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 山頂付近から遺体が次々と運び下ろされた。御嶽山の噴火から5日目。家族らにとって「待ちわびた」対面とはいえ、最悪の結果になった。美しい秋晴れの集落を悲しみが覆った。

■ネパールやスイスへ登山に

 山本奈津子さん(34)=大阪府茨木市=は、高校時代まで実家のある山口市で暮らしていた。家族ぐるみの付き合いという近所の女性は「県内有数の進学校に進んだ。帰省した時は『おばちゃん』と元気に声をかけてくれた」と振り返る。

 幼なじみの女性は「高校時代は写真にはまり、一眼レフカメラを買っていた。大学では気球に乗ることに挑戦するなど多趣味だった」と話す。最近はネパールやスイスへ登山に出かけるほどの山好きになった。

 27日は、友人らと3人で登った。唯一無事だった友人によると、頂上で昼食の準備をしていた時に噴火に巻き込まれ、すぐに山本さんたちの姿が見えなくなったという。

 山本さんは自衛隊で看護師をしていたこともある。母親(58)は27日午後5時ごろに連絡を受け、現地に駆けつけた。「ひょっとしたら、上で救助活動をしているのかも」。そう願ったが、5月に帰省した時に話したのが最後となった。

■父親「受け止めなければ」

 所祐樹さん(26)=愛知県一宮市=は交際していた会社の同僚女性と御嶽山に登っていた。噴火の約1時間前には、女性が山頂で撮った写真を知人に送っていたが、女性の安否は分かっていない。