(テーマ音楽)今安倍政権が掲げる「女性の活躍推進」。
潜在的な女性の力を最大限発揮できるようにすることこそ成長戦略の要だと捉えています。
「男女雇用機会均等法」が制定されてからおよそ30年。
依然として賃金や昇進に男女格差があるのが現実です。
男性と同じように女性が社会で活躍できる未来はやってくるのでしょうか?今回も「働く『女と男』の経済学」。
漫画家内田春菊さんをゲストに迎え20代30代の女性たちと共に考えていきます。
(又吉)「女と男の経済学」についてお話を伺いたいんですが先生はなぜ女性の労働について研究されてるんですか?
(川口)私は労働経済学者で賃金の不平等とか格差とかですねそういった問題に興味があるんですね。
それで不平等の中で大きいのが男性と女性の賃金の不平等なのでそういう観点から関心があると。
なるほど。
春菊さん漫画家さんの場合は男女間で賃金の差というのは?
(内田)それは原稿料は無いと思います。
同じ。
キャリアとか別な要素ですね。
芸人さんは?多分芸人も無いですね。
キャリアで。
やっぱり成果が見えやすいそういう仕事だと男性と女性の差ってそれほど出てこないのかもしれないですが女性のほうが賃金が平均的には低いということがあってまず男性と女性の賃金の動向をグラフにまとめてみたんですけど。
男性の時給は90年代の半ばからデフレの影響で下がり気味です。
一方女性の時給は平たんに推移していますが依然として男性の時給とは大きな開きがあります。
男性の時給に対して女性の時給はいまだ6割程度の水準にとどまっているのです。
この賃金差が生まれる1つの大きな要因は男性と女性で就いてる仕事が違うということがあるんですよね。
それとこの数字は短時間労働者の方も計算の中に入れてるんですね。
ですので「短時間労働者」と定義される方は女性のほうが多いのでフルタイムの方と短時間労働者の方の賃金差も男女の賃金差というふうになって出てくるということなんですね。
皆さんいかがですか?これ見て。
(女優)こんなに差があるとは思ってなかったです。
すごく昔の事のように感じていて今はそんなに差がない世の中になってきてるのかなと思ったんですがこうやって数字で見るといまだに男女差がこんなにあるんだと思うと悲しいですね。
そうですよね。
でも長く働きたくてもというような事はいっぱいありますよね。
女性の場合は。
ええ。
私が漫画家になって子どもを持ってベビーシッター費が経費として認められないと知ったんですけど。
認められないんですよ。
それは働く側にとっては必要経費だと思ってたんですね。
ところが税務署的には「それは個人的なことでしょ」と言われちゃうんですよ。
長く働けない人もいっぱい出てくる。
1986年に「男女雇用機会均等法」が施行され労働現場における女性差別が禁止されました。
多くの企業は「コース別人事管理制度」を導入。
それまでの「男性」「女性」という区別を「総合職」「一般職」というラベルに貼り替えたのです。
その中で少ない数ではあっても「総合職」として採用される女性たちが現れ昇進の機会が与えられました。
皆さんは会社の中とか職場で昇進したいとやっぱり思いますか。
(会社員)私が勤めているのが女性ばかりの職場なんですよ。
なので楽しそうだなとは思います。
いろんな事を意思決定できる方が楽しそうだなとは思います。
そういう意味では昇進というのはいいことなのかなとは思います。
(音楽家)そうですね。
やっぱり昇進してお金をお給料をたくさんもらいたいという気持ちはあるんですけどもただそれに伴う労働時間が増えてきてしまうと今度は自分の時間もほとんど持てなくなってきたりやりたいという気持ちはあるんですけども難しいのかなっていうのもあります。
昇進したい方はどの役職まで昇進したいですか?
(フリーター)上の上。
もう役員。
社長?はい。
そういうタイプです。
行けるところまで行きたいと。
私は。
はい。
いかがですか?
