鉄道

鉄道開業当日の写真見つかる 横浜駅

 鉄道発祥の地である横浜駅(現JR桜木町駅)で142年前に執り行われた開業式の写真が初めて見つかり、横浜市中区の横浜都市発展記念館に収蔵された。開業式の写真は従来、同時開業した新橋駅のものしか知られておらず、同館は「非常に貴重な資料が発見された」としている。

 同館が1日発表した。同館が古書目録で見つけ、買い入れた。購入資金は同区の菓子製造販売、三陽物産の山本博士社長が寄付したという。今月4~19日と、来年1月14~30日に、館内で限定公開される。

 写真は1872(明治5)年9月12日(現在の暦で10月14日)、明治天皇が臨席した式典の際に撮影された白黒プリントで、着色されている。駅近くを流れる大岡川の対岸から遠望した構図だ。当時、川べりにあった外務省接客所の敷地から、横浜で開業していた写真師・臼井秀三郎が撮影したとみられている。

 駅舎は画面の右奥に小さく写っている。米国人建築家ブリジェンスの設計による、木材の骨組みに石を張った建築。新橋駅と同デザインだった。式のために張られた幕や、駅を取り囲む人垣、一帯に飾られたちょうちんなど、町を挙げた歓迎ぶりが読み取れる。大岡川に架かる大江橋が木造だったことも分かる。

 同館の青木祐介主任調査研究員によると、これまで確認されていた最古の横浜駅の写真は開業翌日で、当日のものは英字新聞に印刷された挿絵しかなかった。「今になって当時の写真が発見されたのは驚くべきことで、横浜の歴史が厚みを増した」と話している。

【神奈川新聞】