ソニーが陥った短期利益追求の罠 効率&数字至上主義が企業を滅ぼす?
9月25日付日本経済新聞記事『ビジネスリーダーシップ ソニー、マクドナルド…不振企業の「仮説」を疑え』では、 ソニーやマクドナルドといった企業の不振の理由に迫っている。ソニー本社(「Wikipedia」より/Koh-etsu)
「かつてソニーは家電業界のリーダーだった。(略)だが今やソニーの過去4年間の四半期ごとの業績は、1期を除いてすべて赤字続きだ。経営陣も今期は20億ドル(約2200億円)の赤字になることを認め、無配当になる見込みだ。かつてマクドナルドが生みだした製品は、今では『ファストフード』の代名詞になっている。ビッグマックやクォーターパウンダー、ハッピー・ミールなど、マクドナルドの製品は消費者を魅了し、その勢いはとどまることを知らなかった。(略)だがそのマクドナルドも今や成長が止まり、既存店売上高が落ち込み、2000年以降に生まれた世代からは見向きもされなく」なっている(同記事より)。
なぜ大成功した先駆的企業が、これほどの業績不振に陥るのか。
「その答えは市場の変化にある。世の中はつねに変化している。市場に競合相手が参入し、新しいテクノロジーやソリューションが考案され、これまで成功をおさめたビジネスモデルとは異なる商品やサービスを消費者が好むようになれば、かつて輝いていた事業は価値を失う。どんな一流企業も、こうした市場の変化についていけなければ、やがて取り残される」(同)
つまり、ソニーやマクドナルドなどが事業展開の基盤としてきた「仮説」は、もはや実効力を失っているのだ。
「10~20年前、高い利益を上げていた企業が真実と考えていた事柄は、もはや真実ではない。経営者が生産性の向上や経営効率の改善、コスト削減にどれほど努力しようと、既存の--または減少する顧客--をどれほど懸命につなぎとめようとしても、こうした企業の商品やサービスからの離反には歯止めがかからない」(同)
●市場変化で経営学が役に立たなくなる?
さらに、経営学を学ぶ場の問題があった。経営幹部は短期的な利益を追うための実務能力しか養成されなかったのだ。
「米国は企業経営者たちにすぐれた経営手法を身につけさせることだけに専念してきた。1960年、専門課程を終えて医師や弁護士、経営学修士(MBA)になる一流大学卒の学生の人数はほぼ同じだった。現在でも、毎年、大学を卒業して医師になる学生の数は変わっていない。これに対し、大学を卒業して弁護士になる学生の数は60年当時の6倍だ(弁護士が多すぎることをネタにしたジョークが多いのはこのためだ)。だが大学を卒業して経営学修士になる学生の数はなんと60年当時の30倍にも達する。経営学教育の急増にともない、驚くべきことに企業のどのレベルでも、どの部門でも、経営学修士がいるのが当たり前になってしまった。
こうした教育がめざしてきたのは、会計、財務、コスト管理、サプライチェーン管理、オートメーションなど、いずれも経営実務能力の養成ばかりだった。簡単に教えられることばかりが重視され、歴史的データの分析がないがしろにされてきたのだ。
これまで米国は、実に多くの国民に、コストや経営効率の計算方法をはじめ『いかに効率よく』企業を経営するかを学ばせ、つねに『数字を向上させる』ことに努めてきた。現在の上場企業経営者は、その大半が財務畑の出身で、自社の損益計算書やバランスシートについて実に細かく論じることができる。企業内部の経営実態を把握し、経営効率を向上させるには広範な知識が必要で、経営の数値改善と短期利益の達成を旨とする組織に集中する経営者の能力は、かつてなく高度化した。だが市場環境が変化すれば、こうした知識は用をなさなくなる」(同)
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