(女優)なんかみんなと一緒に働く立場でいたいと思うので部長課長共に働けるところにいられたらいいなぁと。
うん。
なるほど。
ただ客観的な数字として見てみると日本の女性の管理職っていう方はすごい少ないと。
韓国と日本は低いっていうのがよく知られているんですね。
じゃあなんで男性と女性で管理職への昇進の確率が変わってくるのかという話なんですがいくつか説がありまして女性はどうしても子どもを産んだときに子育ての負担というのが女性のほうに重くのしかかってくるのでなかなかそのタイミングで両立するのが難しくて。
そのタイミングで仕事を辞められてしまう方もおられる訳ですよね。
そのこと自体が「統計的差別」って経済学で言うんですけれども結局男性と女性というグループの中でいろんな人がいるんだけどそのグループの平均的な特性を統計的に使って会社の側は誰に管理職になるためのトレーニングを与えるかというのを判断してしまっているので差別なんですけれどもある種合理的な差別なんですよね。
家借りるときとか割とそうですね。
我々お笑い芸人だと「無理です」って不動産屋に行った段階で言われることもあるんですよね。
それ多分お笑い芸人は騒ぐんじゃないかっていう。
でも僕自分より暗い大学生を見たことがないですから審査までも上げてくれないっていうことは経験してなんか嫌やなと思ったことはありましたけどね。
統計的差別って起こりやすいって言われてる典型的なところが労働市場の他にやはり不動産の借家とかあと金融で借金をするときにどうしてもそのグループの属性でお金を借りられない人が出てくるということもよく言われますよね。
クレジットカード作れないとかね。
あっそうですよね。
全然作れなかったですよ。
最近まで。
よくクレジットカードを持ってきたら割引になる商品とかあるじゃないですか。
そういうのでお店の人にクレジットカードを作る事を勧められて「ホンマですか。
そんな安くなるんですか。
作ってきます」と言って何軒か回ったけど全然できんかったという。
「できませんでした」って言いに行くときの恥ずかしさですよね。
真面目に働いてるのにかわいそう。
同じように働いてはいるんですけどね。
そうですよね。
統計的に男性と女性を差別してるということで男性のほうに将来のキャリアにつながるような仕事を割り振ってしまうといったようなことがあるんじゃないかって言われてるんですね。
そうすると結果として男性と女性は同じように仕事をやってても女性のほうには責任ある仕事が来ないで嫌になってしまうと。
やる気がそがれてしまって結局辞めてしまうという何か悪循環があるんじゃないかと言われていてロバート・マートンという社会学者が言ったことなんですけど「予言の自己成就」と言うんですが要するに「このグループの人たちは将来辞めますよね」というふうに予言がされたとするとその予言に整合的な形で皆さん行動するので結果としてその予言したことが根拠がなくても実現してしまうという「予言の自己成就」ということが起こっていて。
でもそれ「女の人だからどうせ寿退社希望なんでしょ」とかっていうようなことを本当言っちゃいけないですよね。
最初から戦力って思ってないってことですよね。
そうですね。
周りから「こうや」と思われてそのとおりに…気付いたらやってるということですよね。
私男子2人女子2人でどっちも「男の子でしょ」とか「女の子だからこうしなさい」とか一切言わないで育てたんですよ。
でもねよその人が言ってんの。
転んで男の子が泣いてても「泣きたいだけ泣け」と思ってるんだけどよその人が「男の子だからもう泣くのやめなさい」とか言ってるんです。
余計な事を言って。
「らしさ」とか怖いですね。
そう考えると。
いっぱいありますよね。
いろんなところに。
「らしくない」とかもう呪いですよね。
呪いですね。
(笑い声)「らしくないね」と言われたら何か悪い事したような気になりますもんね。
先ほどから女性の就業がどうしても子どもを持ったときに一回途切れざるを得ないという話が出てきてると思うんですが実際に就業率のグラフにもその傾向は表れているんですよね。
女性の就業率は20代後半でピークを迎えたあと30代で低下。
その後40代で再び上昇しています。
アルファベットの「M」に似たカーブを描くため「M字型就業形態」と呼ばれています。
しかし正規雇用の就業率を見ると40代での再上昇の傾向は見られません。
どういう形で労働市場に戻ってくるかということなんですがどうしてもパートとかアルバイトとか正社員以外の働き方で戻られる方が多くてですね。
要するにここの所で就業率が1回上がってるように見えるのは非正規労働者として労働市場に戻ってきてる方が多いということを示しているんですよね。
前と同じ仕事に戻るかどうかって言ったらMですらないってことですよね。
そうですね。
皆さんは子どもを産むことを考えてらっしゃいますか?
