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ジョブズの名言「もし、今日が人生最後の日なら…」 “心の声”と向き合うことは、なぜ重要なのか

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ジョブズの名言「もし、今日が人生最後の日なら…」 “心の声”と向き合うことは、なぜ重要なのか
スティーブ・ジョブズが遺した名言のひとつ、「『今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか』。”No”という答えが幾日も続いたら、私は何か変える必要があると知るのです」。自身の感情や感覚を切り離さない生き方とはどうあるべきか、働き方研究家の西村佳哲氏が説きました。(ベストセラーズチャンネルより/この動画は2013年に公開されたものです)

【スピーカー】
リビングワールド代表/プランニング・ディレクター/働き方研究家 
パーソナリティ 

【前編はこちら】
なんのための仕事なの? ”働き方研究家”が語った、人生の描き方

PDCAサイクルが不必要な場面もある

山口:きっと、聞いている人も目標を本当に立てて自分で行動してプランしてってあるじゃないですか。PDCA。あれをやって、本当にうまく行っている人の本というのも実際にあるじゃないですか。

西村:でも、PDCAサイクルっていうのは、サイクルに目標があるわけで、直線的にあそこまでいってどうってことじゃないですよね? くるくる周り続けながら揚力を発生させていくというか、浮力というか。

そういうものだと僕は理解しているから、考えるっていうプランニングのところから始める人もいるかもしれないし、Doから始める人もいるし、Cから始める人もいるし。だから、PDCAそのものはすごく当たり前の原理って言うか、要するにトライ・アンド・エラーですよね。やってみて考える、という。だから、PDCA自体に違和感はないですけど。

あとね、目標を決めて、そこに向かってっていうのもそれが悪いと僕は思っていないんですよ。長期的なことには向かないというか、長期的なことに関しては、おおよそあっちの方向に行くんだ、っていうのはありだと思うけど。

具体的に何に出会って行ったり、どんな石に躓くかってディテールは進んで見ないとわからないことだし、もちろん流れの中でって言うことや出会いを大切にっていうことも重要だし、それしかないみたいな気持ちになる瞬間もあるし。

短期的に今日どこまで山に登ろうかと決めて朝始める仕事というのもとても意味があると思っているし、一言では言えないですよね。目標を立てるのがいいとも悪いとも言えない。

山口:言葉を失うのはなぜかというと、仕事をしていると短期でやらなきゃいけないとか、納める納期とかいろんなことがあって、この本にも書いてありましたけど、今日はここまでこれたっていう気持ちで眠るんだ、って書いてあって……。

西村:最近ね(笑)。

山口:最近そういう、今日はここまでこれたって思えるようになった。やっぱり、やらねばならない。やらなきゃ、間に合わせなきゃって。そういう、感情を横に置いて仕事をする時ももちろんあり、また感情を感じれる時もあり、その行ったり来たりというのが、自分がまだ分断している感があるんですね。私の中で。

それが統一感をもっと増すといいんだろうな、なんて思いながら、その何かのきっかけはいつ来るんだろうといろいろ考えていて、まぁ、考えるものじゃないんですけどね。西村さん、(この番組を)聞いていらっしゃる方って、ビジネスパーソンの方がとても多いと思うんですけどね。

もちろん主婦の方でこれから起業しようとか、今自分がいる場所から例えばもっと統合された仕事というか、自分の確実に年を取っていく人生の中で、無理がきかなくなっていく時ってあるんですよね。

体力的にとか、どこか嘘をついていた自分に正直にならないとまずいなと思う時とか、そういう時にみんな転職を考えたりとか、いろんなことを思ったりすると思うんですけど。そういう時に是非出会って欲しい本だと、私は思っているんです。

西村:これ以上無理は出来ないな、という時……。

ジョブズも実践していた「自分の”実感”を確かめる」生き方とは

山口:例えば、自分の仕事に何か嘘がある?西村さんの何かの本に書いてあったんですけど、僕の作っているこのものをずーっと、例えば食べ物か何か。あ、それは一番最初の『自分の仕事をつくる』の中に出てきたんですよね。

西村:ルヴァンの甲田(幹夫)さん。

山口:ルヴァンの甲田さんですね。自分の作っているものをずっと食べ続けて本当に良いんだろうかって思う瞬間に。

西村:いや、彼は良いと思っているんですよ。パンに関しては。

山口:パンに関しては。生成飲料水を作ってらっしゃる時に書いてらっしゃる時の話です、これはね。

自分の仕事の中に何かこう違和感を感じた時西村さんだったらこの本を通して、もちろん本を通さなくてもその人にどんな風に語りかけてあげたいですかね?

