そんな寝言をほざきつつ、昨日田植えを終えた大和魂は遅い朝飯を食らうと茶碗を洗いバタバタと地域散策の準備を始めた。
そんな忙しない様子を見て、兄はこれは何かあると感じた。
兄「オイ…おめぇどごさ行げっ?今日は親父も祖母さんも田植えが終わったがら温泉にいっちまったが、今日おめぇは何するんだ?」
大和魂「えっ?いやっ…ちょっと…」
まさか「幼い記憶を頼りに洞窟探しにいってきます」だなんて、まもなく三十路に突入するいい大人が言える言葉ではないので
「あ〜合地沢に山菜採りに行ってくるわ〜」っと軽い調子で答えました。
兄「合地沢か…熊の出没がめちゃくちゃ多いところだな。」
大和魂「え?熊?多いの!?」
兄「しょっちゅう出ているらしいぞ。」
熊…熊か、洞窟探しにでかけ熊に襲われて
独り遭難死
…なんとも俺らしい死に方だが
やっぱりそんな死に方は嫌だ!
そう思った大和魂は正直に鬼丸洞窟の話をする。
「小学生の低学年の頃、中館木工の家に遊びに行ったときに合地沢の奥にある鬼丸洞窟に連れて行ってもらったことがある。その付近に山菜がたくさんあった気がした。山菜採りを兼ねてちょっと探検に行ってこようかと…」
兄「フンッやはりな、おめぇだからそんなことだろうと思ったよ。まあっ止めはしないが、さっきも言ったとうり熊の出没が多いところだ。せいぜい気をつけろよ」
「あ〜やっぱねっ、独りで行くのって少々心もとないから一応言っとかないとと思ってさっ」
兄「俺は行かないぞ。おめぇは男のロマンとかなんとか言って独りで盛り上がっているようだが、そんな所に独りで行くもんじゃない。誰か友達でも誘って行けやっ」
「いやっ…なんつ〜か探検に行くってのを今朝方に思いついたので今からじゃ誰もつかまらないような…」
兄「やはり無計画な奴だ。しょうがない…それじゃこうしよう。午後1時までに帰ってこなければ捜索届けを出す。」
「えっ?マジで?」っと言ってはみたものの、うちの兄は「冗談じゃないよ〜本気だよ〜」っと目で語っていたので、
素直に「はい。わかりました。1時までに帰ってきます。」っと答えました。
危機管理意識に乏しい大和魂は、ジャージの上着にジーパン、スニーカー、山菜を入れるビニール袋、カメラ付き携帯電話…っとこれから探検や冒険に行くような格好とは言えないようないでたちでホンダの軽トラックに乗り込んで出発しました。
家を出発したのが10時頃、タイムリミットは約3時間…。
はたして淡い記憶だけで鬼丸洞窟にたどり着くことが出来るのか?そして無事に13時までに戻り、捜索願を出されず済むのか? つづく
次回は『混迷!立ちはだかる山の怪!』をお届けします。