(女優)子どもを産んで諦めてしまう同業者がたくさんいるので子どもというのは女性にとって結構キーワードになってくるなと思ってます。
(フリーター)会社だとやっぱり難しいところが出てくると。
会社辞めなきゃいけないという制度が結構ある会社が多いので中小企業でも。
本当は駄目なんですけどね。
本当はね妊娠を理由に解雇はしちゃいけないんですよね。
先生ね。
そうですね。
(フリーター)そうなんですか!そうですよ。
だから辞めなきゃいけなくなったというのは別のなんか…。
それイジメのようなことですよ。
そうなんですか。
知らなかった。
本当にねその体が自分がどうなるか分からないことに本当妊娠した途端になるのでくじけるっていう気持ちも分からないではないです。
そうですよね。
はい。
だから皆さん辞めるつもりだったとは限らないと思うんですよね。
もう辞めざるを得ない状態になって辞められた方というのもたくさんいらっしゃると思うんですよね。
女性の出産・育児に対する社会の意識を変えるにはどうしたらよいのでしょうか?昨年度こちらの企業では年度内に1歳半を迎える子どもがいる男性社員全員が育児休業を取得。
その数は496人に上ります。
失礼します。
あっすみません。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
どうですか?取ってみて。
とにかく大変だったなという。
大変でした?はい。
朝から晩まで何かしないといけないことが山積みですし「気が休まる瞬間が全然ないな!」という印象でしたね。
もう休む暇なくずっと。
はい。
育児休暇後奥さんとかお子さんとの関係で何か変化があったりしましたか?改めて妻の大変さを僕自身が実感することによって少しでもいいから手伝おうというような自覚みたいなものが芽生えた事によって今では少しでも何か手伝おうかとか帰り何か買い物してこうかとか僕自身からも言えるようになったので関係が修復されたというのはよかったなと思ってます。
またこの子の顔を早く寝顔とか見たいなと思うので早く仕事を終えて早く帰りたいと思うようになりましたので日中にもっと頑張んなきゃって僕自身が思えるようになったかな。
仕事も生活も両方充実するというか。
はい。
この取り組みを進める「輝き推進室」。
社内の働く女性をサポートしワークライフバランスの向上を図る部署です。
男性に育児を体験してもらうことで働く女性たちが理解されやすい環境を作ろうとしました。
現在女性社員の皆さんの反応はどういうものがあるんですかね?
(浜口)育児をしながら働いている女性の大変さを分かってくれるという人が周りにいるとか上司であったりするということはうれしいしすごく安心感があるという事になったのかなと思います。
なるほど。
これからは男性も育児や家事に参加するように確実にその状態が社会の中に広がっていくと思いますのでパートナーの人に相談をしてどういうふうに育児家事に参加をしてもらうのかそういう話し合いをしっかりしてもらって自分も仕事をどういうふうに頑張りたいんだという事を伝えてお互いが自分が望む生き方みたいなものをちゃんと選んで進んでいけるようになってほしいなと思います。
なるほど。
日本生命に行ってきましてその短い休業の間でも家でいろいろ育児に携わるじゃないですか。
大変さが分かるから仕事は短い時間でしっかりやって家に帰ろうってなったんですとおっしゃってたんで。
はぁ〜。
言われてみれば子どもを持つとスケジュール管理能力がガンって上がりますね。
へぇ〜!だって限られてくるから。
はいはい。
漫画家だから朝までとか平気だったんですけど一人目のときはまだ夜型だったんですけど2人になると一緒の時間に寝てくれないので昼寝の時間とかバラバラなのでだんだん私が弱ってきちゃって。
幼稚園に一番大きい子が通い始めた辺りからもう夜型は諦めました。
でも結果良かったと思います。
子どもを幼稚園に預けてるときに例えばゲームとかしてしまってその時間を棒に振ったらもう出来ないんですもんね仕事が。
その日は。
…ってことですよね。
男性も子育てに参加するということが出来ないとなると今までのように女性は子どもを産んだら会社辞めなきゃいけないということが続いてしまうと思うので男性の育児休暇の制度やはり普及していくべきだとは思いますね。
先ほどの「予言の自己成就」の話なんかがあってかなり悪循環が続いてしまうということがあるっていう話をしたんですけれどもその悪循環を打ち破るための制度として「クオータ制度」っていう。
クオータって割り当てですけれども。
女性を一定の職に一定の割合就けなければいけないという制度を導入するというやり方があるんですね。
その先駆けになった国がノルウェーなんですけれども。
2005年ノルウェーは企業の取締役における男女の数を法律上義務づけました。
例えば取締役が10名以上の場合性別が偏らないよう男女ともに4割以上いなければいけないと定めたのです。
法律が出来たタイミングで株価がどういうふうに反応したのかを見てるんですねその研究では。
そうすると女性の役員がいなかった企業というのは株価の落ち幅が大きかったというそういう研究があるんですね。
女性を無理やりあるポストに就けるというのはよくないという議論もあることはあるんですね。
ただそこで恐らく起こったのは管理職になるプロセスを考えてみるとそれなりに時間がかかるわけです。
トレーニングしなきゃいけないし。
あまりにも短期的にその目標を達成しなきゃいけないとなるとその役職に就ける女性というのがいないので。
例えば女性にも責任ある仕事をこう割り振るようにして将来の管理職に就いてもらえるような機会を与えておくとか。
そのクオータっていうのを何年後に達成しなきゃいけない目標に設定するかというのにも依存すると思うんですよね。
日本だったら何年ぐらいあればいいんでしょうかね。
はい。
日本の大企業って誰が幹部候補になるかというのをなかなか社員につまびらかにしない雇用慣行を持ってる会社だって言われてきたんですね。
和を重んじるっていうのがそこで悪く出てるということですね。
そういうことだと思うんですよね。
誰が昇進するのか分かるタイミングも少し早くするようなそういう仕組みの変更も同時に考えていかないといけないのかもしれない。
会社の役員を女性の人数を必ずある一定確保するっていうお話を聞いて何か思われたことありますか?
