クローズアップ現代「デング熱 感染拡大を防げ」 2014.09.10

デング熱に感染し9日間入院したNHK職員の女性です。
40度近い高熱が続き体中が痛んで眠ることもできなかったといいます。
およそ70年ぶりに国内で感染が確認されたデング熱。
患者は全国で100人近くに上り不安が広がっています。
なぜ、感染は相次いでいるのか。
背景には自治体や医療現場の対応が追いついていない実態があることが分かってきました。
さらにウイルスを媒介する蚊が強い繁殖力を持つため対策が難しいことも見えてました。
デング熱の感染拡大はどこまで続くのか。
どう防いでいけばよいのか迫ります。
こんばんは。
「クローズアップ現代」です。
デング熱の感染が広がっています。
日本でウイルスを媒介しているのはヒトスジシマカ。
青森から南の地域に広く生息しています。
この放送センターのすぐ近くにあります代々木公園やその周辺などを訪れた人が蚊に刺され感染が相次いでいましたけれども代々木公園を訪れたことがなく海外への渡航歴もない男性の感染も確認され厚生労働省は蚊が媒介して全国どの地域でも感染が起きる可能性があるとしています。
国内での感染が確認されたのはおよそ70年ぶり。
これまでご覧の15の都道府県で確認されています。
主な症状は急な発熱、発疹全身の強い痛みです。
多くの場合1週間程度で回復に向かいますが出血症状を起こして重症化することもあります。
日本と海外を人が活発に行き来する時代です。
海外でデング熱に感染した人が国内で蚊に刺されウイルスを持った蚊によって感染が広がっているわけですが日本に持ち込まれた感染症を迅速に食い止められていないのはなぜなのでしょうか。
海外からの観光客の誘致に力を入れ、また、6年後にはオリンピックが開催されます。
経験したことのない感染症への備えが決して十分ではないことを浮かび上がらせた今回のデング熱。
医療機関の診断に時間がかかり自治体などの対応が後手に回っていた実態からご覧ください。
各地で感染の確認が相次いだデング熱。
最初に感染が分かった10代の女性が取材に応じてくれました。
ダンスの練習で頻繁に代々木公園を訪れていた女性。
異変が起きたのは先月20日のことでした。
体のだるさを感じたあと突然高熱が出て気を失ったといいます。
気が付くと救急車の中でした。
入院して治療を受けましたが40度の熱は一向に下がりません。
医師も病名が分からなかったといいます。
入院から6日目。
女性の母親は娘が足じゅう蚊に刺されていたことが気になりインターネットで調べました。
そこで娘の症状と一致する病気を見つけ、医師に伝えました。
専門の医師が検査を行いようやくデング熱と判明したのです。
この間、多くの人が代々木公園を訪れ感染者は増えていきました。
その一人NHKの細谷佳菜職員です。
高熱が続き、9日間入院することになりました。
鎮痛剤を打たないと眠れないほどの体の痛みだったといいます。
専門家はこれまでデング熱は海外で感染する病気と考えられていて渡航歴のない場合感染に気付くことは難しいといいます。
いち早く対策を打つことはできなかったのか。
取材を進めると初期の対応が後手に回っていたことが分かりました。
東京都はデング熱の感染者が出たことを受けて蚊の駆除に乗り出しました。
駆除を行ったのは渋谷門を中心にした半径75メートル。
最初に感染が確認された女性と友人たちがダンスの練習をしていた場所でした。
しかし、女性はこの駆除の範囲に疑問を感じたといいます。
女性は渋谷門だけでなく原宿門の近くでも、長い時間ダンスの練習をしていました。
渋谷門以外でも蚊に刺されたといいます。
なぜ駆除の範囲を1か所に限定してしまったのか。
東京都は、まず国の手引にしたがって感染場所の特定を急ぎました。
しかし、聞き取りを行ったのは女性の地元、埼玉県内の保健所。
その行動範囲を一部しか把握していませんでした。
東京都も、その報告のまま駆除の範囲を決めていたのです。
最初の駆除で感染のリスクがほぼなくなったと判断した東京都。
しかし、ウイルスを持つ蚊がその後相次いで見つかり公園の大半を閉鎖したのは最初の患者の確認から1週間以上あとのことでした。
蚊の生態を十分把握していなかったことも対策が後手に回った一因だと専門家は指摘します。
長崎大学の砂原俊彦さん。
公園のような広大な場所でヒトスジシマカを駆除するのは容易ではないといいます。
今回、代々木公園では池の水を抜くなどの対策を行い繁殖を食い止めようとしました。
しかし、砂原さんはこのような対策では不十分だといいます。
木のくぼみの僅かな水でも蚊は繁殖するからです。
これがヒトスジシマカの幼虫です。
実は繁殖には小さな水たまりのほうが適しているといいます。
水を抜いて卵が乾燥しても一雨降って水がたまれば数時間で幼虫となりやがて羽化します。
あらゆる条件が整った公園では駆除がとても困難なのです。
今夜はデング熱の研究をされています国立感染症研究所の、高崎智彦さんをお迎えしています。
日々、感染した人の数が増え、またその代々木公園や、その周辺を訪れていない人々にも感染者が出ていると。
どんな状況ですか?
