリートの名は末広町商店街。
赤の喫茶店夢宇民をはじめ30余りの店が軒を連ねていた。
多くの人出でにぎわうよ市です。
毎年夏に開かれるよ市は商店街きってのイベント。
通りは町の人々であふれかえった。
そんなよ市の盛り上げ役として結成されたのがムーミンズ。
2007年リーダーの赤が近くに住むなじみの先輩たちを誘い組まれたバンドだ。
年は40を越えやりたい事はやり尽くしたつもりだったがバンドの面白さは別格だった。
わがまま放題のメンバーたちのまとめ役が赤。
ボーカルは…三浦広明は音にうるさいメンバーの師匠。
ムーミンズなくしてよ市は始まらない。
あっという間に町一番の人気バンドとなった。
あれから…4年目の夏が来た。
震災はメンバーたちの人生を大きく狂わせた。
ボーカルの伊藤道隆は大槌から100km離れた花巻市で暮らしている。
震災前は金属加工の職人だったがこの地で新たに仕事を見つけた。
大槌に戻る事は考えていないという。
復興の道を歩みながら町は姿を変えていく。
全てが消え去ってしまう前にどこかに記憶をとどめておきたい。
赤はそう考えていた。
思いついたのはこの町への思いを込めたオリジナル曲を作る事だった。
「幻の街にあの娘がいる。
幻の街に行けば君に会える」。
心に浮かんだ言葉を書き留めていった。
この夜赤はメンバーに初めてオリジナル曲を作りたいと伝えた。
ちょっといい歌な予感ですね。
ボーカルの伊藤歌詞を聴くうち口数が減っていった。
二度と戻る事はできないあのころの大槌幻の街。
リードギターの三浦広明もまた人には語れない思いを胸に抱えていた。
町で最も大きかった寺の墓地。
三浦は津波に流されたこの墓地でどこに誰の墓があったのか確認する作業をしていた。
震災前はサラリーマンだったが会社が被災し職を失った。
今はこの墓地での仕事で暮らしを成り立たせている。
一緒に暮らしていた両親は津波で亡くなった。
大槌町のメインストリート。
メンバーが足しげく通った店があった。
ここだ!ここここ!その店の事を赤はどうしても歌詞に入れたいと考えた。
この辺ですね。
ここです。
(取材者)だいぶ忘れてますね。
店の名はクイーン。
岩手県で最も古いジャズ喫茶だった。
きしんだ木のドアを開けると…その向こうには2万枚を超えるCDやレコードがうずたかく積まれていた。
まだムーミンズを結成する前マスターの佐々木賢一は言った。
「試しにバンドを組んでステージ上がってみろよ」。
ムーミンズが生まれたこの店。
震災後マスターは体調を崩し再開の予定はないという。
町は消えても自分たちが生きてきた証しは消えない。
それをメンバーに伝えたいと赤は考えていた。
構想を始めてからひとつき。
オリジナル曲が形になってきた。
タイトルは…曲が出来上がったという赤からの一報を受けメンバーたちが集まってきた。
(赤)あと歌い回しだけちょっと今練習して曲調とメロディーを確認。
・「秘密を持ったままじゃ眠れやしない」・「いつものあの店にいつもの路を歩きだす」ふざけんなっちゅうの!ふざけんな!大槌に帰る気はないと言っていたボーカルの伊藤。
花巻に戻ると一人練習を始めた。
・「いろんな奴等が通りを歩いてる」・「そこには少しだけ灯りがみえる」・「幻の街は何処にあるの」「幻の街」。
この言葉に自分なりの思いを込めようとしていた。
閉店後の喫茶夢宇民。
リードギターの三浦がふらりと訪ねてきた。
この歌はレクイエム。
消えてしまった町亡くなった親しい人たち。
全てに届くギターの音色を探っていた。
ムーミンズが新曲を書き上げたらしい。
うわさを聞きつけた町の人たちで会場はあふれかえった。
・「君との約束も諦めきれない」・「いつものあの店にいつもの路を歩きだす」・「幻の街にあの娘がいる」・「幻の街であの娘が笑ってる」一人一人の心の中に幻の街がほのかに温かくよみがえった。
どうもありがとう!
(基子)家庭教師に参りました内藤と申します。
2014/09/11(木) 15:15〜15:41
NHK総合1・神戸
ろーかる直送便 クローズアップ東北「オレたちの“幻の街”大槌ムーミンズ」[字]
岩手県大槌町のロックバンド「ムーミンズ」。メンバーは50代を中心とした男性6人だ。この夏、彼らは震災後初めて曲を作り、大槌の町の中で披露しようと、動き始めた。
詳細情報
番組内容
岩手県大槌町のロックバンド「ムーミンズ」。メンバーは50代を中心とした男性6人だ。かつて大槌の中心商店街で行われていた夏祭りでの野外演奏が、最高の舞台。個性が響き合うロックバンドとして、小さな町の中では知らぬ者のない人気者だった。この夏、彼らは震災後初めて曲を作り、大槌の町の中で披露しようと、動き始めた。ほとばしるおやじたちのロック魂。その憂鬱と希望とを描き出す。
出演者
【ナレーション】塚原泰介
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – ローカル・地域
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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