October 1, 2014
最高の食べ物を求めて都市にあふれかえる人々だけが美食家というわけではない。ハチもまた、多様で高品質な餌を求めるその味覚を満足させるため、野生環境の資源が乏しい場合は特に都会へ赴くことが最新の研究で明らかになった。
カリフォルニア大学バークレー校の都市昆虫学者ゴードン・フランキー(Gordon Frankie)氏はコスタリカの
グアナカステ州(map)で、送粉者であるハナバチが都会の庭園をどれだけ訪れ試食しているのかを解明するため、
在来ハナバチの採餌習性について研究してきた。
その答えは、予想よりかなり多かった。一見すると直観にはやや反しているが「都会の環境は実際にハナバチ
の隠れ家になっている」とフランキー氏は話す。在来植物の開花時期が短い場合や都市のスプロール現象など土
地利用の変化によって供給量が減っている場合は特に、都市がハナバチに新しい餌資源を提供するからだ・・・
カリフォルニア大学バークレー校の都市昆虫学者ゴードン・フランキー(Gordon Frankie)氏はコスタリカの
グアナカステ州(map)で、送粉者であるハナバチが都会の庭園をどれだけ訪れ試食しているのかを解明するため、
在来ハナバチの採餌習性について研究してきた。
その答えは、予想よりかなり多かった。一見すると直観にはやや反しているが「都会の環境は実際にハナバチ
の隠れ家になっている」とフランキー氏は話す。在来植物の開花時期が短い場合や都市のスプロール現象など土
地利用の変化によって供給量が減っている場合は特に、都市がハナバチに新しい餌資源を提供するからだ。
◆都会のハナバチ
この数十年、コスタリカハナバチプロジェクト(Costa Rica Bee Project)の一環で、フランキー氏らは自然
林と都市環境で同じ植物種の標本をモニタリングし、植物を訪れるハナバチの数と種を記録してきた。都市の植
物は、より派手な観賞用品種であることが多い。コスタリカに生息するハナバチは800種、彼らのチームが採集し
たのはこれまでに112種だ。ほとんどのケースで都市環境にある植物標本は野生環境の標本と同程度のハナバチを
呼び寄せており、時には野生の標本より多くのハチが都市の標本に実際訪れることが明らかになった。
どちらの場所でも在来植物の方がより好まれるが、ハナバチが外来のスイーツを鼻であしらうということはな
い。全体で見ると、野生環境で観察されたうち80%もの在来ハナバチが、都会の庭園も訪れていたという。なお
この研究は、まだ論文として発表されていないものだ。「これは予想していたより高い数値で、私たちに希望を
与えてくれるものだ。自然地域がどんどん消失したり人間の影響を受けたりすると、その分人々が世話する安定
した資源を都市地域が提供してくれる」。
この発見は、適切にデザインされた都市空間(特定のハナバチの選好性を考慮して植物が植えられた庭園)は
送粉者が生存し働く能力を維持するだけでなく、増強させることもできるという考えを支持するものだ。
まだはっきり分かっていないのは、ハナバチが都市部に巣を作っているのか、単に食事のために通っているの
かということだ。「現時点では、ハナバチが都会の植物で採餌しているということしか分かっていない。周辺に
とどまっているのだろうか。それとも都市部から出て営巣しているのだろうか。都会は単に移行途中の通過点な
のかどうかを知る必要がある」。もしそうではなくて周辺にとどまり野生環境の外で生活史を全うするなら、都
会の庭園はハナバチ個体群の健康にとってさらにずっと重要ということになる。
◆在来種だけでなく
農家や経済学者、政策立案者たちにとって興味のある受粉の大部分を担っているのは管理されたミツバチだ
が、在来昆虫も不足分を補うのに大きな働きをしている。これに対し、アメリカのハナバチ庭園純粋主義者たち
は都市の庭園に在来植物を植えることにこだわり続けてきたが、実際に都会の庭園で使用されている植物は90%
以上が外来植物である状況を考えると、これは難しい注文だ。
送粉者を救うためこのような区別することは、かつて考えられていたほどでは重要ではないかもしれないとフ
ランキー氏は話す。「ハナバチは花粉と蜜にありつけるならどこへでも行く。もし都会の庭園に多様な植物があ
るなら、ハナバチはやってくるだろう。それぞれの環境で植物をどのような配合比にするのが一番良いのか予測
できるように、特定のハナバチと花との関係について学んでいるところだ。理想の庭園には在来種と外来種のど
ちらも含まれることになるだろう」。
「在来ハナバチが在来植物を好む傾向があるのは事実」だと国際的な造園設計家で送粉者環境庭園を専門とする
ケイト・フライ(Kate Frey)氏は語る。「とは言うものの、在来種だけを植えるように勧めることで人々がハナ
バチ庭園を作ることから目を背けてしまうのであれば、妥協する必要がある。観賞用植物の中には他の花が不足
しているときに花を咲かせるものもあるので、間を埋めるのに外来植物を使って在来植物が少ない期間を補うの
は良いことだろう」。
全体的に見て、コスタリカでもカリフォルニアでもどこでも市街地の10%程度はハナバチに適した庭園にあて
るべきだとフランキー氏は推奨している。「それが大きな願いだとは分かっているが、望ましい種類と数の植物
を植えれば植えるほど、多くの個体数、種数のハナバチが期待できる。適切な庭園を用意すれば、ハナバチはや
ってくる」。
Photograph by Rollin Coville