サムスン電子が先ごろ、欧州市場でのノートパソコン販売を中止した。今年5月には南アフリカ、昨年10-12月期には東アフリカ地域でもノートパソコン事業から撤退した。販売が振るわないパソコン事業を整理しているのだ。
スマートフォン(多機能携帯電話端末)事業の不振で危機に陥っているサムスン電子が、近ごろ限界にぶち当たった事業を整理し、社員を配置転換するなど、再編を加速させている。好況を謳歌していたここ数年間で肥大化しすぎた組織をスリム化し、新たな成長エンジンを見つけるための非常対策の一環だ。
■危機のサムスン電子、事業を整理し社員を配置転換
サムスン電子の再編ムードは、今年初めにすでに捉えられていた。現在、闘病中の李健熙(イ・ゴンヒ)同社会長は今年1月にハワイへ出国する際、「マッハ経営」に言及。ジェット機が音速(マッハ1=秒速340メートル)を突破するには設計からエンジン、素材、部品などを全て変えなければならないように、サムスンも体質と構造を刷新する必要があるというわけだ。こうした中、4-6月期の業績が予想以上に悪かったことから、サムスン電子は本格的な構造調整に乗り出した。
同社は事業調整と並行して社員の大々的な配置転換も行っている。先月には無線(IM)事業部のソフトウェア担当者500人を生活家電、映像ディスプレー事業部などに異動させた。大半は同社が中心となって取り組んでいる基本ソフト(OS)「タイゼン」の開発担当者とされる。
無線事業部ではタイゼンを搭載したスマートフォンの発売がなかなか進まないが、ほかの事業部ではすでにタイゼンを利用したテレビやスマートホームサービスなどの公開を控えているため、こちらにソフトウェア担当者を充員し、スマートホームの構築を急ぐ考えだ。同社のキム・ヒョンソク映像ディスプレー事業部長(副社長)は「来年の(家電見本市)CESではタイゼンテレビをたくさん公開する予定だ」と話している。
また、7月にはソウル市瑞草区の社屋に勤務していた財務・人事担当者の15%(約150人)を京畿道の水原市や竜仁市器興区などの事業所に配置転換した。
業績悪化の「主犯」に挙げられる無線事業部では、すでにコスト削減などの緊縮に乗り出している。役員クラスも飛行時間が10時間以内の海外出張ではエコノミークラスを利用し、成果給も25%ずつ返納した。各事業部の消耗経費も来年は大幅にカットされる見通しだ。