2014年10月2日00時18分
御嶽山では1日、11人が新たに心肺停止状態で見つかり、山中に取り残されていた人たちと合わせて35人全員がふもとに運ばれた。火山活動の沈静化と天候の好転という偶然が重なり、噴火5日目に救出・捜索活動が進展した。だが、今後は天候悪化も予想され、被害の全容を見通すのは難しい。
1日の救出・捜索活動では、それまで使っていた中型ヘリコプターの5倍の人員を運べる陸上自衛隊の大型ヘリ、CH47を初めて使った。それまでは、エンジンへの火山灰の影響と着陸場所の確保の難しさから、見合わせていた。
早朝から2機が3回ずつ自衛隊員らをピストン輸送し、1時間で186人を山頂付近に送り込んだ。中型ヘリとあわせて、心肺停止状態の登山者27人をふもとに運んだ。岩に挟まれた登山者の救出など、活動の長期化が心配されるなか、初めて削岩機を現場に輸送。岩を砕いて全員を運び出した。
「これまでと違って、現場到着までの体力を温存できた。短時間で大量の救助隊員を送り込めたことも、活動を前に進めることにつながった」。長野県王滝村の災害対策本部の関係者は説明した。
この日は朝から北寄りの風が吹き、心肺停止状態の人たちが数多く残されていた山頂付近は、火口からの噴煙や火山ガスの風下にならなかった。火山性微動は続いているものの、振れ幅が一定のレベルで安定。気象庁からも「活動は可能」との連絡を受け、再開を決めた。
噴火初日の9月27日は自衛隊のヘリが上空からの救助を試みたが、激しい噴煙で断念。28日は夜明けから救助隊が地上から登ったが、現場への到着にも難航した。29日の捜索では、午前中に計3回、有毒の硫化水素1ppmを観測し、そのたびに活動を中断。その後さらに濃度が高まったため、午後2時ごろに中断を決めた。そして30日。火山活動が再び活発になり、1人の救出もできないまま、午後2時過ぎに活動を打ち切った。
噴煙に視界をさえぎられ、火山ガスに行く手を阻まれ、活動中断を余儀なくされる日々が前日まで続いた。「できるだけ短時間で、素早い救出・捜索活動を」。現場の隊員たちは1日早朝、そんな共通認識をもって活動に臨んだという。
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朝日新聞社会部
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