やっぱり、これ、蚊に対する、特に成虫蚊に対する対策をしないと、広がる可能性は十分にあると思います。
つまり、感染した方が、発生が分かった場所では、具体的には?
その刺されたと思われる場所、その蚊の調査を、密度の調査をして、そこのポイントをしっかりと把握したうえで、ある一定の範囲で、そういう成虫蚊の駆除を行うということが必要になってきますね。
そうしないと、拡大は収まらないですか?
拡大する可能性は、十分にあると思います。
今回、代々木公園という所、そしてその周辺から、感染した人たちが、次々と出てきたわけですけれども、こうした広がりというのは、専門家として、どう見ていらっしゃいますか?
この数年、200例以上を超す輸入症例が、日本にかえってきているので、やっぱりこういう事態が起こるっていうのは予想をしてたんですけれども、代々木公園のような、大きな公園でしかも人の出入りが多い公園で起こるというのはちょっと予想していなかったですね。
もっと小規模の?
そうですね、自宅に帰った人の庭先とか、あるいはその近所の公園で、少し起こるということがあるかなというふうに考えてました。
いまや15の都道府県ということになっていますけれども。
不安だなと思っていらっしゃる方、多いと思うんですけども、どのように恐れればいいですか?
これは基本的には、やっぱり蚊に刺されなければいいわけです。
このヒトスジシマカというのは、午後から夕方にかけて、あるいは明け方にかけて活動しますので、そういう所に出かけるときは、虫よけ剤を塗るとか、長袖、長ズボンをはくとかいう対策が有効ですね。
家の中で刺される場合は、あまりないということですか?
そうですね、夜寝ているときに、ブーンとやって来て、近づいてくる、茶色いアカイエカというのは、デングウイルスは媒介しません。
そして、症状としては、高熱、全身の痛み、かぜとは相当違いますか?
かぜとは違いますね。
頭痛と痛み、それから突然の高熱ということで出ますので、かぜとは違うということが分かると思います。
その感染した蚊に刺されると、必ず発症するんでしょうか?
これはですね、5割から8割の人は、症状、出さないですね。
出さないんですか?しかし、今感染が、どんどん今、広がっていることを考えると、じゃあ、感染ルートっていうのを今、どのように捉えてらっしゃいますか?
症状を出さない人が、ウイルス血しょう、どれぐらいあるか、ウイルスがどれぐらい出るかというのは、分からないですけれども、少なくとも発病する1日、2日前の方というのは、かなりの高いウイルス血しょうを持ってて、感染蚊を十分に作るという能力があるということですよね。
そうすると、代々木公園や、この周辺を訪れていない方で、今、感染されている方が出ていますけれども、ルートとしては、
恐らくやっぱり、まだ発病する前の方が移動して、そこでヒトスジシマカに刺されて、その蚊が感染蚊となって、また別の人を刺したというふうに考えるのが、一番いいとおもいます。
ヒトスジシマカは50メートルぐらいの範囲しか移動しなくて、待ち伏せてて、人を刺すというタイプの蚊です。
そんなに長距離飛んで移動ということはありません。
どちらかというと、人間が、蚊が生息している所に行ったときに刺されるんですか?
そうですね。
そうなっていくと、どうやって感染した蚊を駆除していくかということですけれども、今回のケースでは、十分な対策が迅速に取られたとはいえないのではないかと思えるんですけれども、何が?
