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【政治】

国民不安置き去り 秘密保護法 12・10施行へ

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 政府は一日、国民の「知る権利」を侵す恐れがある特定秘密保護法を十二月十日に施行する方針を決めた。法の運用基準は、今月十日に閣議決定する。同法は、政府の意のままに秘密が指定され、情報に迫ろうとした市民や記者も厳罰に問われる懸念がある。国民の不安や懸念を置き去りにしたまま、施行に踏み切る。

 世耕弘成官房副長官は一日の記者会見で「施行は十二月十日とする方向で、与党、政府部内で調整中だ」と説明。世論の反対が依然強いことには「法で決まった内容に沿って粛々と(準備を)進め、その過程で国民への説明責任を果たし、理解を深めていきたい」と述べるにとどまった。

 秘密保護法は(1)防衛(2)外交(3)スパイ活動防止(4)テロ防止−の四分野で、重要な情報を特定秘密に指定。どの情報を指定するかの判断は各行政機関の長に委ねられ、秘密の範囲が際限なく広がる懸念がある。公務員や民間人が漏えいした場合、最高懲役十年の厳罰。漏えいを促した側は最高懲役五年が科される。秘密の指定期間は原則三十年までだが、六十年を超えて指定できる例外もある。

 政府は昨年十二月の法成立後、有識者による「情報保全諮問会議」を三回開き、運用基準案を策定。七〜八月の運用基準案に対するパブリックコメント(意見公募)では、異例の約二万四千件の意見が寄せられ、政府は二十七カ所を手直ししたが、五年後の見直し規定など微修正にとどまった。意見では、法律そのものを問題視する内容も半数以上あった。 (金杉貴雄)

 

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