まさかの10!米マイクロソフト、最新「Windows 10」を発表 ―2015年後半にも発売へ

米マイクロソフトは30日(現地時間)に報道機関向けのプレスイベントを開催し、(これまでは)個人用コンピューター向けだったOS「Windows」の最新版である「Windows 10」を発表しました。Windows 10は画面を持たないようなIoT向けからエンタープライズ向けのサーバー群まで、あらゆる用途に対応する包括的OSとして開発され、2015年後半にも発売される見通しです。

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上記の画像からもわかるように、Windows 10は画面のないコンピューター、スマートフォン、タブレット、ノート、デスクトップ、テレビ画面などあらゆる機器に対応するまったく新しいオペレーションシステムとのことで、これまでのWindowsとは全く異なる新たな段階に突入していくとしています。

同社は、Windowsが開発された当初とはコンピューター業界の方向性が変わってきていること、人口をデバイスの数がはるかに凌駕する世界の中で、「連結性(connectivity)」が当然のように必要とされるようになったことを指摘。モバイルやクラウドコンピューティングが急速に台頭する中で、それらをベースに据え、各個人や組織が偉大な目的を達成するための一助となることが、次なるWindowsの使命であると述べています。

そうした使命を達成するにあたり、その入口 “threshold” (次期Windowsのコードネームと噂されていた)となってほしいという願いを込め、新しいWindowsは市場で予想されていた “9″ を飛ばし、切りの良い2ケタ数字・Windows 10と名付けられました。

まあ、Windows 8.1を1つのOSと捉えれば、10番目のOSとして正しいネーミングといえますが…。

以下では、イベントや公式ブログなどで明らかにされたWindows 10の概要を簡単に説明します。

スタートメニューが復活、8シリーズの経験を活かす

Tech-Preview_Start-menu

Windows 8で廃止され、話題を呼んだ「スタート」ボタンとポップアップメニュー。これまでの情報通り、Windows 10で復活することが決定しました。8シリーズでおなじみのタイルメニューも加わり、両者のいいとこ取りができているように感じられます。

Windows ストアアプリも「デスクトップで」

上記のスタートメニュー復活と共にデスクトップユーザーに嬉しいのが、このデスクトップでのストアアプリ解禁。Windows 8.1によってデスクトップからストアアプリを起動したり、アプリ使用中にタスクバーにアクセスすることができるようになりました。それでも「全画面表示に固定」されていたために、特に大きな画面での操作には無駄が多いままとなっていたのがWindows 10ではついに解消。

App_Commands

ストアアプリをデスクトップユーザーにも使いやすくすることで、エンタープライズ向けには必須条件となる「あらゆるデバイスに共通のシステムを導入しやすい」という大きなメリットが訴求できると考えられます。

『4インチから80インチまで』―あらゆる使い方に瞬時に対応するデザイン

さらには、デスクトップ(やラップトップ)とタブレットとで、必要とされるUIが異なることにも着目。これまでの「ひとつのUI」にこだわる姿勢を改め、状況に応じて最適なUIを提案するという大胆な戦略 “Continuum” を打ち出しました。その様子は、下の動画を見ていただければ一目瞭然。

外付けのキーボードを外すとダイアログが出現し、それに従うとUIがタブレット向けのものに一変。デスクトップ画面が、(Windows 8のスタートメニューに相当すると思われる)新たなメニューに切り替わる様子が見て取れます。

この動画ではタブレットにおける2つのUIについて説明されていますが、マイクロソフトによると、Windows 10は4インチクラスのスマートフォンでも80インチの巨大テレビ画面でも、その大きさに最適なUIを提供できるとしています(トップ画像を参照のこと)。

そもそもWindows 10は、画面が存在しないようなIoT(Internet of things)向けやエンタープライズ向けのサーバー類にも搭載されることを狙った「これまでとは全く違ったWindows」。UIという外見を統一するかどうかはもはやどうでもよく、根本のシステムが共通化されていることが重要だとマイクロソフトは考えているようです。

ウィンドウの自動配置がより便利に

これまで、アプリの自動配置機能(デスクトップのAero Snap含む)は、ウィンドウを左右または上下に並べることしかできず(下図)、その他の並べ方に対しては自分の手で調節するしかありませんでした。

スクリーンショット (112) スクリーンショット (111)

Windows 10ではあらたに “縦横4分割” に対応したことで、自由度の高い自動整列を実現。さらに “余ったスペース” には最小化されているアプリの中からそのスペースに表示させるアプリの候補を “スマートに” 表示するなど、ただの分割機能とは一味違った試みとなっています。

Tech-Preview_Three-program-snap-and-suggestions

全く新しい「タスクビュー」と、待望の仮想デスクトップ!

タスクビューは現在開いているアプリやプログラムの一覧で、タスクバー左にあるウィンドウを模したデザインのアイコンを押すと現われます。

Tech-Preview_Task-view

これだけでは何のありがたみがあるのかと思われることでしょうが、画像下部にある「Add a desktop」にご注目。そう…Windows 10ではついに、仮想デスクトップに対応しました。

X Window Systemを搭載する多くのUNIX系OSや、OS Xでは当たり前ともいえる仮想デスクトップですが、Windowsではこれまで標準機能として搭載されたことはありませんでした。

Tech-Preview_Virtual-desktop

タスクビューを使用すれば、アプリの切替・デスクトップの切替の両方を1つのボタンから行うことができるので、「ソフトを切り替えたいときはとりあえず “タスクビュー” ボタンを押せばよい」といったように、初心者でも迷わず使える設計となっているのがGood。