やっぱり最初の症例、埼玉の患者さんのときに、どこで刺されたかというのをしっかりと、2か所で刺されてるんであれば、2か所というのを把握すべきだったと思います。
東京都の方も埼玉まで出かけていかれて、聞き取りされるということも必要だったかもしれませんね。
その上で、刺された所の周辺の蚊の密度をしっかり調査して、それで、そこの一定範囲を成虫対策するというのが、重要です。
聞き取りで、本当にしっかりと聞くことも大事なんですね。
そうですね。
ひとたび感染が起きてしまうと、広範囲の蚊の駆除が必要など、対策が非常に難しいこのデング熱ですけれども、そうした事態を予防するために、事前に蚊を封じ込めようという対策も取られています。
安全作業に心がけて一日頑張りましょう。
以上です、お願いします。
兵庫県西宮市の環境衛生課。
全国でも珍しい害虫などの駆除を専門に行う11人のチームが組まれています。
大阪のベッドタウンとして発展してきた西宮市。
住環境のよさを保つことに長年、力を入れてきました。
専門チームが重点を置いているのが蚊の発生を抑えることです。
成虫になって飛び回り対策が難しくなる前に幼虫の段階で対処します。
使うのは、蚊の幼虫など限られた虫にだけ効くこの薬剤。
水がたまりやすく蚊の産卵場所になっている公園の雨水ますに投入していきます。
市内600か所の公園を1年間に延べ2000回にわたって訪れ駆除を行っています。
さらに西宮市はデング熱が発生した場合に備え先月、国の機関と共同で訓練も行いました。
住宅地に囲まれた公園でデング熱の感染が起きたと想定。
公園の周囲で蚊の駆除を行おうとしました。
その結果、浮かび上がったのは住宅地で感染の拡大を防ぐことの難しさでした。
実際に住宅を訪ねたところバケツや傘立てなどで蚊の幼虫が見つかりました。
しかも、留守にしている家が多く中に入れないため素早い対策が取れないことも明らかになったのです。
市では、ふだんから住民が蚊を増やさないよう取り組むことが重要だと考えています。
住民たちがみずから蚊の駆除に取り組んでいる地域もあります。
横浜市泉区緑園。
山を切り開いて開発された新興住宅地です。
住民たちは、蚊の大量発生に長い間、悩まされてきました。
そこで9年前区のサポートを受けた自治会が中心になり対策に乗り出したのです。
環境部です。
住民たちは夏場は毎月個人の敷地を回って雨水ますに薬剤を入れていきます。
顔見知りだからこそできる取り組みです。
これで終わりましたんで。
さらに力を入れているのが地域のごみ拾いです。
この日、軒先で見つけたのは雨水がたまったじょうろ。
雨が降った翌日には特に注意して見回ります。
今では多くの住民が蚊が減っていると実感。
活動の輪は周辺の地域に広がっています。
今の住民みずからの動き、そしてその自治体挙げて西宮市の動き。
こうやって、幼虫を早く駆除しようという動きは、効果的ですか?
今の流行そのものに対して効果があるかというと、そうでもないんですけれども、これは来年、ヒトスジシマカの数を減らすという意味では、非常に重要な対策ですね。
つまりポイントというのは、成虫の数を減らすことによって、もし来年感染が出たとしても、広がりが抑えられる?
広がりが遅くなると思います。
例えば、1匹の蚊に刺されて、患者さんがですね、1匹の蚊が感染蚊になるのと、今回のようにたくさん刺されている人がいっぱいいるわけですけれども、1人の患者さんが、10匹、20匹に刺されて、10匹、20匹の感染蚊が出来て、それがまた感染者さんを増やすと、すごいスピードで患者数が増えますよね。
そういうことは抑えられます。
蚊の撲滅は無理でも、そうした密度を減らすことによって、減らせることができるということなんですね。
心配なのは、今の感染拡大がいつまで続くのか、そしてこのことが来年もまた起きるのかどうか、ここ、どう見てらっしゃいますか?
これはその秋の気温とかにもよりますけれども、遅くとも11月の上旬には、ヒトスジシマカの成虫は死にます。
活動しなくなって、卵を産んだ状態で、冬を越します。
また来年の春になると、水を得ると、卵からふ化していくと、出てくるということですが、卵の中でウイルスがつながるかというのは、実験的にはあるんですけれども、自然界では極めて、そういう率は低いと思います。
それよりもまた来年、別の患者さんが海外から来て、流行を起こすほうがはるかに確率が高いと思います。
拡大して、そしてワンシーズンで抑えられたというケースはありますか?
これはハワイで2002年にやっぱり流行したんですけれども、ハワイはハワイ島以外は、やっぱりヒトスジシマカなんですね。
これもうワンシーズン、観光の州ですから、幼虫対策を徹底して、成虫対策もやって、ワンシーズンで終わったという事実はあります。
日本は未知なる感染症に対する備えがまだまだ十分ではないということなんですけれども、海外では、いろんな感染症の広がりが報告されている中で、何を今、すべきですか?
やっぱり、入ってくるのを止めると同時に、入ったあとのそれぞれの自治体とかの連携、政府との連携ですね、そういうことをもう少しスピードアップできるようにしたほうがいいと思います。
水際の対策は、十分でしょうか?
それは十分ですとは言い切れないんですけれども、ただ、決して頑張っているとは思います。
海外からの情報にも、やはり耳を傾けないといけない?
そうです。
去年のドイツの症例というのが出てきて、その症例があって、初めて今回、比較的、臨床でも診断できたという事実はあります。
2014/09/10(水) 19:32〜19:58
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代「デング熱 感染拡大を防げ」[字]

感染者が相次ぐデング熱。代々木公園以外で感染したとみられる例も確認されるなど、蚊を媒介とした感染が広がっている。感染拡大の経緯を検証し、必要な対策を考える。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】国立感染症研究所ウイルス第一部第2室室長…高崎智彦,【キャスター】国谷裕子
出演者
【ゲスト】国立感染症研究所ウイルス第一部第2室室長…高崎智彦,【キャスター】国谷裕子

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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