(音楽家)やっぱりいい人はいいしできない人はできないしもうそこに懸かってくると思うんで。
数を強制的に決めるというのはちょっと違うんじゃないかなって私は思ってます。
なるほど。
(女優)個人の女性の仕事ぶりを見ていただけるような環境に日本がなればしっかり働ける人はたくさんいるし無理やり何割管理職に上げなきゃいけないというのはまたちょっと違う話じゃないのかなって話を聞いてて思いました。
ゼロじゃない方がいいとは思うんですよね僕。
なんか最低「1」がないとモチベーション保たれへんというか。
ワールドカップでよくアジア枠ヨーロッパ枠とかアジアの国が負けたらアジア枠1個減らしていいんちゃうかという話になるんですけど。
僕あん時いつも思うのはちょっとテンション下がるんですよね。
サッカーやってる子どもたち全員がワールドカップああもうなんかちょっと無理やなというか。
広がってくるとどんどんやっぱりその辺りの国のサッカーって盛り上がるというかアジアも3枠もらえたぞとかサッカーの話になってしまいましたが。
能力がある人が役員になるのはもちろんだと思うんですけどでもちゃんとそういう可能性があるっていうことはなんかあってもいいんかなと思いますね。
やる気があってもチャンスが与えられず出来ないというふうに結果的になってるという現実があることを前提にするとある程度の数値目標を設定してそれをきっかけにして統計的な差別の状態を抜け出そうというのがアイデア考え方なんですよね。
(内田)多少はねちょっと無理に見える事でもっていう気持ちも分かりますよね。
例えば劇団とか芸人さんだったら夫婦漫才しかないところを女性だけで無理やり多分漫才一門を作ったりとか女性ばかりの劇団を作ったりとかそういうことをして無理やり枠を広げてそれで希望的な事をどんどん増やしていったんだと思うんですよね。
経済学で「女と男」についてお話ししてきましたけど。
最初すごい不安だったんですけど先生のやさしいお話と女性の皆さんと又吉さんの不思議なリアクションでとても楽しいひと時を過ごさせていただきました。
不思議でしたかね?ウフフッ。
先はもっと楽しい状態になるんじゃないかなという気持ちになりました。
そうですね。
はい。
今日は春菊さんと女性の皆さんと本当になんかこうリアルに問題を感じることができてすごい勉強になりました。
ありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
美輪乃湯へようこそ。
2014/09/10(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「働く“女と男”の経済学!」(後編)[字]
働く女と男、明らかに差が生じているのが「賃金」だ。なんと日本の女性の賃金は、男性の賃金の6割程度。どうすればこの差を解消できるのか?
詳細情報
番組内容
今、安倍政権は「女性の活躍推進」を図っているが、働く現場では賃金や昇進で男女の格差がいまだにある。なぜだろうか。川口大司教授は、女性は、出産や育児で退職する傾向があるため、女性というだけで個人差を勘案せずにみなそういうものだと判断する「統計的差別」が生じていると分析する。男女格差解消のヒントになるのがノルウェーの事例。2005年に企業の取締役における男女の数が偏らないように法律で義務付けたのだ。
出演者
【ゲスト】漫画家…内田春菊,【出演】又吉直樹,【解説】一橋大学大学院教授…川口大司,【語り】朴ろ美
ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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