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亡くなった人を知る人たち 驚き悲しむ声
10月2日 17時52分

御嶽山の噴火では、これまでに火山災害としては戦後最悪の被害となる47人の死亡が確認されました。
亡くなった人を知る人たちからは突然の死に驚き、悲しむ声が聞かれました。

山上陽子さん(35)

東京・西東京市の山上陽子さん(35)は、大学時代の友人2人と一緒に3人で御嶽山に登っていました。
友人によりますと、9合目付近にさしかかったときに噴火があり、山上さんは飛んできた噴石が左足を直撃して大けがをして動けなくなったということです。
友人たちは止血をするなど応急の処置をして励まし続けましたが、山上さんは数時間後に意識がなくなったということです。
意識がなくなる前、山上さんは友人に「お母さんと話したい」と話し、母親に電話をつなぐと「ごめんね。ありがとう」などと話したということです。
母親は、その後、一緒にいた友人に「あなたたちは下山してください」と伝えたということです。
山上さんは大学を卒業後、府中市役所の職員として教育などの担当をしていて、責任感が強い親思いの優しい性格だったということです。
父親の山上哲次さん(64)は、山上さんの死亡が確認される前の1日、捜索が再開されたと聞いて東京から駆けつけ、娘が登った御嶽山の登山口で捜索の様子を見守りました。
哲次さんは「優しい娘でした。自分の手で運んであげたいです」と話していました。

加納英朗さん(23)

死亡が確認された岐阜県多治見市の加納英朗さん(23)の兄によりますと、加納さんは御嶽山に行く前日の夕食のときに「あすは友人たちと山に行くので、早起きをしないといけない」などと話し、登山を楽しみにしていたということです。
加納さんは、御嶽山の噴火で同じく死亡が確認された名古屋市中村区の会社員、浅井佑介さん(23)ら2人と一緒に御嶽山に登山に出かけたとみられています。
加納さんの家族は、テレビを見ていて御嶽山の噴火を知り、加納さんの携帯電話に連絡を入れましたが、つながらなくなっていたということです。
加納さんは、両親、兄、姉、それに祖母の6人暮らしで、末っ子の加納さんは足の悪い母のごみ出しを手伝うなど優しく、毎日の出来事を家族に話して、家の中を明るくするムードメーカーだったということです。
加納さんの中学3年生のときの担任で、当時、加納さんが所属していたクラブの顧問も務めた新海正和さんは「明るく人なつっこい性格の子どもでした。所属していたバレーボール部の練習でも、決して手を抜かなかった。真面目に1つのことをやりきる子だったので、将来は大きなことができると期待していました。将来、もの作りの分野で技術を身につけたいと話していたことが忘れられない。まだまだ若く、これからというときだったので残念だ」と話していました。

伊藤保男さん(54)

死亡が確認された長野県東御市の団体職員、伊藤保男さん(54)は、自然保護のボランティア仲間と共に御嶽山に登っていました。
家族が救助されたメンバーから聞いた話によりますと、山頂付近で倒れた保男さんのそばには大きな石が落ちていて、それが当たったとみられるということです。
保男さんは料理が好きで、山に出かける前も、自分のお弁当と一緒に家族にもサンドイッチを作っていました。
妻のひろ美さんは「これがお父さんの記念です。本当は生きて帰ってほしい、元気で帰ってきてほしかった」と話していました。

若林和男さん(66)

死亡が確認された長野県松本市の若林和男さん(66)は、観光客のガイドのボランティア仲間、合わせて6人のグループで御嶽山に登りました。
登山や写真が趣味で、会社を退職したあと松本市の美ヶ原高原で観光客に植物を紹介したりするボランティアをしていました。
若林さんのグループでは、松本市の横田和正さん(61)と東御市の伊藤保男さん(54)の死亡が確認されているほか、3人がけがをして病院で手当てを受けています。
一緒に登山をしていて、けがをした松本市の会社員鈴木康夫さん(57)は「とても明るい人だった。真面目な一面もあり、植物のガイドをするときも年だから覚えられないと言いながら一生懸命努力して人一倍覚えてくる人だった」と話していました。

杉本健一さん(45)

死亡が確認された三重県鈴鹿市の杉本健一さん(45)の自宅には親族たちが訪れています。
親族の男性は「山登りが趣味の人でした。身内が亡くなったと聞いてまさかと思いました」と話し、また、別の親族の男性は「登山中に亡くなって残念です」と話していました。

佐野秋乃さん(36)

死亡が確認された神奈川県小田原市の佐野秋乃さん(36)は大手損害保険会社の神奈川県内の営業所に勤めていました。
会社によりますと、佐野さんは会社の有志で作る登山サークルに所属していて、御嶽山には同僚など合わせて9人のグループで訪れていました。
9人のうち3人は無事でしたが、佐野さんを含めた4人の死亡がこれまでに確認され、2人の行方が分かっていません。
小中学校時代からの親友だという同級生の女性は「明るくて真面目で、いつも笑顔だった佐野さんが噴火に巻き込まれたといううわさを聞いて、携帯に電話をかけたけど、全くつながりませんでした」と涙ながらに話していました。
近所の65歳の女性は「佐野さんと自分の娘が小学校と中学校で一緒でした。誰とでも親しくしてくれる優しい子だったので残念です」と話していました。
会社では「このような結果となり、非常に残念に思います。引き続き、安否確認ができていない社員が残っているので無事を祈っています」とコメントしています。

池田啓亮さん(32)

御嶽山の噴火で死亡が確認された奈良県王寺町の池田啓亮さん(32)は、大阪・藤井寺市にある府立藤井寺工科高校に勤務していました。
高校の関係者が2日、記者会見し、藤本慶信准校長は「非常に温厚で生徒思いで、優秀な先生でした。きのう死亡が確認されたという連絡を受け、ただ驚いています。非常に残念でなりません」と述べました。
高校によりますと、池田さんはことし4月にこの高校に赴任してから定時制課程の教諭を務めていました。
学校では自動車工学の授業を担当し、校内の実習室で実際に車を使ってエンジンの仕組みや整備のしかたについて教えていたということです。
また、熱気球のパイロットの資格を持ち、登山などの野外活動が好きで、噴火のあった先月27日は2人の友人と共に御嶽山に登っていたということです。

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