西村:その人にどう語るかというより、自分にどう語るかなんですけど。それはもう本当に単純で、本当に僕はこれがしたいのか、ですよね。

例えば今僕は、山口さんの前でこうやってお話をさせて頂いていますけど。この瞬間に今ここに自分は本当にいたいのかって問うたら、なんらかの反応が返ってくる気がする。別に離席はしませんけど(笑)。問い直しをすると、「はい、いたい」。

でも、いるにしてもどんなふうにいたいのかって言うのがあって、例えばこうやって前傾姿勢でいたり、あるいはちょっとこんな場所にいたり、ちょっと身を引いて、腰を落としているだとか、自分のしゃべり方だとか。

例えばご飯を食べている時でも、食べてて本当にこのご飯を食べていたいのか。あるいはこんな風に食べていたいのかって自分に聞けば、それが早過ぎるなという感じになったり、なんで俺は携帯を見ながらご飯を食べているんだろうみたいなことになったり。

まぁ、スティーブ・ジョブズもそういうこと言っていますよね。毎朝洗面台の前で、鏡に映った自分に今日これからやろうとしていることを本当に自分はやりたいと思うかどうか、という問いをするんだ、と。ジョブスのいいところは、そこでやりたくないとか違うとなったら、即決じゃないんですね。

そういう日が、決してやりたくないと、心が踊るわけではないという日が何日か続いたら、そろそろ生き方を変えなくちゃいけないという(笑)。ちょっとバッファがある感じが素敵だなと。僕も同じような感じですね。

山口:すぐ切り捨てはしない。余韻を味わい、その余韻の中できっとまた感情が変化していくのを自分で見ていくような感じですかね?

西村:自分の実感を確かめるっていうことだと思うんですよね。こういうことやってて良いのかな、とか。働きながら自分に対する疑問だとか疑念みたいなものがわいて、これまでやれていたことができなくなるだとか、無理が効かなくなるだとか。

そういう時に自分に問うて、その時に一番必要な答えを戻してくれるのは自分の考えじゃないと僕は思っていて。実感なんですよね。

山口:実感……。

西村:考えというのは要するに頭の中にあって、頭の中にあることはちょっと少し古いんですよ。少し前の自分が考えたこういうふうに生きていこうだとか、こういうことが正しいだとか、こういう風にできたらいいなとか、こんな夢があるだとかね。

自分の思いだとか、なんかモヤモヤしたあるいはワクワクするものをあるセンテンスにまとまっている状態というか。でも、ちょっと古いんですよ、情報処理が進んだものだから。それも確かに自分なんだけども、ちょっと古いので、鮮度が。そこに惑わされていると今の自分とは統合されないんです。

山口:ものすごいわかります。

西村:今の自分と統合されるには、今この瞬間に感じていることに繋がる必要があって、それは言葉じゃないんですよね。今どんな感じかっていうことの方に繋がっていく必要があって、そういうことをやるべきですね。

感情・感覚を切り離して生きている人たち

山口:さっき実感って仰ったのは、私、感情とどう違うと思ったんですけど、イコール一緒ですよね?

西村:ちょっと違う。

山口:ちょっと違う?

西村:順番で言うと感覚が先にあって、感覚が例えばモヤモヤするとか、これ何て言ったら良いんだろうみたいな。うーん……これ、ごにょごにょごにょ……、とか。感覚があって、その後にそれを形容詞化すると、言葉で言うと切ないだとか、やるせないだとか、情報処理が進んでいくわけですね。

それが考えのところに頭のなかにあって、思考になって。だから、感覚感情あるいは形容詞。悲しいだとか切ないだとか分類分けがなされる。でも実際には、例えばある映画を観たり、ある本を読んだりして、これは嬉しいんだか悲しいんだか良くわからない、みたいなことがありますよね? あれが感覚です。

山口:あれが感覚……。今これでわかるように、人間というのはいかに感覚感情を横において生きてきてしまっているのかって。人間って全部言っちゃいけないですね。そういう生き方を選んでいる人って結構いると思いますね。感じていると仕事ができない、という感じで切り離してきてしまった人たち。

西村:それもいますよね。

山口:ですよね。

無理をしている人は、他人にも無理を強いる

西村:無理しなくちゃいけない時にはね、無理しなくちゃいけないから。

山口:西村さんもそういう働き方をなさってた時もある?

