【ワシントン=矢沢俊樹】米労働省が3日発表した9月分の雇用統計(速報値、季節調整済み)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数は前月に比べ24万8千人増えた。失業率も5.9%に低下した。内需主導の景気回復を追い風に、雇用も底堅く推移するとの見方が広がっている。
雇用者数は8月に7カ月ぶりに20万人台を割ったが、再び増勢を取り戻した。9月は21万人程度の増加とみていた市場の事前予測の平均を上回り、7~9月の雇用者数の伸びは月平均22万強と安定したペースを守った。
失業率は前月の6.1%から0.2ポイント下がり、リーマン・ショックに伴う金融危機が発生する前の2008年7月(5.8%)の水準に戻った。米連邦準備理事会(FRB)は出口戦略で米雇用の見通しを慎重に見極める構えだが、早期利上げを巡る議論が活発になりそうだ。
米労働省が同日発表した7、8両月の改定値はそれぞれ24万3千人、18万人と従来の数値から上方修正された。
9月は民間サービス部門の雇用者数が20万7千人増え雇用回復をけん引した。食品・飲料などの小売りが堅調だったほか、情報や金融、レジャーなど内需関連がおおむね安定した伸びを示し、個人消費の緩やかな回復を裏付けた。
製造部門は自動車関連がプラスに転じたが、総じて雇用の勢いは鈍い。