開発ベータ版がまもなく公開へ。一般ユーザーも試せます。

現行の「Windows 8.1」リリースから1年を待たずして発表されたWindows 10は、早ければ2015年後半にも一般向けに発売されるとのことですが、一方で「Windows 10 Technical Preview」が早くも本日より開発者や高度ユーザー向けに公開される予定。日本語サイトもすでにオープンしており、ますます期待が高まります。

スクリーンショット (113)

プレビュー配布サイト(http://preview.windows.com/)のスクリーンショット

また、サーバー向けのTechnical Previewは少し遅れてのリリース、スマートフォンやその他多数のデバイスについては2015年初頭から対応していくとのこと。その時点で同時に、ユーザー向けのさらなる新機能の数々を紹介していくと明らかにしています。

マイクロソフトはユーザーとの対話を重要視しているとしており、多くのフィードバックを歓迎しているとのこと。リスクを恐れないハイエンドユーザーの方々は、公私に影響の出ない範囲でWindows 10を試してみてはいかがでしょうか。

注意:Windows 10 Technical Previewは開発版の中でも特に初期にあたるバージョンのため、仕事に使用するコンピューターにインストールする、自分でトラブルを解決できないユーザーがインストールするといったことは間違ってもするべきではありません。

マイクロソフトの壮大な計画、あくまでも “第一歩”

スタートメニューの復活や仮想デスクトップの導入など、これまで噂されてきたアップデートを含んだブラッシュアップ版になるかと思われた次期Windowsでしたが、実際はすべてのデバイスに搭載されるべく開発された巨大プラットフォームという、まったく新しい立ち位置のOSになりそうです。

ところで、こういった新しい取り組みに対して「絶対コケる、失敗作」などという批判が上がることがありますが、筆者はそれは短期的なものの見方でしかないと考えています(あくまで筆者の考え)。

というのも、こういった大きな変化を起こすときには一度で世界全体を変えることは不可能だから。すべての機器に導入できる「次世代プラットフォームとしてのWindows」を提案し、世の中にその存在と今後の世界の流れを知らしめることが、Windows 10の使命だと思います。

実際、マイクロソフト自身もWindows 10を新たなWindowsの第一歩と銘打っています。決して完成形を提示しているのではないのは明らかです。

Windows 10 represents the first step of a whole new generation of Windows.(公式ブログより引用)

IoTやクラウドなど、世界のこれまでと比べ物にならないほど複雑に発達するコンピューター業界にひとつの方向性を示したWindows 10。OSの売上本数などという小さな物差しではなく、その後の世界に与える影響の大きさという点で、コンピューターの歴史に名を残すことは間違いないでしょう。

[Blogging Windows] [Windows Insider Program] [Business Insider]
画像はBlogging Windowsより、動画はBusiness Insiderより(上リンク)。

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著者

Yuster

Yuster

京の都で大学生やってます。 自分よりコンピューターの成長速度の方が速くなってしまいました。自分の成長が遅くなったのと、コンピューターの成長が速くなったのと。

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15 件のコメント

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  1. No-Name 2014年10月1日 08:45 No.1460569 返信

    7と10の間?
    いえ、知らない子ですね…

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    • No-Name 2014年10月1日 08:54 No.1460618 返信

      その子いなかったら10がなかったはずで

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  2. No Name 2014年10月1日 08:46 No.1460572 返信

    スタートメニューの復活が取りざたされる一方できちんと前のスタート画面も残してることを個人的には評価したい。

    スタートメニューがないという批判は実のところ選択肢のなさに対する批判だと思う、今回のようにタッチの有無、キーボードの有無でUIを切り替えることで操作の選択肢を広げるというアイデアは好印象だった。

    もっといえば8のころにこれをやっててほしかったとも思うけど。

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  3. No-Name 2014年10月1日 08:46 No.1460573 返信

    10ってw

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  4. No-Name 2014年10月1日 08:46 No.1460574 返信

    10出たら8.1からアップデート版買おう

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  5. No-Name 2014年10月1日 08:47 No.1460576 返信

    普通のノートでもスタート画面出せるかな?

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  6. No-Name 2014年10月1日 08:51 No.1460603 返信

    10てなるとハードル上がる気がするが期待

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  7. No-Name 2014年10月1日 09:00 No.1460664 返信

    Boot Campに入れて、遊ぶのが正しい使い方。

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    • No Name 2014年10月1日 09:09 No.1460711 返信

      MacBook Airにwindowsを入れると重さが21g増えるという・・・(噂)

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  8. No Name 2014年10月1日 09:02 No.1460671 返信

    まいくろそふとのかんがえたさいきょうのおーえす

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  9. No Name 2014年10月1日 09:02 No.1460672 返信

    仮想デスクトップはアツい

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  10. No Name 2014年10月1日 09:03 No.1460673 返信

    Windows 10+Broadwell-K+4Kモニターで1台組むかー、って
    まだ1年先じゃねえか。(前のめり)

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  11. No-Name 2014年10月1日 09:04 No.1460681 返信

    これ結構いいんじゃないか?
    個人的に慣れればスタートボタンは必要とは思わなくなったからサクサク動く8も好きだったけど、大多数の人は10みたいな進化を望んでいたと思う。

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  12. No Name 2014年10月1日 09:06 No.1460696 返信

    さりげなくWindows Phoneが映っててWP厨の俺歓喜

    ・・・だから早いとこ日本でリリースしてくれませんかね?

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  13. No Name 2014年10月1日 09:07 No.1460703 返信

    2015年後半て
    今何年だっけ

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