2014年10月2日13時55分
小倉のネオン街が、再び暴力団の影にあえいでいる。徹底捜査で指定暴力団工藤会の弱体化に乗り出した福岡県警。過去に暴力団の関与が疑われる事件に翻弄(ほんろう)されてきた街の人たちは、その捜査の行方と工藤会の動向を複雑な思いで見守っている。
呼び込みの若い男性たちが路肩に立つ。北九州市のJR小倉駅から南へすぐの堺町地区。数百メートル四方の一角に雑居ビルや飲食店がひしめく。庶民的な居酒屋からスナック、高級フランス料理店、若者が集まるカラオケ店……。だが、平日の夜の人通りは多くない。ときおり、3人1組で巡回する警察官の姿が目に入る。
「はっきりいって、売り上げは半分」。トップ3人を含む工藤会幹部ら15人を逮捕したと県警が発表した1日夜、雑居ビルに入るバーで、40代の男性店主はぼやいた。「(工藤会による)報復を警戒、とニュースであれだけ伝えられたら市民も出てこないよ」
県警は9月11日に工藤会トップを逮捕し、3800人態勢の捜査本部を設置した。他の都道府県警からの応援も増員した。徹底捜査に対する工藤会の報復行動を抑止しようと最大限の警戒態勢を敷いている。「街で警察官の姿を見かけると安心はする」(50代のスナック・ママ)と歓迎する声もある。
ただ、バーの男性店主は嘆いた。「歓楽街のふつうの市民はいま、暴力団のことで疲弊している。あのときから売り上げが減っていった」
「あのとき」とは2012年夏のことだ。
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朝日新聞社会部
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