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ベトナムから見た香港の民主派デモ

テーマ:ベトナム社会
2014-09-30 21:10:55
 より民主的な首長選挙を求める、香港での抗議デモ。かつて短い期間とは言え学生生活を過ごした地での負傷者の出る事態に心を痛めつつも、中国の影響力が増える香港で危機感を募る、特に若い世代の思いに心を寄せるところです。ともかくも、暴力はこれ以上広がらないことを願うばかりです。

 ベトナム・ハノイの地で離れた地で歯がゆく思うと同時に、このニュースを聞いた時に「これはどのようにベトナムでは報道されるのだろう」とふと思いました。自らの手で直接リーダーを選ぶことができていないのは、共産党一党独裁の政権であるベトナムでもその状況は同じ。各種の自由は明らかに香港より制限されているベトナム。香港でのデモはどのように伝えられたのでしょうか?

HK protest
激しいデモの様子はベトナムのネットメディアでもトップ扱いで伝える

 デモが一部警察との衝突に至った直後の報道の印象は、「文章少な目、写真多め」というネット上での報道姿勢。一見、「何だか香港は混乱していて大変だぞ」という表面的な伝え方を重んじ、「なぜこうなったか」の経緯をあまり伝えていませんでした。ただ数日経ち9月30日に入ってくると、徐々に報道も細かくなってきます。TuoiTreは香港城市大学の教授に寄稿してもらいながら香港社会のバックグラウンドを解説しつつ、裏一面を全て使って報道。大見出しは引き続き「混乱して香港市場も同様」という感じにしながらも、良く記事を読んでいくと「大陸政府が約束を次々と反故にしてきている」と、外電を引用しながらも伝えるなど、報道も少し包括的になってきています。

tuoitrehk
背景解説も加えて詳細な記事を載せるTuoiTre紙。思ったより当局干渉は無く?

 ベトナムネットメディア大手のVN Expressでは相当数読まれているはずなのに、コメントはゼロ、その不自然さには激しくなるかもしれないコメントへの「配慮」が感じられます。ただ同サイトのフェイスブックアカウントではたくさんのコメントが付いており、「香港の学生の行動に感動した」というコメントにもっともイイねが集まると同時に、「ベトナムではいつこんな風に行動起こせるのだろう・・・」「まあベトナムの学生は遊んでばっかりで・・・」と嘆いたり、今の学生を茶化したりの様々なコメントがみられます。大学生も多いであろうウェブユーザーに、同世代の香港学生の行動は感ずるところが多くあったのではないでしょうか。

 まあ当然とはいえ、ベトナム共産党の公式見解を伝える「NhanDan」ウェブ版には、今回の事態を伝えるニュースは全くありません。対中関係悪化云々とは言っても、そこは類似体制の中国政府への配慮、というか自らの体制への反発への憂慮なのでしょう。ただ、場所が香港ということもあり、発信される情報量が止められないという判断もあったのか、ベトナムでの各メディアの報道自体は非常に活発に行われています。その状況を黙認した今回の態度は、「まああそこは一国二制度だから」ということなのでしょう。ですが、ベトナム共産党の幹部は、きっとこの件で色々な「会議」を開いているのだろうとは想像に難くありません。誰よりも彼らが「人ごとではない」と感じていることでしょう。
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