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殺人事件の凄惨(せいさん)な証拠を見聞きしたため、裁判員経験者が急性ス…
殺人事件の凄惨(せいさん)な証拠を見聞きしたため、裁判員経験者が急性ストレス障害になった。
そう認める判決を、福島地裁が出した。
裁判員制度が始まって5年がたち、すでに5万人以上が裁判員を務めた。
判決は女性が求めた国家賠償請求は退けたが、公務災害の補償制度が適用されうるという救済の道を示した。
これで治療費などはカバーされる。最高裁によると、裁判員経験者が精神面で公務災害を申請した例はまだないという。
裁判員の心に深刻な負担を与えているケースが、ほかにもないか。裁判所は実態をつかみ、対策をとるべきだ。
裁判員裁判は、殺人など重大事件が対象で、遺体や外傷、現場の写真や映像など恐怖や不快感を伴う証拠がつきものだ。
元裁判員の訴えをうけ、最高裁は昨年、証拠の示し方を工夫するよう全国の地裁に促した。写真をイラストやCGで代替したり、カラーを白黒にしたりといったことだ。証拠を示す前に裁判官がどのような内容か伝えるだけでも、ショックはその分やわらぐといわれている。
裁判員に不必要に負担を与えない実務を重ねていくべきだ。
一方、証拠に手を加えて示すことには、裁判員の負担軽減からだけでなく、裁判の審理の行方にどう影響するかという観点からの精査も必要だろう。
海外の模擬裁判を用いた実験で、おぞましい証拠の写真を示すことが陪審員に有罪方向の影響を与えたとする研究もある。
裁判員の負担になるのは、証拠に接することだけではない。被告が無実だと主張する事件で有罪を言い渡したり、死刑も含む重い罰を言い渡したりしたことも葛藤になろう。
裁判員経験者には評議の経過などについて生涯、守秘義務があり、家族や友人などにさえ気持ちを出しにくいことも、状況を深刻化させていないか。
法曹関係者に、心理の専門家らも加え、裁判員の経験が与える負担の実態と対策に向き合っていく必要がある。すでに裁判員を経験した人の意見も、取り入れていくべきだ。
裁判員経験者向けに裁判所が設けた窓口には、制度開始からことし8月末までに精神面の相談が213件あった。そこから臨床心理士と面接したのが26件、さらに医療機関に紹介した件が5件あったという。
あれでよかったのか。経験者にさまざまな思いを残す、重い任務である。先々にわたって支える態勢を築いていきたい。
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