木曽郡王滝村と岐阜県境にある御嶽山の山頂などに県が設置した地震計3基のうち2基が故障し、27日の噴火前後は観測できない状態だったことが30日、県などへの取材で分かった。県はデータ分析で連携する名古屋大との協議を終え、10月以降に機器を更新予定だったと説明している。
故障していなければ、観測データは気象庁にも伝送される仕組みだった。同庁は取材に「気象庁などの観測網で火山性地震の状況を把握できており、突発的な噴火だった今回は(県の地震計が正常作動していても)警戒レベルの判断などに影響はなかった」(火山課)としている。
県砂防課によると、地震計は1984(昭和59)年の県西部地震で「御嶽崩れ」と呼ばれる大規模崩落が発生したため、大規模な土砂崩れの検知につなげるために設置した。
97〜2000年度に木曽郡木曽町内の観測点「御嶽三岳」、王滝村内の「御嶽滝越」、山頂の「御嶽山頂」の3カ所に設置。昨年6月に滝越、同8月に山頂が老朽化で観測データを記録できなくなった。名古屋大との協議で、同大が機器を提供、県が設置などを担い、今秋中に更新予定だったという。
県砂防課は「気象庁からも(噴火予知などに)直接の影響はないと聞いている」としつつ、「必要な観測機器なのでできるだけ早く直したい」としている。
気象庁によると、御嶽山の観測は主に同庁の地震計2基と名古屋大の5基のほか、衛星利用測位システム(GPS)や傾斜計などのデータを組み合わせて行っている。