【北京=島田学】中国の習近平国家主席は30日、北京の人民大会堂で開いた10月1日の国慶節(建国記念日)を祝う晩さん会で演説した。香港に50年間の高度な自治を認める「一国二制度」について「この方針を変わらず堅持し、香港などの長期の繁栄と安定を守る」と強調。香港行政長官選挙を巡る香港のデモ隊と警察当局との衝突を念頭に、香港の政治に過度な介入をするつもりはないとの考えを示した。
習氏は「共により良い未来を作れると信じている」とも呼びかけ、香港側の反発を和らげたいとの思いをにじませた。
中国政府は香港のデモ隊の動向を懸念しつつも、政府が直接介入することなく事態を収めたい考えだ。最も懸念しているのは、中国共産党が学生中心の民主化運動を鎮圧した1989年の天安門事件の再現となってしまうこと。デモ隊の活動がこれ以上過激にならないよう、状況を慎重に見極めている。
一方、外国が介入して香港の民主派が勢いづけば事態を収拾できなくなるとして、米国などの発言には神経をとがらせている。中国外務省の華春瑩副報道局長は30日の記者会見で「香港の問題は純粋に中国の内政問題だ。関係国は言行を慎んでほしい」と、香港の民主派を支持するような外国の動きに反発した。
習近平、香港サイド、一国二制度