STAP論文:「自浄作用示した」理研上級研究員

毎日新聞 2014年10月01日 20時24分(最終更新 10月01日 20時44分)

 STAP細胞の論文不正問題で、STAP細胞がES細胞(胚性幹細胞)だった可能性を示した理化学研究所の遠藤高帆上級研究員が1日、報道各社の取材に応じた。遠藤氏はSTAP論文の遺伝子データを独自に解析した結果を9月下旬に論文発表したことを明らかにし、「理研の中で自浄作用を示し、どんな問題があったか表明するのが誠実な対応だと思った」と心境を語った。

 遠藤氏は今年2月下旬、遺伝子データが研究者向けに公開された直後に簡単な解析をした結果、STAP論文との矛盾点が複数見付かったという。その段階で、「(所属する)理研に誇りを持っているが、これは理研の研究論文として大々的に発表するクオリティー(質)ではないと思った」と振り返った。

 遠藤氏はその後、詳細な解析を進め、STAP細胞の遺伝子データにES細胞でよく見られる染色体異常を確認した。「遺伝子データの解析から細胞の性質を分析する手法を開発した」として、これらの結果を日本分子生物学会の学会誌で発表した。

 遠藤氏は「少なくとも、(筆者らが)遺伝子データをとった時点ではSTAP細胞はなかったと思う」と話した。【須田桃子】

最新写真特集