韓国政府は円安局面を利用して投資を増やした企業を優遇する方策を示したが、その場しのぎの対策に終わるのではないかとの懸念が聞かれる。
政府関係者によると、優遇策は企業が円安を利用した設備投資を行うことを支援する内容で、今月中に発表される予定だ。円安で相対的に安く調達できるようになった日本製の機械、工場設備などを輸入する中小企業に対し、関税(8%)を最大で半分にする優遇措置が検討されている。
これまで円安に対する韓国政府の政策は中小輸出企業の被害を軽減する点に集中していたが、今回の大悪は企業が円安を投資拡大の機会に活用することを促している点が特徴だ。しかし、公平性の問題があるため、日本から輸入される設備だけ関税を引き下げるわけにはいかず、他国から輸入される設備についても関税を下げざるを得ない。また、単に価格が安くなったという理由だけで設備投資を行う企業は少ないとみられ、政府の円安対策の限界は明らかだ。
政府が「円安活用策」なる対策を安易に打ち出したことは、言い換えれば、当面は円安に対処できるこれといった方法がないからでもある。ウォン・円相場はウォン・ドル、ドル・円相場と事な、間接計算で決定される。ウォン・ドルを直接取引する市場はあるが、ウォン・円を直接取引する市場は存在しないためだ。つまり、円安の被害が懸念されるといっても、政府は為替市場に直接介入する手段がない。
一部には為替防衛の効果を間接的に狙って、韓国銀行が追加利下げを行うべきだとの意見もある。匿名の元経済閣僚は「政策金利を下げ、ウォンの価値を引き上げることが円安による被害を防ぐ方法になる」と述べた。