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Fukushima Update #53:Labor Challenges at Fukushima Daiichi

Exposure to radiation and an aging workforce are among the challenges faced by Tokyo Electric Power Co. as it manages thousands of workers per day at Fukushima Daiichi. To find out more about the situation, our crew followed one worker during his shift at the facility.

福島第一原発で進む廃炉作業 過酷な作業現場の実態

福島第一原発の事故から3年半が過ぎ、廃炉に向けた作業が本格化している。現在、原発構内で働く作業員は、一日6000人に上り、去年の2倍に急増。そうした作業員たちが現場で働く上で直面している様々な課題について取材した。


午前4時、福島県郡山市。福島第一原発で3年間、下請け作業員として働いている遠藤篤志さん(28)は、この日も夜が明けきらない中、仕事場に向かっていた。

遠藤さん「朝だから混んでいないから、全然距離は相当あります。でも慣れちゃいますよ。結構すぐに」

遠藤さんは郡山の自宅から、いったん自分の会社に寄り、作業員用のバスに乗り換えて第一原発まで片道2時間半かけて通っている。

記者「今日の発電所での作業は?」

遠藤さん「今日は給油します」

遠藤さんが働いているのは第一原発の中にあるガソリンスタンド。

1号機の建屋から800mほど離れた場所にある。原発構内を走る車は、放射性物質に汚染されているため、外に出すことができない。

そのため事故後、敷地内にガソリンスタンドが作られたのだ。屋根はなくアスファルトを引いた地面に、2台の給油タンクを置いただけのスタンドで、車に給油する遠藤さんの姿があった。

遠藤さん「25リッターです。はいOKです。はい御安全に!」

車を運転する人も、ガソリンを入れる人も防護服に全面マスク。一見、異様に見えるこの姿も、放射線量が高い原発敷地内では日常の光景だ。夏場の熱中症対策のため、胸元に冷却材を入れて働く遠藤さん。過剰な被ばくを防ぐため、働く時間は午前8時から11時までと短い。

遠藤さん「思ったより暑かった。湿度高いのか」

記者「目とか汗がすごいですよ?」

遠藤さん「目に入ると最初痛いのです。目に汗が入って拭けないので、あぁ…と」

重装備での労働環境をどれだけ改善するか。これも大きな課題だ。福島第一原発では、今年に入り作業員の数が1日約6000人と去年に比べ倍増している。原子炉建屋の周辺の地面を凍らせ、地下水流入を防ぐ「凍土壁」の建設や、汚染水を浄化する設備「アルプス」の増設など大きな工事が始まったためだ。

そんな中、敷地内では大型休憩所の建設が進められていた。8階建てで1200人を収容し、来年の春からは、この中で食事や休憩が取れるようになる。東京電力・福島第一廃炉推進カンパニーの松井健一郎マネジャーはこう語る。

松井マネジャー「作業員の数が多くなってきて追いついていないという部分もありますが、今後の30年廃炉を安定的に進めるには環境が大事だということで、改善活動をしていかないとと考えています」

事故直後に比べれば、働く環境は徐々に改善されてきているものの、作業員たちは今、より深刻な問題に直面している。

仕事を終えた遠藤さんたちが事務所に戻って見ているのは、自分たちの被ばく線量の通知表。

遠藤さん「5年区切りの中で、4年目くらいですけど」

記者「今、(線量が)61ある?」

遠藤さん「あります あります」

遠藤さんの累積被ばく線量は、この3年間で61.53mSv。

原発作業員の被ばく線量は法律で、1年間で50mSV、かつ5年間で100mSvが上限と定められている。東京電力によると、事故発生から今年7月までに被ばく線量が50mSvを超えた作業員は1252人に上る。

廃炉に向けた作業が本格化する中、ベテラン作業員の現場離れがミスやトラブル増加の原因になっているのだ。さらに、被ばく線量の問題だけでなく、作業員の高齢化を危惧する専門家もいる。東京大学の縄田和満教授はこう説明してくれた。

縄田教授「どういう人間が働いているかを示したグラフがこれです。50代以上の方が非常に多い。全体の4割をしめている。こういう方々はそのうち引退していってしまう。今後ますます廃炉に向けて燃料デブリの取り出しなど専門性の高い人間が必要になってくるので、そういう人間を今後数十年にわたって確保する仕組みを作りあげないとならない」

今後40年かかるといわれる廃炉作業。新たな担い手となる作業員をどう確保していくか。事故から3年半を迎えた現場の大きな課題だ。

10/03/2014