御嶽山噴火:降雨で救助活動中止 42人身元確認、2日朝
毎日新聞 2014年10月02日 12時27分(最終更新 10月02日 13時26分)
戦後最悪の火山災害となった御嶽山(おんたけさん=長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火で、警察や消防、自衛隊は2日朝、これまでに十分な捜索ができていない長野県側のエリアを中心に捜索活動を始めた。しかし、山頂付近で降雨が確認されたため、午前11時35分、活動を中止した。雨により、最大で約50センチ降り積もった現場の火山灰が、土石流と共に流れ出す恐れなどがある。犠牲者47人のうち同日朝までに42人の身元が判明した。ふもとの長野県木曽町役場などには、家族の安否不明を訴える人がなお多く待機している。
この日は当初から天候不良で自衛隊のヘリコプターによる捜索隊派遣は行わず、地上部隊が午前6時ごろ、王滝口と黒沢口の2ルートから入山していた。前日に続き、王滝頂上から剣ケ峰までの登山道「八丁ダルミ」や黒沢口の登山道周辺など、十分な捜索ができていないエリアなどを中心に活動する予定だった。
気象庁の予報によると、ふもとの木曽町と王滝村では昼過ぎから雨が降り始める。3日午前6時までの24時間に予想される雨量は多いところで30ミリ。1時間あたりの最大雨量は15ミリで、火山灰が積もった御嶽山の現場では泥流やぬかるみが発生したり、沢近くでは土石流が起きたりすることも想定される。このため捜索隊は、3時間後に降雨が予想される場合には現場から撤退する「退避基準」を定め、現場に入っていた。
行方不明者情報のある岐阜県側では2日、天候不良のため捜索・救助活動は行われていない。
山頂付近では噴石とみられる岩石が活動の妨げになっているため、東日本大震災のがれき撤去作業でも活躍した陸上自衛隊の資材運搬車1両を今後、大型輸送ヘリで現場に空輸する計画がある。ゴム製の無限軌道とクレーンを備えた小型ダンプで、山の斜面でも活動できる。
気象庁によると、御嶽山は2日午前11時50分現在、山頂付近に雲がかかり噴煙は見えないものの、火山性微動が確認されており、噴火は継続しているとみられる。火山性微動の振幅は増減を繰り返していたが、1日以降は小さい状態が続いている。
御嶽山噴火で長野県警は、2日までに収容した47人全員の死亡を確認した。1991年と93年の火砕流で計44人が死亡・行方不明となった長崎県の雲仙・普賢岳(1359メートル)災害を上回り、戦後最悪の火山被害となった。【福富智、川辺和将、斎藤良太、中西拓司】