7年ぶりにフルモデルチェンジされた新型マツダ「デミオ」のガソリン車(2WD)が2014年9月26日になり、今後はディーゼル車(2WD)が10月23日、4WD車が12月に発売される予定になっている。とかく高級路線に振ったなどと取りざたされがちな新型だが、果たしてマツダが目指したものとは?

【コンセプト】格付けクルマ社会から抜け出せるか?

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 無くて七癖あって四十八癖、ではないが、人が無意識に付けてしまうのが上下関係であり、格付けである。この人はあの人より偉いとか、あの俳優は一流でないとか、ありとあらゆるジャンルで心理的ヒエラルキーは存在し、アンドロイドスマホよりiPhoneのほうが格上と思っている人もいれば逆もいるだろう。

 本題のマツダだが、実はクルマも負けず劣らず思いっきり格付け社会だ。露骨に星の付いたワインやホテルほどではないが、高級車は圧倒的にドイツブランド優勢で、スーパースポーツはイタリアものやイギリスものの人気が高い。一方、大衆車もそこから逃れがたく、トヨタはホンダより大きくて偉いと漠然と思っている人がいるし、日産は三菱よりイメージがいいから、中身が同じでも「eK」シリーズより「デイズ」が売れる部分もあるのだろう。

 そこに敢然と立ち向かっているのが今のマツダである。マツダは本拠地が広島という地理的不利や世界初の自動車用量産ロータリーエンジンを産み出したこともあって最初から個性化を意識し、独自路線を歩んできた。

 しかしそれでも個性を出しにくいコンパクトカーなると難しく、今では完全オリジナルの軽自動車はなくなったし、デミオも初代はスペース効率で他の追従を許さなかったが、ライバルが同ジャンルを狙ってくると厳しくなる。一時は、一度マツダを買ってしまうと、他ブランドになかなか行きづらくなってツラいとすら言われたのだ。

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