河野談話:「見直し考えていない」衆院代表質問で首相

毎日新聞 2014年10月01日 21時13分(最終更新 10月01日 22時46分)

 安倍晋三首相の所信表明に対する各党代表質問が1日、衆参両院の本会議で行われた。首相は衆院で、従軍慰安婦問題に旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話について「安倍内閣で見直すことは現在考えていない。新たな(官房長官)談話の発表も考えていない」と改めて述べた。平沼赳夫氏(次世代の党)への答弁。

 朝日新聞が関連報道の一部を取り消したことを踏まえ、平沼氏が日本史教科書の記述を見直すかどうかをただしたのに対し、首相は「訂正を発行社に求めることまでは考えていない」と明言した。ただ、今後申請される教科書に関しては「先般改正した新しい基準に基づき、適切に検定が行われるべきだ」と答弁。近現代史の記述で政府見解を尊重するよう求める文部科学省の新基準により、記述は変わり得るとの見解を示した。

 御嶽山の噴火については「火山活動の監視強化など防災対策にスピード感を持って取り組む」と述べ、予算措置を含めた監視体制の強化を表明した。井上義久氏(公明)への答弁。

 一方、首相は参院で、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を「観光、地域、産業振興に資することが期待される」と評価しつつ、今国会で審議されるIR推進法案(議員立法)については「国民的議論を踏まえ、関係省庁で検討を進める」と述べ、治安悪化などを懸念する慎重意見に配慮をみせた。

 「地方創生」の関連施策を進めるため、首相と石破茂地方創生担当相が地方自治体の首長と協議する場を設ける考えも示した。いずれも伊達忠一氏(自民)への答弁。【高本耕太】

最新写真特集