北星学園大学(北海道札幌市)の田村信一学長が9月30日付で「本学学生および保護者の皆さまへ」という文を発表、「大学の自治を侵害する卑劣な行為には毅然(きぜん)として対処する」と表明した。これは、同大学の植村隆・非常勤講師の解雇を要求する極右勢力の脅迫に屈しないことを宣言したものだ。
植村氏は、朝日新聞記者だった1991年、旧日本軍に強制動員された元慰安婦として初めて公に証言した金学順(キム・ハクスン)さんの記事を報道した。極右勢力は同氏を慰安婦問題を捏造(ねつぞう)した主犯だとして、同校周辺で解雇を要求するビラを配ったり、「大学を爆破する」と脅したりしているという。田村学長は「学問の自由・思想信条の自由は教育機関において最も守られるべきものであり、侵害されることがあってはならない」「学生の皆さんおよび植村氏との契約を誠実に履行すべく、万全の警備態勢等を取りながら後期の授業を継続している」と書いている。
「知性の殿堂」である大学が取るべき当然の見解表明ではあるが、最近の日本では異例のことだ。神戸のある大学は極右勢力の脅迫に屈し、今年3月に植村氏の教授採用計画を撤回した。大阪のある大学も慰安婦関連記事を書いた朝日新聞元記者の教授について、解雇を要求する脅迫に事実上屈し、辞表を受理した。
一部大学が脅迫に屈したことから、極右勢力は我が世の春とでもいうように大手を振って歩いている。本人はもちろん、家族の写真や学校までインターネット上に広まっており、気に入らない記事を書いた朝日新聞記者の殺害リストまで作られている。
民主主義の根幹を揺るがす反文明的な犯罪行為であるが、日本の一部メディアや政治家はむしろこれを助長している。一部週刊誌は朝日新聞元記者たちを「慰安婦問題の戦犯」と攻撃して現在の職場を公表、脅迫を事実上あおっている。一部政治家や知識人たちまでもがこれに加勢し「朝日の慰安婦記事で日本の名誉が損なわれた」と主張している。
韓国大統領に対する醜聞的報道で韓国検察に取り調べられている産経新聞記者に対し「言論弾圧」と口をそろえる日本のメディアや政治家・知識人が、奇妙なことに自分の国で行われている「ジャーナリストに対するテロ脅迫」には沈黙している。田村学長の宣言が、最近揺らいでいる日本の知性や良心を立て直すターニングポイントになることを期待している。