山頂近く山小屋支配人 状況語る10月1日 19時35分
御嶽山が噴火した際、登山者を先導しながら避難した山頂近くの山小屋の支配人がNHKの取材に応じ、当時の様子を語りました。
御嶽山の山頂から北側に歩いて30分ほどのところにある山小屋「二ノ池本館」の支配人、小寺祐介さん(34)は、先月27日の噴火直後に登山者を誘導しながら下山しました。
小寺さんは噴火当時の様子について、「地震などの前兆が何もないなかで突然、噴火が始まりました。最初の噴火から数分の間に3回爆発があり、噴煙が上がって小屋の外は夜のように真っ暗になりました。また、雷とともに今まで経験したことのないお湯のように温かい灰が混じった雨も降ってきました。山小屋には噴石が直撃してトイレの屋根が落下しましたが、小屋にいた人にけがはありませんでした」と話しました。
山小屋には、山頂付近にいた登山者が次々と悲鳴を上げながら駆け込んできたということで、小寺さんは30分余りたったころ、51人の登山者を先導して9合目にある「石室山荘」へと向かいました。
この時の様子について小寺さんは「避難してきた人には、屋根が二重になっているところで待機してもらっていましたが、少しでも山頂から離れたほうがよいと判断し、下山を開始しました。山小屋に備えていたヘルメットとマスク代わりのタオル、それに飲み物を全員に渡しました。一面、火山灰が積もっていましたが、登山道にあるロープに沿って移動しました」と話しました。
そして、9合目の石室山荘に到着したあとの様子については、「すでにおよそ100人が避難していましたが、中には腕を骨折して添え木をして手当てを受けている人もいました。山岳ガイドの方とも協力して、午後1時20分ごろから黒沢口に向けて登山者に下山してもらいました。週末で人が多い時期に噴火が起きてしまい、本当に残念です」と話していました。
「火山ガスなどが捜索妨げたか」
また、小寺さんは、捜索活動が難航したエリアについて、「火山ガスや大量の火山灰が活動を妨げたとみられる」と指摘しています。
御嶽山での捜索活動は、山頂の剣ヶ峰と王滝頂上山荘の間の「八丁ダルミ」と呼ばれる急な傾斜の登山道付近や、火口に近い山頂の南側の王滝頂上山荘から王滝奥の院までの間などで特に難航していました。
小寺さんは、「八丁ダルミ」について、「王滝口から剣ヶ峰を目指す登山者が必ず通るルートだが、御嶽山の中でもいちばん風が強くなるところで天候が悪いと歩くのが難しい。火口の東側に当たるため、ふだんから硫化水素のにおいが強く、濃度の高い火山ガスが流れてきやすい」と指摘しています。
また、王滝奥の院までのルートについては、「天気がよければとても景色がいいところで、ここを目指す登山者は多い。しかし、ちょうど火口を見下ろす場所に当たり、火山ガスも直接流れてくるため今はとても近づけないと思う」と話しました。
小寺さんは捜索隊が撮影した写真を見て、「もともと石段があったところに火山灰がたまって坂道のようになっている。元の登山道が分からなくなり、新たに道をつくって捜索していることがうかがえる。火山ガスや大量の火山灰が捜索活動を難しくしているのではないか」と指摘しました。
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