西村:それは日々の中にあります。

山口:そうか、日々の中にあるんですね?

西村:ちゃんと無理はしてます。

山口:そうなんですね(笑)。

西村:まぁ、でも無理をしっぱなしだとね、僕は会社に入って、まだ自分の能力だとかいろんなものが追い付いていなかった頃に、最初の上司がすごく仕事が出来る人だったんですけど。

その人はね、結構無理を強いてくる感じだったんです。僕は見てて思ったのは、無理をしている人っていうのは、人にも平気で無理を強いるんだな、みたいな。自分にしてるのと同じことを他人にもするんだなって。だから、自分との付き合い方というのがとても大事で、それがその外の人間関係にもそのまま形を表すから。

まず自分とどう付き合うかってなって、さっき言ったスティーブ・ジョブズは洗面台の前で付き合ってた。そういうことです。

山口:西村さんはご飯を食べながら例えば今本当に携帯を見たいのか、なんてことを西村流で日々感じながら、ということですよね? そういうふうに噛み砕いて現場で日々どう感じたら良いかを仰っていただけると……。

やっぱり聞いてらっしゃる方も常に本が手元にあるわけではないかもしれないけど、いっぱいのことって覚えられないと思うんです。ほんのたった一つの言葉というのを起爆剤のようにして思い出して、もう一回原点に戻ってくることってできると思うんですけど。西村さんにとって、常に元に戻るっていう、そういう感覚なんですかね?

西村:まぁ、そうですね。そういう動きはあると思いますね。自分が植物だとしたら、どういう風に育って行くのかなみたいな感じ。でも、植物にしたって、隣に家があるとか、隣にどんな木が生えてるかとか、あるいは土の中にどんな岩があるかとか、そういう事情を抱きかかえながらそれぞれのそういう発言をしていくので。

ただこう、すくすく何の障害もなく自分のありのままだけに生きていこうということでもないと思うんですよね。

ひとつの世界観で動ける人は、一緒にいて安心する

山口:今日はこの『なんのための仕事?』という本を題材にお話を、って思ってたんですけどね、もちろんつながっているんですけども。

この本の中身に関して今回具体的に何もお話をしていないんですけれど、でも、やっぱり一つの繋がりの中で、全部西村さんが、ものをデザインする、作る、教える。そして書く、というお仕事をお持ちで、全部一貫性を持っていらっしゃるからズレがないじゃないですか。

西村:まぁ、恐らく。

山口:ですよね。そうなるとやっぱり、なんとなくこう一緒にお話をして、安心してくるというか。この世界観を持っていらっしゃるって私はすごいなって思うんですよ。やっぱりまた最初に戻るけど、分岐されたまま生きていくっていうのは結構キツイものがある。

でも統一されたその自分の生き方、仕事の仕方がひとつの世界観の中に動いているって、結局ものすごい長寿なんじゃないかとか、長生きするんじゃないかとか、そういう感じがものすごくして。是非自分の今の仕事をリスナーの方がどうなんだろうと思った時に、そういう時にこそ、お手にとっていただいて、読んでいただいて、感じていただいて……。

そして、西村さん、これ以外にもいろんなワークショップとかなさっているんですよね? 執筆活動以外に。例えばどんなワークショップがあるのかちょっと説明をお願いします。

西村:少し前までは働き方や自分の仕事をテーマにしたワークショップをやってたんですが、それは最近自分では一切やっていなくて、最近はインタビューとか聞き方、人の話をどう聞くかというワークショップを、5泊6日とかでやっています。

山口:それは西村さんのホームページを見ればよろしいんですよね? リビングワールドという会社をなさっていらっしゃいますからネットで検索してみて、是非西村さんの温かみに触れていただいて、人生の仕事を楽しいほうに向けていただけたら良いなと思います。

今日は河出書房新社から『なんのための仕事?』この本を出版された働き方研究家の西村佳哲さんにお話を伺いました。本当にありがとうございました。

西村:ありがとうございます。

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